2017/01/09 のログ
ご案内:「訓練施設」に谷蜂檻葉さんが現れました。
谷蜂檻葉 > 谷蜂檻葉は、妖精を使役している。

「『纏い』、『手を伸ばして』、『戻ってきなさい』」

彼女が簡単な1年目に覚えるような魔術で空間に水を作り出すと、ターゲットに向かって3つの言葉を放った。
言葉に応じて、水は檻葉の周囲を旋回すると、まるで槍のように水流が鋭くターゲットを貫き、
今度は空間を見えないチューブが通っているかのようにぬるりと彼女のもとに戻ってまた小さな水たまりになった。

びしゃ、という音がすると同じ程にターゲットが再設置される。

「『狙い定めて』、『頭』、『両腕』。」

再び、指揮するように指を向ける。
一拍置いて、先程よりも数段速い速度でバヅン!と小気味いい音がする。

ターゲットの頂点、そして手を模した2箇所が丸く撃ち抜かれていた。

谷蜂檻葉 > 谷蜂檻葉は、妖精を使役している。

「『剣を取りなさい』―――『斬り裂け』」

彼女が専門科目で取った授業で作成法を覚えた魔術を起す呪いを記した紙片を一枚地面に放り、2つの言葉を放つ。
メキリ、と紙片の下から何かが軋むような音がしたかと思えば、
何か細長い二本の長い『カミソリ』がクルクルと回転しながらターゲットへ飛んでいく。

それはブーメランがスウッと規定のコースをなぞるようにターゲットを貫くと、
まるで減速すら無く、ヒュンヒュンと風を切る音を立てて地面にヒタリと落ちていた紙片の上にグサリと刺さった。

それと同時に、ドスンとターゲットが3つに分断されて地面に落ちた。
断面は、美しいまでに綺麗に切り裂かれていた。

谷蜂檻葉 > 谷蜂檻葉は、妖精を使役している。

「『おいで』」

三度目の言葉は、酷く短かった。
分割されたターゲットが消滅して再設置されるのを見届けると、フッと短く息を吐く。

それは鋭く肺を絞るように吐き出され、腰の入ったワン・ツーが風切音を立てて繰り出された。

ターゲットとの距離は十数メートルあるので、それはあくまでデモンストレーションのようにも見えた。
見えない相手に届かせるように繰り出される二発の拳撃は喉元と鳩尾を狙って繰り出されていた。

そういった事を気付かせる間もなく、パパァン!と、銃弾のような音を立ててグラグラとターゲットが震える。
見た目以上に大きくグラグラと震えるのは、そこで起きた突風のせいだった。

そうして、起き上がり小法師のようにその場で揺らめいていたターゲットが留まる頃には、
人体を大まかに真似た案山子のようなターゲットの喉元と鳩尾には、何かが破裂したような痕だけが残っていた。

谷蜂檻葉 > 皆、谷蜂檻葉は妖精を使役しているというが、彼女は妖精を使役していない。

「……んー、やっぱりいちばん相性いいのは風の子達よね。」

ゆっくりと残心を解いた檻葉は、吐き出した息を取り戻すように深く息を吸うとそう呟いた。
その言葉に、彼女の髪がフワリとなびいて踊り、水たまりが抗議するようにウネウネと動いて、
地面から早送りをかけたようにニョキニョキと『棒が生える』と、チクチクと棘を生やした。

「あ、いやいや!別に贔屓してるとかじゃなくってさ。単純に一息でやりたいことが伝わるっていうか、
 やれることがシンプルだから、何か途中の過程を踏まなくていいから楽、っていうか……

 あ、ほら!皆は活躍の場があるじゃない。海とか……えーと……畑、とか?」

それを見た彼女は慌てたように見えない誰かと―――水たまりと棒に話しかけるように声を上げて、弁明をしていた。

それは誰かがいれば親しい友人に話しているようにも見える。
その優しげな声色は、教鞭する教え子に語りかけるようにも聞こえる。

ご案内:「訓練施設」に加賀見 初さんが現れました。
谷蜂檻葉 > かれこれ、十分少々だったが彼女は少し汗ばんでジャージの首元をハタハタと扇ぐと、
くるくると髪を揺らしてじゃれつく妖精と、二言三言話しながら休憩用のベンチに足を向けた。

これ以上の事をしようと思っていなかったし、これ以上のことが出来るわけでもなかった。
谷蜂檻葉の能力は妖精を使役していないが為に、『その場その場で』出来ることが限られている。

彼女が本領を発揮するのであれば、水源のある森の中だろう。
一切の弱点無く、彼女は全ての力を差し向けることになる。

谷蜂檻葉の『妖精種族としての王権』は、彼女達の住まう環境を守る時にこそ最も力を発揮する。
けれども、彼女がその真価を発揮する機会は生徒で間は以上は訪れることはないだろう。


―――彼女が、「人間としての立場」を持つ限りは。

加賀見 初 > ひょこひょこと独特の歩き方をしながら、演習場に顔を見せた。
普段はあまり顔を出さないのだが。

「散歩のついで……の割には歩きすぎたかな?」

ふと見回たせば、見慣れた……見慣れた?
少々シルエットが変わった気もするが、多分 見知った友人だと思う。
そちらに向けて、ひょこりひょこりと歩いていく。
近づけば、ああやっぱり友人だ と確信を得て。

「やぁ、久しぶりだね。冬休みぶりかな?」

谷蜂檻葉 > 「あ、加賀見さん。 ええ、お久しぶりです。

 加賀見さんも訓練ですか? 今私ここ使いませんし、すぐ出来ますよ。」

人が来るのを察すると、妖精たちはいずこかへ消えていった。
それに合わせて入り口の方を見やれば、知人がゆっくりと此方にやってきていた。

「それとも、『手合わせ願おう』――って奴です?」

それはそれで、何時でも出来ますよ。と
昔に比べて少しだけ増えた申し出を思い出して悪戯っぽく彼女は笑った。

加賀見 初 > 「ボクはこんな足だからね」

言いながら右足を叩く。
足首から先が消失しているのだ。

「訓練というか……空気を感じに来たんだよ。
 手合わせも、護身用に持ってるコレを使うしかないからね」

言いながら、腰にこっそりつけているデリンジャーを見せた。

谷蜂檻葉 > 「そうですか……。」

それは、多少の納得と心から残念そうな雰囲気の溜息だった。

「って、それならもう少し続けておきましょうか?
 なんか一通り試したら満足しちゃったっていうか、なんか集中力が切れるとすぐ疲れが来るっていうか……。」

あはは、と苦笑いして指で掻いた顎は丸みを帯びていた。

加賀見 初 > 「一応、ボクにも異能はあるんだけれどね。
 加減が難しすぎて使いたくないんだ」

申し訳ないね と加えて謝罪する。

「単純に基礎体力が落ちているんじゃないかい?
 運動量が足りてないとか。
 ボクも足がこうなる前と比べると、少し太った気がしてきてね」

胸は大きくならないのに と愚痴る。

谷蜂檻葉 > 「やっぱり戦い《やり》ませんか?」

ヒュオ。と、魔の気配もなく空気が2段階冷えた。

「ほら、加減の練習も大事ですし。 それに此処なら何かあっても対処しやすいですから。」

ね? と。

声に聞こえる以上に力強く彼女は加賀見に提案した。

加賀見 初 > 「やらない。やりたくない。
 ……能力を扱う加減は、簡単なんだよ。ボクの異能。
 代償があるんだ」

苦笑して肩を竦める。

「使った以上は、多分、どちらかが“死ぬ”んだけれどそれでもやりたいかい?」

訓練で使用するには、代償が重過ぎるのだ。
なお、初はベンチに腰掛けていない。ずっと立っている。
少しでもカロリーを消費しようとしているのだ。

谷蜂檻葉 > 「……それ、『加減が難しい』っていうんじゃないですよね。」

苦笑する加賀見に対して、ズル。と肩透かしを受けたように檻葉のまとっていた空気が霧散した。

「というか、それなら余計訓練なりでコントロール効かせないと。
 幾ら使う気がないって言っても、精神的に疲れない?」

毒をもって毒を制する、とも言えなくもないが。
むしろ、常世学園は『治療施設』でもあり『収容施設』でもある。

お題目としての【卒業】はあるが、それを選ばない者も多いのは周知の事実でもあった。

加賀見 初 > 「使った量で、代償の過多が決まる部分もあるらしくてね。
 昔に身を守るために少し使ったんだけど……」

少々言いよどんだが、仕方ないか と言葉を続ける。

「相手は死亡、ボクの右足はこの通り。
 幸い監視カメラに一部始終が映っていたから罪には問われなかったけれどね。
 極力使わない のが、ボクなりの対策なんだ」

はぁー と深い息を吐いた。

「臆病なんだよ、ボクは。
 精神的にキツイのもあるけれど、それ以上に失いたくないんだ」

谷蜂檻葉 > 「……じゃあ、魔術は?」

視線を、彼女の銃に向けて期待のしていない口調で問うた。

加賀見 初 > 「……受講してない。
 足がこうなってから、学業そのものをサボりがちってのもあるけれどね。
 今は独学で相性のよさそうな魔術 を探しているところだよ」

何かオススメがあったら試してみるよ と付け加える。

「ライター程度の火付け と 百均の卓上扇風機 程度の風なら起こせるよ」

谷蜂檻葉 > 「でしょうね。」

ハァ、とわざとらしく溜息を付いた。

勿論、その理由は行き場のない八つ当たりのような気持ちの行き先を失ったからだ。
普通のスポーツでもすればいい、という発想は無い。なぜなら疲れるからだ。

正確に言えば【疲れに見合う何か】が無いからだ。 ここにカロリーは含まれない。

「独学で得られるものなんて大層なものがあるわけないじゃない。
 『数字を見て独学で数学の公式を編み出す』―――っていう難易度と比べて変わらないもの。

 あまり腐らずに、真面目に受講することを薦めるわ。」

言いながら、彼女が魔力を込めた指で空間をするりとなぞるとバチリ、と音がして短い距離に小さな放電現象が起きた。
あまり大層な魔術とはいえないが、スタンガンの威力は超えている。

「最短で基礎魔術学Ⅱを取ってるなら、筆記魔術Ⅲまで行けばこのぐらいはできるわよ。
 試験は難しいけど、損はしないと思う。 力の使い方さえ理解できていれば1つか2つは実技に回せるしね。」

加賀見 初 > 「……申し訳ないね」

苦笑する。
足がこうなる前はスポーツ少女だったのだ。
打ち込んでいた青春が消え失せて半引きこもりという実態。
性根はスポ根なのだけれど。

「キミに倣って、真面目に受講する事に取り組んでみるよ。
 弟にも真面目に学校に行けと言い難いしね」

うん、と頷く。

「魔術がモノになったら―――その時は、改めて手合わせを申しこませてもらうよ。
 元アスリートが目的をもったら、すぐだからね?」

ふふっと笑う。

谷蜂檻葉 > 「うんうん、折角学べる機会があるんだもの。
 嫌いでないなら利用する方が建設的よ。 『普通の学習』よりも何倍も選択肢が増えるしね。」

クスクスと、真っ直ぐに頷いてくれた知人に笑みを浮かべた。

「ん、でも私だって後からの人に早々追いつかれるような勉強法はしてないけどね。」

そして、フフンと胸を張って受けて立つと相対した。
張られた部位は胸に限らなかったのはともかくとして。

「……でも、変な言い方してたけど聞いても良いのかしら。貴女の『異能』。」

多分、と濁しておいて脅すようなもの言いだった。
―――正直、彼女は頷こうという考えもあった。 それは、気まぐれで奔放な彼女の性のままに、だ。

加賀見 初 > 「ボクの異能につけられた名前は『Tezcatlipoca』。
 能力は局地的な天候操作、灼熱も吹雪も暴風雨も自由自在だよ。
 ただし、対価は命。軽度なら部位を失うらしいけれど。何も失わないという都合はないらしいよ」

あっさりとバラす。
この子なら、別にバラしたところでどうしようもないだろう と判断したらしい。
そして立っているのに飽きたのか、軽く屈伸運動を開始する。

谷蜂檻葉 > 「それはまた――――」

一瞬、彼女の眉根がひそまった。
それは『不愉快』とも読めるし、『興味深い』とも読めた。

「―――………持て余すわね。」

少しの逡巡の後、そう呟くようにコメントした。

加賀見 初 > 「ああ、持て余すよ。
 使えば確実に誰かの命を奪うからね。相手かもしれないし、自分かもしれないし、近くにいた誰かかもしれない。
 ボクには過ぎた異能(ちから)だよ」

はぁー と再び深い息を吐く。

「君の友人とはきっと(敵なら)相性がよろしくなくて、(味方なら)最高に相性がいいんだろうね」

屈伸運動から、上半身のストレッチ。
たまにやっているのか体は柔らかく伸びる。

谷蜂檻葉 > 「誰かの命を救うことだって出来るわ。
 自然に『意味』なんてないの。 ただ、そういう循環だから起きるだけ。

 意味を付けるのは、人間の癖にして習性ね。あるのは事実と、重ね合わさった記録だけよ。」

それともう一つ。と続けて

「どっちにせよ、”あの子達”には不評でしょうよ。「精霊」っていうのは、”自然”に寄り添うものを指すの。
 精霊が居て自然があるんじゃなくて、自然があるから精霊がいるの。

 それを無理に捻じ曲げる異能っていうと――そうね、『登山家が山を登ってたら海に突き落とされる』ようなものかしら。
 ちょっと穿った言い方だけどね、大まかにそういう事が起きるわ。 あの子達に。」

仲間だろうが、敵だろうが大激怒である。

加賀見 初 > 「まぁ、モノがモノだからね。
 誰かの命を助けるのに……いや、ボクが納得できる時にだけ使いたいものだよ。
 事実と記録が残ったとして、それを観測するボクの主観が入るのは避けようがないからね」

ああ、そういうものなのか と納得する。

「それなら、なおの事。キミの近くでは使わないように気をつけておこう。
 キミの友人をボクは見たり喋ったりはできないけれど、友人の友人を怒らせるのは本意じゃないからね」

谷蜂檻葉 > 「……自分が天秤に乗ってるんですものね。 ごめんなさい、少し不躾に過ぎたわ。

 あ、それと『何処でも』使わないように。――って、そっか使わないか……。
 
 ンンッ"。 ともかくっ、私の近くじゃなければいいってことでもないの。OK?」

精霊とは大復活以後こうして一存在として語られてはいるが、
同時に「一つの概念」であり彼らの思考プログラムと、主観的感覚は人間とかけ離れているのだから。



「さて、そうなると此処に居てもやることはない、か。 私は帰ろうと思うけど、加賀見さんはどうするの?」

加賀見 初 > 「もとより、ボクは軽々しく使うつもりもないさ。
 強すぎる力の責任を取れると思うほど傲慢にはなれないからね」

最後にぐーっと大きく剃るように伸びる。
胸はあんまり主張しない。
お腹はまったく主張しない。

「ボクも帰るよ。
 散歩ついでに遠くまで来たからね。
 ……なんだったら、一緒に散歩して帰るかい?」

谷蜂檻葉 > 「んー……。」

少しばかり、なんとも言えない顔で唸った後。

「此処で体を動かした後に散歩は気が向かないから、また今度お願いするわ。
 歓楽街の方まで最近行ってなかったし、それこそ散歩ついでにお誘いでもしましょうか。」

そう言って断った。

加賀見 初 > 「そうかい?
 それならその時をゆっくり待つよ。
 歓楽街と言えば、ボクの家の近所にパンケーキの店が出来たんだ。
 誘われたらそこに行こう」

言うなり、ひょこひょこと出口に向かって歩いていく。
片足だが意外と歩くペースは早い。

「それじゃあ、出入り口か駅までは一緒に行こうか檻葉君」

ご案内:「訓練施設」から加賀見 初さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から谷蜂檻葉さんが去りました。