2016/11/13 のログ
ご案内:「演習施設」に足ル歯 繰朗さんが現れました。
足ル歯 繰朗 > 『はーいみんな離れて離れてー』

演習施設のひとつ、小規模の家屋を想定したフィールドで、消火訓練が行われていた。
拡声器を操作して、学生たちを誘導する女性の生活委員。
フィールドに散らばっている、赤い字で“消防”と書かれた黒のジャケットを着ているものや、そうでないもの。
そのなかに、青いリザードマンの姿も見えた。“魔術消火”と書かれた看板を背負い、白線で3つに区切られた枠の一番左側に立っている。

(忍術は、魔術とは違うのだがな……)

彼が小さく漏らしたつぶやきは誰にも聞こえることはない。

と、枠の奥に1つずつ、計3つの炎が上がった。
どれも見た目だけは派手な、的としての炎。火力の調整は燃焼能力に長けた学生が行っていた。

『向こうに炎が見えますね?
これからあの火を消化したいと思いまーす。まずは消火器の使い方からー。だいじょうぶ、かんたんですよー』

拡声器をもった委員が手順を説明し始める。

足ル歯 繰朗 > 用意された3つの枠と、それぞれの奥に見える炎の的。
左から、『魔術消火』『簡易消火』『異能消火』の文字が見え、看板を掲げている委員がいる。
しかし消火器を使うのは『簡易消火』のみ。他の2つについては、とくに変わった器具は見当たらないようだ。

『じゃ、実際にやってみましょー。
消火器を使ってみたい人、手を挙げてー。
はい、そこの君、どうぞー』

消火器を手渡された少年が、安全ピンを引き抜き、おっかなびっくり燃えている的に近づく。
ホースを外し、まっすぐ伸ばせば届き……まだちょっと遠いようだ。

『火の高さを基準に考えてー、だいたい2、3倍くらいかなー?
ちょっとだけ近づいてー、そうそう、そこでストーップ』

レバーをぐっと握ると、白い消火薬剤が勢いよく噴きだす。
はじめは腰が引けていた少年も、火が小さくなるにつれ、次第にしっかりとした姿勢で消火を行っていた。

『そうそう、狙いは火元にねー。
……はい、消えましたー』

数十秒後、煙だけが立ち上る的を念のため他の委員が確認し、大丈夫だと合図を送る。
拍手の中、戻ってきた少年はやや照れ臭そうであった。

『以上が、一番初期の段階での対処法でーす。
じゃ、魔術を使った消火と、異能を使った消火もあるので、やってみましょうかー。
やりたい人は、手を挙げてくださーい』

ご案内:「演習施設」にテスコさんが現れました。
ご案内:「演習施設」にテスコさんが現れました。
ご案内:「演習施設」にテスコさんが現れました。
足ル歯 繰朗 > 魔術消火、異能消火ともに、希望者を1名ずつ募る。
セオリー通り水を使って消すかと思いきや、驚きの鎮火方法に、ギャラリーからどよめきと歓声が上がった。

『はーい!
すごいですねー、こんなやりかたもあるんだー。
……参考にさせていただきます』

今まで気の抜けたような、間延びした口調のアナウンスが、最後だけはトーンを落とした。

(フム、今のは参考になるな。
今度試してみるか)
魔術消火枠で見物していた繰朗も、感心したように真っ赤な目を細めた。

少し離れた別のフィールドでは、はしご車の試乗体験コーナーがあり、これでもかと高く伸びた梯子の上からはしゃぐ声が聞こえる………

ご案内:「演習施設」から足ル歯 繰朗さんが去りました。