2016/10/11 のログ
ご案内:「演習施設」に高峰 司さんが現れました。
■高峰 司 > てくてく、と久しぶりに演習場に顔を出す司。
以前来た時と同じように、固定の的に当てるタイプの訓練である。
が、今日は趣がいつもと違った。
「さて、動くかどうか……」
手ぶらなのは普段通りだが、そこから手を構えない。
寧ろ腕組みをした状態で、ぽつりと口を開く。
「起動(セット)―――魔術を編め我がコード」
普段の司の使用する魔術……ルーン魔術としてはあり得ない詠唱。そして。
「一番(ファースト)、3連、対象視覚依存固定」
何かに指示をするような言葉を発すると、的が三度小規模の爆発を起こした。
「……成功、だが。威力が足んねーな」
ち、と舌打ちする司。
明らかに、今までと違う魔術を使っていた。
ご案内:「演習施設」に獅南蒼二さんが現れました。
■獅南蒼二 > そんな貴方とは対照的に,この白衣の男は頻繁に演習場へと足を運んでいた。
こうして今日この場所へ来たのも,偶然でもなんでもなく,いつも通りの日課のようなものだった。
むしろ,こうして先客がいることの方が,珍しいくらいで…
「……ほぉ。」
…先客の行使する魔術を遠距離から眺め,何を感じたか小さく声を漏らす。
それから静かに,貴方の方へと近づいていくだろう。
存在を主張することはなく,貴方が実験を続けるのを,妨げないようにしながら。
■高峰 司 > 「しゃーねー、次だ」
余程意識を集中しているのか、近づいてくる気配には一切気付かず訓練……否、実験を続ける。
「二番(セカンド)、5連、対象継続」
唱えれば、今度は的を貫く様に杭が出現する。が……
「やっぱ減衰がまだ激しいな……角度次第じゃ貫通してねぇ」
ち、と舌打ち。対象を貫くはずの杭は、2本ほど貫通せず、そのまま地面に落ちて消滅してしまった。
単純に、角度を問わず貫通するほどの威力がないのである。
「あークソ、やっぱ基盤がヌルいのか?効率化が必要か……?」
頭をガシガシと描きながら、首をひねっている。
■獅南蒼二 > 声をかけられる程度の距離まで近づいて,静かにその様子を見守る。
出力はさほどでもないようだが,発動に要する時間は熟練の魔術師にも匹敵するレベルだろう。
「……術式の構成を省略し,結果のみを出力する…といったところか?
なかなかに,面白い試みだな。」
そう呟きつつ,獅南は右手を掲げて…貴方の術式を模倣した。
細部まで同じではないが,現象として出力される結果はほとんど同様のもの…
…ただ,出力の数値だけを上昇させて,残りの2つの的を貫いて見せた。
「…術式の構成,発動に必要な魔力量,それから制御に要する触媒の効率。
改良すべき点は多々あるだろうが……な。」
視線もむけずにそうとだけ呟くのは,顔色の悪い白衣の男。
この学校で魔術を志した者なら,(あまりよくない)噂なら聞いたことがあるだろう。
■高峰 司 > 「なっ……」
驚いたように振り向く。
思考に意識が向きすぎて、近づかれているのに気付いていなかったようだ。
そして、その目に入った相手を見て、記憶をたどる。
確か……風変わりな教師としていろんなところで噂になっている教師だったはずだ。
フギン・ムニンの偵察でも幾度か見かけたことがある。
「……オマエ、この魔術が分かるのか?」
だが、問題は発言の内容だ。
司が実験中の魔術は「機械魔術(マキナ・マギカ)。
演算能力のある機械に術式運用を代行させ、自分が習得できていない魔術を運用する特殊な魔術体系だ。
類似のものはあるだろうが……外から見て、あっさりわかるようでは根本的に運用を変える必要が出てくる。
そういう意味でも、分かっているのか、そうならば何故分かったのか。それは確認しておきたかった。
■獅南蒼二 > 驚いた様子の貴方の表情にも,その質問にも特に反応することはない。
無言のままに,演習場の床に,術式を描きこんでいく。
「いや,お前の言う“この魔術”そのものが分かるわけではないよ。
だが,今の動きを見ていれば,やっていることと,やりたいことは大方見当がつく。
要は魔術書やスクロールの詠唱を自動化したようなものだろう?」
いくつかの術式を描きこんでから,貴方の方を見て,
「オール,10%,対象は……お前だ。」
小さくつぶやく……その声をキーにして術式は一斉に発動し,野球ボール大の火球を生じさせた。
火球は貴方へ向かって飛翔し,その眼前で爆破するだろう。火傷をする心配はない。
「これを発展させれば,お前のそれに行きつくかな?」
それは単なる“仕掛け術式”に過ぎないが,齎される結果は酷似している。
尤もこのやり方では習得していない魔術は運用できないだろうが……
■高峰 司 > 「……」
目の前で爆破される火球を見つつ、内心で溜息を吐く。
……本当に。
「大した洞察力だ。クソ、そこまでバレてんじゃ隠す意味すらねぇ」
結局、やっているのはそれに近い。
いわば持ち運びできる仕掛け魔術のようなものだ。魔術のスクロールを簡略化及び多様化させたようなものでもある。
「オマエ、この手の魔術を研究したことがあんのか?」
ついでに聞いてみる。何か情報を得られないだろうか、取っ掛かりは得られないだろうか。
無意識だが、他人の持つ情報に頼ってしまう程度には、この魔術の研究が行き詰りかけていたと言う事でもあった。
■獅南蒼二 > 「スクロール,魔道兵器,類似の研究ならば過去に類例が山ほどあるだろう。
同様にして,以前魔導書を電子化した学生を見たことがある…その程度かな?」
肩をすくめて苦笑を浮かべつつ,相手の質問の意図を知ってか知らずか…
「……まぁ,実用性はさておき,考え方としては面白い。
尤も,それはその魔術を何に使うことを前提にしているか,によるだろうが…な?」
獅南は有益な情報を口にはせず,逆に,貴方がその魔術を研究する理由,その用途を問う。
その瞳は貴方を値踏みするようですらあった。
…その魔術を最大限に活用できる用途も,逆に苦手とするだろう用途も,
この男の中ではこの短い時間の中ですでに答えが出ていると言わんばかりに。
■高峰 司 > 「……まあ、類似のモンはあるだろうな」
魔導書を電子化、と言う所に反応しそうになるも、それを抑え込み。
そして、思考を巡らせる。
……値踏みされている。それは確かだ。
上位の霊獣なんかはこういうことをしてくる。問い掛けの中で、魂の質を測ろうとするのだ。契約を持ちかける際は、そういった点も留意しなくてはならない。
相手が霊獣なら嘘はご法度、それだけでアウトなのだが……このシチュエーションでは、はてさて。
「……見りゃわかるだろ、戦闘用だ。いかんせん出力不足だがな?」
……考えた末、敢えて正直に話してみる。
何故なら、まずこの教師と自分は関係性が希薄だ。
普段ならば突っ撥ねる理由にしかならない要素だが、ここでは『多少内情を漏らしても、後腐れがない』と言う肯定的要素になり得る。
そして、自分は今割と切羽詰まっている。ここで研究が前に進むのならば、多少のリスクは背負ってでも足を踏み出すべきだと考えた。