2018/10/19 のログ
神代理央 > 「…誰かと思えば。確かに、こんな場所で会うとは思わなかったな。と言っても、互いに学生である以上は可能性がなかったとは言い切れぬが」

姿を現した相手に少し驚いた様な素振りを見せた後、僅かに肩を竦めて彼の言葉に答える。

「貴様の言う通り、紛い物相手に二人がかりになる必要も無い。というよりも…」

乾いた音と共に指を鳴らせば、側に控えていた異形がゆっくりと砲身を動かし、充填されていた魔力を魔獣に照射する。
動きの鈍っていた魔獣に叩き込まれた魔力の奔流は、実にあっけなくその機能を停止――というよりも塵も残さずに消し飛ばした――させるだろう。

「会話をするには不向きな状況は好まぬからな。どうせ潮時だと思っていたところだ。余り面白いものを見せられず、申し訳無いがね」

此方の砲撃の雨霰を気にする事なく佇む彼に、危ないだろうと声をかける事も無い。
彼の考えと同じ様に、この程度の砲撃ならば彼は容易に避けるだろうと考えていたし、此方も誤射するつもりもない。
ある意味、互いの実力をある程度察しているからこその思考同調であり、つまらない訓練をだらだらと続けるよりも早々に切り上げてしまったのはそういった要因もあっただろう。

白鈴秋 > 「ああ……会うとしても放課後だとかじゃなくてこんな時間というのは。少し俺達らしいとも思うがな」

 少しだけ笑うような素振りを見せそんな事を言う。
 そして魔獣が吹き飛ぶのを見る。充填されていた魔力。それがもたらす破壊は確実に魔獣を貫き破壊する。破片すらない。強いて言うのなら爆風がこちらに来る程度だろう。
 爆風が落ち着くと肩をすくめる。

「謝るような事じゃねぇよ。人同士の模擬戦でもねぇかぎりここで満足するようなのなんて期待してねぇから」
 
 所詮は訓練用。即ち超えられるように調整され造られている魔獣、言ってしまえば攻略法の定まっている相手だ。それで面白い物など見るほうが難しい。

「むしろ残念なのは潮時って方だ。やり足りないということなら俺の練習にでも付き合ってもらうつもりだったんだが」

 そんな事をいいながら魔獣の居た位置を通り近寄る。別に不意打ちなどを仕掛けるつもりは毛頭無い。

神代理央 > 「違いない。幾ら難易度を上げようが、所詮はプログラム。実戦とは程遠い。訓練で如何に高スコアを出そうと、暴漢のナイフ一つで死ぬこともあるのだからな」

謝る事では無い、と告げる彼に同意する様に頷く。
所詮は演習。彼の言うように、対人戦でも無ければ所謂"盛り上がり"のあるモノは見られないだろう。

「ふむ……それは此方としても魅力的な提案だが、時間も遅い。後日で良ければ、是非御相手願いたいところだが」

一瞬腕時計を確認した後、彼の言葉に対して妥協案を提示する。
対人戦の訓練は是非行いたいところではあるし、互いに良い経験を得られるのは間違いないのだから。

「と言っても、私の能力では貴様の満足のいく練習になるか分からんがな。見ての通り、基本は召喚物の物量で押し潰す戦い方だ。流石に演習よりは満足させられると思うが…」

とはいえ、彼の求める戦闘と成り得るかは疑問の余地がある。
一対一とはいえ、鍔迫り合いや異能、魔術の応酬といった英雄じみた戦い方では無い。
物量を叩きつけるだけの戦い方で、彼が満足できるのだろうかと僅かに首を傾げる。

白鈴秋 > 「違いない、プログラムのドラゴンより暴漢の方が余程恐ろしい」

 相手の同意に少しだけ笑うような素振りを返す。実際どんな攻撃が来るか100%読めるプログラムのドラゴンより99%しか読めない暴漢の方が恐ろしいだろう。
 そして少しだけ笑い。

「あの火力は十二分に脅威だ、十分に練習になる。それに……例えばだが。俺の糸を召還物と考えれば似たようなものだろう」

 明確に言えば違うのだろうが……自分の意思の通りに動く鋼のような何かという共通点くらいは見出せようか。
 そして頷き。

「まぁ、時間は確かに遅い。今度時間が合えばお願いする」

 そう答えるだろう。
 
「まぁ、お前じゃないが俺もブリキの獣を1体スクラップにしたら帰る。たしか近距離特化にしたタイプBが残っていたはずだからな。明日の朝に技術担当の教師の顔が青くなりそうだが」

 あの獣相当に高い技術を有している。それを1匹は消滅1匹はスクラップにされるのだ。顔が青くなることだろう。

神代理央 > 「結局、恐ろしいのは魔獣だの何だのよりも生きている人間、ということだな。その点、恨みつらみは買いすぎない様に注意する事だ。私など、買い込み過ぎて過剰在庫も良いところだがな」

風紀委員として、既に十二分恨まれている自分は今更であるが、それでも他者から恨まれない事に越したことは無いだろう。
尤も、己が誰かを恨む事を止めたりはしない。彼の事情を詳しく知るわけでは無いが、以前会った場所でのやり取りを思い出せば、何かしら事情はあるのだろうし。

「個人での武勇を持つ相手には致命的に相性が悪いがね。そういった相手とやり合う事が多いのは悩みの種といったところだ」

小さく肩を竦めつつ、彼に応える様に僅かに笑みを浮かべる。

「そうだな。演習施設にいる時は気軽に声をかけてくれ。というよりも、他者に迷惑がかかる場所で無ければ別段何処でも構わんしな」

此方の妥協案に頷いた彼に告げて

「元々壊す様な代物でもないしな。担当教師には悪いが、もう少し歯ごたえのある物を作ってくれという私達からの激励と受け取って貰おう」

青ざめる教師の顔を思い浮かべれば、思わず笑みを零すだろう。

「…さて、それでは先に御暇させて貰うとしよう。練習相手の件は、先程も言った様に互いの都合が合えば特に場所や時間は問わぬ。何なら、風紀の本庁を訪ねてくれても構わん。それじゃあ、訓練も程々にな」

ゆるりと笑みを浮かべると、服の埃を払って演習場から立ち去っていく。
彼との演習を考慮すれば、もう少し早い時間に来るべきだったかと内心溜息を零しながらも、明日の講義と任務を思い返しながら思考を走らせていた―。

ご案内:「演習施設」から神代理央さんが去りました。
白鈴秋 > 「忠告感謝するよ」

 肩を竦める。恨みつらみなどすでにかなり買っている気がしないでもないが。顔は割れていないはずだ。
 
「何でも造れるのなら近接戦闘用のでも造ってみたらどうだ。少しはかわるかもしれねぇぞ」

 個人で武勇を持つ相手の対策としては近接戦をどう掻い潜るかになってくる。ならばとそんな意見を出してみた。気軽に声をかけろに関してはわかったと頷いただろう。
 その後の発言にはフッと声を出して笑う。。

「ああ、そうさせてもらおうか。そう考えれば気分が楽だ徹底的に壊しておく」

 明日の技術教員の残業が決定した瞬間である。
 だがその後に発言には少しだけ顔をしかめる。

「……わりぃが本庁はごめんだ。前に授業でこいつをあっさり突破してから入れ入れうるせぇやつがいるんだ」

 自分としては性能を知った上でメタをはっただけなのだが……
 そして彼を見送るとタイプBをフィールドに招き入れる。

「さて、こいつは……たしか20m以内がキルゾーンだったな」

 それ以上の距離をつめられないように戦え。そんな設定をされたタイプB。だが戦闘開始のコードを発生する前に距離は10m程度まで近寄る。

「この位しねぇと練習にならねぇからな」

 こうして始まる練習。結局すぐに二つ目のスクラップが完成するのであった。

ご案内:「演習施設」から白鈴秋さんが去りました。