2016/07/31 のログ
ご案内:「演習施設」に阿曇留以さんが現れました。
阿曇留以 > 演習場に結界が張られる。
結界の中には巫女装束の女性、留以が一人佇んでいる。
結界内部は多量の魔力で満ちており、地面は何かの陣が描かれている。

留以は結界内部で一人、大太刀を構え、佇んでいる。

阿曇留以 > 地面に描かれた陣。
魔術に詳しい人ならば分かるだろう。
それは術者、もしくは指定対象の記憶から特定のものを呼び起こす魔術。
現在、その陣は留以を対象とされており、また留以の恐怖の対象を呼び起こすものとして描かれている。

留以が恐れているもの。恐怖するもの。
意識から消し、無意識へ閉じ込めた荒ぶる存在。
その存在が、ゆっくりと姿を現す。

阿曇留以 > その存在を目にした瞬間、体に緊張が走る。
その存在の影に入った瞬間、呼吸が乱れる。

「――鬼」

大太刀を持つ手が震えるのは、恐怖か、武者震いか。

阿曇留以 > 『――』

鬼は、留以を見るとまるで意思があるかのように吼える。
その咆哮は、歓喜を表し、狂ったかのような喜び。

「――」

対照的に、留以はその咆哮を浴びて意識が飛びそうになる。

鬼とは、退魔師にとって最上級の敵に当たる。
鬼の上に神が存在するが、そのような存在とはまず争うことが無い。
故に、鬼が最上級。最大の敵となるが、鬼を祓える退魔師は数少ない。

阿曇留以 > そもそも鬼も神の一種で、妖怪も神に近しい存在だ。
人に害を為す。だから祓う。
退魔師でなければ、神として崇め、祀るレベルの存在。
つまり、鬼と争うということは、神と争うに等しい。
並大抵の退魔師に、そんなことは出来るはずがなかった。

「――やぁぁぁぁぁっ!!」

ただし、留以は別だった。
それがまぐれで、奇跡で、相手が油断の代償だとしても。
結果として、鬼を祓ってしまった。
実績を、作ってしまった。

ご案内:「演習施設」にヘルトさんが現れました。
ヘルト > 夏季休暇に入りすっかりやることがなくなってしまっていたヘルト。
今日も今日とて世は平和であれば、それこそ本当に手の打ちようが無く、退屈に潰されようとしていた。

そんな彼だが多少は退屈凌ぎになるのでは?と演習施設でちょっとした運動をしようと足を運んでみたものの─
そうは問屋が卸さない、先客である。

「はーん? 何じゃありゃ、ここの設備で出したのか?」

流石に先客がいる所に乱入するのはどうかと思い、入り口で様子を伺うに留めた。

阿曇留以 > 叫び声を上げ、鬼へと駆けていく。
歓喜の声をあげていた鬼は、駆ける留以めがけて拳を振り下ろす。
当然留以はその拳を避け、鬼の腕を斬り落とすように大きく振るうが、まるで鉄に刀がぶつけられたように、一切の傷を負わすことなく弾く。

「くっ!!」

弾かれる刀を再び鬼へ斬りつけるため、その場でくるりと回ってもう一度斬りつけるが、やはり斬撃は通らず。
一切の傷を見せない。


留以は鬼との戦いに集中して射る成果、結界の外に人が居る孤島に、気付かないで居る。

ヘルト >  
「ほほう、あの獲物は知っているぞ。確かサムライとか言うやつが振るうカタナってヤツだ。
 ……ああ、そういや故郷でも傭兵でそんな獲物振るってたヤツ居たっけか、あんなに細身じゃなかったが。」

流れるように斬撃を繰り出す巫女装束の女性の動きをぼんやりと見ているヘルト。
だが相手が悪いのか、そのことごとくが有効打にはなっていないように見受けられる。

「ありゃきっと軽いんだろうな、一撃必殺とかじゃなくて手傷を負わせてジワジワとヤる様な……。
 それともあの化けもんが堅いだけなのか? ……うん、俺的にはそっちが良いな。楽しそうだ。」

誰が居るでもなくブツブツと目の前で繰り広げられている戦闘の感想を漏らす。
残念ながら今回は観戦モード。本人には悪いが生ぬるいエール片手につまみで一杯やりながらって気持ちでただただ見守る。

阿曇留以 > 『――!!』

鬼が叫ぶ。
言葉は人のものではない。
しかしそれでも、鬼が何かに怒り、猛り、狂っているのが分かる。
腕をひっかく羽虫を叩き潰そうと、再度鬼は地面を叩き潰す。
留以はそれをぎりぎりで交わしながら何度も大太刀を斬りつけるが、有効打には至らず。

留以も焦れてきたのか、鬼の懐に一気にもぐりこむ。

「掛巻も恐き我が遠津御祖――」

言霊を唱えると、大太刀に水流のようなものが纏いつく。
そして

「――海神祓っ!」

力を解放するように叫び、体を大きく回しながら鬼の腹に、大太刀をぶつける。
水流が鬼にぶつかり、今度は、鬼の体をまるで豆腐を斬るかのように、両断する。

――などということはなく。
やはり、鬼を斬ることはかなわず。
大地を震わす鬼の一撃を留以はまともにくらい、結界にぶつかるまで吹っ飛ぶ。

ヘルト >  
ビリビリと外野のこちらの鼓膜までをも振動させるような咆哮。
そんな咆哮を涼しい顔で受けつつ思考する。

「(……それにしてもアレだな。えらいブサイクなのな。)」

まったくもって緊張感の無い男だった。
目の前で繰り広げられる御伽噺か何かの一幕。
それをスポーツ観戦みたく見ている自分は何とまあ運が良いのだろう。

巫女服の女性は化け物に対し大したダメージは与えられていない様子。
そして化け物は大層ご立腹らしい─等と考えている間に決め球が炸裂。

「おっ! 何ともまあ、不可思議な技があるもんだなあ。」

思わず感嘆の声を上げる。威力とか実用性とか抜きの、ただ見た目に対しての評価だったが。
しかしその一撃すら届かず、手痛い反撃を食らい吹っ飛ぶ女性を見るや否や。
サッカーのシュートを外した時のサポーターの様なリアクションを取って見せた!

阿曇留以 > 結界にクッションのような効果は勿論無く。
衝撃で肺から空気を吐き出し、一時的な酸欠に陥る。
当然、鬼はそんなタイミングを逃すわけが無く、何かに怒り狂っている鬼は、留以を絶命させようと、大きく足を振り上げ――たところで、ふと鬼の姿が消える。

同時に結界が消える音、鉄の塊――大太刀が地面に落ちる音が響く。
大太刀が結界に穴をあけてしまったせいで、結界の維持と魔方陣の維持が出来なくなった。
結果、魔方陣をヨリシロとしていた鬼は、消えてしまった。

ごほごほとなんども咳き込み、わき腹を抑えながらよろよろと立ち上がると、ようやく観客に気付き、ぺこり、と頭だけ下げる。

ヘルト >  
「ちっ!」

見えない壁に叩き付けられる巫女服の女性、そしてトドメを刺そうとする化け物。
何だか良く分からないが流石にこれ以上はいけないと考えたヘルトは舌打ちしつつ踏み出そうとした瞬間。
怒り狂っていた化け物は消え、静寂が訪れた。

「お、おお……? あー……お譲ちゃん大丈夫かい?」

そんな光景に戸惑いつつも頭を下げてきた彼女に手を挙げて、ズシンズシンと大地を揺らすような音を立て近づこうとする。
とりあえず応急処置くらいはしないといけない立場的に、と考えつつ。

阿曇留以 > 声をかけられれば、疲れたような顔をしてにこりと微笑む。

「あらあら、見られてましたか~。
お恥ずかしいところお見せして申し訳ありません。
私は、大丈夫ですよ~」

わき腹を抑えつつ再度ぺこりとお辞儀をして歩き出す。
まるで逃げるように、ちょこちょこと控え室のほうに歩き出す。

ご案内:「演習施設」から阿曇留以さんが去りました。
ヘルト >  
そんな彼女を見送り肩をすくめるヘルト。
まあ、逃げるように行くのも致し方あるまい。

「さぁーて……そんじゃいっちょヤりますか……!」

狙うは先程の歯ごたえ充分の化け物だ!と張り切るヘルトであったが─
何度チェンジしても出てくる事は無く、結局飽きたヘルトは何もせず帰ってしまったのだった。

ご案内:「演習施設」からヘルトさんが去りました。