2016/07/19 のログ
ご案内:「演習施設」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
最近新調した道着の上に、魔力で作り上げた服を纏う。
刀を腰に携え、首飾りを下げ、鋭い目つきで小さく深呼吸。
元の世界での完全な戦闘態勢。

(……よくわかった。僕はなまっている。
 それもかなり)

留以との訓練、妖怪退治を経て、完全に理解した。

自分はかつてより、かなり弱くなっている。

実戦経験がまるで足りない。それもそうだ。
かつての地獄のような訓練もしていない。 ……まあ、これは続けていたら死んでいただろうし。

というわけで、まずは。

「勘を。取り戻す」

明鏡止水の境地へ至る。

そして設定を打ち込み、無数の木偶人形を発生させる。

寄月 秋輝 >  
「ふん!」

刀を抜き、握った右腕を神速で振るう。
目の前の木偶が一体、二つに分かたれて飛ぶ。

木偶人形たちには、細い線がついている。
その線に沿って刃を入れないと斬れないような細工が施されている。
秋輝の刀と剣術ならば問答無用で斬れるのだが、正規の斬り方をしなければ即座に元通りになってしまう。
何より、恐ろしい硬さのために、手首に負担がかかる。

つまり。

周囲を埋め尽くす人形たちを、一体ずつ弱点を見極め、完璧な角度で、最速の剣閃を叩き込まねばならない。

「ぬぅぅぅぅ……!!!」

中性的な顔立ちが、修羅の表情へと変わる。
こればかりは流してこなせる訓練ではない。

腕や腰の筋肉が軋み、骨が悲鳴を上げる。
それを抑え込みながら、嵐のように剣を振るい続ける。

寄月 秋輝 >  
剣が違う角度で食いこみそうになる。
それを食いこませず、表面を刀でなぞるようにして逸らす。

斬れない角度で刀を無理に入れれば、刃も手首も痛む。
そういう場合は、致命傷を与える必要はない。
確実に一手入れて、下がる。

後ろに居る木偶に刀を振るう。
綺麗に両断。

再び正面へ。
今度こそ真っ二つ。

旋風を巻き起こしながら、確実に人形の数を減らしていく。次第に中心からは木偶人形が消え、外周に近い部分だけになっていく。
しかしそれを追うように駆け、薙ぐように減らして。

わずかに息が乱れる。
腕が重くなる。
それを抑え込み。

全ての人形を斬り伏せ、魔力で作られたそれらを消滅させた。

寄月 秋輝 >  
刀をパチン、と納める。
わずかに乱れた息を整えようとしながら。
震える右手を見つめる。

(……なまったものだ、本当に)

あの頃も最初こそ疲弊したものの、最後には踊るように振るうことも出来たものだ。
それが今や、ここまで堕ちたとは。

(鍛え直さないといけないな。
 あの人たちに恥ずかしくないくらいには)

まだ震える右手を握りこみ、魔装を解除する。
普通の道着姿になり、本日の訓練を終える。

寄月 秋輝 >  
明日以降への問題点の修正と訓練内容を考えながら、その場を立ち去る。

少しでいい。
少しでいいから、昔の自分にも恥じない強さになりたかった。

ご案内:「演習施設」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「演習施設」に獅南蒼二さんが現れました。