2017/04/30 のログ
■イチゴウ > 金属のドアが重々しい音を立てながら開くと
その中から奇妙な四足ロボットが歩いてくる。
「さて・・・スピードが足りないんだよなあ」
そんな事をぶつぶつ呟きながら
操作盤に向けてゆっくりと進んでいく。
そして操作盤につき辺りを少し見回せば
何か見覚えのある人影。
「あれは・・・風紀の狙撃手だったか。」
与一の姿を横目で確認しつつも
自身はコンソールの操作を進める。
■飛鷹与一 > うーん、とあれこれ悩んでいればフと金属のドアが開く重い音と聞き覚えのある機械の足音。
そちらに何気なく顔を向ければ、そこには以前出会った四足歩行のロボットだった。
(あれは…イチゴウさん、だよな。ロボットが訓練…何だろう、変に新鮮な感覚だけど)
ともあれ、そちらをなんとなく眺めてみる。どういう訓練をするのか興味があるらしい。
と、いっても彼の訓練は自身の参考になるかどうかは分からない。そもそも戦闘方法がかなり違うだろうし。
(…いやいや、それ以前にイチゴウさんの戦いぶりとか見た事ないからなぁ俺)
噂では聞いているが、その現場を目撃した訳ではない。確か、先日は港で何かを討伐したとか小耳に挟んだ気がする。
■イチゴウ > ーー記憶メモリーから情報抽出完了。
ーー抽出情報を施設サーバーに転送完了。
ーー情報処理中・・・
イチゴウがコンソールを操作し終えると
施設内部に無機質なアナウンスが響き渡る。
それと同時にイチゴウは
戦闘エリアへひょいっと入り待機する。
そこから数十秒たつと施設の奥から現れたのは
一体の短剣を持った小柄な人形。
その人形は人間の視力では捉えきれないほどの
猛スピードで迫るが
イチゴウは難なくサイドステップで避け
そのまま飛びあってから左前足を
人形にむけ振り下ろせば
魔力で強固にコーティングされた
訓練用人形を文字通り粉砕してしまう。
ーー目標撃破を確認、訓練終了。
「・・・違う。遅い、その上に単調だ。」
何やら小難しそうに顔を傾けながら
しばらくの間考え込む。
■飛鷹与一 > 施設に流れるアナウンスを聞きつつも、そういえば挨拶くらいしておかなければ、と思っていたら既に彼は戦闘エリアに入ってしまっていた。
流石に勝手に入るのはアレなので外で見ている事しか出来ない訳だが。
「…対人戦闘訓練、かな。それに武器は…短剣?」
現れた彼の訓練相手を眺めて首を傾げる。小柄な体格の設定だ。
戦闘訓練が開始されれば、”人間の視力では捉え切れない”速度で迫る人形。
前なら少年も見えなかっただろうが、バッチリ見えている…もともとの視力と異能の影響だろうか。
(速い…けど、直線的過ぎる。アレじゃあ…)
案の定、イチゴウはサイドステップで避けて左の前足で人形を粉砕してしまった。
訓練終了ではあるが、彼は何かを考え込んでいるようだ。
とはいえ…。
「……俺にアドバイス出来る事は何もなさそうだよなぁ」
助力くらいはしたいが、そもそも少年は残念ながら接近戦は強くない。
それでも、体術を習っているのである程度の白兵戦は出来る。
ただし、それも素手限定だ…武器、特に刃物に関しては完全な素人なのである。
■イチゴウ > 「まだ情報が少ないな・・・」
イチゴウは一通り考え終えると
先程横目で確認していた与一のもとへ
ガシャガシャと歩いていく。
そして目の前までたどり着けば
与一を見上げて
「やあ、与一。こんな所で会うとは奇遇だな。
射撃練習か?」
結構気さくな感じで声をかける。
機械らしい合成音声でしゃべっているが
その口調はどこか人間くさいものだ。
■飛鷹与一 > 「あ、えぇどうもイチゴウさん。いや、今回はホラ、この通りスタンロッドだけです。異能と魔術を中心に訓練しようと思いまして」
気がついたら彼の方から先に挨拶してくれていた。あわててこちらも会釈交じりに挨拶を返しつつ。
実際、今回は狙撃銃も、とある知人のアドバイスで近接火器として持ち歩くようになった散弾銃も携帯していない。
「えーと、イチゴウさんの方は今見てましたけど戦闘訓練、ですよね?」
見たまんまではあるが、そのニュアンスは不思議そうではあった。
何故なら、彼が先ほど”これは違う”という感じで考え込んでいるように見えたからで。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■イチゴウ > 「なるほど。近距離戦闘も行えるように
訓練しとけばかなり心強い。」
与一は並外れた狙撃技能の持ち主であるが
これに近距離での強さと異能魔術が加われば
実際風紀の中でもトップクラスの実力者となるに
違いないだろう。
本人がそれを望むかは別の話だが・・・
「ん?今のはボクの記憶データを
取り込んだ仮想敵さ。恥ずかしながら
前に案件で追っていた暗殺者にやられてしまってね。
そん時のデータだよ。ただ情報が少なすぎるせいで
再現できたのはソイツの驚異的な速さだけ、
それ以外は全く再現出来てなかったな・・・」
訓練を見ていたという与一に対して
残念そうな口調でそう言葉をとばす。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「知人から今度ナイフ格闘も習おうかと思ってるんですよ。
接近戦もある程度こなせるに越した事は無いですしね。
それに、異能や魔術も平行して鍛えておかないと…一応、俺の基本は遠距離からの射撃…支援が主ですしね」
と、小さく肩を竦めて笑ってみせる。射撃技能に限れば、目の前の彼も唸る程の異常さだが…。
その分、白兵戦闘に関しては現時点では風紀委員会でも下位なのは間違いなく。
もっとも、そうして強くなるたびに彼が忌避する「殺人」に近づいて行くのだが。
「暗殺者…そういえば、風紀委員会の人が何名か捕縛とか調査を展開してる、と聞いたような?」
暗殺者の事に関しては彼も多少は聞き及んでいる。無論詳細は彼ほどは知らない。
ただ、暗殺者はかなりの数が居るだろうが、彼がやられたとなると…凄腕なのだろう、たぶん。
「確かに、”動きは見えてましたけど”単調というか直線的でしたね…」
と、そこは彼に同意するように頷く。彼のイメージでは暗殺者は奇襲とか不意打ちで一撃で決める感じだ。
そんな真っ向から直線的に来るのはまずあまり居ないだろう。
■イチゴウ > 「暗殺者の件については風紀でも問題視されてて
特に今二人程やばいのがピックアップされてる。
スラムとかで暗殺屋自体はかなりの数
しょっ引かれてるけどこの二人は
捕まるどころか情報すら出てこない。」
ハハハと笑いながらイチゴウは
いかにも困ったなと言わんばかりの口調で
そう言い放つ。
「それとーー
さっきの訓練用の人形の動きを視認できてたのか。
普通の人間じゃまず捉えられないと思うが
それも狙撃技術の一つなのか?」
先程の人形の動きを捉えられたならば
間違いなく人間卒業を完了している。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「…二人…ちなみに、姿形も分からないんですか?」
自分はまだ一般的なポジションなのもあり、そんな凄腕の暗殺者の調査、捕縛のお鉢は回ってきていない。
まぁ、そんなのと遭遇したら自分なぞ瞬殺されそうではあるが。
と、いうよりその二人がどれだけヤバいのかがいまいちピンと来ない。まぁしょうがない話ではあるが。
「…え?いや、素の視力だと流石に。俺、異能の一つが視覚に関するもので、それと元々の視力を合わせただけです」
と、流石に補正なしでは見えませんよ、と苦笑いで告げる。
逆に言えば、異能の補正があれば少なくとも動きは見えるという事だが。
彼自身はやや卑屈な性格もあり謙遜するが、既にもう人間一部止めてる気がしないでもなく。
ちなみに、狙撃に関しては完全に素の視力だけで目視したりしている。
■イチゴウ > 「そのうちの一人に負けたんだよ。
まあ、認識阻害の仮面をつけられてて
素顔は解析もできずに全くわからなかったんだが
”白く”て”小柄”で”速い”・・・
そして飛んでくる大口径弾をも切り裂く
凄まじい”刀の技術”を持っていたんだが
何か心当たりはあるか?キミの知っている
奴らの中でこれに少しでも該当するのはいるか?」
伝わりにくいのは承知で
与一に情報提供を呼び掛ける。
情報というのはある意味では
最強の武器と呼べるものであり戦いには
必要不可欠である。
「ふむ異能か。というかこの島の人を
相手に毎回思うんだけど
異能って奴は便利そうだな。
あいにくボクは異能や魔術を解析する事は
出来ても自分で行使する事は出来ないからね。」
羨ましそうともとれる口調で
そんな事を呟く。異能魔術を相手にするのに
異能魔術を使わず科学の力のみで対抗する
というのがこの戦闘ロボットの
一つのコンセプトであるのだが。
■飛鷹与一 > 「認識阻害――…?それはまた…って。白くて小柄で速い――…?」
何だろう、知人に一人偶然にも該当者が居るような気がするんだが気のせいだろうか?
しかも、彼女の武器は刀だった気がする…内心で動揺するが、そこは表情に出ないだけ助かった。
(…いや、まさかな…けど、偶然の一致――なのか?)
いや、自分はもう薄々は勘付いているのではないか?と、思いつつも結局、判断が付かず彼には知らないと首を横に振るだろう。
むしろ、逆に「イチゴウさんの知り合いでは居ないんですか?」と、問いかけてみる。
いや、そもそも彼の知り合いに居たらもう彼の事だから調査はしているかもしれない。
(…と、いうか認識阻害か…俺の『天眼』ならもしかしたら突破でき…いやいや、その前に殺されるのがオチだ)
「……異能は便利なだけじゃないですよ。力やリスクは千差万別、面倒な異能だって数多くあります」
実際、少年の持つ力も片方は正直呪いに近いレベルだ。彼の言葉に、珍しくだが不快感を顔に出す。
とはいえ、別に少年は異能者を嫌ってるとかそんな事は無い。
あくまで自分の異能が嫌いなだけだ。生まれてからの付き合いなので、もう諦めているが。
「むしろ、魔術にも異能にも頼らない生粋の武芸者とかイチゴウさんみたいなロボットとか。
そういう強さの方が俺は凄いと思いますけどね。分不相応の力なんて持つべきじゃない」
溜息と共にそう告げる。少年が自分の異能への見解をここまで口にするのはこれが初かもしれない。
■イチゴウ > 「いや、ボクの知り合いの中で
あんな戦闘を見せたのはいないな。」
勿論自分の知人にも調査のメスを入れているが
そもそも戦闘スタイルを見た事が無いのが
大半だ。そんなこんなで調査が非常に難航している。
「キミの知人にはいないのか?
まあキミはまっとうな風紀委員っぽいし
そんな輩との交流がないのが普通なんだがな。」
汚れている自分と対比させ与一から少し目をそらしながらそう口走る。
「確かに異能については制御できていないヤツの話をよく聞く。
むしろ健全なヤツが異能暴走をかまして消されるっていうケースもあるからな。
だけれど異能に対抗するのは異能が一番手っ取り早いんだ
それ以外で対処するには相手の弱点をじっくりと分析してから
その弱点を突く必要があるからね。
そしてその間に大量のヒトと金が消えていく。
だから異能を人工的に生み出せない人間は
消えていく人命と資材を代替するために
ボクを作り出したってワケなんだけれども。」
軍所属時代を何となく思い出しながら
そう静かに呟く。
■飛鷹与一 > 「…ですよね。と、いうか俺って真っ当…なんですかね?まぁ、それはそれで嬉しいですが」
実際は、この少年も中々に『アレ』なのだが、イチゴウから見れば少年はやっぱりまともな部類なのだろう。
実際、人殺しの才能がありながら出来る限りそれを避け続けているのだから。
「……まぁ、俺はそういう事情とか正直ピンと来ない元・一般人なんでアレですが…」
苦笑い。静かに呟く彼に自称凡人の自分がどういう言葉を掛けたらいいのか分からない。
そういう所が、彼がこの少年をまともだと判断した一因なのかもしれないが。
「…異能を渇望する人にそれが無く、逆に欠片も要らない人にそれがある、かぁ」
自分は無論…異能は凄いと思いはするが自信が欲しいとは思っていなかった。
それが、結果的には異能2つ持ちというのだから何とも言えない。
(そもそも、片方が先天性の異能で呪いじみてるってのもどうなんだか)
『死を捻じ曲げる』とか自分の力ながらイマイチ理解不能だ。
気を取り直すように一息吐き出して。
「まぁ、えぇと話は戻りますけど暗殺者?について何か分かったらお知らせします。
まだ特定の部署に所属してない一般風紀委員の俺が得る情報なんてたかが知れてるでしょうが」
■イチゴウ > 「能力を望んでいないヤツ程
そういったものに目覚めるか・・・
何とも皮肉な話だよなあ?」
まるで笑えない冗談だとでも言うかのように
吐き捨てる。だが能力が目覚めたが故に
性格がねじ曲がり真っ当な奴が
汚れた道に染まるというのはよく聞く話だ。
「情報提供ほど助かるモノは無い。
よろしく頼むよ。しかしまああの時は
調子乗って慣れない戦術をかまして
失敗したが次会った時は本気で叩き潰してやる。」
一応任務が失敗しお偉いさんから
グチグチ言われた事に関して
このロボットは一つの屈辱と捉えている。
「ああーそれと。」
何か思い出したように声を鳴らす
「まず無いとは思うけどソイツ等に関する
情報を持っているにも関わらず提供しないとか
ソイツ側に加担するとか
つまりかばうなんて事はするなよ?
もしそんな事をしたら」
「わかってるな?」
与一の目を一直線上に狂いなく捉えながら
放ったこの一連の言葉は先ほどまでとは
打って変わって人間味の失った
冷たい口調であった。
■飛鷹与一 > 「まぁ、世の中皮肉も結構有り触れてるもんだと思いますし…」
困ったように笑顔を浮かべるしかない。望んでないのに力がある一人としては。
”真っ当な奴が汚れた道に染まる”。それになりかねないのが己なのだと自戒する。
「……イチゴウさん、相当フラストレーション溜まってますね…」
本気で叩き潰す宣言をしている彼に、こちらは乾いた笑顔を返してそう述べるしかない。
もっとも――打って変わって、こちらを見据えまるで冷徹な機械そのものとなった彼からの”警告”に心臓を鷲掴みにされたような怖気が走る。
――自分は機械ではないし狂ってもいない。人並みに恐怖は普通に感じるのだ。
異能を発動していない今は、その瞳には何も映らないが…もしかしたら、彼と戦わなければならない日が来るかもしれない。
(――いや、どう足掻いても俺が殺される未来しか浮かばないんですがコレ)
いや、異能の効果で死ぬ事はないだろうが手足の一本くらいはおしゃかにされそうだ。
「肝に銘じておきます…と、俺は先に上がりますね。それでは」
何とか平静を装ってそう返しつつ会釈。そのまま彼の脇を通り過ぎて歩き出そうと。
(……確証は無いけど、もしそうだとしたら――ああもう、何か悩みが増える一方だ)
憂鬱な内心を押し殺しつつ、死んだ瞳の少年はそのまま訓練施設を後にするだろう。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から飛鷹与一さんが去りました。
■イチゴウ > 「ん?ああ上がるのか。
近距離戦闘の訓練頑張ってくれよ。」
自身の横を通り過ぎて
訓練施設を後にする与一に言葉をかける。
「・・・まあこの島じゃ
マトモに死ぬヤツの方が少ないんじゃないか?」
不意に思ったことを
まるで息を吐くように呟けば
自身もまたこの訓練施設を後にする。
ご案内:「訓練施設」からイチゴウさんが去りました。