2016/04/05 のログ
ご案内:「演習施設」に士尺 流雲齋さんが現れました。
士尺 流雲齋 > からん。
かつん、こつ。
からん、ころん。こつ、かつ。
下駄を鳴らし、杖をついて。
小柄な老人が、準備室の中を歩き回っていた。
戸口には達筆な字で『講義準備室』と、記してある。

「今年度分の冊子、どこへやったかのう……」

あちこちの本棚を引っ張り出し、指をなめ、ぱらりぱらりと頁をめくる。

士尺 流雲齋 > 周囲にはいくつもの机が背中合わせに並んでおり、書籍棚も教員ごとにちゃんとあったのだが。
教員同士で回し読みするせいで、所定の位置に収まっていないのである。

「たしか、この辺りに……おう、あったあった」

眼を瞬かせて、分厚い教本を引っ張り出すと、金で縁取りされた表紙を指でなぞる。

「今年は、何人来るかのう。
剣以外にも、手を伸ばすべきなのかもしれんが」

しわくちゃな指を折り、数える。

士尺 流雲齋 > 「じゃが、まあ、生徒の希望次第じゃな」

鈍器かと見まごう重厚な本を、空いた手にしっかり抱え。
かつん、かつん。
杖をつき、部屋を出ていく。

キイッ、と音がして扉が閉まった。

ご案内:「演習施設」から士尺 流雲齋さんが去りました。