2018/05/23 のログ
ご案内:「演習施設」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 飛行魔術。先日,この魔術学教師が生徒に課した難題。
生徒たちは思い思いに努力し,思い思いに発想し,そして挫折した。
結論から言えば,非常に精度が高く安定性に富んだ術式もありはしたが,
僅かとはいえ感覚に頼らざるを得ない部分を残すものが殆どであった。

最も再現性が高く,コストパフォーマンスの良い術式は,物体の重力操作のベクトルを連続的に操作し続けるという術式。
言ってみれば進みたい方向に向かって数センチずつ落下する術式だったが,いかんせん複雑すぎる。

獅南蒼二 > 「……まぁ,見るべきところが無いでもない。」

獅南は生徒から提出されたレポートに書き込まれた術式を,一つ残らず自ら再現して試行した。
その結果と,問題点を一つ一つのレポートに赤のボールペンで書き込んでいく。

生徒が努力して作りだした解答には,十分な助言をするのがこの男だ。
術式の構成についてのみならず,魔力効率,物理的な問題点に至るまで,真っ赤になるくらい書き込まれたレポートはもはや気持ち悪いレベルである。

獅南蒼二 > 一頻りその作業を続け,最後の一枚を真っ赤にしたところで,獅南は小さく息を吐いた。
壁際のベンチまで歩いて腰を下ろし,ポケットを漁る。

「………ん。」

あからさまに,しまった,という顔をした。
ポケットから出てきたのはペルメルのレッド…愛飲している煙草だ。

問題は,それが空箱だということ。

獅南蒼二 > 空箱をくしゃっと握り潰して,ポケットにしまい込む。
だらりと背もたれに身体を預け,天井を見上げた。

「………………。」

イライラするというほどではないが,欲しい時にそれが無いのは苦痛だ。
己の研究する魔術学は多くの不可能を克服してきたものの,
この瞬間に手に入れたい煙草を,この手に生成することは流石にできない。

いや,空間湾曲その他諸々に術式を組み合わせれば,研究室に置いてある煙草を取り寄せることができるかもしれない。
だが,それなら歩いて買ってきた方が楽だというものだ。

魔法や魔術に無限の幻想を抱く者は多いが,それらはあくまでも,体系化された技術の1つに過ぎない。
獅南はそれを,誰よりもよく知っている。

ご案内:「演習施設」に宵町 彼岸さんが現れました。