2016/08/08 のログ
ご案内:「演習施設」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
「っぷは……よし、と」
本日の訓練を終える。
酸素濃度や重力を弄り、異常なほど過酷な状況での自主訓練。
大汗をかき、多少肩を上下させながら、設定を解除した。
「だんだん勘を取り戻してきたな……
そろそろ、もう少しキツくしていいかな……」
そんなことを呟きながら、本日の訓練中での心拍数や体力、魔力残量のデータを閲覧している。
ご案内:「演習施設」にルギウスさんが現れました。
■ルギウス > 訓練が終わり、データを閲覧している最中に響くゆっくりとした拍手。
「いやぁ、お見事です。
よく死んでいませんねぇ……並みの人間ならお釈迦になっていてもおかしくないですよ本当に」
ゆっくりと歩いて近づいてきたのは、司祭服の下からでも豊満な体つきを主張する髪の長い女性。
かけているサングラスが、まぁなんとも胡散臭い。
■寄月 秋輝 >
ぴた、とデータをいじる手を止める。
瞬時に指先から光の糸を出し、端末と接続して操作、本日のデータを全て削除した。
「こんにちは。
昔取った杵柄、というヤツです。
かなりなまったので、それを取り戻しにきてましてね」
端末を懐にしまい、向き直る。
割と嫌な予感がしてるのか、魔力で編まれた防御装備を解除しない。
■ルギウス > 大袈裟に肩を竦めた後に、肩にかかった自分の髪の毛を払う。
「そんなに鍛えてどうするんです? ラスボス クリエイター
世界でも救ってみますか?この島には魔王や 神 には事欠きませんけれど」
くつくつと笑って。
「そんなに警戒しなくても、とって食べたりしませんよぉ?
性的には少し食べてみたいですけれどね」
■寄月 秋輝 >
「昔より弱い自分が耐えがたいもので。
……ラスボスは確かにこの世界には多いでしょうが、同じだけ勇者も居るでしょう。
わざわざ僕が救わなければ、などと考えなければならないほど、この世界は弱くないです」
同じように軽く肩をすくめる。
そもそも、かつてと同じレベルの『ラスボス』が出てきたら、どのみち現状では勝てない。
そんな意図もあっての鍛え直しだ。
「……まぁ、悪くはないですが、遠慮しておきます」
ちょっとしたトラウマである。
こういう態度の相手は苦手だ。
■ルギウス > 「『次は必ず護りきる為』に?
強迫観念でしょうかねぇ……貴方一人で、今度は何を抱え込むつもりです?」
張り付いたような笑みを浮かべて、言葉を続ける。
「あら、残念……これでもそっちには自信があったのに」
わざとらしく舌なめずり。
長くて真っ赤なそれが妖しく蠢く。
「『ラスボス』退治には仲間が必須でしょうに。
たった一人の勇者では世界は救えても、大事な人は護れませんよ?」
■寄月 秋輝 >
「……どこのタイミングで盗み聞きを……
別に抱え込むなんてつもりはありません。
ただそうなったとき、もう少しまともに動きたいと思っているだけです」
頭が痛い。
同時によくわかった。
やはりこの人は超常の存在だ。
かつて自分を鍛えた人や、かつて自分が殺したいと願った相手と同じタイプ。
本当にこういうタイプに絡まれやすいな、とため息をついた。
「そもそもラスボスと戦う気が無いんですが……
それとも、倒さなければいけないラスボスでも居るんですか、ここ」
居るとしたら目の前のこの人か、それとも別の何かだろうか。
何と戦わせるつもりなのだろう。
■ルギウス > 「『昔とった杵柄』『鈍った』
この言葉からは、現状でも強いが、以前はより強かった。
『取り戻す』『弱い自分が耐えがたい』
この言葉からは、何かしらの後悔とそれに付随する未来予想。
まぁ、カマかけでしたけれど」
もちろん、嘘。
過去を覗けば、何があったかなんてよくわかる。
それっぽい理由を後付で述べているに過ぎない。
「此処かもしれませんし、彼方かもしれませんがラスボスはいますよ。
人生なんてラスボスを延々と倒し続けるゲームに似ています。
死ぬまでずぅっと舞台の上で、死んでも舞台は回り続ける」
笑みはニタニタと形容するのがしっくりくるソレに変わっている。
「仮に……そう、仮に。
過去に影響を及ぼせるとしたら、貴方は何を願いますか?
やりなおすのではなく、影響を及ぼせるです。些細な違いですが大きな違いです」
■寄月 秋輝 >
「カマかけにしてはピンポイントでしたね。
……別にそこを隠さないでいいですよ。
あなたのようなタイプは、おおまかにでも僕に何があったか『視』ているはずだ」
言い放つ。
とはいえ、全てが見えているわけでもなさそうだ。
ある意味カマをかけられているのも正しい。
断片的な情報から、それを繋ぎ止めるための『カマかけ』だろう。
「居るでしょうが、僕がどうしても戦わねばならない相手なんてそう多くはないでしょう。
それと戦う瞬間があれば、そりゃ全力で戦いますが」
いやな笑顔だ。
アイツを思い出す。
「何も。僕は自分の歩んだ道に、後悔こそすれど、その瞬間に迷いはしなかった。
たとえ『恋人』を救える可能性を導けるような影響を与えられたとしても」
ぴたり、止まる。
自分からその『恋人』のことを持ち出して。
「僕は絶対に、何もしません。
僕は当時の自分も、当時の彼女も裏切るつもりはないです」
■ルギウス > 「ああ、歴戦の兵は勘がするどくてやりにくい」
前屈みにくつくつと笑う。
長い前髪で瞳とサングラスが隠れた。
誰かに似ているかもしれないが、浮かんでいる笑みはきっと正反対だろう。
「いやぁ、立派な英雄だ。
大抵の方は過去にある未練を取り戻そうとなさるのですがねぇ。
では、貴方の舞台のお話をしましょう。
今より一週間後の夜、ここに小さな『門』をこっそり内緒で開きます。
貴方の故郷に繋げましょう……裏切らなかった結末を見届けてみてください。
その上で、望むのならば―――」
言葉を続けない。
もう、わかっているだろうから。
変わりに、ニヤニヤとニタニタとした笑みを浮かべるのみ。
■寄月 秋輝 >
あれはやりにくい、とは思ってない顔だなと感じる。
それよりは、理解した上で接しなければならないこちらの精神を摩耗出来る悦びが上回っている気がする。
「自分の過去に未練があることは否定しません。
それでも僕に関しては、過去の自分を裏切らないだけです」
そう言って。
口を閉ざす。
故郷への門を繋ぎ、結果を見届けさせ。
つまりは、帰る選択肢を与えてやる、ということだろうか。
「何故わざわざそんなことを?」
動揺の感じられない声音で尋ねる。
怒りも、希望も、絶望も無い。
ただ相手の意図が分からない。
■ルギウス > 「単純な興味本位ですよ。
貴方、今はこちら側で縁を結びつつあるでしょう?
役目を終えたと思っている勇者は……岐路に立つとどちらを選ぶのか。
実に面白そうな題材だとは思いませんか?」
どちらを選んでも面白そう。
ただそれに尽きる。
それに、勇者の行動を観察できる機会は多いほうがいい。
理解を深めればそれだけ―――
「それで納得できないのであれば、そうですねぇ。
私のこれからのシナリオに邪魔になるかもしれないから、追い出してしまえと考えている とか?」
■寄月 秋輝 >
「なるほど、そう来ましたか。
……だとすると、あまり面白い結果にはならないと思いますよ。
それと、僕は多分勇者ではないです」
小さなため息。
ただ相手が面白くないと感じた時、自分がどんな目に遭わされるかは定かではない。
もっとも、このレベル相手に警戒したところで無意味かもしれないが。
「いえ、十分に納得できました。
それにもし僕があなたのシナリオとやらに介入したところで、簡単に修正出来るでしょう?
仮に僕が追い出せなかった場合のことを、これから考えるタイプには見えませんしね」
なんとなく相手の性質が読めてきたためか、わずかながら余裕が出来る。
警戒態勢は解いていないが、相手を見つめる瞳は力強い。
■ルギウス > 「勇者でないなら、英雄ですかねぇ。
思い通りでシナリオ通りなんて、私は一番嫌いなんですよ。
だってツマラナイでしょう?」
ああ、楽しい とばかりに笑いをこらえて前髪をかき上げた。
「悪い魔法使いは負けてこそ価値がでる役柄ですからねぇ。
私が知っている勇者や英雄は、皆が皆、今の貴方の様な瞳をしていましたよ?
訓練中の何かに追われている者の瞳ではなく、挑むものの瞳をねぇ」
舞台役者のように、大袈裟な一礼をする。
一礼したまま顔だけを秋輝に向けて。
「それでは、失礼を。
一週間後を楽しみにしていますよ」
■寄月 秋輝 >
「英雄、か……
英雄とは何を為して呼ばれるものなのやら……」
理解しがたい。
特に自分のような人斬りの剣士には、ほど遠いものに感じる。
「……自分で悪い魔法使いと言ってしまうんですか……
まぁ、いいでしょう。
あなたが僕に介入し、僕があなたのシナリオに乗った時。
……十分に楽しませられるよう、戦いましょう」
目を細めた。
歴戦の魔法剣士は、確かに恐れを知りながらも立ち向かう勇気と、極限を見極める眼力を持っている、かもしれない。
「……同じく、楽しみにしていますよ」
そう囁く。
小さく、微笑みを浮かべて。
■ルギウス > スポットライトが消えたように、女性司祭の姿が消えた。
足元には、途切れた逆五芒星が刻まれていたが、それもすぐに掻き消えた。
ご案内:「演習施設」からルギウスさんが去りました。
ご案内:「演習施設」から寄月 秋輝さんが去りました。