2017/02/04 のログ
獅南蒼二 > こういう時,一番手で名乗りを上げるというのは非情に勇気のいることだ。
獅南が何を隠しているか全くわからないということもあるし,
誰かが失敗した後ならまだしも,自分が最初の失敗例にはなりたくないものである。

「……慎重なのは良いが,積極性に欠けるとは思わんか?
 まぁ,良い。演習にはデモンストレーションも必要だということだな。」

苦笑を浮かべつつも,凡人教室から1人,比較的成績の良い男を指名する。
指名された男は緊張した様子で,獅南に対峙した。

獅南蒼二 > 獅南を包む防御術式はまだ二重でしかない。
今この瞬間なら,正面からの突破も不可能ではないだろう。
そう判断したのか,指名された男は素早く正確な一点攻撃を試みた。
魔力を放出し,その指向性を一点,獅南を包む防御術式の起点へと向ける。
何の掛け声も,詠唱さえなく,まるでレーザーのような魔力の光が男の手のひらから放たれた。

「……良い読みだ,そして構成も立派だが,術式があまりにも素直過ぎる。」

果たして男の読み通りに,獅南の防壁は数秒で突破される。
だがその数秒で,獅南は男の術式に手を加えていた。
空間に展開されていた術式は防御のためだけではなく,相手の術式を書き換えるための起点だったのだ。

ほんの僅かに指向性を逸らされた光は,防壁を突き抜けた瞬間に僅か屈折する。
そして獅南の頬の横すれすれを通り,背後の壁に当たって消滅した。

獅南蒼二 > 魔力を大量に消費して肩で息をする生徒と,
殆ど魔力を消費しておらず,顔色一つ変えない獅南。

「……まだ不十分だ,研鑽を重ねろ。さて,次は誰だ。」

突破された防壁を構成しなおしながら,獅南は次の挑戦者を募った。

獅南蒼二 > やがて,しぶしぶながら一人,また一人と挑戦者が現れるだろう。
この授業のなかで誰かが獅南に傷をつけられたかどうかは,また別の話。

ご案内:「訓練施設」から獅南蒼二さんが去りました。