2016/08/19 のログ
東雲七生 > 「何だろう……しっかり食って寝て筋トレもしてるのにな……
 食い合わせとかかな……」

マッチョになる食べ合わせなんてものがあるなら、とっくに少年漫画で使われてそうな気がする。
そんな事を考えながら、通り掛かったのは異能や魔術訓練用のエリア。やはり夏休みという事もあってか、利用者は少ないらしい。

七生は足を止め、少し考える様に視線を泳がせた。
ここのところ異能の行使はしていない。最後に使ったのはいつだったか、と思い出そうとして。

「んー……ひと月ふた月使わなかったからって制御不能になるもんじゃねえけど……」

折角だから、と進路をシャワールームから変更して歩き出す。
出来れば使いたくない、訓練だってしたくはないというのが本音だが、
だからと言って毛嫌いしていてはいつまでたっても変わらないままだ、と。

東雲七生 > 訪れた訓練施設の一角は、やはり人の気配は無く、しんと静まり返っていた。
それでも、もしかしたら姿が見えないだけで誰か利用中なのかもしれない、と七生は注意深く進んでいく。

「ううん。何の匂いも音もしないし、やっぱ無人……?」

それならそれで都合は良い。
七生は警戒を解き、訓練所の一室へと入った。
とくに設定などは行わなければ、壁や床、天井が頑丈なだけのただの部屋と相違ない事は十分把握している。

「さてと、じゃあ何からしようかな。」

手に持っていたシャツを壁際に放って、半裸のまま思案気に天井を見つめる。
やらなければならない、と思って来たのであって特別にこれがやりたい、というものは考えてなかった。

ご案内:「訓練施設」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 「いやあ、たまにはこうやって体を動かさないと鈍るよね!」

戦闘訓練の準備を整えた男が一人。
首に異様に長いタオルを巻いた男である。
適当に音がしていない部屋に入ると。

「おっと、東雲君じゃあないか!…なんで脱いでるんだい?
 確かに体を鍛えたら人に見せたくなる気持ちも分かるけどさ。
 この時期は海とかに行けば特に問題なく見せられるからさ…。
 …ここで脱ぐのは、女子とか来たらびっくりするからやめた方が良いと思うよ。」

偶然見つけてしまった後輩の趣味に対して静かに諭すように言う。
まさか、こんな趣味を持っているとは人は見た目に合わない趣味をもっているのだなあ。

東雲七生 > 「──え。」

不意に声がして思考の海から引き揚げられた。
半ば驚いて振り返ると、見慣れた先輩の姿がそこにある。
なんだ、と安堵の溜息を溢してから軽く頭を振って、

「ちわす、真乃先輩。
 ……違うっすよ、趣味じゃないす。
 単にさっきまで筋トレしてて汗かいちゃったんで、何だか着てて気持ち悪いんで脱いじゃいました。」

別に他人様に自分の体を晒す趣味は無いし、そもそも晒すような物でもないと思う。
むしろ晒してはいけない気さえする。
自分のような変声期前の子供のような顔に、中途半端に筋肉の付いた身体なんて下手なコラージュじゃないかとさえ思う。

「海なら毎日の様に行ってるんすけどね。
 ……先輩こそ、何しに来たんすか?──って、まあ場所が場所だしすることはそんな多くないっすけど。」

社交辞令としてね、と笑いながら目的を尋ねる。

真乃 真 > 「露出趣味じゃないのか!良かった!
 汗か…そういえば僕は今年あまり気にならないな?」

以前店で買った汗を消費してくれる魔術の掛かった服のお陰である。
凄い便利。流石魔術!

「僕は戦う訓練だよ。使う機会はない方がいいし避けてるけども
 もしものことがあったら困るからね。鈍らないくらいにはしてるのさ!」

そう言いながらカバンを置く。
固そうな材質で鍵がついている。

「ところで、東雲君は戦える人かい?それとも、もしかしてボディビル志望の人とかだったりする?」

東雲七生 > 「体なんか見せても面白い事なんて何も無いっすからね。」

心外だなあ、と頭を掻きながら軽く肩を竦める。
ただ、居候先の家主はその気はあるのかもしれないな、等と考えて。

「戦闘の訓練っすか。
 俺は……一応戦える方だと思うんすけど、対人はあんまりしたことないっすよ?」

大抵の場合、転移荒野に出て来る獰猛化した熊や鹿や、巨大な昆虫を相手取るくらいで、
異能者や魔術師といった人間との戦闘は最近は模擬戦でもやっていない。

「だからまあ、模擬戦の相手にしようってんなら……あんまり期待された動きは出来ないかもしんないっすけど。」

真乃 真 > 「まあ、自信があるんだよきっと!
 見せびらかしたいんだろうね!
 …いや、僕にもその気持ちは分からないけどね!」

無駄にカッコいいポーズを取りながらそんな事を言う。

「うーん、そうなのか。
 でも色んな相手と訓練してた方がいざという時に役に立つし!
 大丈夫!大丈夫!お互い怪我はしないようにだけ気を付けてれば!」

そう、強引目に言いながら少し距離を取る。

「いやあ、久しぶりだな!偶には先輩らしいところ見せるからね!」

さあこい!とテレビのヒーローのような見栄えのいい構えを取る。

東雲七生 > 「はー、自分に自信があるって羨ましいっすね。」

七生からすれば目の前に居る先輩も、その部類に入るのだが。
まあそう見えているだけで、真乃先輩本人にも自信が無い事なんて山の様にあるのだろう、それくらいの想像は出来る。

「いざという時は普通に逃げるんで大丈夫っす。
 俺、公安でも風紀でも無いんであんまり戦闘行為は許可されてないし。」
・・・・
人間相手なら、と肩を竦める。
もし、居住区に魔物が出たりした場合は、その限りでも無いのだろうが。
最近はそのような魔物や怪物の出現は耳にしない。きっと同じ授業の受講者が課題を頑張ってるんだろう、と勝手に思っている。

「怪我はしないように……か。
 ホント、それが一番面倒なんすよねえ、俺の場合。」

まあ、異能を使わなければ良いだけの話、とその場で何度か跳躍する。
向こうは準備万端らしいし、あんなことも言ってるので、せっかくだから胸を借りるつもりでぶつかろう。

とーんとーん、と全身の力を抜く様に飛び跳ねながら、そんな決意をする。

「んじゃ、後輩らしくこっちから先手行きますよー、せんぱー……いっ!」

バン!!と破裂音にも似た踏込の音と共に七生が一気に間合いを詰めに入る。
小柄な体躯と強靭な脚力を最初から最大に活かした高速機動による先制攻撃。
さながら砲弾の様に真乃へと迫り、突進の勢いをそのままに腹めがけて体重と慣性を載せた蹴りを放つ!

真乃 真 > 「ああ、でも僕も自分に自信があることについては凄い自信があるよ!」

良く分からないけど凄い自信だった。

「まあ、僕も一人だったら逃げるけどさ!ほら、逃げきれないときとか?」

誰かを助ける時に必要な時とか。

「ああ!いっ……」

ああ!何時でも来い僕が受け止めてやる!
それを言い終わらないうちに飛び込んできた。

(早い!なにコレ異能!?異能なのか!?)

咄嗟にこちらも異能を使い地面に突っ伏した姿勢になっていた。

「タイム!!タイム!!」

地面に寝そべったままで上を通り過ぎて行った後輩にそんな事を言い始める。
とても情けなかった。

「ちょっと、待って!」

もし許されるのならば匍匐前進でカバンに近づき中身を取り出し身に着けるだろう。

東雲七生 > 「えっ、タイム?」

流星のように真乃先輩の上を通過し、壁に着地してから地面に降り立つ。
てっきりこれくらいなら余裕で受けてくれるものかと思ったが、そうでは無かった様子に少しだけ盛り上がってた自分を恥じた七生だった。

「別に良いっすけど、どしたんすか?
 まだ様子見の飛びキックしかしてないっすよ?」

人間砲弾みたいな曲芸じみた攻撃を雑なネーミングと共に様子見と称する。
普段の相手ならこれくらい直撃喰らってもカウンター仕込んでくる奴らばかりなのだから、まあ無理もないと言えば無理もない。
鞄へと向かう真乃先輩を見送りながら、次はどう切り込むかなあ、なんて考えている。

真乃 真 > 「いや、あれだよ!ちょとつけ忘れてただけだから!」

そう言いながら身に着けたのはボウガン。
オレンジ色で先に吸盤のついた練習用の弾がセットされている。

「うん、ピンチになってから使うからね!なるべく使わず勝つよ!
 よし、じゃあ再開しようか!」

またしても離れたところからそういう。
今度の構えは構えにもなっていないただのポーズである。
もっとも真の異能があれば構えなど不要なのだ!

東雲七生 > 「つけ忘れてたって、明らかにつける気無さそうな扱いだったじゃないっすか……」

ボウガンを装着して戻ってきた先輩を見て口を尖らせr七生。
最初の密かなワクワク感が急速に失われていることを自覚すると、いかんいかん、と平静を取り戻そうと深呼吸。
まあ、今の流れからしてあのボウガンがマイナスに働くことは無いだろうと考えて。

「んじゃ、もっかい行きますねー……えーと、じゃあ今度は……」

身を低く屈めてからの突進。
先程の勢いはないが、それでも人並み以上の速度での接近である。
そのまま再び飛び蹴りを放つかと思いきや、今度は上方へ跳躍、
そして空中で前回転し跳躍の勢いを転化させての踵落としを放つ!

真乃 真 > 「…東雲君がこれを使うに値する相手だってことさ!」

やっぱりつける気はなかったようだった。

(さっきと同じいや上か!)

首に巻いたタオルがいつの間にか両手に握られている。
それを少したわませて衝撃を逃がしながら受ける
勢いがついていても先ほどより速度はないし相手の体重も軽い!

「ぐっ!」

それでもタオルを握った腕には強い衝撃が走る。
だがそれでも踵を受けた!

もしも逃れられなければタオルのたわみを張ることで軽く七生を上に飛ばし
そこに鉄のように重く堅いタオルでの一撃を叩きこむだろう!

東雲七生 > 「そいつはどうも……っ!」

渾身には程遠い物の、それなりの勢いで放った踵を受けられて七生の表情が強張る。
そのまま何処へと投げられるかと思えば、再び空中へと投げ出され、
足場も無く体勢の立て直しが出来ない所へタオルの追撃が迫る……!

「……すー……はー……ここっ!」

しかし七生はそのタオルから目を逸らさず、タイミングを計って、
自分にタオルがぶつかる瞬間、それを足の裏で受け止めて足場にする!
タオルからの衝撃をそのまま脚に乗せて、大きく距離を取った!

「はぁ……はぁ……。一体何で出来てんすかそのタオル……」

じんじんする足の裏に眉を寄せつつ、次の手を模索する。

真乃 真 > 「そう来るかい!」

攻撃を上手く利用された。
割といい感じに決まったと思ったのに!

「何でも異世界の金属らしいよっ!」

言うが早いか駆けだした!このまま一気に攻める!
速さは七生に比べれば速くない。
それでも、人間にしてはそれなりのものである!

「足貰った!!」

タオルの間合いは異様に長い!
普段首に巻いてる時よりも明らかに長く感じるだろう。
そのタオルが勢いを付けた薙ぐような横の大振りで七生の足元を狙う。
その大振りの動きは縄跳びのようで上に飛べばそれだけでとても簡単に避けられるように感じる。
そう、明らかに上に跳ぶのが避けやすい一撃!

東雲七生 > 「さーて……!」

如何来るかと思えば脚狙いの大振りの攻撃。
セリフと併せても何か意図があってのことだろうと予測する。
大きく後方へ跳んで躱すことも出来るが、ここは一つ、

「乗ってみようか!!」

ぐっ、と両脚に力を込めて、目一杯の跳躍。
二度の突進に使った勢いをそのまま垂直に上方への跳躍に使う。重力の制限こそあれど、室内ではすぐに天井に行き当たるだろう。
さて、お望み通り上に避けたけどどうしてくるかな、と真乃先輩の様子を窺いながら上昇を続ける。

真乃 真 > 「ふふふ!まんまと嵌ってくれたね!」

正直大した作戦でもない!
ただ全力でタオルを振り下ろすだけだ!
そう、振り下ろすのだ!異能を使えば一瞬も要らずに天井近くまで振り上げられる!
そして!振り下ろすなら最速で最高の威力を叩き出せる!!
更に魔術を起動させる!瞬くようにタオルが煌き!先端の魔術の印が輝いて!
風の魔術が発動される!振り下ろす勢いと速度を高めるための物である!
恐らく当たれば怪我では済まない。そんな一撃を叩きこもうとしている!
しかも、空中にいる相手にである!

「必殺!!ホワイトインパクト!!」

今までの振りと比べて格段に速い速度で地面に向けて叩きつけられる余りに長い一撃!
地面は割れて土埃が上がっている!!
相手が無事かどうかの確認は出来ない!!

「やったか!?」

東雲七生 > 「なるほど……!」

先輩の異能、よく覚えていないが自分自身のポーズ、姿勢を思い通りに変えるものだった気がする、と七生は思い返す。
それを応用すればこんな風に過程を経ずに瞬時に次の攻撃の態勢に移れるのか、と内心舌を巻く。

「こいつは……一本取られた、か、な!」

このままではタオルに叩き落とされる形で床へと落下する。
これが彼の最大の攻撃かは定かではないが、それでも相当な威力を持つのだろう。
まともに受けていれば気絶は免れないかもしれない。

しかし。
タオルが面前に迫っても七生に焦る様子は無かった。
冷静にタオルの勢いを見定めて、今から自分が何をできるかを瞬時に考え導き出す。
今までに目にしたあらゆる状況の中から、最善手を選び出すのは、ほぼ直感と呼ぶに等しい。
過不足無く、自分自身の力量を省みての最善手は──

「せぇー……のっ!!」

まずは振り下ろされるタオルへと突き上げる様に蹴りを放つ。
それでほんの僅かでも勢いを殺ぐことが出来れば、次は蹴りの反動を使って体の上下を逆転。
頭を下にし、今度は両脚を揃えてドロップキックの様に再度タオルへと蹴りを放つ。
此処でもう一度反動を利用し、タオルを足場に地面へ向けての跳躍。タオルより先に地面への到達が必要だった。

それが叶えば、着地の衝撃を逃がすこともそこそこに迫りくるタオルへと最後の蹴り上げを放って衝撃を極力殺す。
──計三発の蹴りと、それだけの行動を僅かな時間のうちに七生はやってのけた。
もはや控えめに言っても人間業ではない。

真乃 真 > 「…正直僕が食らったら死んでるよコレ。」

異能を使って避ける事も可能かもしれないが空中では避けきれないだろう。

どうやら地面に当たったのはタオルの中の方の部分だけらしい。
先端は勢いを殺されて普通のタオルのように垂れただけだ。

「凄いな!時計塔から落ちても平気だっていうだけのことはある!
 これは本気を出さないと…あれ?」

ボウガンを構えようとしたところで身体がふらつく。
急に魔術を使ったことにより体内の魔力バランスが崩れたのだろう。
大した魔術ではないのだが燃費がとんでもなく悪いのである。
それでも態勢を整えて撃つ準備をする。

「…OKここからが…本番だよ…。」

凄いふらふらしながら言う。

東雲七生 > 「はぁはぁ……はぁ……」

肩で大きく息をしつつ、ひらひらと手を振る。
流石に先の行動は運動量も集中力も一気に消耗したらしく。

「何か俺よりしんどそうっすけど……えっと、俺ももうあんま動く気力ないんでこの辺で止めとかないっすか。」

そもそもどちらかが倒れるまで行うものでもなかったはず、と両手を上げて小さく万歳の体勢を取りつつ提案する。
どうしてもやるっていうなら、まあ頑張るつもりではあるが。

真乃 真 > 「そうだね!今回は引き分けにしよう!」

そう言って横になる。
横になると大分楽になったようで七生の方を見て話し始める。

「いやあ、本当に強いな東雲君!身体強化の異能なのかい!?
 僕が今まで直接見てきた中でもベスト200には入る強化っぷりだよ!」

恐らく身体能力を上昇させる異能なのだろう。
もしかすると反射神経も同時に高めるのかもしれない。

東雲七生 > 「えっ?……あ、あのー……そのー」

身体能力の強化が異能か、と問われれば少しだけバツの悪そうに眼を逸らして。
傷一つない自分の身体を見て、小さく溜息を溢す。
そんなはずない、無傷での行使なんて出来ない異能なのだから。

「……ない、です……。」

ぽつりと、小さく呟く。
すっかり七生の能力について誤解しているうえに褒められてるところ本当に申し訳ないと思うのだが、

「今の攻防で、異能使ってないっす……。」

つまり、
真乃先輩が能力だと思っていた身体能力は全て何の強化もしていない、素のままの身体能力である、ということ。
申し訳なさそうに七生は告げると、小さく頬を掻いた。

真乃 真 > 「マジで!えっじゃああれ素の身体能力!?じつは異邦人だったりするのかい!?
 いや、強化魔術かな?」

素の身体能力であれだけ動けるのは凄いと思う。
正直、人間離れしている。

「まあ、でもあれだね僕もコレ使ってないからまあうん!うん!
 まあ引き分けだね!」

たとえ仮にどんな異能が相手であろうとも引き分けには持ち込める自信はある。
いや、ほんと凄いのは無理だけれども!

東雲七生 > 「一応、筋トレした直後の身体能力……」

あんまり驚かれるのでどんどん後ろめたい気持ちが募っていくが、
その中である一言が何故な七生の胸に突き刺さった。
……今までそんな事、考えてもみなかった事だ。

「……いや、まあ、あははは。」

笑って誤魔化すしかない。
最近意識して考えないようにしてはいたが、自分が何者か、自分が一番解っていないのだ。

「まあ、そっすね。引き分けっすね。」

うんうん、と頷きながら同意する。全面的に異議なしだ。
そもそも勝ち負けに拘る性質では無い。双方怪我を負わない、模擬戦であれば尚更だ。

「しっかしまあ、何て言うか……引き分けを主張する割に先輩の方が余裕無さそうに見えるんすけど。」

先に言い出したのは七生だが、片や寝転び片や立ったまま。
もしこの場に第三者が現れれば、変な印象を与えかねない。

真乃 真 > 「僕だって海から走って来た直後だからね!うん!
 やっぱり引き分けだ!」

張り合う。凄い張り合う。

「まあ、でも異能も魔術も関係なくただ強い人もいるからね!
 それかもしれないね!」

異能でも魔術でもなく人間のままで強い人もいる。
そう、いるのだ!

「そんな事ないぜ!これはむしろ余裕の表れだよ!
 寝てても戦えますよ的な!ほらボウガンだし!めっちゃ飛ぶし!」

割と負けず嫌いなのかもしれない。
実際、真の異能があればもしこの態勢であったとしてもすぐ戦闘態勢を取れるのだ!

東雲七生 > 「……まあ、うん。良いっすけど。」

やたらと張り合って来るのは、先輩としての矜持だろうか。
それならまあ、分からなくもない。七生だってもう先輩と呼ばれる……はずなのだが……
どうも縁のある後輩は曲者揃いで、実際に先輩になった気はまだしてない。

「うんまあ、そうっすね!そうっすよ!」

自分は人間だ。きっと人間だ。
僅かに揺らいだ自分という存在を立て直しながら、
それを隠す様に笑みを浮かべる。

「はいはい、まあ、先輩が余裕なのはよーく分かったっすよ。
 そんじゃ俺、そろそろシャワーに行きますね。
 汗かいた上に更に汗かいちゃったんで。」

先輩も行きます?と来た時に放っておいたシャツを回収に向かう。
シャワー中に洗濯に掛けなきゃなあ、と独り言。

真乃 真 > 「OK引き分けだ!そういう事で!」

親指をグッと立てて見せる。
大分余裕はありそうに見える!

「ああ、僕はもう少しここで今日の戦いの反省をするからね!
 先に行っててよ!こう、すぐに反省した方がこう!効果ありそうだろう!?」

そう、言いながら寝ころんだままで手を振って後輩を見送る。

「次やったら初めから本気で行くから!僕が勝つよ!ああ、勝つとも!」

寝たままなのに表情から言葉から自信満々である!

東雲七生 > 「反省かあ……じゃあ俺はシャワー浴びながらします!」

やたらと自信満々に勝利宣言をする真乃先輩に流石に苦笑しつつ。
だったら自分も様子見無しで仕掛けないとなあ、なんて内心。

「んじゃあ、次があることを楽しみにしてますね。
 そんじゃ真乃先輩、お先に失礼しまーす」

汗で湿ったままのシャツを小脇に抱え、足早にシャワールームへと向かったのだった。

真乃 真 > 「ああ、僕も次を楽しみにしてるよ!なんせ僕が勝つからね!!」

横向きの姿勢のままで無駄にカッコいいポーズを取る。
寝たままでも映えるポーズだ!

「…行ったかな?」

先ほどまで横向きになっていた体を仰向けにする。
こっちの方がまだましだ。

「駄目だな…まだ立てない…。
 カッコつけて必殺技使ってこれじゃあな…。
 ああ、カッコつかないな…。」

その姿勢のままで眼を閉じた。
その8分後くらいには回復してシャワールームへと向かう事になるだろう。

ご案内:「訓練施設」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に滝川 浩一さんが現れました。
滝川 浩一 > 「よっし、今日も一日頑張るぞ~」

訓練施設の一室にてリュックサックを下ろして、準備体操をしつつそんなことを言う。
最近は訓練施設の無機質な部屋にばっかり来ている気がする。
しかし、異能訓練はここでしか出来ないし、仕方ないと言えば仕方ない。

「街中で異能使うわけにもいかないしなぁ~…夜の砂浜とか、誰も居ない時に異能使うってのもありかな?」

でも近隣住民から苦情とか通報されたらやばいな。
頭の中で冷静に分析すると自己完結する。

滝川 浩一 > 準備体操を終えると、備え付けの端末のパネルをタップする。
この操作にも慣れたものだ。手馴れた操作でパネルを操作し、15m、20mの地点にそれぞれ的を二つ出現させる。
とは言っても本日の異能の訓練は生成物で的を攻撃するのに主眼を置いていない。
まぁ、間接武器を生成できたのならそれはそれでテストはするが…

「よし、まずは…」

拳を握り、目を閉じて深呼吸する。意識を集中させると青い光を発生させる。
青い光は自由に彷徨ったのち、流れるようにして彼のところに集いだす。
右手を前に出し、手を開く。そこに青い光が集中し、生成物の形を作り出す。

滝川 浩一 > 「すぅ…むんっ!」

息を吸った後、体全体に力を入れる。その後、手元の青い光が収束し閃光を放つと一振りの刀が生成される。
右手でそれをキャッチするが想像以上の重さに少し驚き、落としそうになるところを咄嗟に左手で柄を掴んで避ける。

「これが…物干し竿…のレプリカか」

身の丈ほどある刃渡りの日本刀をまじまじと見て、最後にレプリカと付け加える。
実際、武器としての物干し竿は少しばかり知っていて、そのイメージは出来る物の逸話としての物干し竿や持ち主についての知識はあまり無いため、自信を持って本物と言えなかった。
というかこれを本物と言ったら持ち主のファンの人が激昂するだろう。