2015/06/18 のログ
蒼穹 > あっはは、それについてはこっちこそ悪かったよ。ちょっとくらい出方改めた方が良かったね。
ま、そうやって気楽にしてくれたら何より、かな。
(漸く警戒を解いてくれたと思ったら今度は謝られてしまった。これはこれで何処か居心地が悪い、ので、いやいや大丈夫と言わんばかりに手を左右にふりふりしながら。)

シュリク > 「……?」
アルフェッカの煮えない返事に首を傾げる
文明が違うと、考え方も違うのか、と一応の納得はするも、どこか、腑に落ちない点があるような気がした

「すいませんね、……こほん。ええ、こちらは「蒼穹(そら)」。先ほど話していた破壊神ですよ」
承諾を得たので、さくっと、簡単に説明した

「貴女の放つ悪しきオーラが警戒させているのでは? 邪神ならばいくらでも警戒されるでしょう」

蒼穹 > そうそう、話の通り破壊神だよー。
(何故か手を振ってみる。)

うわ、酷い。
だけどそれは確かにそうかもしれないね。普段は邪気放ったりしてないんだけども。
やっぱり、感じ取れる人には感じ取れちゃうみたいだし。…その点、如何ともいえないや。
(悩まし気に言葉を紡いで。けれども、そう言った経験は無きにしも非ずなので反例もなければ否定もできなかった。)

アルフェッカ > 「ほぇ~…このヒトがカミサマなのか。初めてみました、カミサマ。」

紹介された青髪の少女の砕けた態度もあってか、先程の警戒心は完全に何処かに行ってしまっている。

「アルフェッカと言います、よろしく、蒼穹さん!」

ぺこりと蒼穹に頭を下げると、シュリクに向き直る。

「ん~っと、何処まで話したっけ…ああ、被創造物にとっては、創造者の与えたコマンドが生きる目的…って話だったね。何で、今の私が異世界調査を与えられたコマンドではなく自分の意志で行ってるか。
答えは簡単。私の創造者が滅んでしまった可能性がとても強いから。それも、私が生まれた世界ごと。」

蒼穹 > 神様じゃなくって邪神様だよー。神様とはまたちょっと違うんだ、その辺こだわりだったり。
(何だか得意気。だが、初対面なのに実に馴れ馴れしいといって差支えないだろう。)
うん、こちらこそよろしくねっ。アルフェッカ。
(にぱりと、無邪気な笑顔で対応しながら、頷いた。)
…世界ごと滅びるっておっそろしいね。
(仮にも万の世界を滅ぼした邪神の言うことではないだろうが。)

シュリク > 「……あまり驚かないのですね」
ちょっとつまらなそうに表情を落とす とはいえ、あまり変わらないのだが

「まあ、いいのではないですか? 邪神的にはそのほうが気分がいい、みたいな感じはないのですか
蔑ろにされるよりは、畏れられたほうが、とか」
一応、彼女なりのフォローのつもり

「……ああ、なるほど。であるならば、私ととても境遇が近しいかもしれませんね
私の時代も、既に滅んでしまった可能性が高いのです
もしこの世界であるならば6000年前に、別世界からやってきたというのであれば、まだ希望はあるのですが
……って、貴女がいうことですか蒼穹……」

蒼穹 > あはは、確かにそれもあるんだけど、今はそんな気分じゃないんだよね。悪戯心で人に邪気当てたりすることはあるんだけどさ。
うん、私…畏れられる事も、好きだよ?けども、ずっとそんなんじゃ楽しくないじゃん?
(何処か煮え切らない様子だった。)

…あっはは、そうだね。私が言えたことでは。
(口をつぐむ素振り。)

アルフェッカ > 「んー…カミサマって、何ていうか、もっとこう凄い光り物とか羽とか背負ってて、認識とか思考の次元が全然違うってイメージが多かったので。
馬鹿にしてるんじゃないですけど…とても人間っぽいので、カルチャーショックを受けてて。
なので、結構驚いてるんだよ、イメージとの違いにさ。」

そう言ってから、相手が邪神と呼ぶように言ってた事を思い出し、間違えてごめんなさい、と困ったような顔で手を合わせた。

「…正確には、本当に滅んだのかは直接確かめてないから、分からないんだ。
――でも、一年間。一年間、ずっと自己診断を繰り返して機器に異常がないかを確認しながら、途切れた通信を繋ぎ直そうと必死になって。でも、駄目だった。
本世界との通信機能は一番強固な通信網。それが一年間も復旧されないって事は、多分そういう事なんだろうな…ってさ。」

言い切ると、シュリクに向き直る。

「シュリクちゃんも、もう生まれた場所が滅んじゃったのか。…でも、此処にいるって事は、此処で生きてく事を決めて、それを受け入れたのかな。だとしたら、強いね。」

蒼穹 > えっとねー…。そういうの、出来ない事もないけど、羽根をはやすとぶつかって不便だしなにより羽根がなくても私は跳べるんだよね。
ああでも、どっかの天使を統べる様な神様とかは、光翼とかいうキミの想像してる翼みたいなものとか、天使のわっかとかついてたっけ。
あっはは、分かってる分かってる。…要は、この世界で生きていくには、
変に羽根や耳が生えてたりするより、少しでも人間に近い身の方が生きやすいのさ。だって、殆ど人間だからね。
勿論、キミがイメージする様なものに近づこうと思ったら近づけないことは無いんだけど。
あっはは、大丈夫大丈夫。謝んなくていいよ。寧ろおぼえててくれてうれしいし。
(ぺらぺらと饒舌に語った後、笑み浮かべながらにいやいやとまた手を横に振った。)

シュリク > 「……邪神は邪神なりに悩みがあるということですね……力がありすぎるというのも、考えものです」
でも、なんとなく蒼穹の言わんとすことは分かるような気がした
絶えず畏れられるということは、絶えず孤独であるのと同義だ
邪神のようで少女であり、少女のようで邪神である蒼穹にとって、どちらかに傾倒しすぎるのは、きっとバランスが保てないのだろうと

「いやまあ、気持ちはわかります。私も最初は騙されましたから」
こくこくとアルフェッカの言に頷いた
最初は、破壊神であることを知らずに、蒼穹に対して破壊神の話題を振ったのである

「――なるほど、アルフェッカは通信手段から、ですか
異世界間を行き来できる通信ならば、確かに考えられないことはないですね……」
声のトーンが下がる
シュリクといえども、世界が崩壊しているかもしれない、という事実はやはり辛く
そして、それは自分も同じようなものだ

「それもあります。……ですがその前に、本当に滅んだのか。どうして滅んだのか
或いは、どうしたら救えるのか。それを今は探しているところなのです」

アルフェッカ > 「――成程。此処は、出来るだけ人間に近い成りの方が生きやすい世界である、と。
…今までに回って来た世界にもそういうのはいくつもあったかなぁ。うん! アドバイスありがとうです!」

蒼穹の言葉を、「此処で生きていく為のアドバイス」と受け取ったアルフェッカは笑顔で頭を下げ、礼を述べる。

「…シュリクちゃんは、自分の故郷をまだ諦めてないんだね。可能性があるなら、それに賭ける。それも、勇気のある選択だと私は思うな!」

湿っぽくなってしまった空気を吹き飛ばそうとするかのように、アルフェッカはシュリクににかっと笑いかける。

蒼穹 > あっはは、そういうこと。流石だね。忌避されることも悪くない、…んだけど。
どうにも、私はそういうの、分からないだよね。
在り過ぎる力はそれだけで畏れられ、忌避される。一度力の使い方を誤れば神は邪神と落とされる。…嫌な時代だったね。
(そうして、彼女の胸中に秘められた「邪神でも少女でもある」というその思考を、言葉として肯定するが如く、また、表情として肯定するが如く、如何ともしがたい困り顔で、一息吐いた。)

あっはは、邪神も神も、色々あるってことだね。
自己主張の強い奴なら姿として顕わしてるだろうけど。


アドバイス…?
(あれれ、ときょとんとした表情を浮かべて。)
あっはは、ま、そういう事にしておこっかな。いえいえ、どういたしまして。
(何やら踏ん切りがついたような表情で、頷いた。)

シュリク > 「アルフェッカも、諦める必要はないと思います
少なくとも、何故滅んでしまったのか……それを知る責務が、私達にはあると思います
残されたもの、には」
再び湿っぽい話に戻す辺りあまり空気を読む技能には長けていないようだ

「……蒼穹……」
もしかして
ある考えが湧いた
破壊神とは言うけれど
          ――故意では、ないのでは、と

ただし、それを口に出すのは躊躇われた
それに気付いてしまうのは、どうしようもなくこの「蒼穹」という「少女」を傷つけてしまう
――そんな風に思えたから

「私は機械です。邪神の考えることは分かりません
でも、その邪神がいつか心を打ち明けてくれる日を、願ってみましょう
誇っていいですよ、今、初めて「神」に祈りを捧げてみたのですから」
優しく、微笑んだ


「さて、こんな時間……私は私が眠っていた遺跡を調べに行ってきます
お二人なら大丈夫とは思いますが、くれぐれも注意してくださいね」
ぺこりと頭を下げ、その場を後にした

ご案内:「転移荒野」からシュリクさんが去りました。
アルフェッカ > 「…ありがと! シュリクも気を付けてね~!」

去っていくシュリクの背中に、ぶんぶんと腕を振って見送る。

(諦める事はない、何故滅んでしまったのかを知る…か。)

シュリクの言葉に、少しの間、考え込み、そして夜空を見上げる。

(――いつか、心に整理がついたら、1度でも戻ってみよう。)

その場に留まっている蒼穹に向き直ると、にっと笑いながら頭を下げる。

「色々教えてくれて、ありがとうです! それと、カミサマ…じゃなかった! 邪神さんに会ったの、今まで回って来た世界で、これが初めてだったのでとても感動しました!」

それを告げると、遠くに視線を向ける。視線の先は…アルフェッカは知らないが、青垣山と呼ばれている小山。

「私もそろそろ行きます。もし、また会う事があったら、よろしくお願いしますね。」

その言葉を残し、アルフェッカは山を目指して歩き出した。

蒼穹 > どうか、した、かな?
(名だけ呼んだ、その末の押し黙った時間。そこに含まれた、そんな彼女の意図。それは、完全には察せなかったけれど。そこに、この間のような、何らかの気遣いのような…そんな物を、感じ取った。大凡、ただの機械人形にはなしえない、そんな心の片鱗を垣間見た様な気がする。)
…ああうん、…そう。誇って、おくよ。…私も、その…祈られたの、初めて、だし?
(ここで、邪神だと訂正するのは、あまりにも無骨だろう。いつも通り屈託なく笑って見せよう。そう思ったけれど、何だか、照れ臭かった。)

お疲れ様ー。
いってらっしゃい。そっちこそ気を付けて。
(彼女の背に手を振って。そうして見送った後。)

あっはは、そっか。確かに邪神は結構少ないかもしれないね。
その、感動してくれたのなら何より。
おっけ。いってらっしゃい。気を付けてね。お疲れ様。
(そうして、彼女の背に手を振って、見送った。)

(予期せぬ彼女等の同族としての邂逅。それに、己が横槍を入れたのは少しばかり無粋だったかもしれない。けれど、彼女等が別々、思い思いの場所へと歩き出すなら、己は、学園の方に踵を返そうか。)

ご案内:「転移荒野」からアルフェッカさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」に鳴鳴さんが現れました。
鳴鳴 > 転移荒野。
様々な異界のものが「転移」してくるような、非常に不安定な場所だ。
常世島の中でも、かなり危険で謎の多い場所の一つであることは違いないだろう。
時は黄昏時であった。
いつの時代、世界のものかわからぬ遺跡群や、地下に広がると思われる迷宮への入り口などが立ち並ぶ場所。
そこに一人の童女がいた。
一つの巨大な岩の上に腰かけ、杯を掲げていた。
空に現れ始めた星々に向かってか。
それとも、ここから見える遥か海の彼方に向かってか。

鳴鳴 > 「――やあ、どうだい。君も、君達も一献。……ハハハ! そうだね、無理だったよ。
 君達にはまだ、無理だった、
 まあ、こういう世界だ。どうなってもおかしくないけどね」

自分の頭上に杯を掲げ、けたけたと童女は笑う。
遥か過去にこの星から、宇宙から去った者たちへ。
遥か過去に死にも等しい眠りについた者たちへ。
盃を掲げるのだ。

「星はまだ正しくない。でも僕は自由に動ける。
 君達は死に等しい眠りについているかもしれないが、僕は九万里を駆けることもできる。
 それでも、君達が帰ってくれば、この世界はもっと楽しくなるけど、「門」は消え去ってしまった。
 ああ、残念だな。実に残念だ……」

胸に赤い五芒星の刻印を持つ少女は、大げさに首を振り、残念だという。
そうして盃に入った酒を飲み干した。
干されたはずの杯は、いつのまにかまた満たされていた。

「……君達の事はもう少し待っていてほしい。なあに、時期に時は来る。
 その時、めいいっぱい楽しめばいい。僕も彼らの印がある限り、大したことはできないよ。
 それにしても」

「あの子は莫迦だなあ……いやいや、とても面白いけれど。
 享楽というものを、わかっていないよ。僕がまだ何も教えてないというのもあるけど」

鳴鳴 > 遥かな荒野を眺めながら童女は嗤う。
あの子、とは童女がこの前、作り変えてやった少女の事だ。
その少女の行動を垣間見て、嗤っていた。

「だが、それは誰かに教えられるものでもない。
 あの子は、あの子の好きなようにすればいいだけだ。
 まあ、少し僕が歪めてしまったけど……それはそれさ。
 僕は腐条理。僕の条理は腐っている。天から与えられるような突然の災厄のように」

酷く楽しそうな笑みを浮かべ、巨石の上で杯を傾けていく。

「……まあ、気づけなくてもそれはそれでいい。
 僕が楽しめるならそれでいいよ」

ご案内:「転移荒野」に石蒜さんが現れました。
石蒜 > ご主人様だ!!ご主人様を感じる、ご主人様に会える!!会って私をもっと歪めて欲しい、迷いなどなくなるぐらい!!
まるで長い間会っていない主人の匂いに気づいた犬めいて、喜色満面といった顔で、身体能力の全てを使って荒野を駆けてくる。
「ごす、ご主人様!!石蒜です!お会いしたかった!!ずっと、ずっと待ってました!」鳴鳴の腰掛ける岩の根本に、転がるように跪いた。
掻き乱され、混乱した自分がすっと収束していくのを感じる、私はこの方の玩具だ、楽しんでもらわないと。そう本心から思う。

鳴鳴 > 「君達もそう思うだろう? いや、いや。すまない。無理だったね。
 君達はそういうものを遥かに超越している。
 善とか、悪とか、そういった人間的な価値観から解き放たれた真人だ。
 遥か宇宙を駆けて、矮小なものの存在を凌駕した者たち。
 君達が戻ってくれば、とてもこの世界は楽しくなるけれど――
 ハハハ! そうだ、無理だ。君達は今遥かな世界に遊ぶことも叶わない!
 僕を除いてはね。残念だ、実に残念だよ」

愚かしいものを見るような目で空を見上げ嗤う。
自分の主人であったはずの者たちを、童女は嗤っていた。

「……ほう?」
嗤っていたところに、何かがこちら目がけて駆けてくるのを童女は感じた。
丁度、彼らに話していた少女だ。
それを横目に見る。
「おいで。石蒜」
褐色の肌を夕日に照らせながら、駆け寄ってくる少女に手招きする。

石蒜 > 「あ……ごめんなさい、お忙しかったですか……?」ご主人様は何かと話していたようだ、相手は見えないけど、私に見えないだけかもしれない。叱られるかな……?不安にぎゅっと身を固くするが

手招きをされれば、ぱぁっと明るい顔になり「はい!」嬉しくてたまらないといった風に答える。
足の裏に魔術で斥力を発生させ、一気に岩の上、主人のすぐ隣に着地する。慎重に力を調節したので、砂粒がわずかに動いただけだった。

「ご主人様、今日は石蒜で遊んでくださいますか?」しっぽがあれば、千切れそうなほど振っているだろう。

鳴鳴 > 「いいや。どの道彼らは口を効けないんだ。
 それに、今は目にも見えない。遥か彼方にいるわけだ。
 ……いずれ、君にも見えるよ。この世界も、彼らを見るだろう。
 僕は、そのときまでの暇つぶしをしているわけだ。
 愉快だった蟲の彼も、もうダメなようだからね」

残念だ、とそう呟く。
自分になついている石蒜がいるうえで、他人の事を口に出した。
誰かを気遣っているような、誰かが消えたことを残念がるような。
そんなことを。

「ああ、遊んであげるよ石蒜。
 でもまずは聞かせてもらいたいな。君が成してきた享楽のことを。
 君は何にも縛られなくていいんだ。
 どんな価値観も、九万里を駆ける鵬の前では意味がないものだ。
 だからこそ僕は君を真人としたわけだ。君もまた、全てに縛られずに、心任せの遊びをしてほしいから」

両手を広げて石蒜に言う。

「――君も飲むかい?」

そして、杯を向けた。

石蒜 > 「そうですか……。」ご主人様のことはまだ良くわからない、でも、自分以外の誰かを愉快だと、ダメになって残念だと言ったのには嫉妬を覚えた。「石蒜は、石蒜はもっと愉快になってみせます、ダメにもならないように、します。」だから私だけを見ていて欲しい、そう言外に願う。出すぎた真似だろうか、と言ってしまってから不安になる。ご主人様の自由を縛るような口ぶりだったかもしれない。

「はい!石蒜は、風紀委員の詰め所を襲ってきました。3人しか居ませんでしたけど、全員病院送りにして、一人心を砕いておきました!そしたら、教師が来て襲ってきたので、少し斬りつけてやりました!あ、あとええと、落第街で、適当な連中を痛めつけて、お金を奪って集めてます!」褒めて欲しい、喜んで欲しい、その一心で、自分が為してきた悪を、並べ立てる。

杯を向けられれば「えと…お酒は、飲んだことないですけど、いただきます!」両手を差し出して、受け取る姿勢。たとえこれが泥水だったとしても、喜んで受け取ったことだろう。主人から与えられるものはなんでも欲しいし、嬉しい。

鳴鳴 > 「そうか、ならばそれでいいよ。
 愉快になるといい。なんでもするといい。
 僕の考えつかないことを、遥か遥か遠き世界まで。
 君なら僕を連れて行ってくれるかな?
 君が僕をどうするかも、君の自由さ。
 絶対者とは、そういうものだよ」
嘲りのような笑みを浮かべて言う。その口角は吊り上っていた。
胸元の赤い刻印が輝く。

「へえ……」
口元を歪め、赤い瞳で石蒜を見つめながら、話を聞いていく。
詰め所を襲ったこと、教師を切った事、落第街で金を奪っていること。
それらを聞いた後に、杯を渡す。中に入っている酒は普通のそれではない。
仙人が飲むようなものだ。一発で酩酊しそうなほどのものである。

「……わかっていないな。君は
 享楽を成すということを、わかっていないよ。
 僕は、君にそんなことをしろといったわけじゃない。
 ……僕は、享楽を成せといったんだよ?
 そこに、善悪なんてないんだ。だけど。
 君がやってるのはただの暴力沙汰さ。そんなことは、そこらへんのごろつきにでもできる。
 ――それは、君が本当にやりたかったことなのかい?」

石蒜を歪めたのはこの童女だ。
闇に染めたのもこの童女だ。石蒜が闇に落ちるような行為を成していくのは、鳴鳴が原因といっていいだろう。
それにもかかわらず、違うという。
相手が褒められたがっているのをわかっていながら、違うと言うのだ。
不条理、腐条理であった。

「君は揺れているじゃないか……ほら、公園で「お友達」と話していたようじゃないか」

石蒜に私が盃を軽く揺らしてみれば、公園での黒髪の少女と石蒜の会話の様子が映る。

「僕が見たいのは心からの享楽だ。歪み果ててもなお、全てを嘲笑って高みに登る姿なんだ」

石蒜 > 「はい、誠心誠意頑張ります!」期待されている、ということだろうか。もっと、もっとご主人様を楽しませないと。そうすればきっと私だけを見ていてくれる。私だけを。

上機嫌で杯の中身を飲もうとして。『わかってない』の言葉に
「え……あ、あう……。」間違ったんだ、私は間違っていたんだ。
俯いて、下唇を噛み締め、涙をこらえる。
享楽、それは楽しみ。斬り合いは楽しかったし、金を奪うのも楽しかった。
でも、ご主人様は違うという、その事実に悲しみと後悔、罪悪感がこみあげる。

そして「…………!!」俯いて見ていた杯に写った光景に、絶句し杯を取り落とす。
「あ……うあ……ち、違う違うんですご主人様……!私は……」涙が溢れる、どうしよう。揺れていた、私は確かに揺れていた。
ご主人様に捨てられてしまう、それだけは嫌だ。まだ全然ご主人様は私で遊んでない、それなのに捨てられるということは、私がつまらないからだ。
そんな感想だけは抱いてほしくない。
「わ、私は……違うんです、サ、サヤが……サヤが私の中に、まだ残ってて……す、すすすぐに塗りつぶします、もっと歪みますから……捨てないでください……お願いします……。」額を地面にこすりつける、何をされてもいい、ただ失望だけはしないでほしい。そう願いながら。