2017/04/25 のログ
宵町 彼岸 >   
「あれ?」

ふと顔を上げると目の前には大型拳銃は一つ転がっていた。
鈍い銀色の輝きはそれ自身が武器であることを声高に主張している。
それをゆっくりと拾い上げる。

「いーち、にーぃ」

まだ5発弾丸が残っている。
当然のように安全装置は外れたまま。
引き金を引けば弾丸が発射されるような状態の某有名会社の大型口径リボルバー。
中々の浪漫武器だとおもう。シンプルかつ単純な攻撃方法で。
けれど……こんなところに装てんしたまま投げておくなら

「……ふぅん」

拾い上げたそれを的も見ずに構える。
狙いは一番遠くの、小さな的。
そうして……立て続けに数発の発砲音が施設に鳴り響いた。
連射する間、その少女の体はほとんどブレすらもしない。
全て撃ちきると連続射撃に少し焼けた銃身を無機質に眺める。

「ま、こんなもんかぁ
 いらないなら貰っちゃおーっと」

その結果を示すモニタ表示を眺めると、興味を無くしたかのように空中に投げた。
それは空中に小さな波紋を残すと掻き消える。
既に自分が持ってきたことも、何のために持ってきたかも忘れてしまっている。
当然、なんでこの場にいるのかも忘れてしまっていて……

「なーんでボクこんなとこにいるんだろ。
 何か図面引いたような気がするけどぉ……まいっかぁ
 それより甘いもの食べにいこーっと」

駅前に美味しいワッフル屋さんが出来たとメモがしてあった。
是非行かなくてはと思い立ち、軽く伸びをすると、
ヘッドホンをつけなおし足取り軽く訓練施設から立ち去っていく。
既に頭の中は何を注文するかでいっぱい。

「つがるーかいきょーぉ♪」

数分前の自分の事など、忘却の彼方へと置き去っていた。

ご案内:「訓練施設」から宵町 彼岸さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 >  
(訓練施設に集まっている生徒達。
 大体が風紀委員だが、それなりに一般生徒も混ざっている。
 彼らは二人の生徒へ注目していて、一人は短い棒を持っており、もう一人は素手だ。
 棒を持った方が素手の方に突き出し、素手の方がそれを捌いて地面へと押さえ込む。
 これは「素手による違反学生の捕縛方法研究会」の集まりで、その名の通り「素手で武器を持った相手に対抗するための方法」を皆で研究しようと言うもの。
 今日はナイフを持った相手を無効化することが目的らしいのだが。)

いやダンスじゃねェんだからよ。

(正直そんな感想しか出てこない。
 不良学生と言うやつはそんなお行儀良く襲っては来ない。
 離れたところから呆れたような独り言を呟いたのだが、どうやら聞こえたらしい。
 不快そうな顔で睨みつけられた。)

――んな顔されても。
大体ここにいるやつがそんな芸当出来るようになるまで何年かかんだよ。

(その言葉に顔を見合わせる生徒達。
 さっき技を披露していたのは風紀委員だ。
 が、ここにいるのは訓練を受けた風紀の連中ばかりではない。
 事務をメインにしている風紀委員や、一般学生もいる。
 そんな芸当、一日二日で出来るようになるわけが無い。)

龍宮 鋼 >  
(じゃあ何か他にやり方があるのか、と。
 ギャラリーの中からそんな声があがった。)

まァ無くはねェけどよ……。
――しゃァねェな、おいヤス。

(ヘイ、とヤスと呼ばれた少年が短い棒を持って自身の前に立つ。
 先ほど構えていた風紀委員よりケンカ慣れした雰囲気。
 自身はやや脚を開き、両手をだらんと下げて立つ。
 ヤス少年が一歩を踏み出し棒を突き刺すように真っ直ぐ繰り出してくる。
 それに対し、右脚を後ろへ置いて左足を思い切り前方へ突き出した。
 蹴りはヤス少年の腹へ思い切り突き刺さり、ヤス少年は後方へ数メートル吹き飛ばされて床に転がる。)

こんな感じで蹴れ。
ナイフが来る方の脚で蹴れよ。
内側切られると血ィ止まんねェからな。

(これならある程度身体を動かせるヤツならなんとかなる。
 ギャラリーはなるほど、と言う顔をしていたり、ヤス少年を心配するような顔だったり。
 脚を怪我するんじゃ、と言う声も当然上がって。)

脚ィ切られたぐらいじゃ死なねェだろ。
――ま、こんなん通用するのは素人相手のタイマン時ぐらいだ。
応援来るまでしのぐぐらいにしとけ。

ご案内:「訓練施設」に霜月 零さんが現れました。
霜月 零 > ぼけーーーーーーーーーーーっと、集団の後ろの方で見ている青年。
元々の講習内容は「抜けてるっつーか……もーちょい詰めるとこあんだろ……」程度に思っていた彼だが、鋼の蹴りの教導にはわずかながら感心する。

「(ありゃーまあ、簡単っつーか誰でも理屈さえわかりゃー出来ることだ。そっちの方が幾分か実践的だよな)」

他にも色々あるとも思うが、単純かつ実践的な手ではある。
強いて言うなら……蹴りと言う「高等技術」を使うのが些かネック、と言った所か。

「(正統派の武術って感じはしねぇ。ストリートファイトの我流かね)」

そんなことを思いつつ、先程よりも少し熱を込めて眺める。

龍宮 鋼 >  
(講習をしていた生徒は「武術をやっている」と言うだけだから仕方ないだろう。
 とは言え、詰めればその技術の方が色々便利だとも思う。
 だからやれるヤツはそっちをやれば良いのだ。
 自然と生徒達は二つのグループに分かれはじめていた。)

力入れて蹴らねェでも、脚置いとくだけでも良い。
――言うまでもねェが、使えるモンあるならそっち使えよ。
その辺に転がってる鉄パイプでも良いし、ベルトってのも結構使えっからな。

(あくまで蹴りは最終手段だ。
 風紀でないのならまず逃げる事を考えるべきだし、二人以上いるなら一気に厳しい。
 適当に二人組みを作らせて、それぞれに練習をさせておく。)

――あん。
何見てやがんだ。

(そして視線に気が付いた途端この物言いである。
 肩眉を若干しかめ、あっという間にザ・ヤンキー・ガン・スタイル。)

霜月 零 > 「(足を置くだけでいい…っつーのは、大陸の拳法に見られる思想だな。退歩、だったか?)」

聞きながらのんびりと考える。
しっかりと構えを作って、後は腕や足を置いておけば、相手が突っ込んでくるので勝手にカウンターとして機能する…と言う発想だった記憶がある。
霜月流にも、刀を置いておくことで相手の攻撃を迎撃、もしくは牽制する技術が存在する。

「(ま、使えるモンは何でも使え、は正論だな。石投げるだけでも大分違う)」

零のように常日頃から帯刀している例外を除き、基本的な人間は素手で状況に立ち会うことになる。
その場合、武器を調達できるかどうか、は生存率に大きく関わると言っていいだろう。

「―――あ、いや、話してる内容が割と興味深かったんでな」

思いっきりガンを飛ばされると、両手を軽く上げて。
とは言え、太刀一本小太刀二本のザ・サムライスタイルはこの場では大層浮いている事だろう。

龍宮 鋼 >  
んな大したこと話してねェぞ。

(今度は何言ってるんだこいつ的な顔。
 そもそも別に睨みつけていたわけではなく、不良の癖のようなものだ。
 そしてこの程度の技術は落第街で暮らすものであればある程度知っている。
 この研究会が自分のようなものを排斥しないのは、その技術を得ようと言う目的もあるのだろうとは思うが。)

つーかオマエ得物持ってんじゃねェか。
何しにきたんだ。

(別に馬鹿にしているわけではない。
 対武器の素手戦闘がこの研究会の目的である。
 だからそこに武器を持ってきた彼の事を不思議に思っただけだ。
 勿論武器を持ってきてはいけないわけではないし、むしろ武器を使うものの意見も聞いたほうが色々役に立つだろう。
 いかにもな不良である自身の口調ではそう取られないかもしれないが。)

霜月 零 > 「大したこと話してねぇのがいいんだろ?そんなガチの高等技術話したって出来る訳ねーからな」

そこは、武術家としての実感を込めて。
確かに、素手で武器を相手に上手く立ち回る護身術は数多ある。
だが、それはある程度鍛えて、ある程度練習してやっと使えるかもね?程度のものであり、ちょっと講習を受けた程度で簡単にできるものではない。
寧ろ、この手の講習は基本に終始する方が無難であるとさえ零は考えていた。

「あー、俺はアレだ、誘われてっつーか。妹に言われて来ただけだ」

武器のことを言われ、肩をすくめる。
零の妹…芙蓉は風紀委員だ。
この講習のことも彼女から聞いたのだが、曰く「人数少ないとアレだから来て」との事。
その当人は見回りで来れないようだが。
零としても「どんなことを教えるのか」が興味があったので来てみた、というわけである。
武器を持っているのは……普段の癖であった。

龍宮 鋼 >  
まァなァ。
さっきの兄ちゃんがやってたようなヤツなんか、十何年汗水垂らしてシュギョーしてやっと使えるかどうかっつーもんだからな。

(言って練習をしている生徒達を見渡す。
 短期間で身に付くような技術ではない。
 さっきやっていたのだって、型レベルが良いところだ。
 本気で刺しに来た相手には通じるかどうか怪しい。
 だからこそ自分も基本は逃げだと口にしたのだ。)

はーん、オマエもその口か。
ご苦労さんなこった――おいヤスいつまで寝てんだ。

(かく言う自身も教師に勧められた口だ。
 どうせ暇だしと来てみれば、ある意味来て正解だったかもしれない。
 彼の苦労をねぎらいつつ、未だ地面を転がって悶絶しているヤス少年を蹴っ飛ばす。
 何事か反論をしようとしたようだが、うずくまってリバース。
 よほど良いのが入ったようだ。)

霜月 零 > 「そもそも、素人が得物持ってる奴に立ち向かおうってのが間違いなんだよ。全力で助け呼びながら逃げるのが一番だな」

肩をすくめる。
そもそも、人間は本当の「殺意」に対してあまり耐性がない。
本当の危機に陥った時、型通りに動ける素人など基本いない。それをこなせるようにするためにも、たくさんの稽古が必要なのだ。

「ま、興味がなかったわけじゃねーしな……おい吐いてんじゃねーか」

呆れ顔で咎める。
とは言え本気と言うわけでは無く、やめてやれよ、程度。
ヤスと呼ばれた彼は可哀想だが、まあ、それ込みで彼女と一緒にいるのだろう、と言う判断である。

龍宮 鋼 >  
一般生徒はともかく風紀がそれじゃ示しつかねェからなァ……。
ま、正しい自信っての付けるぐらいがちょうど良いんじゃねーの。

(彼の言う事のほかに、人を殴る覚悟も必要だ。
 ケンカをしないものはそれが足りないから攻撃を躊躇ったり浅かったりする。
 対抗策があるというのは自信になったり心の支えになったりするから、これはこれで良いのかもしれない。)

俺は暇だわ。
あァ問題ねェよ――おい邪魔だ、退いとけ。

(何せ暴れるわけにもいかないし、ケンカが出来る相手もいない。
 その癖人の面倒まで見なければいけないのだから。
 とか何とか良いつつ、さっき生徒達に蹴りについて教えていた顔はイキイキしていたように見えたかもしれない。
 ヤス少年は蹴られつつも四つんばいで部屋の隅に移動し、横になってしまった。)

霜月 零 > 「まあ、風紀は……弱いと話にならねぇからな。
寧ろあの程度じゃヌルい。殺し、殺される実戦の心得が必要だ」

そう語る顔は、瞬間表情が消える。
その目はどこか遠くを見ているようであり、言葉には異様な重みがあった。

「暇、ねぇ……にしちゃー結構生き生きしてたように見えたけどな?」

そのどこか遠く深い所を見るような眼は即座に鳴りを潜め、先程までの気だるげな顔に。
なんとなく、人に教えることが好きというか……教えること自体を楽しんでいるように見えていた。
ついでに、ヤス少年の方をちらっと見て溜息。小さく黙禱した。

龍宮 鋼 >  
――そんなもん表の奴等が持ってる訳ねェだろ。
持つ必要もねェ。

(殺すとか殺されるとか、そんな物騒な覚悟を持たれても困る。
 そう言うのは裏の人間にしか要らないものだと、目が語っていて。)

うるっせェな。
つーかオマエも暇してんなら付き合え。

(照れ隠しのようにガンガンと地面を蹴り付ける。
 その音は明らかに普通の靴の重みから鳴る音ではなく、硬いモノが仕込まれている音だ。
 立て、と言うように右掌を上に向け、指を二度三度折り曲げる。)

霜月 零 > 「駄目だ。この学園には、本当に殺意を持って襲ってくる奴だっている。
―――殺されてからじゃ。ひどい目にあってからじゃ、おせぇんだよ」

ましてや、そういう奴と向き合う可能性の高い風紀ならな…と、静かに口にする。
確かに、本当は生死の覚悟、常在戦場の心得などなくて済むならその方がいい。
だが……実際に力が足りず、大切なものを奪われた人間がいるのだ。
それを鑑みれば……この講習は、ヌルすぎるとも言えるのである。

「ぁー…でも、俺は剣術が専門だぞ?徒手空拳格闘術も一通りかじってるけど、やっぱ剣士の方が本業だ」

立ち上がりつつ、首をコキコキと鳴らしながら。
実際、零は徒手空拳でも決して弱くはない。
だが、剣を使った方が明らかに強い、と言える程度の実力でもある。