2016/05/15 のログ
ご案内:「演習施設」に留以さんが現れました。
留以 > (今日も誰かいるかしら……)

先日、たまたまここ演習場でかちあった女の子と模擬戦をして以来、稀によく足を運ぶようになった留以。
とはいえ、ほとんど人が居らず、簡単な演舞や剣術の練習をする程度に終わっていたが。

(またあの子が居れば、リベンジできるのに……)

はぁ、とため息をつきながら演習場へと入ってくる。

水月エニィ >  
 女性のものだが、鬼気迫る気迫の籠った声。
 声の先を見れば、型を踏まえた演習を行っている少女の姿を認める事が出来るか。
 改造気味の学生服のまま、汗をにじませながら特訓に勤しんでいる。

「Laaッ、オォォア、ウッッッォォオァゥァッ!」

 ……グラウンド全体を揺るがすような、耳が痛くなるような声だ。

留以 > 「っ!!」

劈くような声。
思わず耳を塞ぎ、驚きの表情を浮かべる。
どんな大男が練習しているのか、と声の発信源を見れば、いつぞやの少女。

(あら、エニィちゃん?
すごい気迫……)

しばらく、練習の様子を見ている。

水月エニィ >  
 布を繰る武術。
 高い練度と歪み、薄く漂う呪いの香。
 決死、必死、全霊を掛けざるを得ない"余裕のなさ"。

 それらを振り絞りまき散らしながら、演習を続け――
 ――しばらくすれば、小休止と言わんばかりにゆっくりと身体を止めた。

 ほどなくして、留以へと振り返る。

「あら、あづみさん……だったわよね。」

留以 > 「ええ、阿曇よ。留以って読んでくれてもいいのだけれど。
お疲れ様エニィちゃん。
なんだか凄く必死に練習してたわね~」

エニィの様子とは対照的に、ほんわかした雰囲気を纏いながらエニィに近づく。
自分で使う予定だったタオルを、エニィに渡そうとしてみる。

水月エニィ > 「随分と親しんでくれるのね。
 心当たりはないけれど――ん。借りるわ。」

 タオルを受け取れば軽く翻してから服の内に手を突っ込んで、
 首まわりや肩回りあたりの蒸れそうなところを丁寧に拭ってからその周りを軽く拭く。

「洗って返すのと今返すのはどちらがお好みかしら。」

留以 > 「今返して構わないわ。
私も今から練習するつもりだったから、気にしないわ」

持っていた大太刀や飲み物などを適当に置き、準備運動を始める。

「エニィちゃんは今日はもうおしまいになっちゃうかしら?」

水月エニィ > 「冗談。折り返し程度よ。
 負け延びるにもその位必死にやって漸くだもの。」

 タオルを丸めずに放る。
 放り投げられたタオルは稲妻めいた動きで留似の手元目掛けて飛んでいく。

「獲物は、その太刀だったかしら。
 この前も持っていたわよね、ソレ。」

留以 > ちょっと慌てた様子でタオルを受け取る。
うまく投げられたのが幸いして、落とすことはなかった。
タオルをそっと飲み物にかけて置き

「基本的に、なんでも使うのだけれどねぇ。
でも、一番得意なのは太刀なの。
商売道具だから、お風呂とかを除いていつも一緒よ」

優しく微笑み、上体を反らしながらエニィをみて答える。
必要があれば、弓も、ナイフも、素手も使うだろう。

「エニィちゃんは、素手、かしら?
あと、えっと、まけのびる……?っていうのは……」

ちょっと聞きなれない言葉に疑問符を浮かべる。

水月エニィ > 「意外と実践派なのね。……太刀オタクだとは知らなかったけれど。」

 張った上身にかぶさったたわわなおわんを見遣り、横目に太刀を滑らせる。
 商売道具、との事だったが。

(その割りには懐っこいわね。わんこみたい。)

 人当たりも良いし、積極的に寄る気質にも見える。
 演技だとしたら相当なものだが……

「これとこれよ。
 ……負け延びるは文字通りよ。負けても死なず、ある程度目的を達成するようなおこぼれよ。」

 腰を揺らして拳銃二丁を示した後、3mはありそうな長布を拾い直して見せる。
 変哲もない黒布だが、これを武器と言ってみせた。

留以 > 太刀オタク、といわれればちょっと困った顔。
そうのような、そうでないような、と自分でもなんとも言えないのだろう。
が、取り出された拳銃を見て、更に長い布をみて、あら、とおもちゃでも見つけたような顔になる。

「これが武器、なのね。
拳銃はともかく、こっちは……。
ちょっと触ってみてもいいかしら?」

水月エニィ > 「構わないわよ。練習用だけど。」

 長布をひらつかせ、触らせる。
 合成繊維か何かだろうか。どこか科学の手触りがする類の布で、丈夫そうだ。

留以 > ぺた、ぺたと、不思議なものを触るかのような慎重さで触る。
武器マニアでもなければ何かに精通しているわけでもないから、これがどう武器に使われるのかは理解できない。

「……ねぇ、エニィちゃん。
これってどういう風に使うの?
私にはちょっと、わからないのだけれど……」

水月エニィ > 「……。」

 拳銃をホルスターから外し、上空に放り投げる。
 "それ"が上昇しきる前に追い付く速度で布を繰る。

 拳銃を更に打ち上げ、落下のタイミングを見計らって左に弾いたかと思えば回り込んで右に弾きそれにも追い付けば布で絡めとって手元に引き寄せた。

 鞭でなければ竜尾か触手か。直線と曲線を見事に使い分けて繰る。
 体の一部のように手繰ってみせれば、引き寄せた拳銃を仕舞い直す。

「……見せる分には調子がいいわね。」

留以 > 感想を簡単にいうとすれば、曲芸だ。
なるほど、すごいという感想は沸く。
しかし、ではこれが実戦になれば自分にはどういう風に働くか。
どう攻撃される?
どう阻害される?
どういなされる?
人外を専門とする留以には、その想像はできず。
故に興味が沸く。

「……エニィちゃん。
ちょっと急だけれど。
模擬戦しない?」

そんな、突然の発言。

水月エニィ >  模擬戦、と聞けば少しだけ険しい表情をして、思案する。
 少ししてから口を開く。

「期待に添えるか分からないけれど、
 ……それでもいいなら、構わないよ。」

 3m程距離を取り、応戦の姿勢を見せながら答えた。

留以 > 臨戦態勢のエニィをみて小さく笑う。
すぐにそのような姿勢を取るという事は、待ってました、ということなのだろうか。
そんなことを思いながら、とん、とん、とステップしながら後ろに下がり、置いた太刀を拾う。
顔の前で太刀を少し抜き、刃をエニィに向けながら姿勢を低く――クラウチングスタートに似た格好をする。

「――それじゃ、準備はいいかしら」

水月エニィ > 「……ご随意に。」

 ――"統合されてから"初めての交戦。
 模擬線ではあるが。

(どこまで出来るかしらね。)

 ……下した布を波打たせ、強く留似の足元を叩く。
 よほどウカツでなければ足に当たる事はないだろうが、足を崩すだけの振動と衝撃は生まれるか。

留以 > 足元に響く破裂音。
同時に地面を揺らす震動がうまれ、体勢が崩れる。

「くっ!こんなの……っ!」

それでも無理やり走り出し、こけそうになりながら、エニィの懐へもぐりこもうとする。
3mという距離を何とか埋めなければ、此方は攻撃すらできないから。

水月エニィ >  
「ァ、ハ、」

 目を大きく見開く。
 喧しい程の声と共に地を蹴って身体を翻しながら跳ぶ。
 どのような身体捌きをしているのか、角度のついたジグザクな軌道を描く。
 潜り込ませる事が止められないなら空に逃げてみせ、捻りを効かせた身体と腕で上から留似を叩きに掛かる。

「luaaaaaaアアアッ―――!」

留以 > 上空からの攻撃。
相手を人間だと考え、そういう攻撃がくるとは考えていなかったために回避が間に合わない。

(回避――無理。
飛び――無理。
斬り――此れ。)

斬れるかもわからない。
が、避けるのが無理な以上、迫り来る暴力をねじ伏せる他はなく。

「閃技・二無」

地面をすべり、ブレーキをかけながら迫り来る暴力を斬り裂こうと。
鞘から大太刀が抜かれ、上へ一太刀振るう。

水月エニィ >  
 評する通り、人間としては物理的にも異常さが際立つ攻め方だ。
 何よりすごいのは気迫と声か。化け物じみた咆哮でありながら、
 とても強がっている風にも聞こえる。

 黒布と太刀が互いに迫り、衝突する。

 ……良い所を斬ったのだろう。
 布特有の繊維の引っ掛かりを覚えない上で、
 上手く布を斬ったと確信出来るような良い手ごたえが返る。

 暴力を断たれた布先は力を失って舞い散った。それを手繰っていた少女は顔を顰めたが、
 手を止める事なく着地の後に切れた布を繰る。長さはちょうど半分、1.5m――
 ――槍の如く布が直進し、木刀が如く穿ちに掛かる。貫きこそしないが、重い。

「どぉ、ラAアァァァッ!」

留以 > 手に伝わってくる感覚は、布が正しく切れたことを伝えてくれた。
地面を滑りながら一回転し、大太刀を器用に鞘に収める。
一手先んじて効果は挙げたものの、相手はそんなのお構いなし、といったふうに、黒い布――槍のような布を留以に向けてくる。

(もう一度斬――早い!)

もう一度布を斬るには時間が足らず。
かといって回避などできるわけもない。
仕方なく、袖が布に当たるよう、はためかせる。
袖の中にある札で防ぎ、直接なダメージを打ち消そうと――

(――消せない!?)

一瞬均衡したような感覚を与えつつも、袖の中の札は一瞬で壊れ、布は留以を殴るかのように当たって、後方へ吹き飛ばした。

水月エニィ > 「――ッ」

 良く分からないが中った。
 好機、と地を蹴って追い打ちを掛ける。掛けようとするのだが。

「アァアアアァッ!……ッ!」

 接近の後、二段目の突きを放とうと踏み込みと共に布を繰った直後、
 先ほど切り捨てられた布先が流れてエニィの足に敷かれる。

 その布を思い切り踏みぬいてしまえば、中らぬ位置へ布を突き出し、姿勢を崩してしまった。

「……っ、こっ……!」

留以 > 後方に吹き飛び、幾度か転がった末、エニィを見つめなおす。
追い討ちが来るであろう、事に備えようとしたところ、こけそうになっているエニィが見えた。

「っせい!!」

おそらくは卑怯と罵られることもないだろう。
こけそうになったエニィに対し、自らの武器である大太刀をフリスビーのようにぶんなげ、ひるませようとする。

同時に、大太刀を追いかけるために走り出した。

水月エニィ > 「ぐ、うく……ッ」

 泣きっ面に蜂。
 大太刀は直撃し、多少以上に怯みを見せる。
 当たり所の悪さを恨みながら呻き、リカバリに専念するが――

留以 > すっ、と小さな影がエニィの懐にもぐりこむ。
にこやかに笑みを浮かべながら、エニィの胸に手を当てるように、そっと手が添えられる。
その手には、一枚の御札が張り付くように伴っていて――。

「祓い給え――。
清め給え――!!」

とん、とエニィの胸を押した瞬間に、衝撃を発生させる。

水月エニィ >  それは確かに成立する。
  
 お札を以って触れたのならば。
 祓うもの<御札>を張ったのならば、
 
 祓い給え――清め給え――と祈るのならば――
 ――彼女の胸中に集う怨霊の溜まりを把握出来る筈だ。


 ……衝撃は問題なくエニィを吹き飛ばし、彼女もロクに受け身すら取れずに倒れ伏す。

 決着はついた、と見て良いだろう。

留以 > 簡略式・祓。
その行為は正式な祓えでなく、またそれほど強く禍事を祓うわけでもない。
しかしその行為は、間違いなく祓えと同等の行為である。
札は阿曇の謹製。
海神の力を籠め、正しく書かれた御札。
ゆえに、禍事がその身に集っていれば祓われるのも当然で。

(――あら?)

妖怪悪鬼魑魅魍魎を祓い続けてきた留以には、慣れた違和を感じた。
倒れているエニィを見て、首をかしげ、そして思い出す。

「エニィちゃん、大丈夫?
まだやれそうかしら」

声をかけつつも、臨戦態勢は解いていない。

水月エニィ > 「……これ以上やっても勝ち目はないわね。やめとくわ。」

 大げさに肩を竦め、ため息をつく。
 確かに祓われたものの、よほどたまってるのだろう。
 まだ居る。そして、彼女が悲観や嫉妬を浮かべる程少しずつ増えて散らす。

「ま、そう勝てないわよね。可愛い顔して太刀に神秘に投擲と、随分やるじゃない。
 ……礼を云うわよ。留似。安全な内に実力を確認できたのは良い事だわ。」

留以 > 「あら、カワイイだなんて。
大丈夫、エニィちゃんもとっても可愛いと思うわ」

ちょっと照れながらも笑みをこぼす。
反応箇所がずれているのは、元からだろう。

エニィに近づきながら近くに座り込み。

「阿曇は妖怪と戦うことが本業だから、こういうのはちょっとだけ慣れてるの。
とはいっても、人間相手なんて全然想定してないからうまく戦えるかっていうとそうでもないのだけれど……。
……貴女、結構体の中に飼ってるのね?」

悪霊のことをいっているのだろう。エニィのおなかをみつつ、いう。

水月エニィ > 「……おだてても何も出ないわよ。」

 落ち着かないのだろう。
 そわそわ恥じらってそっぽを向く。
 ……向いていたが、次の問を耳にすれば、そっぽを向いている理由は変わる。

「…………はっ。知らないわよ、そんなもの。
 それとも私が化け物って言いたいのかしら。」

 不機嫌そうに立ち上がり、埃を払う。
 露骨な嘘には見えないが、露骨な不機嫌さと返答までに間があったのは確かだ。

「ああそうね、腹の虫が収まらない事は多いわよ。
 収まらなかった所でどうしたって話だけれど。
 ……腹の虫が起きたせいでお腹が空いたわ。甘いもの食べたいから付き合って頂戴。」

留以 > 「ばけものっていうつもりはないけれど……。
あ、でもこの島の人はみんな普通じゃないと思うわ。
私も含めて」

どこか楽しそうに笑う。
不機嫌なエニィに構うことなく機嫌のよさそうな留以。
付き合って、といわれれば迷うことなく答えを出す。

「ええ、勿論。
何を食べにいこうかしら?
私、田舎のほうの生まれだからケーキとかあまり食べたことなくて。
そういうお店にいってみない?」

なんて誘う。

水月エニィ >  楽しそうな留似には何も言わず。
 今はこの気分の悪さを何かで代替したい。

「負けたけれど奢らないわよ。
 こんな事で奢っていたら死んでしまうわ。

 ……それでも良いなら適当に入りましょう。」

 ある種の承知の姿勢を見せてから、布先を拾って纏めて仕舞う。
 片付けを終えれば、歩き出すだろう。

「鉄道で歓楽区……いや、学生街かしら。
 あっちの方がお上品よね。……まあ、行きましょう。」

ご案内:「演習施設」から水月エニィさんが去りました。
留以 > 「ふふ、大丈夫よ。
年下の子に奢らせるほどお金には困ってないし。
でも、代わりに美味しいお店を選んでね?」

荷物をとり、刀も拾ってからエニィをおいかける。

予断だが、留以が最近模擬戦や演習を行なう理由の一つとしてダイエットのつもりがある。
いいや、あった。

ダイエットは、明日から。

ご案内:「演習施設」から留以さんが去りました。