2018/10/18 のログ
ご案内:「演習施設」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 人気の無い深夜の演習施設。昼間の熱気も、秋の冷たい夜風に冷まされたかの様に消え失せている。
そんな無音の空間から、爆音と咆哮。銃声と砲声が響き渡る。

広大な空間で雄叫びを上げるのは、訓練用に調整された魔獣型の戦闘機獣。本物と見間違うばかりの姿と能力は、多くの生徒の実習単位を奪い続けている。訓練項目によっては火を吐き、雷鎚を纏い、冷気を吐き出す。無論、そうあるように調整され、一部はホログラムによる再現ではあるのだが、その完成度は非常に高い。

そんなブリキの魔獣と相対しているのは金属の異形。
あらゆる機械を押し潰した様な醜い身体から巨大な砲身を針鼠の様に生やした異形達は、切り裂かれ、噛み砕かれ、尽く粉砕されようとも前進と砲撃を止めることは無い。

「……右翼の弾幕が少し薄い。中央部を下げて右翼のカバーに。追加の召喚を行うまで、時間を稼ぐ様に」

戦況を映し出すタブレットを眺めながら、己の側に控える異形に指示を出す。
主の命を受けた異形は同胞達にその指示を中継し、魔獣を取り囲む異形達が陣形を整える。
その間にも、砲撃の雨は止むことは無い。

ご案内:「演習施設」に白鈴秋さんが現れました。
白鈴秋 >  深夜の演習場。もっとも効率良く練習が行える時間。昼や放課後などは他の生徒と共同での使用となったり時間制限が入ったりと面倒だ。
 だがこの時間ならば気にせず練習を行えるし、周囲の目を気にせず練習できる。そう思いここにやってきたのだが。

「……あ?」

 凄まじい銃声と咆哮が聞こえる。この咆哮には聞き覚えがある。たしか訓練用に調整されたブリキの魔獣だったはずだ。
 なんとなく興味を持ちそちらへと足を運ぶ。

「あいつは……」

 そこにいたのは前に劇場で出会った風紀委員の男。なるほどあいつが練習していたのかと頷く。
 見たところ形勢は完全に魔獣不利といったところだろうか。弾幕のせいで満足に動きが取れていない……あれでは彼の練習にもならないのではないか。そんな事を考える。
 視線をめぐらせるとホログラムを出現させる端末。そこに目が止まる。そちらへと足を向けた。

「少し、悪ふざけがすぎるか? まぁだがイレギュラーへの対応も練習にはなるか」

 そんな事をボヤきホログラムを操作する。
 最悪ホログラムを強制終了して自分が援護に入ればなんとかなるだろうという判断であった。


 ブリキの獣の影が盛り上がり複数の小さな獣が現れる。それらは所詮ホログラムではあるが、この空間は魔術や異能に反応する。即ち、それらは魔術や異能相手には実体があるかのような挙動をする。
 ホログラムに弾丸が命中するとパン! と弾け霧のような物が生まれ視界を遮る。ブリキの魔獣はそれを幸いにと進撃を開始した。

神代理央 > 優勢に進めていた戦いに変化が訪れる。
突如発生した霧の様な物体に視界が遮られ、砲撃の精度が低下した隙に魔獣の進撃が再開する。

「……はて、そんな設定は入れていなかった筈だが……まあ、良い」

多少のイレギュラーに対応出来ずして、訓練とも呼べないだろう。
それまで魔獣を正確に狙うように砲撃を行っていた異形達の射線は、線から面へと変化する。
それは正しく、鉄火の物量によって押しつぶす消耗戦。生身の人間であれば甚大な被害が出るやもしれないが、所詮は異能により召喚される異形。犠牲をいとうことなく、異形達は砲撃を敢行しながら魔獣の行く手を阻む。

「…さて、覗き見するくらいなら、姿を現したらどうだ?別段、こちらは見られて困るものでも減るものでも無い」

と、異形たちに指示を出した後、演習場に響く様に端末を利用して設定を変更した者に声をかける。

白鈴秋 >  声をかけられると端末のマイク機能をオンにする。

「別に覗き見してたわけじゃねぇさ。別に姿見せても良いが……そんな玩具を二人相手でボコボコにしたってストレス解消にしかならねぇぞ」

 その声は暗にお互いに一人で余裕なんだからというニュアンスを含ませる。
 獣は面に変わった砲撃の嵐により動きが再度止められる。精密に狙われていた時のように全く動けないということはないが、ジリジリとしか動けず到達するまでに壊れるのは目に見えているといった状態だ。

「……といっても、ホログラムだけじゃこの辺が限界か。本当に召還できるなら本格的に練習できるんだがな」

 マイクの電源を切ると端末の前から移動。邪魔にならない位置に移動し姿を見せる。
 
「あの時ぶりだな。こんな所で会うのも奇遇だが」

 砲撃の嵐があり流れ弾が飛んでくるかもしれないというのに平然と立っている。相手を見てそんなヘマはしないだろうという信頼ももちろんだが。初めから自分を潰すための火力ならともかく流れ弾で飛んでくるくらいならば受け止める事も出来るためだ。