2015/07/27 のログ
ご案内:「青垣山」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 常世島の西の先。
未開拓区の山道を”ジョギング”と称して走っている。

確かに、いろいろな場所へ――自分の知らなかった場所へ足を踏み入れる「力」を手に入れられたからこそこうして足を伸ばせている。 自分の知らない世界を広げるために、「力」を使って足を踏み入れた。

風に乗り、見えない羽根で飛翔する。



ただ、それでもこの場所に、『異界のモノ達が住む』という噂に惹かれて来た。というのも、また事実。

谷蜂 檻葉 > 何かに、誰かに―――ひょっとすれば”あの子に”会えるのではないか。



そんな、淡い期待を胸に。
その期待を『有り得ない』と。『期待なんかしていない』と。 そう、自分に言い聞かせながら山道を走っている。

谷蜂 檻葉 > 「―――はぁ、はっ……。」

もう、走り始めて2週間程だろうか。
続けてきた運動量は確かに自分の体に返ってきていた。

山道を走る、というのはあまり経験がなかった筈だけれど。気づけば中腹に至る迄、無心で踏破していた。


振り返れば、遠く先に灯りが見える。
学生地区の……ともすれば、歓楽区の灯りも見えているのだろうか。

随分と暗くなった道で、息を整えながら走ってきた道を振り返って眺める。

谷蜂 檻葉 > 整備されていない山道には、電灯の類は存在しない。
道というのも、名も知らぬ人かすら判らぬ者達によって獣道から一回り発展した程度の道だった。

木々の間は一寸先すら闇に消える中。
遠くの灯りから、闇の中を光を放ちながら躍る妖精達に視線を移す。

妖精は自然を好む。
人が嫌いだとか、そういうわけではなくて、彼らは『定められた場所』にしか足場を持たないから。
だから、定められぬ『人の住処』ではないこうした場所では呼び出し力を借りる時よりも遥かに生き生きとした光が見られる。


そうして、


「……ターニャ?」


その明るく楽しげな光に、約束した彼女の面影を見たような気がして。

気づけば、名前を呼んでいた。

ご案内:「青垣山」に流れ星さんが現れました。
流れ星 > (きらりと輝ける流星が空を横切っていく。
 古来、流れ星は奇跡の象徴であったとか。
 空を横切って光る。それは燃え尽きる寸前に放たれる魂の光である。
 流れ星は残像を残してどこかの空に消えていった)

ご案内:「青垣山」から流れ星さんが去りました。
谷蜂 檻葉 > 声に驚いた妖精は、ビクーン!と、効果音が聞こえるような程に驚いて震える



「……そんなはず、ない……か。 ……あはは、なーんかナイーブっていうのかな。こういうの。」



そのまま、一瞬見えたはずの光はフワリと霧散するように消えた。


悲しくはない。
元からそんな事はあり得ないのだから。

しかし、惜しくはあった。
なぜなら約束の時はまだ先であるということに他ならないのだから。



――――だから。



「……逢えますように。」



ただ、願った。

谷蜂 檻葉 > 「―――さて、帰りも走りましょうか。」


星の軌跡に、想いは届いたのか。


その結果が明らかになるのは、そう遠い日のことではない。

ご案内:「青垣山」から谷蜂 檻葉さんが去りました。