2016/08/11 のログ
東雲七生 > まあ、それでも今日も異能の発動だけはしたのだけど。
傷の残る掌を見て、七生は静かに嘆息する。

「……せめて傷跡が残れば良いのに。」

きっと腕のあちこちに切り傷が残れば、奇異の目で見られることだろう。
そうすれば七生自身も、異能の行使をもっと躊躇う事が出来るだろう。

しかし現実は、
七生が負った傷は小さな傷であれば半日、骨折であっても一週間で完治してしまう。
この回復力が実は本当の異能なのでは、と疑った事も何度かあった。

「……副次効果、ってやつらしい。」

あくまでメインは血液操作である、との事だった。

ご案内:「訓練施設」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 > (休憩室へと入ってくる不良学生。
 とは言え最近は割と真面目に授業を受けている。
 受けているのが異能・魔術関係のものばかりと言う辺り、優等生になるつもりではないらしいのだが。)

――んお。
ナナミじゃねーか。

(そしたらこの間ダチになった――と自分は思っている――少年を発見し声をかける。
 自身も彼と同様に朝から色々試していたのだ。)

東雲七生 > しかし血液操作──操作。操り作る。
何か引っかかる。それは今まで試した事が無い事があるということ。
しかし、その詳細までは閃かない。引っ掛かる、程度である。

「何だろうなー……こう、この、こう。」

何度か宙を手でつかむ様にイメージを纏めようとするが、
ふわふわと捉えどころなく霧散していって、諦めて腕を下ろしたところで。

「ふぇ?……あ、あー……よっす。」

以前特訓に乱入してきた、とエピソードに紐付けた覚え方の為、名前がすぐに出て来ない。
とりあえず片手を挙げ、ひらひらと手を振って応じる。

龍宮 鋼 > んだよ忘れたのか。
鋼だよ、龍宮鋼。

(普段は難しい顔をしている自身だが、一度ダチと決めたヤツの前ではそうでもない。
 むしろ歯を見せるほどに無邪気な笑顔を彼に向けながら近付いていく。)

んで、ナナミはなに踊ってたんだよ。

(もがく様な彼の行動に突っ込みを入れつつ、自身も彼の近くのソファに腰を下ろそう。)

東雲七生 > いや、忘れた訳じゃないよ?と半分ソファに埋まりながら答える。
憶えてなかった事と忘れた事はイコールじゃないもん、
とかとてもいい加減な理屈に基づく否定だが、それは言わなければ察されるほどの事でもないし。

「別に踊ってたわけじゃないんだけどさ。
 ……ええと、まあ、色々考え事。」

隠し事のつもりは無いが、如何せん説明が面倒臭い。
なので「察して」と苦笑しながらさらに深く、ソファに埋もれていく。

龍宮 鋼 > (特に気にしては居ない。
 笑って流しておいた。)

そうか。
いや俺もあの後ケンカに負けたんだよ。
やっぱマホー使えねーと駄目だわ。

(力押し一辺倒ではどうにもならない。
 分かっていたことだが。
 こちらも背もたれに身体を預けた。)

俺ァ今度自分の魔力特性?っつーの?
調べる事なったんだが、ナナミは何か進展あったのか?

東雲七生 > 「へえ、喧嘩かあ……」

そういや、最近は喧嘩や乱闘などの授業以外の戦闘はとんとした事が無い。
まあ、したところで風紀委員が素っ飛んでくるから、
それなら喧嘩を見掛けたら通報するのが色んな面倒事も避けられるので、そうしている。

「魔法ねえ……」

相変わらず、自分は使えない。
魔力特性があるのかないのか、とにかく入学時に出されたのは測定不可、だった。

「いや、こっちはなーんにも。
 進展らしい進展は無いかな。」

龍宮 鋼 > おう。
金髪でよ、なんつーんだ、ストリートファッション、つーのか。
そんなカッコで、頭悪そうな女。
あ、もし見かけたら連絡くれ。
――んで、そいつ殴ったんだけど、こないだの水人形みたいな感じだった。

(この言葉も相当頭が悪そうに聞こえるかもしれないが、実際そうとしか説明できないのだ。
 落第街の方にはそう言う格好のヤツはたくさんいるし、その中の一人にしか見えなかったのだが。
 その少女とケンカした時に拳で感じた変な感覚を、彼と一緒に殴った水人形に例えて。)

俺は使えねーわけじゃねーらしいんだけど、どうも身体動かすほうが得意っつーか、そう言う細かい事ァ苦手でよ。
でもそいつにコケにされてな、そうも言ってられねぇし。

(ソファにほぼ寝るような形で腰掛け、天井を見上げながらブツブツと。
 聞かれても居ないことを喋っているが、世間話のつもりらしい。)

考え事っつーたな。
俺で良けりゃ聞くぞ。
解決すっかどうかはまた別だけどな。

東雲七生 > 「……見かけたらね。
 しかしまあ、特徴がいまいちありきたり過ぎてよく分からないな……。」

金髪でストリートファッション系の、頭悪そうな女。
しかも物理があまり効かない感じ。そんなの見た目で分かるか、と突っ込みそうになって口を噤む。
そんな口論を始めたところで、疲労が嵩むだけだ。

「なるほどなー。
 まあ、新しく出来ることがあるならやって損は無いんじゃないの?
 ……考えて動ける様になれば、出来ることは倍々に増えてくしさ。」

戦法であったり、戦術であったり。
自分が出来ることを増やせば、応用の仕方も増える。何事においてそれは変わらないだろうと七生は思った。
もっとも、その新しい事の取っ掛かりが掴めない自分が言うのも説得力が無いな、とも。

「うーん、いや、異能の事でさ。
 何かもう一歩か二歩くらいで、スキルアップ出来そうな気がするんだけど、どうも掴みきれないと言うか。」

解決するかどうかは別としても、まあ一人で考えるよりは幾らかマシだろう。
それくらいの気持ちでさっきまでの悩みを打ち明ける。

龍宮 鋼 > なんか見た目誤魔化してる感じだったからな。
まぁまず探しても見付からねーだろ。

(正直それほど期待しては居ない。
 彼が見付けて連絡をくれても、自身が行く頃にはきっと居なくなっているだろうし。
 それこそ彼の言う「やって損は無い」程度だ。)

その前にも電撃使うやつに負けたしな。
そろそろバージョンアップの時期ってことだろ。

(今までがゴリ押し過ぎたのだ。
 都合よくこの島、ひいてはこの学園には色々な人材や知識が転がっている。
 それを利用しない手は無い。)

異能?
お前アレか、後付けか?

(意外そうな顔で身体を起こす。
 後付け。
 後天的に異能を身に着けた人の事を、自身はそう呼んでいる。
 先天的に異能を備えているものなら、そんなことで悩まないことが多い。
 自身だって魔術的なことは何も知らないが、魔力の扱い自体は当然のように出来るし、制御できないと言うことは殆どないはずだからだ。)

東雲七生 > 「それこそ殴ってみなきゃ分かんないって事かぁ。
 だったらまあ、期待はしないでおいてね。」

一応探る手立てはない事もないが、あんまり気乗りするわけではない。
もし何か自分や自分の友人たちに危害がある様なら動くこともあり得る、程度だ。

「後付け、……って訳じゃないと思うけど。
 あー、どうなんだろうな……まあ、それはいいや。
 俺が言ってるのは、異能の新しい使い方の話。
 もっと何か今までとは違う使い方が出来るような気がしてるんだけどさ……」

いまいち形にならなくて、と力なく笑う。
感覚とかセンスの問題、と一度ソファから身を起こして告げる。

龍宮 鋼 > 割とめんどくさそうなヤツだったからな、関わるのは辞めといたほうが良いとは思う。

(探してくれと言っているわけではなく、偶然見かけたら連絡して欲しい、と言うだけだ。
 きな臭い事も言っていたので、事件に巻き込まれる可能性もある。
 一応その辺りは配慮していることは伝えておこう。)

ふーん?
よくわからんがつまり、技術革新がしたいっつーことだな。
そもそもナナミの異能って何よ。

(一度不思議な顔をするも、彼の言葉を自分なりに噛み砕いて言葉にしてみる。
 何かアドバイスが出来るかも知れないし、そもそも彼の異能が何かを聞いてみた。
 とは言え無理に聞き出す事はしないし、自分で掴みたいという事なら口は出さない。
 ただそれを考える事で自身に取っても何かプラスになるものがあるのではないか、と思ったのだ。)

東雲七生 > 「おっけー、まあ多分遭遇しないでしょ。」

最近はと言えばもっぱら海と海と、あとたまに川、くらいの勢いで水辺に出没している七生だ。
面倒事にも縁遠くなっている気がするし、このまま平和に余生を過ごせればと思わなくもない。
まあ万が一巻き込まれたらその時はその時だ。

「……技術革新。
 まあ、そうなるの……かな。
 ほら、前にも言ったけど物理攻撃一辺倒しか出来ないのをどうにかしたくってさ。」

異能の事を上手くはぐらかそうとも考えたが、それでは不誠実な気がする。
少し逡巡したうえで、辺りに他に人が居ない事を確認し、

「俺の異能は、自分の血液を操ることなんだけどさ。」

龍宮 鋼 > もし絡まれたら呼べよ。
俺の獲物だ。

(多分遭遇しない、と言う言葉に頷き、そう返す。
 それが良いし、その通りだとも思う。
 それでも出会って襲われたのならすぐに呼べ、と。
 助けるということではなく、横取りするなと言う意味で。)

新しい異能とかスキルとか身につけるわけじゃねーんだろ?
だったらそうなるんじゃねーか?
出来る事は増やさず、やれることを増やすんだから。
――あー、スゲーんだけど確かに道具使うのとかわんねーな。

(異能を告げられ、額に手を当てる。
 確かに色々便利なのだろうし応用も利きそうだが、結局は使える腕が増えるとか色んな道具を持ち歩かなくて良い、と言った類のものだ。
 自分もそうだが、わざわざ異能に頼るほどのものでもなく、代用しようと思えばいくらでも出来るもの。)

物理じゃない、血液操作で――魔法陣とかどうなんだ?
陣描く系のヤツは自分じゃなくて環境の魔力使って行使するっつー術もあるって授業で言ってたぞ。

(最近本で読んだことを提案してみる。
 その程度のことであれば彼も思いついているだろうし、もしかしたらそれを含めての「才能」かもしれないけれど。)

東雲七生 > 「肝に銘じておくよ。」

前提として遭遇しないと思うけど、と肩を竦める。
もし遭遇する様な事があっても、基本的に物騒な事にはならないはずだ。
そもそも七生自身が好戦的な性格では無い。

「でしょ?
 でも何か引っ掛かっててさあ。
 血液を操るにしたって、もっとやり様があるんじゃないか、って。」

そのやり様、を色々考えてたんだけど、とさっきまでの苦悩を語る。
そして魔法陣との言葉を聞けば、

「あー、らしいね。
 魔法陣かあ……でも、前に親友の付き合いで魔法陣で魔法を試した時、全然違う結果を出しちゃってさ。」

補助が付いていてそうなのだから、やはり自分には才能が無いのだろうと笑う。

龍宮 鋼 > あー、なんだろうな、何かこう……血液だろ。
操るやり方、なぁ。
思いつくのは水に混ぜて水ごと操るとか、霧状にして空間そのものをこう、結界みたいな?
そう言うのは出来ねーの?

(自身のイメージは見えない手で操るイメージだ。
 しかし違うやり方と言われれば、確かに何かありそうな気がするのだが。
 提案するも、結局は物理である事には変わりない。)

なんだそりゃ。
魔法陣っつーのは数式みたいなもんだって聞いたぞ。
一足す一が三になるようなもんじゃねーか。

(何故そうなるのかがわからない。)

東雲七生 > 「あー、水はダメ。薄まっちゃうと制御できなくて。
 ……霧状ってのはどうだろうな、そこまで拡散させたこと無いけど……今度試してみるかなあ。」

でもなんか違うんだよな、と首を傾げる。
もっともっと違う方法がある筈だ。それが何か、やっぱり形になりそうでならない。
掴もうとすればするだけ、遠くおぼろげになっていくイメージ。

「らしいね。
 その親友は、面白がって色々調べるって言ってたんだけどさ。
 まあ、そういう事もあったから俺はあんまり魔法とかには近づかないようにしてたんだよ。
 どんな間違いが起こるか、分かったもんじゃないしさ。」

龍宮 鋼 > つーことは一定の濃度が必要ってことか。
あと俺が考え付くのは腕とかにくっ付けてパワー上げるぐらいか。
――駄目だ、思いつかん。
悪ィな、力になれそうにねェ。

(しかしこれも物理攻撃の範疇である。
 それに結局は普通に操る事の延長であるし、新しい技術ではない。
 しばらく唸るも、結局良いアイデアは浮かばず。)

まぁそりゃ魔術師っつーのは研究者だからな。
面白れーだろうけどよ。
水出そうとしたら大爆発しましたじゃあシャレんなんねーべ。

(その程度ならまだ大怪我で済むかもしれないが、外宇宙の神なんか召喚してしまったら手に負えないだろう。
 彼の言うとおり、近付かないで欲しいと言うのが正直なところである。)

――っさて、俺ァもうチョイダミー叩いてくわ。
色々やってんだけどよ、透勁っつーの?
魔力を直接相手に叩き込むっつーのがなかなか面白くてな。

(座ったまま脚を振り上げ、それを振り下ろす勢いでソファから跳ね起きる。
 今語った技術は最近試している障壁突破の案の一つだ。
 まだケンカで使えるほど滑らかではないが、使えるようになればなかなか面白いと思っていたりする。)

ご案内:「訓練施設」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 「そうだよなあ、やっぱ。
 腕甲とか、脚甲とかそういうの作る方がいいのかな……。

 ま、気にしないでくれよ!
 当事者の俺が行き詰ってるのを、他人がすぐにパパッと解決出来るとは思わないしさ。」

そんな事を出来たら悩む事なんて無くなるだろう。
それが出来ないからこそ、面白いというものもある。七生はそう言って笑った。

「まあ、生活に支障もないし、俺が避けてれば何も問題は無いしさ。
 だから、うん……出来るだけ魔法関係には近寄らないようにするつもり。」

場合に因っては研究対象として見られることもあるかもしれないが。
まあ、その時もその時だ。

「おお、鋼も頑張ってんなあ。
 ……んじゃあ、えっと……ちょっとの間だけ俺も見てって良いかな。」

真似出来そうなら真似してみたい、と正直に自分の狙いを告げて。
大きくソファの上で背筋を伸ばす。わふ、と漏れる欠伸を噛み殺し、ソファを立つ。

「んじゃ、行こうぜ!」

龍宮 鋼 > でもそれだと根本的な解決にはなんねーよな。

ま、そりゃそうだ。
思い付いたらケンカしようぜ。

(結局は彼の異能だ。
 自身が考えても分からない。
 それよりも彼が上手いやり方を思い付いた時にケンカすることを考えるほうが楽しそうである。)

ま、その辺は俺がいってもしゃーねーわな。

おお、良いぜ。
魔力どうこうは俺のオリジナルだけど、透勁は身体の使い方だからな。
アレならケンカのテクとか教えるぜ。

(腕をぐるんと回しながら休憩所の扉へ向かう。
 訓練施設で透勁の練習をしたり、教えたり。
 逆にこちらが教わる事もあるだろうし、その過程でぼでーたっちもあったかもしれない。)

ご案内:「訓練施設」から龍宮 鋼さんが去りました。
東雲七生 > 「喧嘩はしないって前から言ってるだろ……。」

まったくもう、と頬を膨らませつつ。
血の気の多い奴はこれだから苦手だ、と内心で溜息を溢す。

「透勁か……
 勁ってどっちかと言えば魔術的要素は少ないって聞いたけど、やっぱりその辺は鋼の独自解釈なのか……。」

ふんふん、と教わったり教えたりしながら過ごしただろう。
大半はダミーを殴る鋼の姿を見ていただけだったりしたが、手取り足取り教われば赤面して取り乱すこともあったかもしれない。
……でも半分くらい同性だと思ってるフシも無い事もなく。

ご案内:「訓練施設」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に滝川 浩一さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から滝川 浩一さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に滝川 浩一さんが現れました。
滝川 浩一 > 「……」
家から電車に乗り2~3駅ほど乗ると電車から降りる。
道に迷うのも少なくなってきた。
いや、まぁ、まだ地図を見る回数はあまり減ってないが…

実習区へたどりつき、学生証を提示して訓練施設の中へ入っていく。

(よぉーっし!来た来たぁ!)

目をキラキラさせながら広い訓練施設内を見渡すと、
異能が使える場所を探すため歩を進める。

滝川 浩一 > 「よし…ここかな?」
訓練施設内、異能が使えるであろう区画へ来る。
周囲を見渡すと誰も居ない。休みの日に来るような場所ではなかったのだろうか…

ごちゃごちゃ考えても仕方ない。
今回、この田舎少年がここに来た理由は一つ。
自身の異能を使用し、その特性をよく知るという物だ。
風紀委員になるにあたり、自身の異能をよく知り使いこなせなければ、いざ戦闘というときに役に立たない。

それじゃ、意味はない。
己を知り、相手を知れば百戦危うしからず。

目を瞑り、深呼吸をすると右足を勢いよく踏み込む。

滝川 浩一 > 彼が地面を踏みしめると、周辺には青い粒子のような光が無数に出現する。
光はまるで生きているかのように個別にゆっくりと移動する。
その光景はとても幻想的で、周囲が暗ければとてもロマンチックな景色になっていただろう。

「……イメージっ…!」

小声で力強くそう呟くと周囲の光が滝川の掌に収束し、西洋の剣の形を作ると
その場に剣を生成する。
それを手に持ち、少し振り回す。

「せ、成功した…!」

嬉しそうにそう声を挙げると、軽く飛び跳ねる。

滝川 浩一 > それからしばらく武器の生成を続けた。
拳銃、ナイフ、手榴弾、そして弾丸。一通り生成すると深呼吸して呼吸を整える。
そうすると周囲の青い光が消え去り、幻想的な景色は一気に無人の訓練施設の風景に戻る。

「銃、ナイフ…」

生成した武器を一通り見て、次はそれを実際使ってみようと拳銃を手に取り、目の前にある標的へ向ける。

滝川 浩一 > バンッ
銃声が鳴り響き、弾丸は標的を反れて壁にめり込む。
引き金を引いた滝川本人は、銃の反動と音に相当ビビったのか、目を見開き、唖然とした表情をしている。

「うおぉお!?ま、マジか!?」

銃を手放すとしりもちを付き、そのまま後ずさりする。
それもそのはず、銃は生成したのは初めてだった。
昔からスパイ映画やロボットに自我が芽生え人類に反抗する映画でなんとなく銃のイメージ、威力は頭の中にあったが
実際撃ったことはない、それどころか実物を見たこと、さわったことすらない。

滝川 浩一 > 「いや、マジ…銃ってこんな感じなのか…」

地面に置いた銃を冷や汗をかきながら見るとそれを消し去り、次は剣を握る。
西洋の剣のような見た目のそれを握り、構えるとずっしりとした剣の重みが両手にのしかかってくる。

柄を持つ手は何処となく汗で濡れ、それにより柄から手が滑りそうになるのを剣を強く握ることで抑え、
剣を素振りする。

その道の経験者から言わせれば、滝川のそれはただ剣を振り回しているだけでとても実戦向きの剣技とは言えなかった。
言うなれば、子供のチャンバラや棒振りとそう違いはなかった。

ご案内:「訓練施設」に那岐夜車丸汀さんが現れました。
滝川 浩一 > 数分後、剣を振り回していると息が切れはじめ、剣を杖にするように突き立てその場で一心不乱に呼吸をする。
下を俯き、その額からは汗がつたり、顎と鼻先から地面へ向け汗の雫が落ちていく。

正直言って、想定外だった。
自分のあまりの非力さ、体力の無さに自分自身でも驚嘆し、そして失望していた。

(こりゃ…マジ、風紀委員に成るの…キビしいかもなぁ)

息を整え、顔を挙げると剣とその他の武器を消し去り、近くのベンチへと近づく。

那岐夜車丸汀 > 手ぶらにしか見えない和風ゴシックに身を包んだ少女が、訓練施設内に入った。
召喚魔法と収納魔法…俗にいう魔法が使いこなせるモノが良くもやらかす魔術の応用版で手ぶらとも。
異能をフルに使い、壁とか空間把握を駆使して中を闊歩する。壁とか扉とかに突撃したり衝突はしていない。


(気配は…少ない様子。訓練施設は空いてはいるようですが。)

とある空間へと入るべく足をそちらへとむけ その空間に入った際にとある方向に顔を向けたのは。

「あら ごきげんよう。」

昨日あたり 図書館で出会った気配の持ち主、滝川さんだったか、だ。
そちらへと胸元に手を添えて 会釈をしておきたい。

滝川 浩一 > 「! あぁ、どうも汀さん。」

声をかけられ、そちらを向くと見知った黒い和ゴスの少女がそこに立っていた。
汗まみれの顔を持ってきたタオルで服とこちらも笑顔で会釈をする。

「あなたも異能とか魔法の訓練…ですか?」

風紀委員は日ごろからこうやって訓練施設に来て鍛錬してるのか。
そう心の中で関心しながらも、汀の目的を問う。
もし自分が想像している目的で合ってるのならば、ぜひ練習風景を見てみたい。

那岐夜車丸汀 > 気配と声からして ご本人と確認した。
異能で視ても彼の姿形は形見えるがそれだけだ。
若干汗をかいている位は嗅覚で…少し前まで運動をしていたのだろうか?

口を僅かに開いて またすぐに閉じ―異能で改めてまた確認。

「ええ。まぁ 実験も兼ねて訓練をしておりますが 時折。」

風紀委員に限らず確か 物理攻撃や魔法(魔術)攻撃の訓練でここを訪れる者は多い筈。
それに漏れず一応どちらのスキルを持って居る身としては 時折体を動かさないと鈍ってしまう。
手ぶらではあるが 収納から出す所からになってしまうだろうけど。

「一寸した実験ですので 訓練には遠いかも知れません。…解放」

口から零したのは 一定の言葉で構成されている魔術方式。収納スキルでもって収まっている―楽器一式を手にした。
見た目は金色のバイオリンとレイピアに似た形状の弓。それらを持って 適当な場所へと赴けば。

「時に 滝川さまは 訓練をなさっておられたのでは?」

はて、先程までの汗の匂いからして、と首を傾げて逆に問いかけようと振り向き

滝川 浩一 > 「……!!」

突如少女の手に楽器が現れるのを見ると目を見開き無言でその光景に驚く。
全身の産毛が逆立ち、まるで半袖で雪山に放り出された時のように鳥肌が立っていた。

(何だ今の!?めちゃくちゃかっこいいじゃん!!)

武器であろうそのバイオリンと弓を見ていると汀から声をかけられ、
ハッと現実に引き戻される。

「えぇ、ま、まぁ…訓練と言えるほど立派なもんじゃありません…けど」

若干口籠り、視線を逸らしてそう返す。
正直言って、先ほどの棒振りをこの少女に見られなくてよかった。
あの程度の剣術で風紀委員を志すなど、思い上がるのも甚だしい。
第一、目の前の少女や他の風紀委員に対して失礼だ。

那岐夜車丸汀 > 「…?何か。」

楽器を異次元?から解放して姿を顕現させる位は ありきたりの魔術ではと思っている少女にしたら、
極めて普通にして普段の何気ない行動の一つ。指先だけで弓の持ち方をきちりと楽器を奏でる様な持ち方に替えれば、
あとは楽器本体(バイオリン)を肩と顎に当てる様に構えれば準備は完了とはなる。

少し 調弦しておこう、と楽器を構えて弓を弦に宛がい一音紡ぐ様に弾く。
普通のラの音しか出ていない。ペグを回したり調節をしていたりする。
それらが終わると構えをやめる様にバイオリンを肩から降ろし、
それは脇に抱えるようにし、

「的が無いと 正直 分かりにくいので、…確か。これが…」

帯に差している端末を引き抜くと、何かを操作し始めた。
ここの 訓練施設に備わっている 的 を 出すためにだ。
少女の周りに 次々と にょきにょきと姿を現す 案山子サイズの的。
数百本にもなり、施設内は案山子の場と化してしまった。

「これでよし、と。…滝川さまはベンチにお座りでしたね? 的の付近に居られると
飛ばされるかもしれませぬので 終わるまで中に足を踏み込まないでくださいね?
まぁ、すぐに終わるでしょうけど…。」

楽器をまた構え始めて 準備を整え始めた。
若干実戦気味の実験というか訓練を人前で行うのは久方振りな事。
恐らく初めてではあるまいか? 殆ど 訓練を見せた事が無いからだ。

滝川 浩一 > 「おぉ…!」

と感銘の声を挙げる。
バイオリンの調弦というのの光景を見て、端末を操作して的が出てくる様子を見る。
正直、音楽は聞くのはともかく演奏するのはからっきしでバイオリンの調弦や構えなど全く知らないが、目の前の少女がバイオリンを構えるその姿は何処か幻想的な雰囲気を醸し出していた。
第一、この訓練施設の設備システムも知らなかった。先ほど的が出てたのは誰かが仕舞い忘れてたからか…
いや、俺の弾丸は当たらなかったけど。

(と、飛ばされる…?)

続けてこちらに発せられた汀の言葉に疑問符を浮かべる。
…なんだか嫌な予感がする。寝てる最中に畑をイノシシに荒らされるような、いや、それよりもっとひどい…
この場から離れないことが自分が取れる一番の安全策だと察すると背筋を伸ばし、まるで面接を受ける受験生のように汀を見て。

那岐夜車丸汀 > 端末の操作自体 一定の手順でのみ覚えた事。
如何せん全盲過ぎて異能を使ったとしても端末の画面は分からないからだ。
画面は分からないが端末を押す度に音が出る。その音を頼りに操作をするしかないのだ。
案山子の的を出して 異能で場の把握を更新…完了。

楽器を武器にして戦闘技能を使いこなす存在は今の処出会っていない。
探し切れていないだけでいるだろうけど 今現在こんな奇天烈な事でもって戦う存在は己のみの筈。

そしてその楽器を元に魔術で攻撃を行うのはもっと奇想天外だと。
音波魔法と風魔法、魔法を重ねて発動させる為に 範囲内は軒並み暴風になるとも。

(滝川さまは 範囲外に居りますね では始めますか。)

楽器を構え始めて ゆっくりと音色が出始めた。その音色は旋律を紡いで音楽の形を取り始める。
丁度 少女を中心にして まろやかであり 優美な音色が 案山子を揺らし始めた。

ただの音が案山子を何故揺らしているか それが 最初の異変。

滝川 浩一 > 「……?」

唐突にバイオリンで演奏を始めた汀を見て、多少の困惑はするものの何かの意図があるのだろう、そう決定づけて案山子の方を見る。
揺れている案山子を見て、やっと異変に気付き始める。

(…何故、揺れている?)

少なからず、音波というものの勉強をしてるからわかる。
周波数とか弾性波ってのは少なからず衝撃を持ってるというのは解ってるいるが…このバイオリンの優しい音色で案山子が揺れるわけない。
あのサイズの案山子を揺らすにはライブで使う巨大なスピーカーに特大の音を流し込むしかない。

その案山子と汀を交互に見て、次の手を見定める。

那岐夜車丸汀 > バイオリンで音を紡ぎ演奏をする。それ自体は誰にでも練習さえすれば出来る事。
ただ案山子は音でもって揺れているのだ。さて、音は音波を駆使して周波数と弾性波
を伴って衝撃を持つのはあり得る話。それを最も形にしてしまった場合、風魔法をその上から重ねる様に発動させたら どうなるか。
音と風魔法がきちんと発動するまでだが まず 風が指向性を持って靡く。
音波魔法攻撃に達する音のスピードは大凡超絶技巧クラス。威力を高めて行ったら その分 音波そのものが強くなり―

少女の奏でる音が徐々に速くなってきた、音色が普通の人が弾ける程度から、超絶技巧クラスの―曲になってきた。

と、案山子の的が一つ 地面から棒がガタと揺れたかと思うと ばすっと的ごと引っこ抜けるように

壁とすっ飛んでゆき どごっと当たって転がった。
音が指向性を持って 音波により飛ばした瞬間だった。

そう 言葉というか宣言通りに まず一本飛んだ、と。

滝川 浩一 > 「…!?」

壁にクレーターができるほどの勢いで飛んで行った案山子を見て、言葉にならない声を出し驚きを表情に出す。
何をやったのか、魔法や魔術はからっきしの滝川にはまったくもって理解不能だった。
せめて、目の前の少女が如何なる魔法を駆使して今の事象を確立させたのかわかりさせすれば、滝川でも理解は可能だろう。

現在、滝川の理解を超えた行為が目の前で行われている。
その現象が異邦人である彼女自身の特性なのか、異能なのか、魔法なのか、バイオリンと弓という武器によるものなのか、
全くわからなかった。

だがしかし、わからないからと言って視線を逸らすことは怠慢な発想だ。
わからないからこそ、それに注目し学ぶことが大切だ。
汀の行為から目をそらさず、極力瞬きの回数を減らし次の手を伺う。

那岐夜車丸汀 > 音を持って音波による魔術を物理的に繰り出す。これが少女の戦闘技能。
ただ 単体でこれを行う場合は 護衛もしくは盾となる召喚獣かその仲間が必要不可欠。
盾はいらないかもしれないが、それに代わる護身術か体術を推奨される‐こんな奇天烈な戦闘技能 今の処 お勧め出来ない。

少女を中心に円となり 一点の方向へ 次々と音波攻撃が 短い音色が飛んでゆき 案山子の的を一つ一つ 
壁に叩き付けて飛ばし落とす。その繰り返しだった。半分ほどそれを繰り返すと、
少女はゆっくりと動き始めたのだった。歩きながらでも超絶技巧による音の乱れはない。寧ろそれがいつもの事の様に
歩いたり 小走りに走ったり 飛び跳ねたりと 体もききますよ的に振る舞いながら
案山子の的を飛ばして落とし中。

質問は存分に後で受け付けるつもり。であるし。

(残り半分と言った処ですか、ではそろそろ 終わりにしますか。)

楽曲の名称は敢えて言わないが 蜂が飛び回るような音を超絶技巧のレベルで唸る様に弾き始めた。
ぶぅぅぅん、と残りの案山子の的がガタガタと揺れる。弾き終わると同時に 全方向音波魔法というべき状態で
全て飛ばずに ばたん と倒れた。根元で的が折れていたとも。

汗は大してかいていないが 汗を拭う素振りをして 弓を持ち替えて楽器を下ろし

「御清聴有難うございました。」

会釈をして見せたという― 地面とか壁とかが色々と大惨事だが。

滝川 浩一 > 「お、おぉぉぉおお!!」

汀の演奏が終わり、会釈をした後に大きな拍手と歓声を汀に送る。
さて、ここから質問タイムだ。
どうやって攻撃したのか、案山子を飛ばした音の正体は何なのか、何故滝川自身には届かなかったのか、それらの質問を片っ端からする。
返ってくる答えは軒並み音波魔法と風魔法についてのことだろう。

「…すごいですね。汀さんは」

そしてそう先ほどとは落ち着いた口調で語り

「こんなすごい魔法持ってて、それでも訓練を怠んなくて、優雅で華麗で…」

自分より学年が一つ下なのにこのレベル。今まで自分は何をしてたんだ。
そう悔しさが心の中に募り、風紀委員になるという目標がどんどん遠ざかっていくとともに自身への嫌悪感が増していく。

那岐夜車丸汀 > 「ありがとうございます、よ?」

拍手を笑みを持って受け取りたい。質問には答えられる範囲でもって答えよう。
然し 少女自体 魔法と魔術の区別は余りついておらず説明するよりその身で覚えよで育ったために
口下手で在り詳細な説明をするには程遠いかも知れないが それでも答える範囲で答えよう。

「攻撃方法は 音波魔法及び 風魔法 衝撃 拡散 収束を少々。
 指向性を持たせることにより 短調による音波でもって ある一定のレベルを超えれば 粉砕が加わり 案山子を飛ばします。
 しかし 一定のレベルに達するまでには最長2分少々かかりますので その間は時間稼ぎをしなければなりません。
 有効射程範囲をある程度搾りましたので その外に居られる滝川様には届かぬように 最初問いかけておきました。

…言わないと 衝撃波で 最初の案山子の様に飛ばされていたかと。
是位でしょうか。」

楽器のみ 収納魔法を持って どこかへしまい込むと 弓だけがそこに残るが、
それを弓の持ち方ではなく レイピアの様な剣の持ち方にし レイピアの構えをして

「たゆまぬ努力と経験と数えきれない失敗が私を形作ります。
 …魔術もですが、私 皆様とスタート地点が違いますのでそちらから始めたのですが… 優雅さは少々習いましたけど。主様に。」

学年は一年生だ。 日々の振る舞いはつい此間再会したが、ご主人様に手解きを受けている。こう貴族としての振る舞いだが、
それがさも普通に不自然さが無いように立ち振る舞って居る筈。
そもそも 少女は 生まれつき全盲だ。 異能でそれを補ってはいるが、そこでやっと普通の人と同じスタートラインに立てた。

「本を読み 人に教えを請い、手段を選んで新たな技能を 技術を手に入れる それをしてこそ 強くなる、
 新たな己になるのではないでしょうか。 私は 少なからず 今に至るまでに 色々としてきたつもりですが。」

あと 自分の身は守れるくらいに 剣術か 護身術を身に着けておいた方がよいですわ、と言葉を締めくくろう。

レイピアの使い方は 手馴れたもの。 ぴっと前方に向けて突きの仕草をして見せた。