2016/06/21 のログ
獅南蒼二 > 徐々に発動間隔が短くなり,発動する術式も高度なものになっていく。
獅南はその1つ1つをさほど苦労する様子もなく,処理していった。

火には水,光には闇の対抗術式を発動したり,
防御術式で単純に防御したり,
発動直前もしくは発動後に術式を書き換えて現象を操作したり。
時には物理的に“避け”てしまったり。
煙草を吹かしながら,白衣の男は自分の力と知識を試す。

「………………。」

だが,己の内に湧いた欲望が満たされることはなかった。
それは,研究に没頭しその成果のみを追い求める時の感情にも近い。


己の力を試し,それを証明したいという欲望。


この訓練プログラムはあくまでもコンピュータ制御の自習プログラムであり,
獅南にとってそれが不十分なものであることは明白だった。
最終的にはやや退屈そうに“爆発”の術式を書き換えて座標を変更し,標的ごと吹き飛ばしてしまう。

プログラム終了の文字と得点が表示される文字盤に目もくれず,煙草を携帯灰皿へ入れてブースを出た。

獅南蒼二 > 教師用のパスワードを使ってプログラムの設定パネルを開く。
それから,EXPERTの上にもう一つ新たなレベルを設定し始めた。
他属性の魔術を同時発動するように設定し,尚且つ術式構成を隠したり攪乱したり,
騙し打ちをするなどより実践的なプログラムを組んでいく。
恐らくこれを無傷で乗り越えられる魔術師はそうそう居ないだろう。

プログラムが完成すれば,レベルに名前を付けなければならない。
さて、どうしたものだろう。
一般の生徒が面白半分で挑戦しても悲劇を見るだけだ。
もっとも、それはそれで面白い。
アレコレ考えた後に、

【HELL】

と名付けた。

ご案内:「訓練施設」から獅南蒼二さんが去りました。