2016/10/06 のログ
ご案内:「転移荒野」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
転移荒野の真ん中。
真っ直ぐに突き立てた刀の上、小さな柄頭の一点に座る秋輝の姿。

……と、周囲に転がる多数の魔物の物言わぬ姿。
死体が半分、気絶が1/4、再起不能が1/4といったところ。

「……ぬぅ……」

思わず不機嫌な声が漏れる。
どうも今回は妖の類の存在に出会えない。
全部が全部、命のある魔物ばかりだ。

「これでは修行にならん……」

大半の魔物では相手にならない程度には完成された戦闘力。
この場から座ったままでも、ほぼ敵にならない。

退魔術、巫術の実践練習をしに来たのだ。
だというのに、なかなかお目当ての存在には出会えない。

寄月 秋輝 >  
実力が不足しているとは思えない。
知識もまぁ、十分だろう。
しかし実戦経験と、退魔術を実際に扱う経験があまりに足りていない。

「……魔の念も多い場所の方が出ると思ったのに……」

失敗という他ない。
秋輝の感知能力は、鋭さはあるが範囲はない。
近くにある悪霊や妖の気は感じられるが、広い範囲に点在する者たちは感知できない。
それこそ、普段飛行する高度では地上スレスレしか拾えないほどに。
かといって、実験相手の妖を探すために島全土を歩き回ろうなどとは到底思えない。
最後の望みをかけてきたのがこの転移荒野だったのだが。

「……どうしよう」

途方に暮れる始末。

寄月 秋輝 >  
背後から迫ってきた魔獣を、見向きもせずに光の槍で貫く。
魔獣討伐は以前の軍属の時からやってきた仕事だ。
基本的に生かして終わらせない。
体を貫かれ、内部に浄化魔力を流し込まれ、魔獣がまた一匹眠りについた。

「……やはり僕は向いていないというか……
 退魔師をすべきではないのかなぁ……」

特大のため息をぶちかました。
他人が危険を冒す必要はない、という気持ちに変わりはない。
しかし広域探知も出来ず、術に対する適正そのものが足りないともなれば、やめておくのも選択の一つかもしれない。

「……こういう時……あの人はなんていうかな……」

他人を信じろとでも言うだろうか。
それとも、また『あなたが守りたいと一方的に願うほど、その人たちは弱いですか』と突き放すだろうか。
困ったものだ。

寄月 秋輝 >  
結局、こうして見晴らしのいい場所で人間というエサを垂らしても、奴らは現れない。
ということはこの場には居ないのだろう。
まだ迷うところもあるが、とっとと撤退してしまうに限る、と判断した。

「……安らかに」

周囲の魔獣たちに、妖に対するものとは質の違う浄化術を撃ち込む。
命と魔力を破壊し、静かな天へと還す。
それで、ようやく全てが終わった。

討伐の記録もメモしてある、一応連絡しておこう。
そんなことを考えながら刀を引き抜き、空へと飛んでいった。

ご案内:「転移荒野」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」に櫛鉈 蛟さんが現れました。
櫛鉈 蛟 > 「転移荒野ねぇ…ここに来るのも久々だが、相変らずまぁ訳分からん場所だわなここは…」

荒野の一角。夥しい程の魔物、魔物、魔物…の死骸の山。
そのど真ん中に佇み、場違いな程に暢気に紫煙を燻らす煙草を咥える男が一人。
周囲に漂う血の臭いと死の気配。特にそれに感慨も無く、この魔物もただ襲ってきたのを片っ端から殺しただけだ。
当然、浄化や消滅させる術式など使えない為、魔物の怨念じみたモノが男の周囲に纏わり付くが。

「あーあー。止めとけ止めとけ。俺に恨みや妬みを抱いてもしょうがねーだろ。
襲ってきたお前等の自業自得だ。大人しく死んでろ。」

鬱陶しそうに右手を軽く振るって纏わり付く怨念を追っ払うような仕草。
これが耐性の無い人間なら精神に寄生されたりして乗っ取られたり呪われたりするんだろう。
が、生憎とそんなものは体質的に全く効かないのだ。異能でも魔術でもない、そういう体質だからしょうがない。

櫛鉈 蛟 > とはいえ、浄化術も退魔的な武器や道具も、神聖な魔術も一切使えない。
せいぜい、愛用する短刀が神剣の欠片を核としているくらいだが、それも薄まっているので決め手に欠ける。

「やっぱりアレだよなぁ、1対多数は俺の戦闘スタイル的にどうにも向いてねー気がするっつぅか。
単純に決め手がねーんだよなぁ。どう足掻いても持久戦勝負に帰結しそうだし――あン?」

不意に左手に持っていた青い刀身の短刀を真後ろへと振り抜いて。
生き残りだったのだろう。魔物の眉間を正確に貫いて一撃で命を奪う。
短刀を抉るようにして捻りながら引き抜けば、また一つ魔物の死骸の出来上がり。
それを煙草を蒸かしたまま一瞥したが、直ぐに興味が失せたのか詰まらなそうに眼を逸らした。

「なーんか、面白いヤツでも出てこないかねぇ…」

とはいえ、これだけ広い上にあちこち”捩れている”空間だ。
何時何が何処で起きるかなんて運任せのようなものである。