2018/02/23 のログ
■ジョゼフ・マーキン > 「・・・ふぅー。おぉ、やってるやってる。」
煙草を咥えながら訓練場へと足を踏み入れた。
先日の戦いで最近体がなまり気味だと感じた彼は、丁度いい相手を探しに来たのだが。
どうやら2人もいい練習相手になりそうな生徒たちが。
「お疲れさん、青春だねぇ。」
■筑波 察 > 「なるほど、お家柄ってやつなのね。その感じだと支障化誰かにずいぶん訓練された風だ。
僕は筑波察っていうんだ。よろしく」
名前を問われて名乗った。
あくまで興味を抱いているのはこちらで、彼は興味の対象という意識のようだ。
そして実家がそういう家系だと聞くと、何となく納得すると同時に、
剣術とかは代々受け継がれるれ色がつよいのかな?なんて。
今までの知り合いをおもいだして感想を抱く。
「えーっと、先生、かな?
青春って言っても、お互いはじめましてなんですよ。僕ら」
教員らしき人物に声をかけられると、ちょっと状況を説明してみせて>
■霜月 零 > 「ま、家にいた時は随分厳しく仕込まれたもんだよ」
芽が出るのは遅かったが、今の自分の基礎技術を見るに、やはり厳しく指導を受けてきたことには意味があったのだと感じる零。
だが、それ故に、それを活かし切れていない自分自身への焦りも内包していた。
ふぅ、と溜息を吐いた後、もう一人に視線を移す。
筑波が言うには、先生らしいが。
「ついでに言えば、会話の入りも入り、最初ってなもんで。青春って程のモンはないっすよ」
まあ、剣術の研鑽はもしかしたら青春に入るのかもしれないが……どちらかと言うと『一生かけて鍛え続けるもの』と言う印象を持っている零にとって、剣術はあまり青春感のないものであった。
■ジョゼフ・マーキン > 「あぁ、自己紹介がまだだったね。おじさんの名前はジョゼフ・マーキン。儀式魔術の講師をしてるよ。えっと、君が筑波君で、君が霜月君だね。よろしく。」
軽い自己紹介をすれば、2人のなりをみて無精髭を弄りながら笑みを浮かべる。
変なタイミングで出てきてしまったと思ったが、結構好都合かもしれないと。
「君達ここに来てるってことは目的は一つだろう?おじさんも同じ理由さ。ちょっちおじさんと遊んでかないかい?」
『仲良くなるきっかけにもなるかもしれないし。』なんて付け足してみる。本当は自分が戦いたいだけなのだが。
「素振りだけじゃ面白くないだろう?それに、先生ボコれるなんてなかなかないことだよ?」
なんてウィンクしていってみる。我ながらに引いた。
■筑波 察 > 「なるほど。島に来てみたけど思い通りにならない感じだろう?
僕もそんな感じなんだ。それでこの間まで引きこもってた」
何も聞いていないが、彼の口ぶりから察するにそんなところだろう。
技術を持っていても自分のものにできていない焦り。
力を持つものならだれもが抱く悩みだろう。
それでどうして引きこもることになるのかは別の話だが。
「遊ぶって言い回し、ちょっと危なくないですか?
僕なんて身体全然動かしてないですし」
それでも、先生なら僕たちの成績を把握しているかもしれない。
戦闘に長けた生徒であることを知っててそんな話を持ち掛けているのかもしれない。
なら、実戦形式で力を試すというのも、またありなのかもしれない>
■霜月 零 > 「まさにそれなんだよなー……自分なりの剣、自分だけの剣ってのが見つかんねーんだよ」
はぁ、ともう一度溜息。
零の場合は引き籠もってたわけでは無いし、寧ろ彼女作るなんてやらかしていたわけだが。
その彼女を守るというモチベーションのためにも、自分の剣を見出したい零である。
――十分青春していた、コイツ。
「あー……いいっすけど、俺そこまで連携上手くないっすよ?」
どちらかと言えば筑波の方を見やって。
霜月流分家流派の『霜月千武流』は、連携に特化した流派だ。
だが、零は本家の霜月流を主として学んでおり、千武流はほとんど手を付けていない。連携面に関しては、まあ出来なくない、程度のものなのである。
■ジョゼフ・マーキン > 「なぁに、殺意がないうちはまだ遊びさ、うちの世界では。」
こっちの世界ではどうかは知らないが、自分の世界では遊びだった。...たまに死人が出たが。
咥えていた煙草をポケット灰皿に入れれば人差し指をたてる。
「実戦じゃあ連携だろうがなんだろうがあんまり意味がない。結局は経験ってやつがものを言う。
それにさ、君は自分だけの剣が欲しいんだろ?型にはまってばかりじゃ掴めないものもあるってもんさ。」
霜月を指さしてはそう言う。
割といいこと言ったのかもしれないとドヤ顔で。
そしてその指を筑波のほうへ向ければ。
「君は話を聞けば引きこもっていたらしいじゃないか。実戦での空気と匂いをつかむことができれば殻を破ることもできるんじゃないかな?」
すごいいいこと言ってる気がする。と勝手にそう思い、ふふんと嬉しそうな顔をしてみる。
久々に先生してるような自己満足。
「そんで、どうする?」
■筑波 察 > 「遊びで命のやり取りをしている輩が、決して少なくないあたり、
この島は退屈しなくていいですね。
おかげで僕は特別になるために一苦労ですよ」
この島は闇が深い。
面白半分で首を突っ込んで面倒ごとになったことは多々ある。
特別にこだわるいびつさゆえに、退屈しなくてすんでいるが。
この二人はまだ僕の歪さを知らない。
「もちろん、暇つぶしとなまった体を戻す目的を持ってて、
自分だけの形を探す人間からすれば、またとない機会ですね。
連携に関しては気にしなくていいよ。
そこば僕の分野だから。君は僕を使うくらいの気持ちで言い」
連携に関してあまり自信がなさそうな彼に、そんな言葉をかける。
何か根拠があるわけではないのだが>
■霜月 零 > 「経験、か……」
うーん、と首をかしげる。
この学園に来てからそれなりに実戦経験は積んできたが、やはり総合的には不足している気はする。
そういう意味で、ここで一番やっておくのは悪くないかもしれない。
「んー、刃引きでいいなら。訓練禍は避けたいしな」
まあ、それでも死ぬ時は死んでしまうのだが……。
それでも、刃引きしないよりは安全なはずだ。
「連携が得意、ってわけか。そりゃありがたい」
筑波の言葉には頷きを返しつつ。
寧ろ、その連携を盗めれば成長できるかもしれない。
「そんじゃ、やるか。上手くやれるかはわかんねーけどな」
■ジョゼフ・マーキン > 「決まりだな。おじさんも久々に体動かすもんで...ちょっとばかし気合い入れちゃおうかな!」
笑みを浮かべれば、両袖から赤黒い液体を放出、形状が整い、硬化し、銃剣と化す。
大きく後ろに跳べば、距離を取り、両手に持った剣を構える。
「2人とも相性よさそうだ、頼もしいねぇ。次の世代が明るいとおじさんも晴れて退職できるってわけだぁ。
さてと...実戦形式の訓練だが、殺す気でかかってきな。保険には入ってるからさ。」
口の中を舌で弄れば、犬歯が鋭くなっていることを確認する。多少なりとも力を使わねば恐らくタコ殴りにされる相手だと、長年の勘がそう言っていた。
■筑波 察 > 「まぁ。訓練でけが何て笑えないからねぇ」
事故で死ぬのは仕方ない。
事故じゃないなら問題だ。
そして事故は防がれるべきだ。
そう言ってナイフにゴムラバーを、拳銃の弾を訓練用のものに弾倉ごと差し替える。
「君のタイミングで動いてくれ」
――実は連携とか初めてなんだよね。
そんなことをささやくと、教員の様子が変わったことに気付く。
なるほど、手は抜かないらしい。
それならこちらも本気を出さない理由はなかろう。
ゴーグルのバッテリー残量を確認して、スイッチを切り替える。
ナイフを逆手に握れば、体制を低く保って準備ができたことを伝えて>
■霜月 零 > 「ま、避け得ないことでもあるけどな」
言いつつ、金行を剣に纏わせる……普段は補強のためだが、今回は刃引き、剣の切れ味を削ぐためだ。
そして、刀を鞘に納める。
「……タダモンじゃねーな」
実家で妖魔を退治していたころに何度か感じた雰囲気。
少なくとも、相手を単なる人間と見てはいけないと感じた上で。
「いくぜ。 ――霜月一心流『十文字』!」
即座に間合いを詰め、高速の抜刀を放つ。
横薙ぎの一閃。だが、これは初手に過ぎず。
本命は二手目、斬り返しで「十」の文字を描くように真正面から斬り落とす。
居合を躱したところに斬り下ろしを重ねる連撃である。
■ジョゼフ・マーキン > 「なるべく怪我にならないように努力するよ。あ、でも打撲までは覚悟してってのもあるかなぁ...。」
苦笑いを浮かべればため息をつく。
相手はまだ自分から見れば子供ではあるが戦闘能力は相当なもの、下手に手を抜けば事故につながる。
「さてさて...。」
すんと鼻を鳴らせば、相手の行動に合わせ一歩踏み込み、左手の銃剣で初撃を弾き、右手の銃剣で二撃目を受け止め、鍔迫り合いの状況へ持ち込む。
「剣術かぁ...それに速いな...。こりゃあますます楽しくなりそうだ!!」
鍔迫り合いの状況を維持したままもう一人はどう動くかと再び鼻を鳴らす。さて、どう出てくるか。
■筑波 察 > 「先生はだいぶ鼻が利くね。
それから、案外脳筋に見えて細かいことが好きみたいだ。
その武器、面白いつくりをしている」
零が放った斬撃に対応するとき、呼吸をした時の空気の振動を見逃さなかった。
そして剣同士がぶつかり合った時の音から、筒状であることを感じ取った。
「僕はあまり異能に頼った戦い方は得意じゃなくてね」
零の背後から跳躍すると、頭を飛び越えて両者の間に割ってはいる。
落下の勢いを殺さないよう両手のナイフで先生の銃剣を挟み込めば、
そのまま体重に任せて刀身を下方に押し込もうとする。
それと同時に先生と対峙すれば、先生の視界から零を消すことに成功するだろう>
■霜月 零 > 「銃剣(バヨネット)の二刀たぁ、珍しいな」
思わず零す。十文字が綺麗に防がれた……こと自体はまあ、そこまで驚かない。
気になるのはその武器の特異性。扱い辛いが遠近両用の武器である銃剣は、相手取るには難しい。
などと考えている間に、筑波が自分とジョゼフの間に割って入る。
そして……ブラインドになってくれる。
「ありがてぇ!」
叫んで、自身は跳躍。筑波が銃剣を押し込もうとしていることにより、上段が空きやすくなっている。
そこにつけ込み、上空から自身を回転させることで威力を増した三連撃を放つ。
「霜月流――紅キ塁雨!」
空中に飛んで連打を放つことから精度は犠牲にするが、その分体重が十全に乗るため威力は折り紙付き。
筑波が抑え込んでいる内に斬り伏せんと襲い掛かる――!
■ジョゼフ・マーキン > 「お褒めに預かり光栄だね、おじさんも結構気にってんだ、これ。
って...やるねぇ、お見通しってかい...。こいつは...避けれない!!」
嗅覚、武器、性格。全部お見通しらしい。それに気を取られたせいで判断が遅れた。
こうして武器は押し込まれ、上半身はがら空きの状態。
「いい連携だ...だが、武器で戦うことに固執しすぎだ!!」
『血統よ、収縮、崩壊せよ。』三小節の詠唱の後、右の銃剣のトリガーを引く。
地面に放たれた弾丸は着弾と同時に破裂し、瞬時に血液の膜が自分自身を覆うようにしてスライム状の液体の防壁を張る。
同時に体を反らし、相手の攻撃を自身の左肩に命中させるように動き、液体による威力減衰と急所を外す。
「痛っ...なんつー威力だ...。だが、次はこっちだ。」
痛みで顔を歪ませるが、これは好機と口元に笑みを浮かべる。
『疑似崩壊』、一小節の詠唱による魔術の詠唱。
それにこたえるように血液の膜が正面の二人を押し出すかのように破裂した。
■筑波 察 > 「おおっと、身体能力は人間じゃなさそうだねぇ。
さすがに先生やってるだけあるっているか…」
視界を奪われたうえで斬撃を回避する身体能力は誤算だった。
そして先生の血液がまるで生き物のように動けば、一瞬の驚き。
この手の能力は人型を相手にするよりもやっかいだ。
「PULSE V=400」
液体に対して銃や刃物はあまりにも不利だ。
異能に頼らざるを得ないと判断すれば、
空気に対して一度だけ振幅を与える。
音速を超えたパルス波は硬い壁のように進む。
こちら二人を押し返そうと破裂する液体には十二分に有効だろう。
これで相殺すれば、あとは零が攻撃を続けてくれるだろうという判断で>
■霜月 零 > 「生憎、俺は剣士なんでね!」
剣士は、他の術も使う時は使うが、剣で戦ってナンボ。
剣を捨てれば剣士は剣士にあらず。剣へのこだわりは、剣士としての誇りでもあった。
「ちっ、異能か……!」
紅キ塁雨が防がれたことまでは想定内ではあるが、その後の異能は想定外。
恐らくは血液操作。ヴァンパイアなどにはたまにその手の能力を持つのがいるが、この教師もそうなのだろうか。
そんな事を考えつつ、もう一度紅キ塁雨を放つことで切り払おうと考えるが……。
「っ、助かる!」
筑波の異能が、その前に血液と拮抗する。
そして……その隙があれば、一手放つのは十分可能!
「霜月流――雷霆!」
空中を『蹴る』。
否、空中に符術で一瞬だけ足場を作り、それを蹴る。
それによって生み出された加速は重力も載せて高速から神速に至り……その速度で放たれる突きは回避は困難、受けは不可能!
「(押し切るッ……!)」
必殺の一撃で、そのままジョゼフを倒してしまおうと全霊で突き掛かる!
■ジョゼフ・マーキン > 「剣の道を行くか...ならばそれもよし...!!」
剣を極めし者、そんなのを相手にするのは久しぶりだ。
実に...実に楽しい。そんな時だった。
「相殺?!こいつは...まずい...!!!」
生成した防壁が四散する。
こうなっては自分は丸裸、あまり使いたくない手段だが、人狼化を侵食させる。
【*******!!】
人の言葉には表現できない詠唱。自身の世界に存在した限りなく神に近い存在の声。
その瞬間、彼の行動は一気に高速化される。
両手に持った銃剣を連結させ、両剣へと可変させる。
両剣には血液がコーティングされ、赤黒く変色する。
「連携はパーフェクトだ!!だからこそ...こいつは餞別だ!!」
頬に若干獣としての毛が生え、食いしばる歯は鋭利なものへと変化する。
鼻をすんと鳴らせば神速の剣を相手ごとはじき返さんとするほどの威力で両剣を振り上げた。
■筑波 察 > 「不味った!」
血液の破裂を相殺し、地面に着地した刹那。
先生の変化と、零の攻撃を見て叫んだ。
空気を足場に加速した彼の斬撃は間違いなく先生をとらえるだろう。
おそらくは回避できない。
だが、それは裏を返せば先生からのカウンターがあり得る。
そして先生はカウンターを行うつもりだ。
「押し戻せ!」
誰に放った言葉ではない。
単純な運動であれば再現できる。
カウンターを回避するには単純で良い。
零を横から押し飛ばすような力を加える。正直間に合うかどうか微妙なところ。
力技に近い無理やり行使した力で、彼を先生の斬撃から押し戻そうとする>
■霜月 零 > 「なっ…!?」
目の前の教師の動きが、加速する。
零の神速刺突、雷霆は霜月流の中でも特に威力、速度に優れた技の一つ。
故に若干の油断があった。雷霆は受けも回避も不可能。この距離なら、応答が間に合うはずがないと。
しかし、ギリギリの瞬間の中で直感する。
――この振り上げは、雷霆に間に合うと。
「(く、そっ……!)」
押し戻せ、と言う声と共に押し飛ばすような力が乗る。
だが……雷霆の、と言うより空中殺法の弱点が、その助力でさえ不足とする。
空中には足場がない。そして零は、この高速の世界で足場を的確に用意し踏ん張るほどの符術の技量は持ち合わせていない。
つまり、雷霆以上の力を自前で用意できない状況なのである。
二つの力に挟まれ、結果どうしようもなく押し潰される形になり……。
「(まだ、だっ!!)」
それを、習い覚えた技術が乗り越える。
現状、零はカウンターを喰らっており、それを推し返す力を横合いから貰っている状況だ。
この横合いからの力を借りれば……この高速の世界の中で、斬り返しの技をギリギリ放てる。
「霜月流――『円(まどか)』ッ!!」
振り上げられる両剣と雷霆の突きが接触する刹那、横合いからの力に身を任せ、体をぐるりと回転させる。
そして、雷霆を弾く振り上げの力と横合いからの力に身を任せ……回天の勢いのまま、ジョゼフを斬り付ける。
外せば、無茶な体勢で技を放ったツケで地面に転がり隙を晒すは必定。
だが、決まれば三人分の力を乗せた無比の斬撃。
さあ、如何に――――!
■ジョゼフ・マーキン > 「おいおいおいおい...これでもまだやれるってか?!おじさんやばいって!!まじで!!」
想像以上の技量とチームプレイ。
それだけじゃない、戦いながら成長を重ねている。
「血統よ!!収縮、城塞と化せ。」
最早打つ手は守りしかない。詠唱と同時に両剣そのものが血液と化し、彼自身を包み込み、結晶のように硬質化する。
そして叩き込まれる一撃。
「くっ...硬質化維持...緊急離脱!!」
自身を覆う結晶が攻撃を受け止めることのできるその一瞬、同時に背面の結晶を液体化させ、ギリギリのところでその場から離脱する。
「はぁ...はぁ...やるねぇ。今のは肝が冷えた...、降参だ。
殺し合いなら死んでたよおじさん...。」
■筑波 察 > 「馬鹿野郎!剣を引け!」
彼を退避させるための力を、彼は攻撃に転用した。
その予想外の行動に肝を冷やしたのは僕だけじゃないらしい。
先生が回避行動をとったのと同時に、零の三半規管を揺らした。
彼を止めるのが先決だと判断したのだ。
無論、そんなことをすれば揺らされた本人はただでは済まないが、
力につぶされるよりマシだろう>
■霜月 零 > 「うおぉ!?」
ごろん、と転がり、がぁん、と刀の柄を地面に打ち付けて受け身を取る。
が、それでもまだ威力を殺しきれず、ふわっと体がわずかに浮いて、そのまま地面に叩き付けられた。
「あ、が……」
立ち上がろうとして、くらりと倒れ込む。三半規管が揺れており、バランス感覚が崩れているのだ。
まだ状況を完全に把握できていない零は、それでも刀を構えようとするが……。
「……ん?」
そこで、追撃がないことに気付いた。
どうしたんだ?と言わんばかりに、転がった状態で周囲を見渡す。
■ジョゼフ・マーキン > 「痛ってて...実戦でも十分に通用するぞ?お前ら...。」
腰をさすりながら立ち上がると、左肩を抑える。
そしてそのまま両手をあげれば。
「降参だよ...。これ以上はおじさんの身が持たねぇ...。」
すっと頬に生えた獣の体毛と牙が消える。
非常に強い少年たち...だがそれ故に危険...。
なんて考えながら返答を待った。
■筑波 察 > 「実戦で死にかけたこと、何度かありますからねぇ。
彼がどうかはわからないですけど」
両手を上げる先生に、返答する。
そしてバランス感覚を失っている彼のもとに行くと、
肩を貸すようにしてたたせる。
「もう終わったんだ。君の勝ちだ。
ちょっと僕のせいで動けないだろうけど、
まぁ、そこらへんは力加減の都合をつけるためだと思ってね。
強いのは彼ですよ。強すぎるくらいだ。
引き離すための力で追撃しようなんて、
正気の沙汰じゃない」>
■霜月 零 > 「あー……」
最後の『円』は通ったようで、安心した……ところで、全身に痛みが走る。
「(っつ……無茶しすぎたな)」
完成された『円』ならば綺麗に全ての威力を剣に乗せれるのだが、残念ながら零の技量はそこまでではない。
二つの力を流しきれず、ダメージが残ってしまったのだ。
「死にかけたっつーかまあ、命のやり取りなら何度か」
さんきゅ、と言いながら肩を借りて立ち上がりつつ。
元々退魔の大家である霜月家に生まれた零は、中学あたりから退魔の仕事に付き添うことも多かった。
加えて、この学園でも生き死にのかかった戦いを何度か繰り返してきていたため、その手のやり取りは慣れっこである。
……慣れすぎなのかもしれないが。
「ありがとうございました。つっても、筑波が押してくれなきゃ多分流しきれずに吹っ飛ばされてるんで……上手い事ハマったが故っつー感じっすね」
この使い方は彼の本意ではなかった、と言うのはその後の言葉で分かるのだが。
それでも、この結果を導いたのは筑波の力あってこそなのである。
■ジョゼフ・マーキン > 「おじさん思うに、君らの力であれば十二分にやってけると思うがねぇ。
強すぎる力は特別なんかじゃない、破滅に近づくってことを忘れないでほしいかな。」
2人の力は想像以上だった。
半人狼化してもなお抑えられなかったほどの力。
そんな子たちがこの学園には山ほどいる...。
「おっと...演習も終わってみんなで飯でも食いにいきたいところなのだが、おじさん少し用事を思い出しちまった。」
思い出したようにそういえば、そのまま演習場から出ようと歩き出す。
その表情はどこか暗いものがあった。すんと鼻をならして。
ご案内:「訓練施設」からジョゼフ・マーキンさんが去りました。
■筑波 察 > 「へへ、破滅ですか。
それで特別になれるならなくはないですねぇ。
ただ、ほかに選択肢があるならそっちの特別を選びますけど」
特別のためなら手段を択ばない人間性は、
今ここでバランスを失ってい彼以上に破滅的ではあるが。
「とりあえずは、状況判断かなぁ。
勝手に身体が動くくらいに訓練されているなら、
本当に最適解か考えなおすくらいしてもいいだろうよ。
事故は防がれるべきだからねぇ」
技の也を見る限り、最後に放った斬撃はまだ完成していないのだろう。
だが、その選択が果たして最適かどうかは考える余地がある様に思う。
そんなことを言って、彼を抱えたまま救護室に向かった>
■霜月 零 > 「俺は破滅は勘弁だな……泣かれんのは困る」
うへぇ、と言う表情で。
彼女と妹。取り敢えず零が破滅した時、泣くであろう二人。
その二人がいる限りにおいては、零に破滅は許されない。慎重であることも大事と言う認識を強めた。
「そうだな……さっきの『円』、咄嗟に出したはいいけど正直分の悪い賭けだったし、下手すりゃ大怪我だ。
反射に任せすぎってのもよくねーな……」
一刀流の剣境に、思考を捨てて自らの体に全てを委ねる『夢想剣』と言うものがあるが、あれは体が『剣術』のみならず『兵法』も全て覚え込んでいる……否、体に刻み込まれているからこそ意味がある。
まだ未熟な零は、戦う時にもっと冷静に思考を働かせる必要がある。
それを痛感しつつ、救護室へと運ばれていった。
ご案内:「訓練施設」から霜月 零さんが去りました。
■筑波 察 > 「ふふ、泣いてくれる人がいるとは、君もまた特別だねぇ。
おっと、ゴーグルのバッテリーが……」
彼のこぼした言葉の意味をくみ取ってにこにこするが、
そういう特別は僕が欲している特別ではない。
彼がくれぐれも人を泣かせないようにすることは切に願うが。
「さて、僕も万能を自覚しているくせに制御もくそもないな。
こんなお粗末な状態で特別とは笑える。
もっと訓練と思考が必要だねぇ」
一人ぶつぶつと方針を練るその姿は、なんとも言い難かった>
ご案内:「訓練施設」から筑波 察さんが去りました。