2016/09/17 のログ
クロノ > (校医、養護教諭、そして設備維持管理の公務補。要するに“人もモノも直すお医者さん”的なポジションの男の子は、校内や保健室での勤務が中心だけど。…この世界の人たちは、自分が製造された世界の事情とはまた違った、ちょっと不思議な能力を持つ人が多いらしい。…故に。工場の大量生産品である自分はともかく、日々顔を合わせる生徒たちや教職員、街の人たちの事をより詳しく知りたい、そう思ったから。その訓練施設とやらに足を運んで、見学、観察しようと来てみたところで。)

 … ぁ。 … 七生。お疲れさま。ちょっと久しぶりだね、元気にしてた?
(見覚えのある顔が、そう遠くない出入り口から覗いたところで目が合って。コンマ数秒の間に容姿からデータベースを検索して、それらしき生徒の事を“思い出した”ロボットはにこ、と笑みを浮かべて労いの挨拶を。)

東雲七生 > 「ちわす、えっとクロノ……だっけ。そう、クロノ!」

前に会ったのは時計塔でだったっけ、と思い出しつつ挨拶を返す。
まだ疲れるほど何かしたわけではないが、ありがとう、と笑顔で頷いて。

「うん、元気元気!大した怪我もしてないしさ!
 ……あ、いや。嘘。ちょっとだけ怪我したけど、それ以外は全然元気!」

子供っぽく笑みを浮かべながら、言葉通り元気に答える。
つい数日前にも怪我したばかりで、どういうわけかその傷の治りが遅いのだが、それは伏せて。

クロノ >  …ん、そぅ、クロノ。良かった、覚えててもらえたんだ。
(相手の口からちょっと自信無さげに呼ばれた自分の名前、2回目はちゃんと確証をもって。そんな相手の声音に、男の子は嬉しそうにこくこく、と頷く。)

 …大した、ってことは、じゃあちょっとした怪我とかはしてる…の?
(会話の途中で過ちを訂正するあたり、相手の素直な心が垣間見える。…と同時に、そんな相手の事がちょっと心配にもなったのも確か。相変わらずジージーと足腰から機械音鳴らしながら足早に歩み寄っては、「ちょっと見せて?」なんて。)

… 七生は、今日は何かの練習?
(相手がここに来た理由。それを尋ねながら、その個性的な色の美しい髪と、澄んだ眼差しを少しだけちらっと眺める。前に会ったときよりちょっと背、伸びたかな?とか思いつつ。)

東雲七生 > 「あはは、俺ってばあんまり人の名前憶えんの得意じゃなくてさー……
 あ、そういやクロノは先生もやってんだっけ。じゃあ、えっと、ちゃんと覚えた方が良い……っす、よな……?」

ついでに思い出して慌てて口調を整えようとして珍妙なものとなってしまう。
あわわ、と慌てふためきながらもひとまず整理をしようと、一度深呼吸をしている間に怪我の如何を問われて。

「あ、えっと……ちょっとした怪我っつーか、棘を刺しちゃって。
 あんまりおっきい傷じゃねえんすけど、見せ易いとこなら、ここっすかね。」

着ていたシャツをおもむろに脱ぐ。
小柄で幼そうな印象とは裏腹に、無駄なく鍛えられた、研ぎ澄まされた小刀のような肉体が露わになる。
その上体のあちこちに赤黒い痣のような傷跡が残っていた。
その内の一つ、肩口に出来た傷を七生は指し示した。

「んーと、異能の特訓みたいなことをしようと思って来たんすけどね。」

特訓内容が何も思いつかなかった事は言わない。
ただ、何かをしようとする意思があった事だけを正直に告げる。
なお、身長は前回会った時より僅かに縮んでいる。

クロノ >  …っふふふ、そんなに緊張しなくても。先生っても、みんなの前で教壇に立つ事もないし、あまり実感無いかもね。
(見た目も声も、そして仕草も。それら全てが少年のものだから、先生、と呼ぶとやっぱりなんかちょっと違和感。)

 …ゎ、…ぁ。
(相手の行動を見守り、現れた小さくも逞しい身体と、痛々しい傷跡。それを素直な感嘆の反応と共にまた一歩近づいて間近に観察して、肩口の傷を静かに見つめれば、“今も、傷は痛む?”と尋ねてみたり。)

 …ぁ、うん…なるほど。じゃあ、邪魔しちゃった、かな?ごめんね。
(異能のカケラもない工業製品の男の子は、しかし自分には持ち得ないその力と現象を少しでも学ぼうとこの場所に来た理由をそっと伝える。興味本意のそんな行動は、人によっては責められても仕方のないことだから、できるだけ慎重に。)

東雲七生 > 「いやまあ、その、でも一応先生だし……」

ちゃんとしておくべきところはちゃんとしておかないと、他の先生に怒られるから、と困った様な顔で頬を掻く。
人によって教員と生徒の距離に差があるから、何とも面倒臭いと思ってるのもまた事実だ。

「うーん、痛むっちゃ痛むんすけど、何て言うんだろ……
 頭痛みたいな痛みなんすよ、じんわりと、芯から鈍い痛みがするっていうか……。」

上手く言葉に言い表せない。
七生の言う痛みの出所はもちろん肩の傷で、他の身体にある傷も同様なのだが、もちろん頭ではない。
それでも頭痛を喩えに出すくらいには、妙な痛みだった。

「あいや、邪魔じゃないっすよ。全然。
 まだ何も始めてなかったんで、……あ、何なら見ていきます?俺の異能。」

あんまり人に見せる様なもんじゃないっすけどね、と苦笑しつつも付け加える。

クロノ > … ぅーん、なんだか難しいね、その距離感。
(男の子はそもそも学校の備品という身分ではあれど、見た目の年齢は少年くらい。しかし医師、先生とも言える職業上の立場。言われてみれば確かに、と、男の子も顎に人差し指当てて考える仕草。)

… 芯?痛いのは、傷口…はもちろん痛いと思うけど、もっと深いところ…? …怪我したときの状況とか、聞いても大丈夫かな?
(頭痛、という比喩。じゃあ、脈拍に同じて、ズキン、ズキン…と痛む感じだろうか。傷口の周囲が腫れたり、化膿していないか、色が変わったり、何か他の場所と違った状態になってはいないか。すっかり医師として診察モードの男の子は、いつしか真剣な顔。)

 …ん、七生の邪魔っていうか、負担にならなければ、見学させてもらおうかな? …ぁ、怪我、痛んだりして辛くなったら、無理はしないでね?

東雲七生 > 「せめて先生全員で統一してくれたら有り難いんすけどねー。」

はぁやれやれ、と大仰に溜息を吐く。
勉強以外での気苦労まで背負い込む気はあんまり無いのだけれど、こればかりはどうしようもない。
教員側にも譲れない部分があってのことだと言うのは判っているし。

「うーん、上手く言えないんすけどね?
 痛いっつーか、いや確かに痛いんすけど。もっとこう、つらいっつーか、悲しい?そんな感じなんすよね。

 怪我した時っすか?……ええと、黒っぽい影みたいなお化けに刺されたんすよ。」

複雑そうな、それこそ頭痛でも起こしたかのような顔で感覚を告げる。
あんまり自分の状態を言葉にするのに慣れていない。というか、こればかりは慣れ様が無いとも思う。
傷口は主だった化膿や腫れも無く、ただ痣の様に赤黒くなっていた。

「あー、大丈夫っすよこれくらい。今までの怪我の方が痛かったりした事あるんすから。」

現に今日は既にある程度のトレーニングをこなした後だったりする。
ひらひら、とクロノへと手を振ると、再び訓練室の中へと戻り、手にしたナイフの刃を掌に当てる。

クロノ >  …ははは、それもそうだね。言われてみれば確かに…先生方もいろんな考えがあるんだろうけど…迷っちゃうか。
(それぞれの先生方との距離感。うっかり間違えた時の痛手は大変そうだ、と男の子も苦笑いして。担任を持つでもなく、担当科目があるわけでもない男の子は職員会議でも確かに微妙な立ち位置だな、と教員間でさえ感じる距離感の難しさをしみじみ実感しているのを思い出す。)

 …お化け?に、刺された…?
(とりあえず医学的観点からは、緊急的な処置の必要性は少なそうだけど。詳しく聞いた症状と、その感覚的な表現に、しばらく無言で考える。)

 …気功、とか。西洋医学とは少し違う分野に詳しい人に、相談してみようかな。 …ぁ、何か変わったことがあったら、すぐに教えてね?僕もできる限りのことはするよ。
(そう言いつつ、自分の機体に内蔵された…携帯電話番号と、メールアドレスを手書きで記したメモ紙を手渡そう。)

… え、っと…その、よろしくお願い… しまーす、
(相手の後ろについていって訓練室へと。そして直後目撃するその行動に、男の子は思わず「…ぅえっ?!」とちょっと変な驚きの声を上げ。それでも相手の邪魔をしないよう、努めて静かに、おとなしく事のなり行きを見守る。)

東雲七生 > 「ま、仕方ないのも分かるっすから、上手い事俺らも使い分けてかないと。」

いまいち使い分けられてない気もするけれど。
へらっと笑いながら、七生は肩を竦めた。

「そっすよ、お化け。
 何て言ったらいいんすかね、お化けとしか言い様が無いんすけど。」

実体を伴っていたのだからこうして怪我もしたのだが、あの姿はお化け、としか言い様が無かった。
もっと詳しい人に説明して貰った方が良いんじゃないかと思いつつ、連絡先を受け取った。

「ういっす。……けどまあ、今んとこ特に何も無いんで、多分大丈夫っすよ。」

へらへらと、気楽に笑いながら無造作にナイフを引く。
七生の掌には一筋の傷が生まれ、そこからみるみる血が滲んでいく。
ある程度掌に血が溜まったところで、
突然ぶるりと違震えたかと思えば、意思を持ったかのように渦を巻き始めた。
そのままゆっくりと高さを得て、小さな赤い竜巻のような物が七生の手の中に出来上がる。

クロノ > …ん、そうだね。僕も頑張ろっと。
(教員間、そして生徒のみんなとも。まして自分は、人間はもとより亜人でも異種族でも、それどころか生き物でさえ無い。そう考えると、きっとみんなと仲良しになる道程は、相手よりもずっと遠くて長そうだ。)

… お化け…と、喧嘩でもしたの?それとも襲われた?
(お化けと戦って負傷する。話だけを聞いてもいまいち状況が想像できないけど、故に当事者たる相手は大変だったんだろうな、と。)

 …っふふふ。何ともなくても、たまにはどこかでごはんとか、遊びにいくの、誘ってもらえたら嬉しいな。
(連絡先を伝えて、緊急時以外でも気兼ねなくお話もしたいな、と。そう話しながら相手の様子を見守っていれば、そこで繰り広げられるまさに“異能”の現象。終始ポカン、とした表情のまま、しかし吸い込まれるように真剣に、その現象を観察する。)

東雲七生 > 「ん、そっすね。クロノ……先生も、頑張ってくださいっす。」

あはは、と苦笑しつつ頷く。
きっと世の中、自分の様な人間ばかりじゃないだろうから、苦労するのは解っているけれど。

「えっと、襲われたというか、厳密に言ったら俺が喧嘩吹っかけた事に……んー?」

そもそも他人が襲われてて、それを庇いに入って、でも庇う理由はどっちかといえば自分の興味で……
なんだか難しくなってきたので、七生は考えるのを止めた。結果的に怪我をしたのだから、まあそこに至る過程は割とどうでもいい、と。

「ご飯とか、遊びにとかっすか……ううん、分かったっすよ。」

ぐるぐる、手の内で渦巻く己の血を一瞥して。
今日は何を作ろうか、と頭の中から候補を選び出し、その造形をしっかり思い浮かべる。
すると見る見るうちに赤い竜巻が変化して行き、瞬きほどの間に二振りの短刀──双剣が七生の手の中にあった。
刃も、唾も、柄も全てが深紅色の双剣である。

クロノ > … ん、ありがと。
(自身より小柄な少年に応援してもらって、嬉しいの半分、そんな相手を応援したい気持ち半分。)

… なーんだ、もぅ、七生ってば。勝てないと思ったら、無理しないでちゃんと逃げるんだよ?
(難しくなってくる状況説明、これ以上詳しい経緯を聞いてもこんがらがりそうな気がして、男の子は相手の身を案じて話を止めておく。続きは、またいつか。)

…ん。楽しみにしてるー!
(そうして彼と並んで行動していれば、例のお化けにも会えたりするのかな?とも考えてみる男の子。)

 …… ―――― すごー、ぃ…。
(相手の手の中で変化し、形作られた双剣。一色で形を為すその全てが、相手の燃えるような髪と眼の色と重なる。「あぁ、なるほど」と男の子は深く感銘を受けていた)

東雲七生 > 「勝てないとは思わなかったんすけど、その、色々あって。」

俄かに表情が翳る。
話したくない、思い出したくもない理由があるのだろう。
ぎり、と奥歯を噛み締めてから手の中の双剣の柄を強く握る。
それから肩の力を抜いて、口元に笑みを戻して

「これが俺の異能っすよ。
 自分の血液なら大体、俺の知ってるものであれば何でも作れるんす。
 ……で、いっぺん作った物も何度でも作り変えられますし。」

両手に持った双剣、その柄頭同士をを合わせてまた新たなイメージを頭に浮かべる。
するとたちまち二振りの柄が融け合うように混ざって、その変化が二振りの刀身全てに行きわたり、
あっという間に一振りの刀へと姿を変えた。

「まあ、生き物とか自立したもんは作れないんすけどね。
 俺が触れてれば、思う通りに作ったり動かしたりは出来るんすよ。」

クロノ > (相手のその表情の変化に、男の子はそっと頷いて微笑む。続けて、二本だった刀がすぐに一本の長いそれに変化するのを見れば、男の子はもはや「すごーぃ!」を連呼するマシンになってしまっている始末。すっかり感心しきりだ。)

… 七生、すごいなぁ。そこまで精巧な造形が出来るようになるの、きっと色々頑張ったんだろうね。
(真っ赤な髪と眼と、そして小柄ながらもしっかりと鍛えられた体躯、手元から伸びて映えるひと振りの刃。もはや、カッコいい以外の何者でもないんだけど、きっとここまでたどり着く道程も苦労は多かったんだろうな、と。)

… でも、そんなにたくさん身体から血出しちゃって、貧血っていうか、身体の方は大丈夫?
(かっこよさもさることながら、やはり心配なのは相手本人の身体。そんな事を心配しつつ、男の子の、異能観察と研究の時間はまだ暫く続く…かもしれない。色々見せてもらったお礼に、今宵の夕飯は一緒にどこか食べに行こうか、とか、そんな提案も。)

ご案内:「訓練施設」からクロノさんが去りました。
東雲七生 > 「そんな言う程すげーもんじゃないっすよ。

 ま、どんなものでもすぐ作れるようになる為に、色んな図鑑とか片っ端から読んで頭にイメージ作ったんすけどね。
 でもまだちょっと遅い感じもするな……。」

形成した刀を肩に担ぎ、得意満面と言った顔で笑う。
あまり良い思いの無かった異能だけれど、褒められて気分が良くないかと言えば案外そうでもないものだ。

「あー……うんまあ、ある程度ブースト掛かってるから、そうそう貧血にはなんないっすけど。
 元々血の気は多い方っすからね!一杯食って運動してるし。」

その、心配を掛けてしまうのが、この力の一番のネック。
それをどうにかする事がこれからの課題になるのだろう、七生はそんな風に頭の隅で考える。
しかし、夕飯の同行を提案されれば、二つ返事で了承した。
そうしてクロノと連れ立って施設を後にし、夕飯を共にしたのだろう。

ご案内:「訓練施設」から東雲七生さんが去りました。