2018/11/28 のログ
ご案内:「転移荒野」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 荒涼とした大地を疾走する、一台の高級車。
乗車しているのは少年一人。設定された目的地まで自動運転でひた走る車内は、道らしき道も無い荒野を走っているとは思えない程静かなものだった。

やがて、砂煙を上げながら走行していた車は、小高い丘の上で荒野に相応しくない程の丁寧な減速と共に停車する。
車内から降り立った少年の視界には、丘の下の原野に屯する魔獣の群れが見えた。

「……流石に、演習場では試せぬからな。コイツは」

身体を解しな、懐から取り出したのは先日研究施設で受け取ったアンプル。
所謂【制御薬】であった。

神代理央 > 瓶の蓋を開け、ソレを口に含もうとして―悩むように動きを止める。――だが、それも一瞬だった。

「薬に頼る連中と同格になるのは些か業腹だが…まあ、所詮は俺も同じ穴の狢であることは否定しまい」

薬に溺れる程度なら、自分が求める支配も力も、手に入れる事など出来ないだろう。それくらい御する事が出来ねば、欲する闘争を行う事は出来ない。

それは自分に対する言い訳か、或いは本心か。
僅かに肩を竦めると、一息にアンプルを飲み干した。

「…もう少し甘いほうが飲みやすいな。いや、薬の味付けに文句をつけるのは流石に野暮といったところか」

神代理央 > 力が溢れてくる、とか、制御不能の力が、とか、そういう展開に陥るのかと予想していた。
しかし――何も起こらない。力が漲ってくる訳でも、新たな何かを得た実感も無い。

「……どういう事だ?はなから、異能としての成長が限界を迎えていたということか。未顕現の異能発動くらいは期待していたのだが…」

とんだ肩透かしか、と小さく溜息を吐き出し、おざなりに異能を発動する。
どのみち、眼下に蠢く魔獣の群れは掃討するつもりであったし、あの程度なら薬を使うまでもなく対処可能であったからだ。

―そして、異能は発動し、制御薬が正しく効果を発揮していた事を知ることになる。