2017/07/20 のログ
ご案内:「転移荒野」に神代 理央さんが現れました。
■神代 理央 > 砂塵舞う荒野の片隅。濛々と舞い上がる砂の粒子に辟易しながら、コキコキと首を鳴らす。
異能に目覚めたとはいえ、実戦経験どころか使用頻度すらロクにない己の力を伸ばすには―
「取り敢えず、使ってみるのが一番なのだろう。制御するにも、そもそも限界が分かりませんだの、使い方が分かりませんだのでは話にならないしなあ…」
最初は演習場に足を運ぶつもりだったが、正直己の異能を余り人に見せたくない――主にその醜悪さ故に――事と、取り敢えず景気良くぶっ放すには此方の方が良いだろうと判断した。
尤も、辿り着いた時点で既に帰りたく成る程の砂埃に表情は顰め面で固定されているのだが。
■神代 理央 > 「さて、と」
異能の発動に特に口上や動作を用いる事は無い。
ただそうあれ、と望むだけだ。
さながら墓から這い出る死者の様に―とまでは酷い有様では無いが、大地から湧き出る様に耳障りな金属音を上げながら一体、また一体とスクラップに火砲をねじ込んだ様な塊が荒涼の大地に現れる。
「…こんなものか。じゃあ、一人で戦争ごっこでも楽しむとするかな」
両手で耳を塞ぎながら自嘲めいた呟きを一つ。
その瞬間、召喚された金属の異形は歓声を上げる様に砲弾の雨を大地に捧げた。拳銃弾から重砲まで、多種多様な砲弾をその身に宿した金属の異形が放った砲弾は荒野の地形を変えてしまおうとばかりに盛大な火力の狂宴を描き続ける。
■神代 理央 > 一瞬の間の後、凄まじい爆音と共に熱風が吹き荒れる。
尤も、熱風にも砂埃も何処吹く風と言わんばかりに、金属の異形達は黙々と砲撃を続けているのだが―
「…喧しい、熱い、煩い、耳障りな事この上ない。全く、もう少し小回りのきく異能であれば色々と捗ったのだがな」
服についた砂を払い除けながら、固定化した顰め面のままに呟いた。その独り言が口から離れる前に、主の意思を受けた異形達は既に砲撃を停止している。
後に残ったのは、大量のクレーターとおぞましい金属の塊。それを眺めながら溜息を零す己の姿。
■神代 理央 > 用は済んだ、と意識すれば視界に捉えていた金属の塊達は耳障りな金属音と共に崩れ落ちていく。崩れ落ちた後構成物質が残ってくれれば多少は有意義なのだが、と消失していく召喚物を眺めながら取り留めもない事を考える。
「次は動く的を相手にしてみたいものだが…流石に護衛も無しで怪物やらと戦うのはなあ…」
別に己の武勇を誇るつもりも、この力で覇を唱えるつもりも毛頭ない。しかし、己の力を測る為には何かしらと戦う必要があるのだろう。全く気乗りはしないが。
「…まあ、追々考えていけば良いか。取り急ぎは、使用感覚を掴めただけでも良しとしよう」
強風で乱れた髪を適当に整えつつ、小さく欠伸を一つ零す。
最後に穿たれたクレーターを一瞥した後、快適な己の自室に戻るべく、荒野に背を向けてのんびりと歩き出した。
ご案内:「転移荒野」から神代 理央さんが去りました。