2017/02/27 のログ
ご案内:「訓練施設」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 近頃周りが騒がしい。
そろそろ進級の時期だからというのもあるが、
バレンタインが過ぎた辺りから、妙に浮ついた話題を耳にする。
──耳にするだけで、七生には何一つ関係無さそうな話ではあったが。
「いや、まあ……俺もそろそろ3年生だし?
そろそろまあ、そういう事に関心を持ってもおかしくないっつーか?」
図書館で見つけた拳闘の、型を見様見真似で試しつつ。
関心と言えば──と、ふと思い出したのは、昼休みの出来事の所為だった。
日頃取り留めのない話題で盛り上がる同級生たちからふと仲間外れにされたのである。
「別にそれ自体は珍しくも無いけどさー」
級友の一人を問い質した結果、
彼らは思春期男子特有の年齢制限の掛かる類の雑誌を見ていたらしいというのが判った。
でもそれなら仲間外れにされる理由は無い。見た目幼くとも七生だって男子だ。異性に興味関心が無いでもない。
無いでもないというか、興味が無い自分自身もどうかと思うようにはなっている。
「前にも一度、誘われた事もあったんだしさー」
全く同じセリフをその級友に告げたところ、
『だってさ……女子たちがさ……
──東雲くんの情操教育に悪いから、そういうのは目の届かない場所で!
……ってえらい剣幕でさ……』
「………潔癖なお母さんかッ!!!」
あまりにもあんまりな理由に午後はまるまるヘソを曲げ、
放課になると同時に教室を飛び出して、今に至る。
■東雲七生 > 「つまり俺は同年代の男子として見て貰えていない……?」
ウソ、私の外見年齢低過ぎ──!?と
そんな訳ないだろう、と首を振って拳を突き出す。
だが去年に比べてクラスの女子たちの視線が何だか生暖かいものに変わっている様な気がした理由ははっきりした。
自分の子供──とまではいかずとも、ペットか何かの成長を見守っている気分になっているのだろう。
無理もないよな、と自嘲気味に七生は笑みを浮かべる。
だって身長伸びてないし。むしろ縮んだし。周りの男子は次々二次性徴を迎えるなか一人だけ脛毛すら生えてこないし。
「……ううう、こないだ補導されかけたのは辛かったなあ。」
休日に暇を持て余してゲーセンに行ったら、小学生と間違われたのだ。
最近制服姿で居ればそういう事も無かっただけにショックは大きかったという。
■東雲七生 > 「どーしたら年相応に見て貰えるのかな。」
こう見えて脱ぐと凄いんだけどな、と柄にも無い事を呟く。
神話や伝承上の存在に勝つ、という途方もない目標を掲げ、ひたすらにただ我武者羅に自分を鍛え続けて1年半。
背は伸びないし見た目も厳つくならないが、それなりに肉体改造の成果は自覚できる程度になっていた。
ただ、顔つきだけはどれだけ工夫をしてもあどけないまま。
流石に女装をすれば違和感も出るかと意を決して挑んだ学祭の仮装も、おおむね好評であったとか。
「……せめて背が伸びてくれればな。」
過度の鍛錬が阻害してるのだろうか、と本気で考えるほどには上背の方は微動だにしてくれない。
■東雲七生 > 「とりあえず、俺も年頃の男子なんだって事を積極的にアピール……しないと……?」
ふと首を傾げる。
年頃の男子が、果たして血縁関係も無い異性の家に居候するのだろうか。
いや、相手はただの少女ではないのだから特に問題は無いと思うが、とすぐさまフォローしてみるものの、
客観的に見てみればだいぶ特殊だろう。ていうか、特殊だ。
そう考えると、変に意識してしまいそうだなと七生は眉根を寄せる。
これまで大した事は無かった(と七生は思ってる)し、これからも大それた(あくまで七生基準)ことは無いと思うのだが。
「………まあ、感覚的には母さんとか、お姉ちゃんに近いし。」
実際のところ、母や姉がどういった存在なのかは解らないが。
あくまで本やその他で得た情報に照らし合わせると、その関係が近しいのではと思う七生だった。