2017/08/03 のログ
■鈴木竜一 > 良かった。この人は上限関係をあまり気にしないタイプの人だったらしい。
異邦人だって言ってたし,そういうのとは無縁だったのかも?
「笑わないでやってくださいよー。まだ慣れてないんっすから。
でも,兄さん怖い人じゃなくて良かった。怒られるかと思いましたよ。」
少なくともこの青年は安心したようだった。
この学園では,確かに学年と年齢も一致しないらしいし,あまり気にしなくてもいいのかもしれない。
「………?」
…その話ってどの話だ?そんな風に思うも言及せず。
「色々見た感じ,すっげー楽しそうだとも思うんすけど…
…正直,何の取り柄も無い俺がやっていけるか不安っすね。
ま,でも自由な雰囲気だし,自分で頑張るしかないって感じでしょーか。」
担任のセンセーがフォローしてくれたり,そういう感じではなさそうだ。
とっても気が楽だが,気を抜きすぎると多分ダメになるパターン。
「それに,俺はほら,兄さんほど真面目じゃないっすから。
公僕よりは道路工事のバイトでもしてたほうが似合うって気がします。」
少なくとも,目の前の貴方と同じような態度で委員会活動に臨める気はしなかった。
■セシル > 元の世界では学校の上下関係で上りきった後だし、色々あって鷹揚なのだろう。
厳密に上下関係があるような学校のシステムでもないし。
「ああ、すまん…だが、上下関係にやたら厳格なあり方が、少しばかり懐かしくてな」
そんな風に言って、ふっと、口の端を横に引くような微笑を浮かべた。
細められた青い目、整った顔立ち。
「まあ、何だ。「一番手」にならずとも出来ることはある。
先生方も頼れば応えてくれるし…根を詰め過ぎずに、地道にやっていけば得られるものはあるだろう」
「私だって地味なものだ」なんて言って、朗らかに笑う。
その、地道な積み重ねこそが大変なのだけれど。
「そうか…まあ、貴殿のあり方に干渉する権限もないしな。やりやすいように頑張れば良い」
委員会活動に後ろ向きな青年の態度を、咎めるでもなく人の良さそうな笑みを浮かべてそう言い、そして…
「………そうだ、話の腰を折るので先ほどは一旦措いたが、私は「兄さん」ではない」
そんな風に、しれっと告げた。表情を変えぬまま。
■鈴木竜一 > 逆だった。ということはやっぱり,この島がそういうのに緩いのか。
「あぁ,兄さんもここに来るまではそーいう感じだったんすね。」
運動部,とかそういうレベルのものではないかもしれない。
けれど少しだけ,親近感がわいたような気がした。勝手な思い込みかな?
何にしても,貴方が前向きな言葉を掛けてくれるものだから,竜一も少しだけ,やる気になりつつあった。
「でも,男としては何か1つくらいは一番手になってみたいもんじゃないっすか?
なんて,口で言ってても情けないだけっすね。やれることからやってみようかなぁ。」
貴方の力を知らないから,地味だという発言には何も答えられない。
地味とか派手とかじゃなくて,貴方には堅実とか厳格とかそういう言葉が似合いそうだ,と思ったりして…
「……え?」
…青年は固まった。兄さんではない。弟だとかそういうハナシじゃないだろう。
名前があるからそっちで呼べっていうわけでもない。
言われてみると,声は確かに少し高いし…言われてみれば,腰回りとか胸とか……
つまり,その……
「…………ごめんなさい,おねーさん。」
……やらかした。初対面でこれは大失敗だ。
ってか、何で男の制服着てるんだよ?!とか,内心パニックです。
■セシル > 「ああ。厳格でない分私のような者も紛れ込みやすくて、居心地が良いよ。
…なんて、「アウトサイダー」だからこその感覚かも知れんな」
そう言って、穏やかに笑った。
「アウトサイダー」。しぐさなどからすると似合わない肩書きであることこの上ないが、異邦人であることを言っているのだろうか。それとも…。
「ははは、頼もしいな」
「男としては何か1つくらいは」から始まる言葉を聞いて、朗らかな笑い声を発する。
これが若さか、なんて思っていたりするかも知れない。
「………。」
間接的なカミングアウトで、察してくれたらしい。固まる青年の様子を見て、苦笑いする。
「慣れているから、気にしなくて良いよ。
セシル・ラフフェザーだ。好きに呼んでくれて構わない」
そう言って穏やかに笑うセシルの様は、本当に「慣れている」のだと思わせるだろう。
握手の右手が、青年の方に伸ばされる。
なんで「慣れている」のに改めないのかとか、青年としては疑問が更に涌き上がってしまうかもしれない。
■鈴木竜一 > 「今の段階だと俺のほうがよっぽどアウトサイダーっぽくないっすか?」
この世界から見れば異邦人は確かにアウトサイダーだろう。
けれどこの学園から見たら,自分の方がよほどアウトサイダーじみてる気がする。
だって常識が,あまりにも,違うから。
「ぶっちゃけ,実際にはなーんにも無いっすけどね。
勉強も苦手だし,スポーツも偏ってるし…まぁ,のんびり探します。」
笑われても,馬鹿にされているのではないと分かるから,青年はそうとだけ答えた。
差し出された右手に,ぱっと立ち上がって…手汗をかいていないかちょっとだけ気にして,同じように右手を差し出し…
「俺は鈴木竜一です……えっと,この場合は…ラフフェザーさん,って呼ぶのが良いんすかね?」
呼び名をすこしだけ気にしたりしたがらも,貴方が本当に間違われることに慣れているのだと分かれば……結構本気で安心したようだった。
「……スマートなイケメンさんだと思ったんすけどね。かっこいい美人さんだったとは。
男子の制服を着てるとか,反則っすよ!!」
そんな冗談をいえるくらいには。
■セシル > 「………まあ、色々あるものだ」
青年の方がアウトサイダーっぽいかどうか。否定も肯定もせず、セシルは穏やかに笑った。
今までの朗らかさからすると不自然な、間。
「ここなら理解度に合わせて科目も授業も選びやすいから、勉強もしやすいかも知れんな。
………そういえば、スポーツは何をするんだ?」
興味をそそられたように、青い瞳がより真っすぐに青年へと向けられる。
「セシルでも、ラフフェザーでも、貴殿が呼びやすい方で構わん。
…よろしく、リュウイチ」
相手が出してくれた右手を握り、上下に振る握手。あまり「女性らしくない」、大雑把な力の入れ方。
手の形はどちらかといえば細いが、掌側はまめやタコばかりで硬くなっていた。
「ははは、褒めても何も出ないぞ?」
冗談も軽く受け流す。慣れ過ぎである。
「…まあ、男子制服を選んでいるのも色々あってな。
元々、小さい頃からこういう格好で育ったのもあるが…私が元いたところが、さほど肌や手足を露出しない文化だったものだから。
膝から下をまるまる出すようなスカートなど、とても穿く気にならなくて」
そう言って、柔和に笑う。…そういえば、男子制服というだけではなく、長袖だ。
■鈴木竜一 > 「苦労してる…って感じっすか。」
そこから何かを感じ取ったのか,それだけを言って苦笑した。
スポーツについて聞かれれば,少しだけ自慢げに,
「あぁ,陸上競技っすね。足の速さだけが取り柄って感じっす。」
そう答えた。
走るためだけに鍛えられた無駄の無い筋肉は,貴女のそれとはまた違う肉体美を作り上げているだろう。
「…正直らふふぇざーさんって言いづらいんで,セシルさんでもいいっすか?」
フが重なるあたりが難しい。噛みそうになる。
握手をした感じでは,柔道家か剣道家のようなイメージ。野球部なんかもそんな手をしていたかもしれない。
その手のひらの堅さは女性らしくはないが,貴女の努力を物語っている。
「残念っすね…
…ってか,別に何か出て欲しくて言うんじゃないっすけど,掌こんなになるまで練習するってすげーっすよ。」
それは素直な感想だった。
「あー…なるほど,それはけっこうデカいっすね。
この島に慣れても,服装はなかなか慣れないって感じっすか。」
元々の世界ではどんな服装が主流だったのだろう。
こういう格好,ということは,女性もスカートをはいたりしないってころだろうか。
聞いてみたい気もしたが,初対面で聞くようなことでもないだろう。
そのうち,機会があったら聞いてみよう。
「っと,そろそろ帰らないと。
色々失礼なこと言っちゃったし,また会えたら,そん時は何か奢りますね!」
さらりとそんなことを言って,立ち上がった。
それじゃ,なんて楽な挨拶をして,青年は去っていく。
■セシル > 「………あまりひけらかしたくはないが、そういうことになるかな」
こちらも、苦笑いを返す。
今となっては随分遠くなってしまったようにも感じられる、ゆるやかで先の見えない抑圧の日々。
「足の速さか…多くの運動で基礎になるな。
ここは学生が動かしている街でもあるし、実際に役立つこともあるんじゃないか?」
制服のせいで分かりにくいが、セシルも細身の身体にぎゅっと筋肉を詰めたような身体をしている。
「剣を振る」「戦う」都合上、筋肉のつき方は青年と異なってくるはずだが。
「ははは、構わないよ」
「言いづらい」と言われても、気にしたそぶりも見せず鷹揚に笑う。
有声音と無声音を意図して使い分けられれば割と何とかなる発音なのだが、そういったことを説明する語彙はセシルにはなかった。
「リュウイチが足の速さだけが取り柄というならば、私は、剣の腕が生きる支えのようなものだったからな。風紀委員を志望したのもそのためだし」
そんな風に言って、握手の後の手を腰に下げた剣の柄に伸ばして、軽く触れる。
きっと、元の世界から持ち込んだものなのだろう。
「美に関する価値観は、どうしても育った環境に依存するものらしいな。
こちらでの仲間にも「女性らしい」装いを薦められたりはしたが、元いた世界になかったようなものはどうしても抵抗感が拭えん」
そう言って苦笑する。
一応「女性らしい」装いも持っていないことはないが、動きづらいのもあって着る機会はなくなって久しい。
…と、「何か奢る」という青年の言葉に、困ったように笑って…
「…だから、気にしなくて良いと言ったのに。
まあ、機会があったらまた会おう」
そう言って、帰る青年を、ゆるく、ざっくりと手を振って見送ったのだった。
ご案内:「訓練施設」から鈴木竜一さんが去りました。
■セシル > 「………さて」
青年を見送って、改めて訓練施設を見渡す。
(…今日は剣を振るか)
話の流れで気持ちを惹かれたのか、今日の「身体を動かす」は剣術鍛錬にしたらしい。
セシルは、訓練スペースの1つに入っていき…そして、地味な基礎鍛錬をきっちりこなして、帰っていったのだった。
ご案内:「訓練施設」からセシルさんが去りました。