2016/06/02 のログ
水月エニィ >   
 ――水面を叩き、波紋を広げる。

 衝撃を吸う形を見せる水に、剣が如く真っ向から叩き付ける。
 直線ではなく剣閃。打突ではなく"打斬"。

 故に刺突よりは猶予はあるが、"勢いが乗せられている"
 水の壁と真っ向から打ち合えば、構えを長物のそれに変えて地を蹴って跳ぶ。

 「しゃ、アアァァァァァァゥ!」

 上を取って、今度こそ棒――否。槍が如く引き絞られた布を以って、直線の軌道で突き穿つ。
 いかなる技術か、布は槍に見立てられる程度には相重さと堅さ、そして速さを兼ね備えている――

松渓つばめ > 「ぐ――!?」
ガードの体勢をとった腕と腹の間には、それなりの空間を取っていた。しかしその腕で腹をしたたか打つ。
腹の痛みよりも腕に熱さと驚きを感じた。水の盾はかなり抉られ、一部が皮膚付近まで届いている……ただの打撃ではない。
そしてそれよりもさらに、背中に怖気を感じた。何もしなければ危険というあの感覚。

が、一撃分の時間は受け取った。
「眼、マジかそれッ」ある意味捨て身に近い行動。自分の体表面にある水を一気に『水生木』。己に電気ショックを加え身体の形を自分の望むがままに変形。それはギリギリで落下突きと踏みつけを避け、何とか『足の裏を地に付ける』動き。

そして、水の性質を失わせたのは、そこだけではない。
エニィの武器は布、ならば水を吸うは道理。
その水を電気に変換し、瞬間乾燥。布には娘の異能による、『燃えやすい粉』だけが残る。

――ポケットからしっかりデコったオイルライターを取り出す。
彼女はシェリフの速度でライターを点けられる。
自らはこの至近距離でも爆発に巻き込まれ切らない。
ニヤリ。猶予は僅かだ。

水月エニィ >  
 避けたのならば一歩隣には彼女の姿が見えるだろう。
 刹那たりとも遅れていれば中っていたと(訂正)

 悠長に周囲の水気を変換しているのならば見えるだろう。
 両手で構えた布が、下段に下されている事を。

 素早くライターに火をつけたのなら、
 火を付けた後でも気付くだろう。

「ア、ァァ、Luaaaaa――ッ!」

 大気を震わす咆哮と、地を擦り弧を描く斧の似姿(ぬの)が。
 そしてそれよりも早く、爆発は生じただろう。

 だが爆発が生じれば分かるはずだ。掌握されていない熱風が圧となって迫っている。
 爆熱が波と成って――あの爆風の中、無理を重ねて叩き斬りに来たと。

 爆風を受けて狙いがずれている。よほどのことがなければ直撃はない。
 だが、地に足を付けて尚引き剥がされかねない暴風圧と、
 それに乗った爆熱――つばめ自身の引き起こした"熱"が牙を剥く。
 爆風が収まり、粉塵が晴れる事には上身だけ起こしたエニィが見える筈だ。

 「……やっぱり勝てなかったわね。降参よ。」

 熱と風で汚れ、火傷の赤を塗ったその身体で、
 ため息を付いて負けを告げた。
 
 

松渓つばめ > 「いや、いやいやいや。どこが負けよどこが」
1メートル半ほど先、うつ伏せの状態から顔を上げた。

………………
確かに、異能による粉塵爆発は生じた。しかし布でつくられた斧は、それを押し割ってつばめを捉えにきていた。
多少のズレはあったものの、腕の骨を折る一撃。
それを敢えて足裏に当て、弾き飛ばされたのだ。
………………

「そりゃ武器残ってるのはこっちだけどさぁ」
手元のライターをひらひらと振る。布はムリさせたことと、それ自身が爆発の火元となったことで短くなっている。
こりゃ演習の諸費用で学園に申請しなきゃと思った。アゴで地面をこんと叩く。

「……だんごはそれぞれ自腹ね」フンと鼻を鳴らすと少し砂が舞った。

水月エニィ > 「武器じゃないわ。
 そうやって"凌ぎ切った時点で貴方の勝利"よ。」

 何らかの技術で受けて力に差変わらず飛ばされ、
 威力を削いだのだろうと察する事は出来る。

「貴方がリアクションも取れずに吹き飛ばされた、
 って言うなら、まだ引き分けとも納得できるけれど、
 きっちり凌がれてそう思えるものですか。
 とどめを刺しに動けたのは貴方でしょう。十二分に自信、持っていいわ。」

 言葉を続けてからようやっとで立ち上がり、
 踵を返し、顔を見せないで片手を挙げる。

「先に手当をして貰ってくるわ。
 火傷は初動が大事だから――負けたけれど悪くなかったわ。
 誘ってくれてありがと。また会いましょ。」

 ――そのまま、靴音を響かせて歩き去るだろうか。
 
 

ご案内:「訓練施設」から水月エニィさんが去りました。
松渓つばめ > その動きに意外を感じる。顔に火傷を負ったのだろう。
「我を忘れて戦いに身を任せすぎ……戦士かあんたは」
去っていく背中に聞こえないつぶやきを一つ。
そして起き上がり立ち上がろうとして。「いったぁ!」
身体をまもる水が無い状態で至近距離での爆発。つばめの右腕も真っ赤になっていた。
『勝ち』だとしても最後の攻撃権は持っていない。
だが……まあいいか。きっとエニィが負けにこだわるのは、何か理由があるのだろう。いずれ話して貰えばよいのだ。

「待って待ってよあたしも行くって!この時間ならフタモリせんせーいるし近いしケガも残らないし」
無事な方の手で彼女を引き止めるようなモーションをしつつ、背中を追った。

ご案内:「訓練施設」から松渓つばめさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に松渓つばめさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から松渓つばめさんが去りました。