2016/05/17 のログ
ご案内:「転移荒野」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
なんとはなしに、ここへ来た。
過去の名も、過去の敵も忘れるために、ここへ来る必要がある気がした。

ただそれだけ。

「夏樹……ごめん。さよなら」

ぽつり、呟く。
きっと彼女はもうこの世を去っているだろう。
あの時からも、あと何年も持たないと言われていたから。

「イヴ……二度と出てくるなよ」

皆殺しにした、と自分に言い聞かせて。

寄月 秋輝 >  
元の世界では多くの人たちに助けられた。救われた。
そして鍛えられた。

その人たちにありがとうとさようならを告げる。

最後に、皆幸せでありますように、と。

小さく、刀を携えて祈りを捧げた。
きっとみんなは笑っているだろう。

そんな笑顔が、空に見えた気がした。

寄月 秋輝 >  
祈りを終えた。
過去の名と、過去の全てに決別を付けた。

(これから僕は寄月 秋輝として……生きていこう)

さようなら……母さんのくれた名前。
さようなら……十五年の間、共に生きてきた『八雲 亜秋』の名。

少しだけ、背中が軽くなった気がした。

寄月 秋輝 >  
それを終えたならば、あとは未来のことだ。
戦わねばならない未来は、まだ目の前に広がっている。
だが、その未来は明るく感じられた。

その目は真剣そのものだが。



(……やはり確率位相のズレの可能性もあるな)



かつての世界で起きた、重犯罪の内容の一つを思い出す。
こちらでも同じことが起きている可能性は十二分にあるのだ。

(……じきに風紀のデータベースを漁ってみる必要があるな)

もっとも、それで答えが出せるほど簡単な事象でもないのだが、やってみる必要はあるだろう。

誰かを守るために、暗部を闇から闇へと葬るために、もう一度戦うのだ。
きっとそれが、自分の新たな……今まで通りの、新たな戦いだと信じて。

寄月 秋輝 >  
空を見上げた。

今までよりずっと、その空は明るく見えた。

青空も、太陽も、星々も、月も。

全てが、眩しく見えた。

ご案内:「転移荒野」から寄月 秋輝さんが去りました。