2016/08/15 のログ
影打 鈍 > (迫る刀身。
 伸びるそれへ冷静に刀を合わせて、流す。
 刀の表面に火花が走り、僅かに傷が付く。)

――ほう。

(物理的な手段ではまず掠り傷一つ付かない刀に傷を付けられた。
 対人外の刀は伊達ではないと言う事か。
 感心したように呟き、ぬるりと間合いを詰める。)

つまりこの島は学園都市と言うやつか。
調べる必要がありそうだな、どこへ行けば良い?

(まるで世間話をするような口調だが、その間も身体は澱みなく動く。
 自身の間合いに入るべく滑るように動き、刀を自身の右下方から左上方へ。
 同時に頭上から真っ直ぐ、左から右へと横一文字に魔力の刃をも振るって。)

羽切 東華 > …受け流されるのは想定していた。確認したかったのは、《魔剣》で彼女に傷をつけられるか否か。
僅かに目を細めて、こちらの伸びた斬撃を受け流す様子…特に、火花が一瞬散る様を見据え。

「そうだね、鈍が今は何処を塒にしてるか分からないけど、別の世界?から来た人たちなら「異邦人街」

ぬるり、と間合いを詰められながらも口調は何時ものそれ。
慌てず騒がず、刀を引き戻して彼女の動きを”見る”。まず頭上からの魔力の横一文字の斬撃をカウンターの如く逆からの斬撃で相殺を試み。
それが成功したのならば、瞬時に刀の軌道を”捻じ曲げて”右下方から左上方に振るわれるそれを叩き落さんと試みる。

「――島に付いて調べるなら、学生街というか学園の図書館とかがベストだと思うよ!正規の学生じゃないと風紀委員が怖いけど!」

影打 鈍 > (一刀でこちらの二撃を凌がれた。
 魔力の刃はガラスのように砕け、刀は弾かれどちらも届かず。
 出来る。
 彼に振るわれれば、自身の剣もより強くなるだろう。
 ますます彼に振るわれてみたくなった。)

今は此処だ。
少し前は貧民街のようなところだな。

(弾かれた勢いのままに刀を下段へ。
 ぬるりとした動きのまま左へのフェイントを居れ、即座に直線的な動きで右へ飛ぶ。
 彼から見て左へと回りこみ、僅かに時間差を付けた三点同時攻撃。
 魔力の刃で首、脇腹、刀身で肋骨の隙間を狙う。
 どれも受け損なえば死に至る攻撃だが、彼なら難なく捌くだろう、と確信して。)

図書館か。
しかし私は正規の学生でないからな。
それに私が人間の生活に馴染めるとも思えん。

(その最中でも雰囲気は変わらない。
 世間話をするような口調で、冷酷に急所を狙う。
 殺気も敵意も戦意もないままで相手の息の根を止めに掛かっていく。
 死なれては困るが、そこはやはり人の命を奪う刀の行動だ。)

羽切 東華 > 何とか防いだが、正直ギリギリだ。少しでも判断を誤ればそこで終わる。
とはいえ、この緊張感は祖母とサシでやり合った時と同じだ…一歩間違えば斬られて死ぬ。
その緊張感が、静かなる熱が溜まらない。無意識に口元に笑みを浮かべつつ。

「貧民街…ああ、何か聞いた事がある気がする。名前まではうろ覚えだけど」

弾いた刀の行く末を確認する暇は無い。彼女が即座に直線的な動きで右…いや、フェイントか!
すぐさま左へと意識を向けながら体をそちらへと捻り、次の瞬間僅かの時間差で飛んでくる魔刃と斬撃。
体を捻ると同時に刀を振るい、かなりギリギリだが首狙いの一撃と脇腹狙いの一撃をほぼ同時に一刀で防ぐ。
そして、刀身での肋骨の隙間を狙ったソレ。左手に何時の間にか握っていた黒鞘で刀身を真横から叩いて軌道を逸らさせんと。
成功すれば、肋骨の隙間でなくこちらの脇の下辺りを通過する軌道だ。そのまま、脇を締めて刀を挟み込もうとする狙い。

「郷に入らば郷に従え。鈍からすれば不本意かもしれないけど、人の文化に溶け込むのも大事だよ。
何なら必要な書物とかを俺が借りてきてもいいけど。この島の地図とか大まかな成り立ちが載ってるのとか」

一歩間違えば死ぬかもしれないのに、会話は互いに普通にこなす異様な光景がそこにある。

影打 鈍 > (見事な体捌きと刀捌きだ。
 人によっては見とれてしまうものも居るかもしれない。
 自身も刀として、彼の動きに魅了されているのかもしれない。)

なんだったか――落第街だったか。
なるほど、学園都市故の呼び名だったわけだ。

(魔力の刃は再び砕かれ、刀は叩かれ軌道を変えられた。
 ならば振り切ればこちらが攻め立てられる番だろう。
 ならばと即座に体ごと刀を引き、距離を取る。
 伸びる斬撃に追われぬよう、跳び退きながら手首の力で刀を振るい、魔力の刃の壁を置いておく。
 彼を狙ったものではなく、追い討ちを防ぐためのもの。)

私のあり方としての問題だな。
私は刀で人を斬るための道具だ。
道具に善悪は判断出来んし、故に人との間に軋轢が生じる事もあるだろう。

(そこで刀を鞘に納める。
 今の数合の打ち合いで彼がかなり出来る剣士だと言う事がわかったから。
 充分だ。)

――だから汝が私を振るえ。
それで解決だ。

(自身を振るうに値する剣士だと判断するには、充分だ。)

羽切 東華 > 己が振るう剣術は、その体捌き、足の運び全て含めて《魔剣》と称される。
正道を外れた邪道、それでありながら人外を斬り殺す為”だけ”の技能。
異能でも魔術でもない、ただ人の領域から半歩ばかり踏み外した剣術。
勿論、長時間それを振るえば負担は加速度的に増大する。が、そんな事を考える余裕が無い相手がここに居る。今目の前に、だ。

「あ、あ~~…うん、そんな名前だった気がする。行った事が無いから詳細は分からないけど」

興味が沸いたから今度調べてみるかな、と思いながら脇を締めて刀を固定、する前に即座に距離を取られた。
判断が瞬時でしかも的確だ。経験と年月を重ねた妖刀なのは矢張り間違いない。
追撃も考えたが、魔力の刃の壁を目の当たりにして踏み出し掛けた足を急停止。
追い討ち対策もしっかりされている以上、仕切り直しか…と、思っていたのだが。

「刀の在り方は突き詰めれば誰かを、何かを斬る為のものだしね…。
言葉でどう取り繕うと、どんな崇高な目的があっても、何かを斬る事に変わりは無い訳だし」

何処か悟ったように、彼女の言葉にそう返して苦笑を浮かべる。まるで自分も人の形をしただけの刀みたいだ。
彼女が不意に刀を納めれば、こちらも瞬きをしながらも取りあえず黒鞘へと刀を納めて。
転がっていた竹刀袋を拾い上げてから《禍津切》を再び仕舞い込む。

「……って、え?俺が君を?」」

彼女の申し出に驚いたように。別に嫌なのではなく、学生ではない彼女と四六時中行動を共に出来ない懸念がある。
何せこっちは学園生徒…普通に学園に通う立場。とはいえ、彼女を束縛するつもりはないが。

「んーと、まぁ鈍がそれでいいなら、俺としては断りはしないけどさ」

影打 鈍 > まぁ、まともな人間なら用があっても行かない方がいいところではあるな。

(彼に歩み寄りながら落第街についての意見を述べる。
 彼が迷い込んで遅れを取る事はないとは思うが、風紀委員とやらに目を付けられると面倒、らしいし。
 人の範疇から半歩とは言え踏み出しているのなら人としては破格だろう。
 ここには半歩どころかその境界をぶっちぎっているヤツもいると聞くが。)

加えてそこに思想や理念があるわけではない。
刀それだけでは人を斬るために人を斬るものだ。
だから人が使うべきだと私は思う。

(そして自身を振るう次の担い手として彼を選んだ。
 人外を斬る刀の担い手であり、彼自身が人外を斬る剣士であり、そしてその腕前は申し分ない。
 充分過ぎる物件だ。)

生徒となるにしても汝が私の行動を決めてくれれば人としての判断も出来る。
そうと決まれば、行くぞ。

(自身が学園に生徒として登録されるか、彼の使い魔のような形に落ち着くかはわからないが、どちらにしても今のように魔力の供給源に悩む必要も無くなる。
 そして自身はさっさと街の方へと歩き出した。)

羽切 東華 > 「だろうね。何か名前からして不吉そうだし。けど……」

己の悪い癖だが、好奇心が疼く、狭い田舎の世界だけだった己だ。外の世界、この島の事は色々と知りたい。
だから、きっと遠くない内にその落第街にこの少年は赴くのだろう。そういう性だからしょうがない。
そして、彼女の使い手となったら、半歩どころか完全に踏み外すのは確定的だ。
…が、それも悪くない。別に善悪で自分は動いていない。信じるのは自分の気持ちや気分。まずはそれだ。

「つまり、使い手と刀。二つがキチンと揃ってこそ「完成」と言えるって事だよなぁ」

まさか自分がとんでもない妖刀から使い手に指名されるとは思わなかったが。
彼女が選んだのならこちらから言う事は無い。いざとなれば彼女を使う場面もきっとあるだろう。
色々と思う事があるにはあるが、静かに息を吐いて頭をクシャクシャと掻き。

「いや、そうは言うけどさ…って、おーーい!?」

(あれ、何かこれ立場が逆じゃね!?)
と、妖刀に主導されてる使い手の図式。そして魔力の供給とかは現時点で全く分かってない男である。
さっさと歩き出す彼女の後を負いかけながら思う事は一つだ。

「どうすりゃいいんだろうなぁ…」

使い手に依存はない。問題はどういう扱いにするかだ。と、いうか学生登録出来るのか?
そんな悩みを抱えながら、ともあれ町へと戻るのである。

影打 鈍 > 汝ならさほど問題もあるまい。

(楽観的、と言うより問題ないだろうから問題ないと考えているだけだ。
 彼が赴くのなら自身も赴くだろうし、そこで刀を振るうなら自身も振るう。
 それだけだ。)

剣士は刀を持たねば剣士ではないし、刀は剣士が居なければ何も出来ん。
私はこうして振るえるが、それは歪な事だろうよ。

(ともあれ彼が担い手になってくれるのであれば万々歳だ。
 カランコロンと下駄を鳴らしながら荒野を歩く。)

――おい、早く来い。
私は汝の家を知らんのだ、案内してくれ。

(彼の心を知ってか知らずか――もちろん知らない訳だが、振り返って彼を呼ぶ。)

羽切 東華 > 「問題ないのかなぁ。そういう場所にこそとんでもなく強い人がゴロゴロ居そうなんだけど」

苦笑いで肩を竦める。負けるつもりはないが、誰であろうと勝つ、とも言い切れない。
自分がまだまだ未熟で井の中の蛙なのは己自身がよく知っているのだから。

「ああ、そっか。鈍は刀そのものだから、自分で自分自身を振るってる事になるのか…」

確かに歪といえば歪だ。納得したように相槌を打っていたが、問題はそこではない。
と、いうか…

「待てぃ!俺の部屋は男子寮!つまり女子が入ると不法侵入になるんだけど!?」

(むしろ風紀委員さんにバレたら、下手すりゃ退学じゃねーか!!)

と、言いつつ彼女に追い付いた。最悪、彼女に刀そのものに戻って貰えるならそうするしかない気がする。

影打 鈍 > そうなのか。
ならば、持て。

(行って刀を投げ渡す。
 同時に人としての姿は消してしまう)

さあ行くぞ。

(喋る刀。
 妖刀としてこれ以上ないくらい分かりやすい形であった。)

ご案内:「転移荒野」から影打 鈍さんが去りました。
羽切 東華 > 「お、おぅ…(いや、待て待て結局同じ部屋で暮らす流れかこれ!?まさかの妖刀との同居生活!?」

使い手を前言撤回する不義理は勿論しないが、この流れは考えてなかった。
ちょっと後で部屋で彼女と話し合う必要がありそうだ。と、彼女自身、つまり本体である刀をキャッチして。
《禍津切》が人外限定な以上、対人ではこの影打を普段は使う事になるんだろうか。

「…取りあえず、後で俺の部屋で話し合いだからな鈍。ある程度の取り決めをしないといかんし」

束縛するつもりは勿論無いが、最低限のルールは定めておかないと破綻する。
彼女には申し訳ないが、使い手となった以上はそこは飲んで貰おう。
そして、妖刀は取りあえず左腰に差して歩き出そう。

ご案内:「転移荒野」に羽切 東華さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」から羽切 東華さんが去りました。