未開拓地区の半分以上を占める未開拓の荒野が「転移荒野」である。
何故転移荒野と呼ばれるかというと、異世界から様々なモノが転移してくる荒野だからである。
基本的に荒野が広がるものの、異世界の遺跡や建造物、草原や湖なども点在する。
世界の変容後、この区域の時空が不安定になり、異世界の魔物・怪異などが現れるようになった。そのため危険な区域である。なお世界中にこのようなスポットがいくつか確認されている。
異世界の研究のために残しておきたいという思いがあり、常世財団側は開拓に積極的でないようである。
住民の出入りは禁止されていないものの、現在は学園の直接管理する場所ではないため、中で何が起こっても自己責任となる。
ただ、そのかわり異能や魔術などの使用は全面的に認められている。訓練のためにやってくる生徒もいるという。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:29:00 更新
ご案内:「転移荒野」から神代理央さんが去りました。
■神代理央 > 「……力がどうこうというよりも、これは…情報量か。更新された力の情報量に、処理が追いつかんな」
発動と同時に、激しい頭痛が己を襲う。
それは、今迄発揮されていなかった力と、その在り方を主に訴えるもの。
そして、未だ発動に至らない異能についての知識。
「…これ、を情報量では無く単純な力が増幅されて発生するのなら、成る程。暴走するのも理解できる。精神面においての効用は……嗚呼、そうか。薬に溺れる前に、既に堕とされていたな」
頭を抑えながらブツブツと独り言を呟く様は、十分に常軌を逸している様に見えるだろう。
しかし、未だ己の理性は失われていない。既に理性を狂気に堕とされたが故の耐性でもついていたのだろうか。
「…先ずは、帰って休もう。これでは、任務もままならん…」
制御薬の効果は十分に確認出来た。
ふらつく足取りで車に乗り込むと、主を迎え入れた車は静かに設定された目的地まで走り始めるだろう
後に残されたのは、突然生命を奪われた魔獣達の死骸のみ―
■神代理央 > 今迄己の異能は、所謂【創造系】の召喚だと認識していた。
火砲の種類や大きさ等、ある程度は此方のイメージによって生成され、召喚されるからだ。
しかし、本質からして異なる。制御薬によって己の精神と正しく同調した異能は、その本来の力を一時的に開放する。
「……成る程。俺が何も感じない訳だ。力が増幅される訳じゃない。開ける扉の鍵が変わった、という訳か」
発動した異能によって召喚されたのは、何時もの様な醜い金属の化物では無い。巨大な金属の球が、無数の小さな金属球を従えたモノ。
それらの金属球が淡く輝くと同時に、白く輝く光線が魔獣の群れを薙ぎ払った。
■神代理央 > 力が溢れてくる、とか、制御不能の力が、とか、そういう展開に陥るのかと予想していた。
しかし――何も起こらない。力が漲ってくる訳でも、新たな何かを得た実感も無い。
「……どういう事だ?はなから、異能としての成長が限界を迎えていたということか。未顕現の異能発動くらいは期待していたのだが…」
とんだ肩透かしか、と小さく溜息を吐き出し、おざなりに異能を発動する。
どのみち、眼下に蠢く魔獣の群れは掃討するつもりであったし、あの程度なら薬を使うまでもなく対処可能であったからだ。
―そして、異能は発動し、制御薬が正しく効果を発揮していた事を知ることになる。
■神代理央 > 瓶の蓋を開け、ソレを口に含もうとして―悩むように動きを止める。――だが、それも一瞬だった。
「薬に頼る連中と同格になるのは些か業腹だが…まあ、所詮は俺も同じ穴の狢であることは否定しまい」
薬に溺れる程度なら、自分が求める支配も力も、手に入れる事など出来ないだろう。それくらい御する事が出来ねば、欲する闘争を行う事は出来ない。
それは自分に対する言い訳か、或いは本心か。
僅かに肩を竦めると、一息にアンプルを飲み干した。
「…もう少し甘いほうが飲みやすいな。いや、薬の味付けに文句をつけるのは流石に野暮といったところか」
■神代理央 > 荒涼とした大地を疾走する、一台の高級車。
乗車しているのは少年一人。設定された目的地まで自動運転でひた走る車内は、道らしき道も無い荒野を走っているとは思えない程静かなものだった。
やがて、砂煙を上げながら走行していた車は、小高い丘の上で荒野に相応しくない程の丁寧な減速と共に停車する。
車内から降り立った少年の視界には、丘の下の原野に屯する魔獣の群れが見えた。
「……流石に、演習場では試せぬからな。コイツは」
身体を解しな、懐から取り出したのは先日研究施設で受け取ったアンプル。
所謂【制御薬】であった。
ご案内:「転移荒野」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」から藤巳陽菜さんが去りました。
■藤巳陽菜 > 人を傷つけた怪物が人と一緒に暮らせるものか…
きっとまた傷つける。
人と怪物は一緒に生きられない。
どうにかして終わらせる方法を見つけなければならない…。
この怪物の命を終わらせる方法を見つけないと…
■藤巳陽菜 > 明りの無い部屋の中で眺めていた本を閉じて小さく伸びをする。
この怪物の目に光は必要ない。照明は必要ない。
外に繋がる扉を開けば空に広がるのは星、そして遠くに見える街の光。
人間が住む街。陽菜が暮らしていた街。
眺めて手を伸ばしその手を戻す。
■藤巳陽菜 > 石を組み合わされて作られた建造物。
壁に空いた隙間から風が吹き込む。
この時期に人間が住むには厳しい住居。
そこに住んでいたのは一体の怪物。
少女の上半身に蛇の下半身。
裾のすり切れた布切れのようなローブを身に纏ったラミア。
今の姿を見てこのラミアが1年前まで学園に通っていた生徒だと誰が分かるだろう
ご案内:「転移荒野」に藤巳陽菜さんが現れました。
ご案内:「開拓村」から神代理央さんが去りました。
■神代理央 > 蜂蜜水が空になった頃、カウボーイの様な風貌の調査隊が此方に近づき、明日の予定を告げる。
すっかりアルコールで出来上がってはいたが、辛うじて明日の早朝此処を立つ事は聞き取れた。
「…集合時間に遅れたら、私一人で街に戻りますからね。くれぐれも、寝坊なんてしないようにして下さい」
まだまだ飲むぞと意気軒昂な調査隊に溜息混じりに言葉を吐き出した後、部屋の鍵を握りしめて酒場の二階へと上がって行く。
粗野ではあるが清潔に保たれた室内に少し感心しながら、入浴と着替えを済ませて目の荒い布地で作られたベッドへ飛び込み、烟る意識を手放して眠りについただろう。
■神代理央 > 取り敢えず授業は出席扱いにしてくれるらしい。
その代わり、明日の夕刻まで調査に付き合う事になる。此方も異能の過度な発動はどんな影響が出るか分からないのだから、魔獣の巣だのアンデッドが出現する遺跡だの、RPGさながらのエリアに意気揚々と侵入するのは勘弁願いたい。
「…まあ、収穫が無いわけでもないから良いようなものだが…」
今回、魔獣から剥ぎ取った素材だの、魔力の源となるコアだのは調査隊が不要と判断したものを引き取る権利を得ていた。
素材は兎も角、良質な魔力が凝縮された魔獣の核は得難い成果物であり、様々な用途に役立つだろう。
――そうでも思わなければやっていられないというのも事実ではあるのだが。