2015/06/27 のログ
否支中 活路 > 「英雄は、萎えて死んだかもしれへんが……ッ
残念ながら……ッ 俺はそんな大層なもんやない……
俺にあるのは意地と、あとは呑んだこの……ッ」

体を引き起こした。
ついた右手に視線を落とす。

 カ・ディンギルの似姿で、彼女が門を開いたのなら――それは天国へ続く階段だろうか。
 もっとも、オレも……

「テメェ…………?」

見えなかった。目の前に確かに居る。白い顔が。

 ……ま、確かにお前は倒れ伏す英雄じゃないかもな。渾沌がそこにある限りは。
 でもわかっているだろ。だからお前は立ち止まってたんだろ。

「せやけど、走るしかないわな……一度、振り落とされてもよ」

気づけば、自分が立ち上がっている。
それを見て笑っている、とだけわかる。

 “すなわちダメージの発生とは、衝撃のエネルギー成分である速度(ヴェロシティ)の二つの軸――
  「限界速度変化」と「限界加速度」がともに限界値(クリティカル)を越えることを言う”
 九度だ。
 お前の、スクランブルは、9(“N”ine)度だよ。No Grave(否死中)

否支中 活路 > 散漫な言葉が、それでも活路には確かなもので。

 オレはしばらくこの塔から見ている。ワタシの方はお前たちとともにあるしな。
 だから白鳥をやるよ。
 戻らず死んだ英雄が詠った景色なら、ここが葛城だろうから。
 その “事/言(ことわり)”で、悪事も一言、善事も一言、言い離つさ。

そして最後に
影が
何か
を言った。

否支中 活路 > 唐突に音がして
山を見上げて立っている。
白い影はどこにもいない。
だが、視線をさげるまでもなくわかる。

「これが……俺にとって玉倉部の清水てか」

音は立て続けに響く。低く、唸るように。
鳴らすのは白鳥のごとく白い流線型。
彼女が翼にしたそれのように。

純白の重二輪。

ご案内:「青垣山」から否支中 活路さんが去りました。