2017/05/12 のログ
飛鷹与一 > 「まぁ、一朝一夕で出来るものでもないですし、そこは地道に鍛錬と実践あるのみ、ですね」

手足の一部になるにはまだまだだ。それも、警棒を使っている間に、短い武器の扱いには少しずつ慣れてきたけれど。
刃物使いの狙う場所は頭の中に叩き込んで置きつつ、彼女の問い掛けには…

「じゃあ、折角ですし軽く動くくらいは」

と、構えをまずは意識しつつ。持ち方は通常の順手持ち。半身で左腕は見えないようにしつつ、正中線を隠すような構え。警棒の先端は彼女へと向けられており。

柊 真白 >  
じゃあ、攻めるから捌いて。

(彼が構えるのを待って、動く。
 待ってと言うよりほぼ構えるのと同時に動いた。
 木刀を逆手に持ち、彼の警棒に引っ掛けるように横殴りに振るう。
 速度は抑えてはいるが、それでも彼からすれば充分に速く、反応出来るか出来ないかのギリギリの速度だ。)

飛鷹与一 > 「……っ!?」

いきなり過ぎるが、既に警戒していたので何とか反応は出来た。
とはいえ、そもそも彼女が加減してくれているとはいえ元々の反応速度が全然違う。
横殴りに引っ掛けるように振るわれた木刀。それが警棒が接触した瞬間、先ほどと同じ要領で手首を捻り警棒を回しいなす。
無論、それで安心してはいけない。捌けと彼女は言った。すぐ次が来るだろう。正直、反応できるかギリギリだ。
だから次の一手を先読みする暇すら無い。異能や魔術を使えば凌げるだろうが、それでは訓練にそもそもならない。

(…そもそも、速度と技巧派の真白さんの攻めを捌き続けるなんて結構無茶だろうこれ…!)

とはいえ、加減してくれているからこそ反応できるとも言える。加減無しだったら一瞬で勝負が付いているだろうし。

柊 真白 >  
(警棒を引っ掛けて引っ張るつもりだったのだが、いなされた。
 なるほど基礎は確かに出来ているらしい。
 ならばとこちらも手首を返し、手首に木刀を引っ掛けて手首を挟んで極める様な動き。
 同時に腕の内側の腱の辺りを斬るように。
 成されるがままであれば腱か動脈を斬られるし、それを防いだとしても武器を持った腕を絡めとられるだろう。)
 

飛鷹与一 > (…と、いうか最初の不意打ちをいなせただけでも初心者としてはマシな方だと思いたい…!)

しかし、続いて彼女の攻撃でこちらの警棒を持つ右手の手首に木刀が引っ掛けられる。為す術なく、この時点で動脈をバッサリ切られていただろう。
…が、そこで無意識に染み付いた体術の動きが顔を覗かせる。
反射的に右足を鋭く膝蹴りのように振り上げ、彼女の木刀を持つ右手を下から突き上げて落とさせようという動き。

(…あ、もう動脈切られてるのにこれって意味の無いカウンターでは…)

柊 真白 >  
(流石にそこまでの対応は出来なかったらしい。
 木刀だから実際に斬れはしないが、狙い通りに彼の右手首を「切り裂く」。
 その直後に放たれた膝蹴り。
 彼に合わせた速度では流石にかわせず、柄頭ごと右手を蹴り上げられた。
 しびれる右手に顔を歪めつつ、後退。
 カラン、と木刀が床を転がる。)

――それでいい。
動脈を斬られても即死するわけじゃない。
止血すれば血は止まる。
格上相手に逃げる隙を作ったなら充分。

(刺されたのが腹とか喉とかならば意味は無いが、腕であれば意味はある。
 実際こうして武装解除して距離を取れたのだ。
 あとは左拳辺りを右脇に挟んで止血しながら離脱すれば無事生還だ。
 ナイフを拾いながら、及第点だと告げる。)

飛鷹与一 > 一応、異能を使えば彼女の速度も見切る事は出来るのだがそもそも、これは異能や魔術の訓練ではない。
ただ、まだまだ素人中の素人である少年は現時点ではこの程度が関の山。
加減してくれたとはいえ、彼女の速度に一度だけでも対応できたのはマシであろうか。

「…すいません、つい反射的に。まぁ、近接戦闘に慣れた相手に真っ向からは無理がありますし。
少しでもスキを突いて、逃げる時間を稼げればそれで十分です」

即死しない自動発動の異能があるとはいえ、血は出るし痛みは感じるし、失血で貧血状態にもなる。
少年の本領はあくまで射撃であり、近接戦闘はあくまで補助だと頭に刻んでおこう。

その時に、覚えている魔術などを活用すればおそらく離脱も不可能ではないだろうし。

「…ん、でもまぁ大前提は掴めた感じですし。真白さんありがとうございます」

改めて軽く頭を下げる。しかし、彼女にはしょっちゅうお世話になってる気がする。
彼女の右手の痺れも、そんな強い一撃ではなかったから直ぐに抜けていくだろう。

柊 真白 >  
いいよ。
こういうのは身体を動かして覚えないと出来ないから。

(動けるのであればガンガン身体を動かすべきだ。
 幸い身体を動かすと言う点では基礎が出来ているし、武器を使う動きを染みつけていけばすぐコツを掴むだろう。)

――そういえば。
前、私の動き見えてたよね。

(ふと以前の射撃訓練の事を思い出す。
 あの時は今より距離が離れていたとは言え、今よりも速く動いていた。
 見えているなら今の攻防ももう少し上手く対応出来たのではないか。
 射撃時にしか使えないのかと気になって聞いてみた。)

飛鷹与一 > 「ああ、師匠にも同じような事をよく言われましたね。頭で理解するより体に叩き込むほうが早い、という感じでしたが」

基礎は出来ている、という点がこういう形で役に立つとは思わなかったが僥倖では或る。
少なくとも、完全にゼロからのスタートではないだけマシといえばマシか。

「…ハイ?…あ、あ~~…それ、俺の異能だと思います。天眼っていうんですけど、複数の「視覚」に関する力が内包されてるみたいです。
あの時に真白さんの動きを「先読み」して射撃したり、実際動きだけなら見えてましたしね」

ただ、あくまで「見える」「見切れる」だけで少年の身体能力がアップする訳ではない。
アレは先読みで彼女の動く方向などを事前に予測していたから、先手を取るように速く動けただけ…少年の反射神経などは変わっていない。

「あと、狙撃でスコープ要らずなのもこの目の力なのかな、と。元から俺は視力が良い方らしいですけど、それに異能の補正で正確な射撃が出来るとか」

柊 真白 >  
咄嗟の時には考えてる暇なんてないから。
身体が勝手に動くくらいがちょうど良い。

(極めてくれば咄嗟の思考の有無が生死を分けるが、彼にはそこまでする必要は無いだろう。
 むしろ思考は邪魔な場面が多い筈だ。)

――。
なんで使わなかったの。

(じとっとした目。
 使えるのであれば使った方が良いに決まっている。
 とっさに使えないのならともかく、訓練だからと言う理由で使わなかったのか。
 どういうつもりだと言うように視線を尖らせる。)

飛鷹与一 > 「…あのですね、「複数」の力が内包されてるんですよ?オン・オフだけなら何とか出来ますけど。
正直、俺には扱い切れないというか最初から異能を使わない方がマシです。
使えるなら使うに越した事は無いですが、今の俺には手に余ります。
ただでさえ、もう一つ生まれつき持ってた異能と併せて異能2つ持ちで大変なんで…手が回りませんし」

と、正直に暴露する。と、いうか異能で苦労しているのですごく深い溜息を零す。空気までドンヨリするレベルで。

柊 真白 >  
――。

(ぱちくり。
 彼の告白に目を瞬かせる。
 まさかとっさどころか普通に扱い切れないものだとは思わなかった。)

――それは、ごめん。

(だから謝るしかない。
 どんよりした空気に慌てるように、落ち着きのない視線をあちらこちらに飛ばせば、部屋の隅にある箱が目に留まった。
 自分が持ってきて、刀と一緒に置いた箱。)

え、と。
与一くん、甘いものとか、好き?

(そう聞きながら小走りでそちらへ。
 箱の入った袋を右手で拾い、歩いて彼の側へ。)

飛鷹与一 > 「…と、いうかですね。俺だって自由に自分の意思でちゃんと使えるようにはなりたいんですよ?
でも、地味にストレス溜まるんですよ?それに、カリキュラムとか組んでも必ず成果が出るとは限りませんし。研究所でモルモット扱いもカチンと来ますし。そもそも――…」

相当にストレスが溜まっていたのか、普段の少年からは豹変してズイッと彼女に詰め寄って捲くし立てる。
と、いうか彼女が謝罪してくれているのだがそれも聞いちゃあいない。
何時もなら、慌てて我に返って自制するのだろうが歯止めが利かなかった。

「それに、正直2つも異能があっても荷が重…ハイ?」

彼女が一度小走りに離れ、あの刀と一緒においていた箱を持ってくれば我に返る。

「…え、あ、ハイ好きなほうですけど」

…と、いうか溜まった鬱憤を彼女にぶつけてしまった気がする。慌てて「すいません」と謝っておこう。
なまじ、彼女への信頼度がめっちゃ高いのでついつい愚痴とかも零したくなる。

柊 真白 >  
ええ、と、うん。
とりあえず、落ち着いて。
落ち着こう、ね?

(途端にまくし立てる彼の剣幕に少し押される。
 箱を取りに行きながら、宥めるように声を掛ける。)

落ち着くには、美味しいものを食べるのがいい。
特に甘いものがいい。
食べよう。

(そういいながら袋から箱を出し、その箱の蓋も開ける。
 中に入っているのは小さめのホールケーキ。
 生クリームとイチゴでデコレーションされた、ショートケーキである。
 袋に一緒に入れていた紙皿とプラスチックのフォークも取り出して、一セットを彼に差し出す。)

飛鷹与一 > 「……あ、ハイ。すいません少し落ち着きました」

何とか我に返ったから被害は最小限になった…と、思う。ストレスって怖い。
むしろ、彼女がたじたじになるのは結構珍しいのではなかろうか?
それだけ、今さっきの少年の剣幕は謎の迫力があったのかもしれないが。

「…では、真白さんのお言葉に甘えまして」

警棒を取り合えず縮めて左腰に戻しつつ、箱とその中身を拝見する。
小さめのサイズのホールケーキだ。クリームとイチゴのソレはケーキの定番とも言えるショートケーキ。
一緒に入っていた紙皿とフォークを受け取り、取り合えず手頃なサイズに切り分けて頂くとしよう。

「…えーと、いただきます」

腰を下ろして食べ始める。…甘い。そして中々美味しい。地味に糖分不足だったから尚更そう感じる。

柊 真白 >  
――。

(ホールケーキをいきなり切り分けた彼。
 食べようと言ったのは自分だ。
 そして彼はそれに従って食べた。
 間違ってはいない。
 間違ってはいないのだけれど。)

――食べようとは、言ったけど。

(不満そうな顔を見せる。
 しかし食べてしまったものは仕方が無い。
 こちらも適当な大きさに分けて、皿に乗せる。)

――言ったのは、私だけど。

(しかし不満そうな顔は引っ込まず、恨めしそうに形を崩したケーキを睨みつける。)

飛鷹与一 > 「………?」

何か不満そうな彼女の様子に不思議そうに、一度食べる手を止めるが何か粗相をしただろうか?
もしかして、自分が切り分けて頂いたサイズが大き過ぎてそれに不満があったりとか…。

「…えーと、すいません。切り分けたサイズ大きすぎましたかね?もうちょっと控えめにしたほうが良かったでしょうか?」

勝手に切り分けてしまったのが矢張りマズかったのかもしれない。若干ケーキも崩れているし。
うーん、やらかしてしまっただろうか?と、思いながらもこういう場合はどうすればいいか分からない。

柊 真白 >  
大きさじゃない。
切り分けた事自体が不満。

(むすっと、しかしどこか寂しそうにぽつりと。)

今まで、一人だったから。
ここには二人しかいないし、蝋燭もないけど。
でも、やってみたかった。

(呟く言葉は、寂しそうな色を含む。
 別に大した事ではない。
 先に告げておかなかった自分に非があるのだけれど。
 やらなかったからと言って、命に関わるようなことではないけれど。)

――誕生日を、誰かに祝ってもらうと言うのは、やってみたかった。

(何のケーキかと聞いて欲しかった。
 何かの記念日かと気付いて欲しかった
 ――彼と一緒に、自分の誕生日を祝いたかったのだ。)

飛鷹与一 > 「………それは…」

思わず紙皿とフォークを落としそうになった。…これは、いかんとかそういう問題ではない。
彼女には色々と恩があるし、誕生日…は、初耳だが一緒に祝いたかった。

…が、それを自分でぶち壊しにしてしまった。どうしよう。取り返しが付かない。
年に一度ある事だ…が、逆に言えば今日を逃したらまた1年後。その時にお祝いできるかも正直分からないのに。

「………。」

無言で紙皿とフォークを一度置いて立ち上がる。そしてスマホを取り出して時間を確認してから。

「すいません、10分くらい待ってて貰えると助かります」

と、告げればいきなりダッシュで走り出す。そのまま一度訓練施設を後にするだろう。




――10分後。何やら凄い息を切らせて走りこんでくる。
…その手には、彼女が買ったであろうケーキと同じ箱。

「……ゼェ…ハァ…た、ただいま戻りました。…ゼェ…た、誕生…日…なら、ちゃんと…ハァ…祝いましょう…ゼェ」

と、息も絶え絶えにそう告げて笑いかける。彼女の買ってきたケーキは自分が先に手をつけてしまったので。

ちなみに、中身はちゃんとショートケーキ。が、トッピングで黒いチョコレートで「ハッピーバースデー・柊真白」というデコレーションがされている。
勿論、蝋燭なども中に入っている。これは別途購入した!けど心臓が破れて死にそう。
何せ、魔術を慣れない形でフル活用して超高速移動で往復したのだ。むしろケーキが無事なだけ奇跡である。

柊 真白 >  
気にしなくて良い。
ちゃんと言わなかった私が悪い。

(結局はそれだ。
 彼に今日が誕生日だと教えていなかったわけだし、ならばケーキを出す前に言うべきだった。
 彼は出されたものをただ食べただけで、彼に落ち度は一切無い。)

――あ。

(返事をする間もなく、彼は走り出してしまった。
 訳も分からず、そのまま彼を見送る。
 一人残された自分と、丸い形を崩したケーキ。
 黙々と一人で食べる。)

……?

(自分の分のケーキがほぼ全てなくなる頃、彼が戻ってきた。
 息切れの酷い彼の言葉は恐ろしく聞き取りづらく、しかし何を言おうとしているのかは伝わった。
 恐る恐る、と言ったように箱を受け取り、それを開ければ。)

――ばかじゃないの。

(自分が買ってきたものと同じケーキと、チョコレートで作られたプレート。
 そしてそれに書かれた自分の名前。
 こういう時は違うものを買えば違う味が楽しめるとか、そこまでしなくても良いのにとか。
 色々言いたい事はあるのに、そのどれも口から出てこなくて。
 その代わりに目から涙が零れてきて、わざわざ買ってきてくれたケーキに涙が落ちないよう、右手で顔を覆う。)

飛鷹与一 > 息が苦しい。本来、少年は熱量操作魔術というものを得意としているが、それを活用して超高速移動で往復はしんどかった。
魔力が欠乏しているのではなく、体への反動が地味にあったのだ。
が、そこまでしても新しくケーキを買い直し、プレートも添えて貰い、蝋燭もちゃんと買ってきた。
このくらいはお詫びとしてせねばなるまい。矢張り誕生日はきちんと祝うべきなのだ。

で、流石に限界なので彼女の隣にバタンと倒れつつ…親指でサムズアップ。

「…改め…まして…。…誕生日…おめでとうございます…真白さん…」

と、涙を流す少女に何とか告げてから暫く息を整えたりするのにそのままの姿勢。
少し時間が経過すれば、何とか体を起こす程度には回復するだろう。

柊 真白 >  
――。

(言いたい事は沢山あるのに、言葉が出ない。
 ぐしぐしと目を擦り、ケーキの箱を邪魔にならないところへ動かして。
 そうしてから座る位置をずらす。
 彼の頭を自分の膝に乗せ、彼の額に手を置いた。
 しばらくそうして頭を撫でながら、涙が止まるのを待つ。)

――一緒に買って私の家で祝えば良い。
同じものじゃなくて別の種類を買うべき。
そんなに急いで、転んだらケーキが台無し。
蝋燭、私も持ってきてた。

(涙が止まれば、改めて言いたい事を全部言う。
 涙をこぼしながら文句やダメ出しの類ばかり口にするが、顔はとても嬉しそうな笑顔。)

――でも、うれしい。
ありがとう、与一くん。

飛鷹与一 > 「……お…おぉ?」

いきなり頭が浮いた、と思えば柔らかい感触…あぁ、これは直ぐ分かった、彼女の膝枕の感触だ。
「すいません…」と、謝りつつ暫くはこの状態にさせて貰おう。
色々と無理をして歩ける程度まで体力が回復するにはもうちょっと時間が掛かる。
額に手を置かれると、体が熱を持っていたのもありヒンヤリと涼しく感じる。

「……ハイ、ごもっともです。えぇ…。」

そして、駄目出しの嵐である。少年としては負い目もありグゥの音も出ない。
が、見上げた彼女の顔は涙もあったが、ハッキリと嬉しそうな表情に見えて――…。

「……どういたしまして真白さん。後で真白さんの部屋で改めて誕生日祝いしましょう。」

微笑を返す。こちらの失態を何とか挽回は出来た…だろうか?
そして、膝枕は名残惜しいがずっとこのままでも行けない。ある程度回復すれば、彼女の断りを入れてから起き上がるだろう。

柊 真白 >  
じゃあ、与一くんが買ってきてくれたケーキはその時に食べよう。

(彼が起き上がる頃には、こちらも涙は止まっている。
 彼の顔を覆うように見下ろしていた頭を上げ、身体を起こした彼へ残っているケーキを渡そう。)

――君は。
私の事を怖いとか、気味が悪いとか、思わないの?

(ふと気になったことを聞いてみる。
 今更ではあるが、恐らく自分がしていることを彼はなんとなく察しているだろう。
 それに人ではないのだ。
 血を吸うために人を襲う事はしないが、そう思われる事の多い吸血種と言う種族。
 この島では珍しいものではないものの、青みの掛かった銀髪と言う人とは違う髪の色。
 感情の読みづらい表情や、口から出てくる辛辣な言葉。
 それらは人を遠ざけるには充分な要素だと言うのに。)

飛鷹与一 > 「…ん、ではそうしましょうか」

何だかんだで彼女の笑顔が見れたから良しとしよう。もうちょっと女心も勉強しないといけないとも思いつつ。
回復してきたので起き上がれば、残っていたケーキを受け取り。
モグモグと美味しそうに平らげていくけれど、彼女から問い掛けられた言葉にキョトン、とした顔で。

「…いえ?綺麗だと思いますし、面倒見が良い方だと思いますけど。
気味が悪いとかは一度も思ったことがないですね…と、いうか思う理由も無いですし」

薄々、彼女がしている事を少年は察しているが、それを直接口にはしない。
ただ、それはそれとして別に彼女の事を気味悪いとか怖いと思った事は無い。
むしろ、どちらかといえば好意を抱いている訳で。それに色々と世話になっている。
…だから、そんなマイナス的な考えに至る要素が全く無く。

「…まぁ、取り合えず俺は真白さんをそんな風に思ったり避ける事はしないんで。
これからも遠慮なく親睦を深めていただけると幸いですね」

風紀の立場とかそういうのは今は関係ない。飛鷹与一という個人は柊真白という少女を肯定する。否定なぞしない。

柊 真白 >  
――そう。

(彼から帰ってきた言葉はやはりと言うか予想通りのものだった。
 聞かずとも返事は分かっていたけれど、改めて聞いておきたかった。
 隣に居て良いのかどうかを。
 座ったまま位置をずらし、彼の隣へ。
 そのまま彼の身体に寄りかかる。)

君は、――

(優しい人だ。
 その言葉は口に出せない。
 自分が安心するために側に置いているようで。
 自分が安心するためだけに彼を利用しているようで。
 彼の優しさにつけこんでいる自分は卑怯者なのかもしれないけれど。
 それでも、離れる事が出来ずにいる。
 とても、暖かいから。)

飛鷹与一 > 「……真白さん?」

座ったまま彼女がこちらの隣に移動してくる。そして、珍しくこちらに寄り掛かって来た。
大抵、先ほどの膝枕のようにこちらが体を預ける事が多かったので、これは少しドキドキする。
だが、退く事はせずに少年もそのままの姿勢で少女の体を支えており。

「……ん」

それ以上は彼女が口に出せずとも、何となく伝わったのか問い返しはしない。
別に、利用されようが傍に置かれようが。それは自身の意思でもあるし彼女が気に病む必要は無いのだ。
なので、こちらからも少しだけ体重を預けて二人でそっと密着しつつ支えあう形に。

(…今夜は…お泊りかなぁ)

何となく離れ難いし、この後、彼女の部屋で誕生日祝いをした後は泊まっていこうかと思う。

柊 真白 >  
(彼の身体は暖かい。
 自身の体温が低いと言うだけではなく。
 自分のように血に染まった者にはない暖かさがある。
 自分には無いそれが、心地良い。)

――さ、休憩終わり。

(しかしそれはそれ。
 今日は武器を使った戦闘の訓練が目的だ。
 立ち上がり、自分が持ってきたケーキの箱を部屋の隅へと戻す。
 その後はみっちり彼がぶっ倒れるまで追い込む。
 一度や二度身体を動かした程度で身に付くものではないのだから。
 その分家で誕生日を祝ってもらった後はたっぷりとお礼をするのだけれど。)

ご案内:「訓練施設」から柊 真白さんが去りました。
飛鷹与一 > 「……え?」

休憩終わり…だと…!?
そして、再び戦闘訓練の時間が始まるのだ。さっきまでの良い雰囲気はなんだったのだろう。
ともあれ、何だかんだでぶっ倒れるまで訓練した後は彼女の部屋へと。
改めて誕生日祝いをしてから、お礼もして貰うのであった。

ご案内:「訓練施設」から飛鷹与一さんが去りました。