2016/06/20 のログ
ご案内:「訓練施設」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > この男は研究室や演習施設にはよく姿を見せるが,こうして訓練施設に姿を現すのは非常に稀な事だった。
普段通りの白衣姿で戦闘訓練のブースに入り,防具やヘッドギア等を付けることもなく,装置を起動する。

【対魔術訓練】【EXPERT】

さらりと選択したのは,現時点では最高難度の訓練プログラム。
このプログラムでは,魔術体系の異なる複数の魔術を同時に防がなければならない。
しかも発動される魔術はランダムに決定されるため,瞬時の判断力と対応力が試されることになる。

獅南蒼二 > ブザーが鳴り,訓練プログラムが開始される。
立体映像で表現される摸擬標的が,獅南の対極に表示された。
獅南は指輪を嵌めた右手を標的に向ける。

「これで失敗したら魔術教師を辞めるほかないな。」

小さく呟きつつ,自己の周囲に魔力を僅かに放出し術式の即応性を高める。
初撃は単純な雷撃魔法……対抗魔術を発動するまでもなく,単純な防御魔法で防いだ。
最も即応性に優れる方法だが,防御術式は,その許容範囲を超えれば崩壊する。

反撃することはなく,防御術式を重ね掛けして…

獅南蒼二 > …ポケットから煙草を取り出した。

四大元素魔法と呼ばれる類の魔法はそもそも扱う魔力が特殊なため,術式を読みやすい。
火の魔力を練る標的が,次の瞬間に火炎魔法を発動するのは簡単に想像できた。

放たれる火炎は防御術式に阻まれて…獅南が伸ばした手に握られた煙草に火を点けるのみ。

「……実戦形式を謳うのなら再調整が必要かも知れんな。」

紫煙を燻らせながら,防御術式の裏に棒立ちの獅南先生。
だが、そこに魔力の矢が連続で撃ち込まれ,防御術式は3発を防いだところで崩壊する。

「これも,売りが速さだけではな。」

右手を翳せば矢を構成する術式を僅かに書き換え,その進行速度を限りなくゼロへと変えてしまった。
単純に構成された術式は即時性がある反面,このように改変も容易である。
指向性や速度を幾重にも描き込まれた魔術は,こう簡単に止めることはできない。