2016/09/28 のログ
■真乃 真 > 更に強くなっているのは攻撃力だけではない!
防御力もとても上がっている!
「黒!真!シーッルドッ!!」
特に攻撃とかが来る設定にはしていないがむき出しになっている訓練用の射出口に向けて叫びながらタオルを構える!
すると構えたタオルはぐにゃり歪んで、ぼんやり滲んで、瞬く間に盾の形に変わる。
「そう!この黒くなっているタオルはあらゆる形に変形することが可能というわけだ!」
無駄に悪カッコいいポーズをとりながら誰かに説明するように或いは自分で確認するようにそんなことを言う。
そう、異能による攻撃力の上昇と!タオルによる防御力の上昇!
死角がない!全然死角がない!
「今だったら!どんな相手が来ても勝てる気がする!!!」
また、そんなことを言う。
しかも、さっきよりも大分力強い!
ご案内:「訓練施設」に龍宮 鋼さんが現れました。
■龍宮 鋼 >
(いつものように龍の力の強化のために、やけに使い込まれた人形を肩に担いで訓練施設へ。
到着してみれば、なにやらおかしな奴が居た。)
――あァ?
(おかしいだけではなくうるさい。
邪魔をされた苛立ちと、うるささによる苛立ちから顔を歪め、思いっきりガンを飛ばす。
しかもなんかどんな奴より強いとかほざいている。
ややフィルターの掛かった解釈をしながら人形を放り投げた。
地面に落ちる重い音から、人一人分ぐらいの重量はあるらしい。
そのまま無視して特訓を始めることにしたらしい。)
■真乃 真 > 訓練場に人が増えたことなど気がつかない様子、完璧に自分の世界に入った様子である。
「そして!!必殺の!黒真キックだー!」
無駄に大振りで無駄にキレがいいハイキックを中空に向けて放った後また一言。
「今だったら!どんな相手が来ても勝てる!!!ああ、勝てる!!」
今まで一番、力強い言い切りだった。
そう、言い切ってしまって額を拭ったあたりで訓練施設に人が増えてることに気がついた。
「おっと!ごめん!人が増えているのに気がつかなくてね!
少し、声が大きすぎたね!ごめん!もう少し静かに叫ぶようにするよ!!」
大声を謝りながらもなお叫ぶとそんな宣言をする。
男の表情には特に悪意とかはない。多分喧嘩とかは売ってないのだろう。
売っていないのだろうけど!!
■龍宮 鋼 >
(本当にうるさい。
ぐでんと地面に転がった人形を仰向けに寝かせながら、あからさまに不機嫌な表情。
しかし言うだけあって蹴りの動作は中々見事。
が、その後の言葉にまたイライラが募る。
そして掛けられる言葉がまたうるさい。)
――うるっせェな叫ぶんじゃねェよ!!
ケンカ売ってんのかテメェ売ってんだなよーしわかった今すぐそのケンカ買ってやろうじゃねェか!!
(キレた。
人形を思いっきりサッカーボールキックで蹴っ飛ばした。
蹴られた人形は十メートルほど吹き飛び、地面で一度バウンド、その後ズザザザザーと音を立てて滑っていった。
ああ、こうして今日も棘が抜け落ちていく。)
■真乃 真 > 「おっと!喧嘩とか売ってるつもりは一切ないよ!でも買ってくれるというのなら良いさ!!
最近そんな感じの気分なんだ!まあ、こういうのも丁度いい訓練になるからね!!」
一切喧嘩を売ってるつもりはなかったがこうなっては仕方ない!
普段の真乃真なら誤解である事を誠心誠意、訴えたうえで相手をさらに怒らせるだろうが今は違う!
今の真乃真は誠心誠意訴えず更に相手を怒らせる!普段の方がどうしようもない気はする!
「さあ!どこからでもかかってくるが…ちょっとまって。」
無駄にカッコいい構えを取ろうとした辺りで飛んでいく人形を見た。
あの人形重そうなのに…凄い力だ。
…うん。
「さあ!どこからでもかかってくるが…
準備とかいるなら待つけど!準備体操とかしなくて大丈夫かい?いいならかかって来て大丈夫だぜ!」
さっきよりも離れた場所で同じことを言う。
■龍宮 鋼 >
(挑発的な態度と言葉に尚もヒートアップ。
ブチブチと血管がちぎれるような音が聞こえそうなぐらい激昂している。
しかもケンカを買うと言っておきながら距離を取った。
ダァン!とものすごい音を立てて地面を踏みつける。)
――テメェ人のことナメんのもいい加減にしろやボケェ!!!!
(そのまま弾丸のような速度で駆け出す。
いや、人一人分の質量を考えれば砲弾と言った方が正しいだろう。
あっという間に距離を詰め、思い切り地面を踏みつけて右拳を放つ。
後も先も一切考えていないような――そして実際考えていない――ぶん回しパンチ。
テレフォンパンチも良いところだが、砲弾のような速度に鋼龍の筋力からくる速度、更にケンカ慣れした身のこなしだ。
大きいモーションでも、それ自体が相当に早い。
当然、踏みつけた地面の質量もガッツリ拳に乗っている。)
■真乃 真 > 「ナメてないよ!怒らせたのは謝るけどナメてはない。
って速いな君!」
最近ここで戦う相手はみんな速い。しかも、力まで強い。
正直、身体能力では勝てない。
さっきまでの自信が簡単に崩れ落ちていく…。
「何とか避けれないことはないけど!」
誰かに突き飛ばされるように不自然な動きで横に飛び出し拳を避ける。
大振りな攻撃だ、見えれば何とか避けることも出来る!
横に飛びながら或いは飛ばされながら一撃を与えようと黒いタオルを振るう。
長くそれなりに重いそれはL字型に変形していてその部分をひっかけて頭部を殴打しようとする。
勢いと重さが合わさって普通の人間ならば怪我しかねない一撃だ!
■龍宮 鋼 >
(唸りを上げる砲弾のような拳が彼の顔の真横を通過していく。
当たったら死ぬ事を覚悟するぐらいの勢いで。
その代わり怒りのあまり防御の事は一切考えていない。
振り回されたタオルへ自分から突っ込む形になり、首が後方へ折れ曲がる。)
――ってぇな、クソが!
(しかし痛いで済む鋼龍の血族。
そのタオルを左手で無理やり払いのけ、滑るように踏み込みつつ裏拳気味に右拳を放つ。
踏み込みの速度よりも重心移動と腰を沈める勢いを利用した一撃。)
■真乃 真 > 顔の近くを行く風に死の気配を感じる。
ああ、死ぬね!当たったらヤバイ!
それにしても…
「硬すぎるだろう!凄い音したぞ!」
金属がぶつかりあうような音がした!
カキーンって感じだった!!
その硬さは普通に攻撃しても有効打は与えられないだろう。
それよりも今は拳への対処だ!
タオルを近くに寄せて拳が来るだろうところを盾の形状に変化させる!
更に異能の発動!拳が来る瞬間に逆方向への力を加えて威力を抑える!
更に!更に!右手以外の前進には後ろ向きの力!少しでも威力を抑える!
「ぐうぅ!」
タオルを持ってたいた右手が痛む。
正直折れてるんじゃないだろうか?血とか出てるんじゃないだろうか?
そんな心配は杞憂であったがかなりの衝撃が右手に掛かる。
「正直、泣きそうなくらい痛い!!
良い一撃だとか言える余裕がないくらいに痛い!」
そんなことを言いながら距離を取る近づいて戦うのは不利だ!とても不利だ!
クルクルと右腕にタオルが巻きつけられて異様に長い鞭のような形状に変化する。
その鞭はは自らの意思を持つように揺れてる。
鞭はしなる!風を切り!当たればきっと肉も断つ!
「悪そうだろう!悪っぽいだろう!!」
それを女生徒めがけて薙ぎ払うように振るう。
当たる距離の少し手前でそれの先端は分裂し加速する!!
面積が広がり!早さが増せば回避は困難だろう!
■龍宮 鋼 >
(追撃をタオルで防がれた。
ふざけているとしか思えないが、実際に防がれたのだから認めるしかない。)
ちょろちょろ逃げ回ってるだけじゃねェか!
テメェから売ってきたケンカだろちったぁ根性見せろや、あァ!?
(激昂しつつも、その表情には笑顔の色が混ざっている。
ふざけているとしか思えない言動と武器だが、自身の拳を避けて二度目は耐えた。
そこいらのチンピラとは違う手ごたえに、どうしてもケンカジャンキーとしての側面が顔を出す。
ゆっくりと一歩ずつ地面を踏みしめながら、開いた距離を詰めていく。)
――あ?
(しかし鞭のような形へ変わったタオルを見て足を止めた。
タオルは明らかに不自然にゆらゆらと揺れている。
にい、と笑って右足を大きく踏み出し、左手を顔の横へ。
右手はひじを曲げ、身体の前で振り子のように揺らす。
その構えを取ったとほぼ同時に、彼の右腕が振られた。)
ッチィ!
(右手を払うようにタオルへ放つ。
タオルと同じく鞭のような動き――否、威力を考えればもはやフレイルと言った方が的確だろう。
その威力を持ってタオルを弾き飛ばそうと――しかし。
右拳がタオルに触れる前に、それがはじけた。
自身の放った拳を避けるように分裂し、自身の全身へめがけて襲い掛かる。)
く――ッそ!
(逃げるように横へ飛ぶ。
左腕で顔はかばうが、半身を鞭で打たれたような痛みが襲う。
衝撃は薄いが、その分痛覚へのダメージが強い。
それに耐えつつ、ジグザグに動きながら鞭の射程の外へ。)
■真乃 真 > 「いや、殴られたら死ぬからね!
ああ、間違いなく死ぬ!根性があっても死ぬね!」
離れた位置から叫ぶ!
なんとなく情けなく感じるが事実なので仕方ない。
「フハハハハハ!どうやら効いてるようだね!
このまま一気に攻めさせてもらうよ!」
悪っぽい高笑いをする。
やはり、彼女には遠距離の攻撃手段が乏しい!
距離を取ったままで鞭を伸ばすのが有効だけど!
うん!二本だ!!一気に決める!!
黒いタオルが体を覆う面積が広がる。
右腕から左腕に。胴に。脚に。全身に。
それは何かに取りつかれているような若しくは憑りつかれている感じすらする。
黒いそれに覆われて両腕を鞭とする怪物的ですらある!
「一気に決めるよ!!」
今までよりも明らかに上昇した身体能力で距離を詰めて鞭と化した両腕を縦横無尽に振るう!!
「フハハハハハ!!この縦横無尽に振るわれる鞭を避けることなど不可能!!
どうやら俺の勝ちみたいだね!!」
勝ち誇りながらそんな事を言い始める。
その言葉通り何10本にも分かれる鞭を一気に躱すことなど普通なら不可能に近いだろう!!
それを女生徒を挟み込むように!左右から打ちつける!!
■龍宮 鋼 >
なら死ね。
すぐに死ね。
(物騒な言葉をぼそりと呟く。
とは言え彼の読み通り、こちらに遠距離攻撃の手段は少ない。
全く無いと言う事ではないのだが、威力が高すぎるし、そもそもまだ扱えない。
そうこうしている間に鞭が増え、もはや鞭と言うか触手のような様相を呈してきた。
何か冒涜的な海産物でも食べたのだろうか。)
――ッチ。
(舌打ち。
後に額に右手を添える。
そのまま髪を掻きあげれば、)
知らねェぞ、どうなっても。
(右手で触れた髪と肌の一部が硬質化し、龍を思わせる角と甲殻が右の側頭部を覆う。
感覚が広がり、自身へ迫るタオル一本一本の動きがわかる。
同時に彼に取り憑いているらしい良くないモノの存在も視えた。
が、それは今どうでも良い。
触手めいてバラバラに左右から襲ってくるタオルの事如くを両の腕で打ち払い、叩き落し、受け流す。
その都度出来る空間へ歩を進め、更に迎撃、もう一歩進み、迎撃。
一歩、迎撃、一歩、迎撃、一歩、迎撃。
彼の顔を見据えたまま散歩でもするかの様な気軽さで、どんどん距離を詰めていく。)
■真乃 真 > 「死なないよ!ああ、まだ僕は死なない!」
こんなところであんな一撃を食らって死ぬなんてカッコよくない。
この姿勢も相当カッコよくないが死ぬよりはましだ。
「なっ!!鞭を食らいながらこっちに向かって来るのか!!
そんな!でも!だけど!!それでも!!!僕はまだ負けない!!!」
身体に纏わりついていた黒いタオルが変質する。変質して形を変える。
布が張り付いていた安っぽい怪物のような形からテレビのヒーローのようなコスチュームへと変わる。
今まで晒されていた顔もタオルをぐるぐると巻き付けたように覆われる。
既に振るっていた鞭もそのコスチュームの一部になっている。
大きな力に無理矢理に動かされるような動き。丁度子供がおもちゃで遊ぶ時のような動きだ。
身体が軋む音がする。全身が悲鳴を上げている。ここまでする必要があるのかと頭も疑問を投げかける。
ああ、無いな!普通に考えて全然ないな!
そう頭で考えながらも身体は異能は心のままに動く。
宙に浮かび上がり蹴りの構えを取る。
「これが必殺の!黒・真キックだ!」
大きな力で投げつけられるように叩きつけられるように。
その姿勢のままで龍のごとき彼女へと向かう。
■龍宮 鋼 >
(彼の姿が変わる。
冒涜的な姿から、特撮ヒーローのような姿に。
その姿を見て、表情が変わる。)
――テメェ。
(怒りの表情である事に変わりは無い。
だが、怒りの質が違う。
激しく燃え盛る激昂から、静かに燃え上がる憤怒へ。
怒りを通り越して憎悪とも言える感情が、全身から迸っている。)
その格好――ヒーローにでもなったつもりかぁぁああああアアアアアアアアア!!!
(咆哮。
硬質な鱗と甲殻が右半身を覆い、太く長い鋼色の尻尾が現れる。
背中からは同じく鋼色の翼が片翼だけ出現し、突然の変異に全身が軋みをあげた。
暴走はしない。
制御出来る力は得た。
その人の範疇を大幅に超えた力。)
――オオオオオオオオオオアアアアアア!!!
(肥大化し甲殻に覆われた脚を思い切り踏み込み、ミサイルのように自身の身体を放つ。
蹴りを額で受け、首の力だけでその衝撃の全てを押さえ込む。
それでも強化された身体能力での蹴りに自身の速度が加わるのだ。
いくら強靭とは言え、首の筋肉が悲鳴を上げる。
それを全て怒りでねじ伏せ、身体を捻った。
空中で身動きが取れないであろう彼へ、丸太のような尻尾を叩き込もうと。)
■真乃 真 > 切っ掛けはこの格好だろうか。
咆哮、怒り、強い感情。
今まで真が向けられたのない強さの怒りだ、憎しみだ。
「違う!僕は!僕は…!」
そのあまり強さに身が竦む。身体は固まりそうになり。言葉も詰まる。
だが、真の異能はそれを無視して全力を叩きつけた。
耐えきられた…。耐えきられた。
真乃真の全力をいや全力を越えた力を耐えきられた。
コスチュームの中の体はボロボロで普通なら痛みで意識を奪われかねない。
この黒いコスチュームの性質、いや呪いに近い感覚の遮断が無ければ気を失っていただろう。
そこに飛び込んでくる尻尾。
回避は無理だ。防御するしかない。
全ての異能、すべての黒い塊、黒く染まったタオルを使って防御に徹する。
だが、衝撃は殺しきれるはずなくまるで紙のように簡単に飛ばされて
その衝撃のまま壁に叩きつけられる寸前でテレビのヒーローのような無駄にカッコ良いポーズを取って止まり地に落ちる。
真が持つもう一つの異能が自動的に発動したのだ。
「…君の勝ちだな。」
地面に仰向けに寝た状態でそんなことを言う。
衣服は制服に戻り、タオルも白色、そしてあちこちから血が噴き出している。
■龍宮 鋼 >
(尻尾を叩きつけ、その勢いのままに回転しながら地面へと着地。
今の姿は人よりも重く、彼が地面に落ちた時より重い音と衝撃を伴う。
着地した態勢から姿勢をまっすぐに戻せば、鎧のような甲殻が剥がれ落ちる。)
――何が違う。
テメェだろ、常世のヒーローとか言われてる奴。
(落第街の方ではそれなりに有名だ。
無駄に暑苦しく無駄に腹の立つ無駄な決めポーズを多用するヒーロー。
そんな噂を聞いたことがあるし、そもそも地下闘技場で戦う姿を見たことがあった気がする。)
ああ、テメェの負けだヒーロー。
テメェの力じゃ、誰も助けられねェよ。
(憎悪に満ちた視線を向ける。
顔には何の表情も張り付いていない。
怒りと軽蔑を混ぜたような感情を隠しもせず、ただ床に転がった男子生徒を見下ろしている。
感情は、何も見えない。)
■真乃 真 > 「初めて言われたな…常世のヒーローなんて大げさな名前。
僕は自分がヒーローだなんて言ってないのにな…。」
自らをヒーローだと名乗ったことはこの一年間は少なくともない。
あっ違う地下闘技場では言ってたけどあれは変装してたから違う。
むしろ、そう言われたら否定する。
ヒーローに憧れている。憧れて真似はするが自分がそうであるとは思わない。
「…じゃあどうする?
僕より強い君が誰もかれもを助けるかい?
もしもそれでみんな助けられるならそれでもいいさ…。」
自信ありげに笑って見せる。
でも、その笑顔には明らかに強がりがある。
身体が痛い、全身が痛い、動かない。
「もし、そうでないなら。
僕は動くよ、助けようと動く。
自分の手が届くところまでは手を伸ばすつもりだ…。」
手が上に伸びている。瞬きするよりも早く。何の前触れもない一瞬に
この腕は短い伸ばしたとしてもたかだか直径170センチほどまでしか届かないだろう。
世界すべてを常世すべてを助けるなんて不可能だ。
だが手が届くなら、短いこの手が届くなら誰であろうと助けよう。
■龍宮 鋼 >
そんなアホみてェな格好してて、ヒーローじゃねェとは言わせねぇぞ。
(名乗らなくても行動があからさまにヒーローを意識した事からの呼び名だろう。
もしくは別のヒーロー活動をしている誰かの噂と混ざったのかもしれない。)
正義の味方の真似事なんざゴメンだ。
俺ァケンカの好きなただの不良で充分だ。
――それで充分なんだよ。
(こちらもこちらで首が痛い。
二度も強い衝撃を受けたのだ。
如何に頑丈だろうと、無敵ではない。
それを表に出す事だけは、絶対にしないけれど。)
出来る訳ねェだろ。
俺らは神様じゃねェんだ。
手の届く範囲だって、絶対どっかで取りこぼす。
(絶対に出来ないと。
出来るものかと。
そんな都合の良い存在は居ないと自身に言い聞かせるように。
拳を握り締めて、歯を噛み締めて。
見えないように。)
■真乃 真 > 「格好を言われると辛いな…。
でも、カッコいいだろうこのタオル…。」
普段ならば無駄にカッコいいポーズになるところだろうが姿勢が変わらない。
確かにヒーローっぽいからなこれ。
ヒーローっぽくてかっこいいからなコレ…。
「ああ、そうか思い出した君はあれだろ龍宮…龍宮鋼さんだろう。
前、聞いたことがある…喧嘩っぱやくて有名だよね。」
風紀委員にいたころ噂を聞いたことがある。
とても喧嘩っぱやい不良だって。…他にもなにか聞いた気がする。
駄目だ…考えてると意識が飛びそうだ。
「それは、一人で持とうとしてるからだよ。
持ちきれない分は一人で持たなくてもいいんだ。僕の尊敬してる先生が言ってたぜ。
それこそ、ヒーローじゃないんだから一人で助けなくてもいいんだ。
それと…今から僕はもう耐えられなくて倒れるけど何とか…医務室に連れて行ってくれると嬉しい…。」
テレビのヒーローですら仲間がいる。
テレビでもない完璧でもない自分らが助けるのに一人で行う必要はないだろう。
…もう限界だ。
そのまま真は眠るように意識を失った。
強い痛みと体中の怪我、異能の連続使用による疲労。
耐えきれずにそのまま倒れるのは必然であるのだった。
ご案内:「訓練施設」から真乃 真さんが去りました。
■龍宮 鋼 >
ッハ。
くだらねェ。
(質問を鼻で笑う。
その格好のヒーローっぽさがまたイライラさせるのだ。)
――常世のヒーローに名前を知られてるたァ、俺も有名になったもんだな。
(皮肉を込めた返事。
彼のことはもう常世のヒーローと呼ぶ事にしたようだ。
勿論、皮肉たっぷりな感じで。)
誰も持っちゃくれねェんだ。
だったら一人で持つしかねェだろう。
一人で持てねェなら、捨てるしかねェだろう!
誰が助けてくれるッつーんだ!
おい起きろ!
ふざけんじゃねェ、好き勝手行って寝てんじゃねェぞ!!
(意識を失った彼のマウントを取り、襟首を掴んでガクガク揺らす。
当然それでおきるわけも無く、殴ってでも起こそうと拳を握る。
――振り下ろせる、訳がない。)
……ふざけんな。
助けてみせろよ、ヒーロー。
(泣きそうな顔で一人呟き、立ち上がる。
自身が訓練施設を立ち去った後には、人形だけが転がっていて。)
ご案内:「訓練施設」から龍宮 鋼さんが去りました。
ご案内:「演習施設」にデーダインさんが現れました。
■デーダイン > 真昼間の演習施設のグラウンドに、チラつく不審者の影があった。
ご存知かもしれない、黒魔術師のデーダインである。
なにやら、片手に黄色いボールを引っ提げている。
「ハーッハッハッハ!!!
大地よッ!!!我が偉大なる暗黒の力に応えよ…!
私の意図するステージを今ここに、作り上げるのだッッッ!!!」
この辺り一帯に響きそうな暑苦しい声が、グラウンドにこだまする。
そして、デーダインの魔術に反応したのだろう、フィールドの形が見る見る変わっていく…。
■デーダイン > 念のために補足しておくが、この演習施設の形を変えるために魔法や異能を使う時、
こんなアホみたいに大声を出す必要は、全くない。
「ふうむ……ッ!この技術には毎度感心するばかりだ。」
しかし、演習施設のこの謎めく技術能力は、目を見張る物があるのは確かだ。
そうして、2分、3分程なく……二つの長方形を横に並べた線の描かれた、
いわゆるドッジボールのコート、の様なものができ上がった。
「クックック…完璧じゃあないかッッ!」
過程はともあれ、綺麗に出来上がったそれ。
「それでは…。」
ふよふよとやけに軽い歩調でコートの中へ歩いていく。
■デーダイン > さて、そもそもこの変質者…もとい黒魔術教師、何のためにここへ来たのかといえば、
予行演習みたいなものである。
紆余曲折程もない些事により、体育の授業を押し付けられてしまって、
どんなものをしたらいいか生徒に聞き、ここに至る。
だが、デーダインは黒魔術教師であり、暗黒の化身。
ドッジボールというのは見たこと聞いたことはあれ、実際に嗜んだことはない!
なので、少しやってみよう、というわけである。
習うよりなんとやらのスタンスで、考えナシに演習施設へとやってきたわけだ。
「ふぅむ。何かが物足りないなァ…。」
片側チームのコートで一人ぽつーんと棒立ちになる赤マントの不審者。
相変わらず手袋は黄色いボールをひっつかんでいる。
デーダインが思う通り、皆でワイワイドッジボールというものをするというには、
あんまりにもシーンとしているというか、物足りない演習施設の一室。
■デーダイン > 「んゥむ…まッ!とりあえず、だ。的を置いてみようか!!」
足りないもの、その一つはやはりボールを投げる対象である。
誰か誘って来れば良かったと大いに後悔するのはもう遅い。
「我が偉大なる暗黒の力に応え…的を置け!!!
……んー、何か今のは少しイマイチだったな。カッコイイ言い回しがあれば良かったのだが。」
ローブを捻り、手袋の指先を敵側の陣地へ向ければ、演習施設や訓練施設の便利機能が働いて、
そこにやけに無表情な人型の的がグラウンドから這い出すように出てくる。
「これで準備万端だなッ!さぁやるぞ―――!」
デーダインの手袋の人差し指の上でクルクル回る黄色いボール。
しかし、それはボールを支えるバランス感覚が良いのではなく、単にマジックアシストという名のインチキをしているだけである。
こちらには不審者。そして向かうあちらには寡黙なる人型の的。
何とも言えないシュールなドッジボールの一騎打ちの図。
■デーダイン > 「貴様に恨みはないが…
―――滅びよッッ!!!」
大きく振りかぶって―――デーダイン、第一球、投げました。
黄色いボールが飛んでいく。
この変質者が投げた様には思えないだろうほどに、物凄い勢いだ。
「んあ、あ~……!!」
物凄い勢いで人型の的のナナメ右上一直線へ飛んでいった。
物理的な力は強いけど、それをコントロールは苦手なようだ。
そも、体育の授業などやったことないし、今までドッジボールも触れたことがなかったので…
ある種、この結末は当然と言えよう。
■デーダイン > どすん、と施設の壁面へ勢いよくボールが衝突して…
ぽてん、ぽてんと跳ねる。
「むうう―――少し力を入れ過ぎたようだな。
ハッハッハ…運が良かったな小僧ッッ!!」
ズビシ!と手袋の指先を突き付けて仰々しく無表情な的にそう語りかけた。
当然、返事はない。
「―――?」
暫くの沈黙。
コートに入ったまま次は外さぬと意気込むデーダイン。
物言わず無機質無表情な人型の的。
そして、投げられっぱなしのボール。
「あっ
―――このボールも私が拾わねばならんのかッッッ!!!」
何せ、たった一人のドッジボール。
外野など、いないのだから…当然の帰結だ。
ご案内:「演習施設」に化野千尋さんが現れました。
■化野千尋 > 「あのうっ、」
珍しく、振り絞るような大声であった。
赤色の地味なジャージに短パン。わかりやすい学生の体育スタイルである。
体力をつけるために頑張りたい、という旨を友人に紹介されて訪れた演習施設。
演習施設は、その話とは大きく違った様子であった。
はて、と一人でボールを投げ続ける彼をしばらく眺めていたものの、
どうにも気になって仕方がない。思わず声を掛けてしまったのだ。
「もしトレーニングでしたら、ご一緒してもかまいませんでしょーーーっか!」