2015/07/24 のログ
■蒼穹 > (寒色系の色合いの濃く横たわるその夜空は、きっと綺麗なものなのだろう。
今は、曇天というべき、灰色とも銀色ともつかぬ空が広がって、
白とも銀ともつかぬ雪が舞う。
そんな雲に隠れながらも燦々と異様に照る初夏の日差しは、これも白とも銀ともつかない。
固定概念、とでも言うのだろうか。
パズルにピースをはめ込むなら、既にピースは形として決まってしまっている。
自分が思う「これ」を押しはめ込めば、「それら」は押し退けられて歪む。
きっと、異界からやってきた人を完全に理解することはできない。
だけれど、異界からやってきた人だけにそれは言えることだろうか?
一昔前の「外国人」という物を、完全に理解することが出来た人は、きっと居ないだろう。
知っている心算でも、知らなかったり。思っていたこととズレがあったり。
だからこそ、もっと知りたくなるのだろうし、完全へと近づけたくなるのではないだろうか。
異質なものを完全に理解することは、それこそ全知全能の神様でもなければ不可能だろう。
「神」とは、時に信仰の対象とされる。また、大きな力とされたり、説明しようのない不思議な力と説明されることもある。
自然の大きな働きにたとえられる事もある。
気紛れで悪戯で、誰であっても馴れ馴れしい己は、もし、例えるなら「嵐」のような存在ではないのだろうか。
全ての物が現れ得る、この場所。
好奇心が煽られるのもそうだろうし、暇をしなくなるのもそうだろう。
先程まで、積もる事もなく溶けていた雪は積もり始める。
異常気象というべきだけれど、この場では珍しくもないのかもしれない。)
あっはは、…そうだね、一日だけなら有難いさ。
一瞬だけ、熱さを忘れられる。でも、冬になったら雪なんか見たくないって、言いたくなる人も多いって思うな。
花鳥風月と雪月風花…日本人の言う綺麗なもの、なんだってさ。驚くことに月と花と風は共通してるんだって…。
…何の事か分かんないかな。
(冗談に冗談が返ってこないのなら、そのまま少しまともな話。
目に見えない、「風」が綺麗というのは少しおかしいのではないだろうかと思うのだけれど。
ただ、雨に当たって濡れるのとは違った感触がある。
手で掬って、水に変わる。水に変わるまでは、確かにそこにあったはずなのに、水に変われば、するりとまた指を抜ける。)
あっはは、海じゃなくって海の家、なんだよね。
ま、夜の浜辺で花火でもー…とか思ったりもしたんだけどさ。
…ん?じゃ、こんどちょろっと出て行くかい?
(温度差。寒い場所から帰ってきて、御湯で手を洗う時、火傷してしまいそうになる様に、
今、たとえ彼女の手が冷えているにしても、きっと雪遊びをしていた己程冷えてはいないだろう。
故に、やはり十分に暖かく感じれた。)
そうそう、
一日置いたら必ず見えるものは変わる。大なり小なりね。
そもそも、歩く道さえも変わってることがあるしね。…何が起こるか分からない。
だから、面白いってね。
(それこそ、無限の可能性に、無限の物語。
何がどう起こるかなど、これも全知全能でなければきっと知り得ないだろう。
分からないし、完全に読みきることも不可能。だから、面白い。)
そだねぇ…危ない所もあるんだけどね。
あっはは、今日はたまたま。この間は桜が咲いててね。まぁ、可笑しい所もあったもんだよ。
便利な魔法だねー…。そういえば、ルーンの話は、図書館で聞いたっけな。
(完全に物見客の意見。
戦わずして勝つ、なんて言葉や三十六計逃げるに如かずなんて言葉もある。
ただ、破壊する者として、少し気が狂れた者としては、捻じ伏せてしまう方が…と、穏やかでない考えも過るのだけれど。
それをここで語るのはきっと野暮だろう。
情景も、感情も、闘争とはかけ離れた、穏やかで落ち着いたものだから。
ああ、やっぱり私は変わったな、と思うのは、また別の話。
少なくとも、彼女はきっと「攻撃」という手段を選ばないだろう。
そもそも、それらを寄せ付けない。例え寄せ付けても「現状維持」。
これもまた、魔術の様な時間だったのだろうか。)
…と、ごめんね。
そろそろ…温まってきたいかな。一緒にどう?
(そう言って、凍りついた時空から、外れんと、銀の世界をまた一つ踏み拉いた。
さて、冷たい場所から暖かい場所へと移れば、時間は対称的に目まぐるしく動くのだろうか…それとも。
一つ、御誘いの言葉でも投げながら、その場を後にしようか。)
ご案内:「転移荒野」から蒼穹さんが去りました。
■アリストロメリア > 真夏の日差しを覆う、灰色とも銀色ともつかぬ空は
白や銀、灰色の混ざり具合が水彩絵の具を思わせる
真昼の夏の光を閉ざす分厚い雲は、薄暗さを仄めかしている
それは、強い日差しの輝きからこの白銀の世界を覆う天空の扉の様にも映るのは
ここにだけ広がる白銀の世界の異質感からだろうか?
きっと、彼女の事を理解する事は出来ないのだろう
それは未知の領域である一昔前の外国人を理解する事に近い様に
全てを知ると言う事は不可能であると言う事であり、理解すると言う事は
生命の樹に横たわる深淵を超える事に等しい
其れはきっと、未知の領域の彼女を始めとして 異国の人を含め
広く言えば身近なところの人物まで、等しく全ての人も同じ事
『全てを完全に理解する事は不可能』である
きっと、今は『邪神』だという少女が気になって知りたい気持ちがあるのだけれど
そんな今の自分自身は、そんな些細な事に気付かずにつまずいている
それは、それだけ相手の存在という物が大きいからだろうか……?
『嵐』の様な存在であると言う彼女は、トリックスター気質なのだろう
この白銀の世界に似た文化で作られた神話のロキを思わせるように
或いはルーンの『ハガル』であろうか?
雹や嵐を示し、破壊の力を持つルーンである
「ええ、そうですわね
冬になれば夏が恋しくなりますし……雪の降り積もる地域は生活自体が大変ですものねぇ
花鳥風月……雪月風花……?まぁ、そうなんですの? ……月と花と風の共通……?
うぅん、どういうことでしょうか。東洋の知識は無いので分かりませんわ。教えて下さいませ」
と、意味の分からない自身は、彼女に教えを乞うのであった
「海の家?」
再び首を傾げる。海まで行って、海の家のみということは
アルバイトなのだろうかと一瞬思ったが、何となく其れは無いだろうとすぐに考えを捨てた
「花火……そう言えば、此方の花火は美しいとか
とても、見てみたいと思っておりましたの……ええ、是非。楽しみですわ」
そんな事を居ながら、ひんやりとした彼女の手を取ると
「芯まで冷えてますわね……」と、暖めるように手を包んだ
「そうですわね。歩きなれて見慣れた道も、日々の変化はありますわね
それは、季節の変化や時の移ろいによって変わる物もあれば
自身の見方や物の捉え方、肉体的・精神的成長にもよって 随分と……
何が起こるか分からないから面白いのは同意ですわ
……きっと、始めから何があるか全て見通せているのであれば
日々はつまらない物となりますし、そのうち自身の存在価値に疑問を抱く日も来るでしょうから
……危険なこと?」
彼女の言う、危険なことって何があったのだろう。気になる
「桜が? 此方に来る時に拝見しましたが、気になる薄桃色の綺麗な花の事ですわね?
きっと美しい光景でしたでしょうね。可笑しい所とは一体?」
「以前、少しばかり図書館でお話致しましたわね……オーディンがルーンを手に入れたお話を」
忘れもしない。あの時の図書館から、彼女とこうして親睦が深まったのだから
彼女の秘密を少しばかり教えて貰って、その力を魅せられて――……
その後、何も無かったように平和にハンバーガーを食べに行ったのも、楽しくも既に過ぎ去った過去の想い出
勝てば官軍、負ければ逆族
どうしても仕方の無い場合であればやむを得ない手段なのだろうけれど
戦わずして勝つや十六計逃げるの言葉がある様に
北風と太陽の、太陽みたいな生き方が
最も気楽で楽しいし、平和的であり、賢い生き方だと思う
戦場で最も愚かなのは、果敢に死ぬまで戦う奴だ
時として逃げる事も必要である――……
其れは弱い人間として生きる知恵や手段でもあるのだけれど
破壊神の彼女にはまどろっこしいし、全てを破壊して平伏されれば済む話だろう
貴族に生まれた自分には、他者を攻撃するにも、仕掛けるにもどうしても『名分』が必要になる
彼女からすればきっと『名分なんて、勝って適当に作っちゃえばいいんだよ』と言われそうだが
持ち得る者として生まれたからこその、窮屈さや、拘束という物が生じるのだ
――……故に、自由気ままに楽しむ彼女の性格は、そんな所も羨ましい所ではあるのだけれど
今日は、そんなお話も無く 初めて出会ったころよりも穏やかな彼女の表情を見て微笑むのだった
もしかしたら、現状維持という名の停止のもたらした、イスの魔法仕掛けの一時だったのかもしれないけれど
「暖まった方が宜しいですわね……ええ、何処かで温かい飲み物を飲んでゆっくりしましょう」
冷え切った手から、一刻も早く温かい所へと移動した方が良いだろう
神だから正しく言えば人間の人体構造と違うのだろうが
女性の一般的な感覚や感性からしても冷えは良くないと思うし
「何処へ行きましょうか?」
そんな事を言いながら、とりあえずはこの場を出るまでの暫しの間
これ以上寒くは無い様にと、自分の羽織っていたローブを一先ず彼女に被せて
それから手を取って、二人で何処へ行こうかと話し合いながら、この場を後にした
ご案内:「転移荒野」からアリストロメリアさんが去りました。