2016/10/03 のログ
オーギュスト > 「あぁ、そりゃ国王に貰った剣だが――良かったら受け取ってくれ。俺にゃ、これくらいしかあんたにやれるもんが無い」

ヨキに短剣を差し出す。恩賜の短剣だが、まぁ別に大事な物でもない。
売ればいくらかの金になるだろうが、流石にそれは気がひける。命の恩人に対する礼にするのが妥当だろう。

受け取ってもらえたかもらえなかったかに関わらず、オーギュストはヨキの言葉に頷くと、目の前の物を手早く纏める。
とりあえずは、『異邦人』としての登録と――飯だ。

「わりぃが、その『異邦人』の登録が出来るとこまで案内してくれるか」

言いながら立ち上がる。
血をずいぶん流したせいか少しふらつくが、歩ける程度には回復している。
今後のことは、まぁおいおいそこで相談するとしよう

ヨキ > 「国王に?大変な品ではないか」

言いながら、オーギュストの顔を見る。
賜り物にしては軽い扱いに、ふむ、と小さく笑う。

「いや。知らぬ土地で、そうそう武器になるものを手放すのはよくない。
 状況が落ち着くまでは、得物のひとつとして持っておくのが賢明だろう。

 それなら、もしも君が元の世界に戻れる日が来たら――そのときこそ、記念に譲ってくれ」

両手を向けて辞する。
自分もまた鞄を背負い直して、オーギュストの傍らで立ち上がる。

「さっきの貨幣も、悪くない打刻だった。君の身分が窺えるというものさ。
 まともに寝泊り出来るようになるまで、そうそう時間は掛からんだろう」

相手の足取りに合わせて、歩き出す。
軽装のヨキが辿り着いただけあって、幸いにも街まではそう離れていない。

そうして、ヨキが先導して案内する行き先は、委員会街。
別れ際――相手へ「何かあれば連絡を」と渡した名刺の裏に、“オススメの美味い店”をいくつか控えておくことも忘れなかった。

オーギュスト > 「ありがたい、ヨキ。この世界で最初に会った人間が本当に良かったよ」

落ち着いたら、あらためて礼に行こう。
そう心の中で決めながら、オーギュストは常世島で最初の一歩を踏み出した。

ご案内:「転移荒野」からヨキさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からオーギュストさんが去りました。