2016/07/20 のログ
ご案内:「青垣山」に巓奉さんが現れました。
■巓奉 > 青垣山中腹にある自宅兼作業場の庵の客間にてごろごろと寝転がる少女の姿。
作務衣の襟元をはだけさせ、手でうちわの様に扇ぎ風を起こしている。
「あ゛-……なんでこんなに暑いのだろう、出来るのであればこの肉を引っぺがしたいところだよ。」
と、ぞっとしない言葉を呪詛の様に呟きつつ気だるげにごろごろと畳の上を転がりまわる。
ご案内:「青垣山」から巓奉さんが去りました。
ご案内:「青垣山」に巓奉さんが現れました。
■巓奉 > ごろごろ、ごろ。
暑さから逃げようとするかの如く転がる。
余計に暑くなるだけでは?と彼女自身思わなくもないが不思議とそうさせる魔力がこの畳にはあった。
「暑い……あ゛ーづーい゛ー……。」
暑い、暑いと口に出さないとやってられない程であろうか。
ただ単に暑さに弱いだけかもしれない。
■巓奉 > 「暑いし暇だし最悪だ、最悪だよ……。」
それでもごろごろするのをやめない。半ば意地になっているのだろう。
そうしている間にもどんどん作務衣は着崩れていく。
『どうせ誰も見ていないのだ、気にするものか。』彼女の態度がそう語る。
■巓奉 > あれよあれよと言う間に作務衣の上衣はすっかりはだけてしまった。
汗で体にピッタリと張り付いた肌着を晒しつつも彼女はまだごろごろしている。
「あ゛~……。」
最早、人語すら喋れて居ない始末。
とは言え汗だくで気持ちが悪いので水浴びでもするべきか、頭の中でそろばんを弾き始めた。
ご案内:「青垣山」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
とんとん、ノック音。
とんとん、ノック音。
「いらっしゃいますか」
声が響きます。
もしかしたら聞いたことがある声かもしれない。
■巓奉 > 戸の乾いた音が響く、来客なのはすぐに分かった。
だが暑さで参っている彼女にわざわざ出迎える気分では無く。
「んー? 鍵は掛かっていないから入ってくると良いよ!」
戸の向こう側の客人へと聞こえるように少し大きな声で出迎えるだけ。
庵の主人は相変わらず畳の上で肌着姿のまま、寝転がっているのである。
■寄月 秋輝 >
からからと戸を開け、入ってくる。
畳の間まで来て、ぺこりと頭を下げた。
「こんにちは。
……涼しそうな格好をしていますね」
一瞬迷って、大分当たり障りのない言葉を放った。
土産です、と紅白饅頭を差し出した。
■巓奉 > 寝転がったまま客人へ視線をやる巓奉。
「やあやあ、誰かと思えばこの間の風紀の。元気そうで何より。」
流石に寝転がるのをやめ、体を起こし土産の饅頭を受け取った。
そして『今日も暑いね』と言いつつ庵の奥へ引っ込み冷蔵庫から麦茶を取り出して差し出す。
だが分かっててやっているのだろう、脱げた上衣を羽織ることもせず肌着のままでいようとする。
■寄月 秋輝 >
「厳密には風紀委員ではありませんよ。
嘱託の立場ですからね」
暑いですね、と涼しい顔で答えながら正座。
汗ひとつかいていない。
「先日、刀を見たいと言いましたよね。
なのでお見せしようと思いまして」
肌着は気にも留めない。
というか、二人きりなら眼福と言って差し支えない。
腰から刀の帯を外し、優しく両手で支えるようにして差し出す。
■巓奉 >
「おや、あの時の約束を覚えてたのかい?
嬉しいなあ、遠慮なく拝見させて頂こうか。」
差し出された刀をうやうやしく両手で受け取った巓奉。
鯉口を切り鞘を傷つけぬ様、慎重にそして一気に刀を抜くと刀身をしげしげと見つめている。
さっきまで暑いだの暇だのと言っていたとは思えない程、真剣な表情。
それはまさしくプロの顔と言っても過言ではあるまい。
■寄月 秋輝 >
その刀は銀色に輝いており、よく手入れが行き届いていることがわかるだろう。
鋭く、美しく、何より刀身に帯びた神性と魔力がそれを際立たせる。
「その刀はもともと、神社の家に納められていた儀礼刀でした。
それをある人が、オリハルコンと呼ばれる二種類の金属で出来た合金で鍛え直したものです」
淡々と説明していく。
剣士として刀を預けたのは、相応の信頼がある証でもある。
相手を刀匠として信じて、まっすぐに見つめている。
■巓奉 >
「成程、奉納刀……道理で神性を感じるはずだ。良業物……いや、大業物は堅いかな。
何にせよ良い刀なのは間違いない。良き刀匠に巡り会えたね。」
刀身を眺めている間は口を開かず、鞘に納めてようやく語り出す巓奉。
大事な刀に唾をかけるなど言語道断であるとの考えからである。
「それにしても不思議な刀だ。
神性は勿論の事、魔力を帯びる刀なんてそうそうお目に掛かれないよ。」
『キミは一体何者だい?』
からかうような表情をしつつも、受け取った時と同じくうやうやしく両手でそっと刀を差し出すだろう。
■寄月 秋輝 >
良い刀匠、と言われて頭を横に振る。
あれがいいわけがなかった。
ついでに言うと、秋輝への鍛え方も頭おかしかった。
ただのバケモンだ。
「オリハルコンと呼ばれる金属……その片方は特に、魔力の伝導性がよいそうですからね。
それに、僕自身が魔力を扱うのに、その刀が応えてくれただけですよ」
その刀を優しく受け取り、脇に置く。
「僕はこの刀に命を預けて長いです。
この刀に恥じぬように自身を鍛え、この刀も僕の力に応えてくれた。
それがこの結果です」
なんらおかしくはない、と言い切った。
事実、秋輝にとって刀は腕の一部のようなものである。
刀もまた主人の手に、吸い付くように納まるものだ。
■巓奉 >
「ははっ、得てして才があるものと言うのは紙一重なものだよ。
私もその内の一人かな。」
頭を振る寄月を見て慰めるように冗談めかして言う。
『名刀は人を選ぶ』と言われている。
その名刀はまさに彼を主として付き従い彼の一部として在るのだろう。
「キミの様な男に付き添える刀もまた幸せ者だね。
あ、本格的な手入れが必要だったらいつでもおいで、若輩者だが精一杯手伝わせて頂こう。」
刀匠として、この様な幸運な刀を見るのはとても素晴らしい事だと思う。
同時に少し嫉妬も感じているが。
未だ見ぬ未知の治金技術を駆使し鍛えられた刀は巓奉の心を揺さぶるのに十分過ぎる代物だ。
「うん、その刀を見たら私も久々に刀を一振り鍛え上げたくなるな。
いやまあ、まだしないけどね。」
■寄月 秋輝 >
「……本当にその通りだと思います……」
地獄の訓練の日々を思い出して脂汗が出てきた。
「是非お願いします。
剣士として、手入れはもちろん刃こぼれひとつさせないように振るってきましたが……
それでも、いざというとき本業の鍛冶師の方にお願い出来るのは心強い」
ふ、と笑顔を浮かべた。
一つだけ、肩の荷が下りたような。
「創作意欲を刺激出来たならば幸いです。
完成品が出来た日には、一度見せてくださいね」
■巓奉 >
「むっ……酷くないかな? そこはお世辞でも否定してくれないと!」
ぶーぶーと言いながら寄月のおでこにデコピンをしようとする。
やや前かがみ気味に身を乗り出して居た為に、肌着の隙間から谷間がチラリ。
小ぶりな胸だが谷間が出来る程度には肉付いている。
普段からかう彼女だが、今回は意識したものではないため無防備である。
「刀に関する事なら研ぎ、刀装具から鞘まで一通り出来るからね。
いつでも頼ってくれて構わないよ。」
寄月の様子を見て朗らかな笑顔で返す巓奉。
今まで自分だけで手入れをしてきたのだろうか、だとすれば素直に賞賛に値する。
「うん、その時は手に取って見ておくれ。最も相棒は良い顔しなさそうだけど。
もし良かっただけど何振りかあるけど見ていくかい?」
チラリと寄月の刀に目をやり苦笑いするも、気を取り直して刀の鑑賞会にお誘いして見る。
■寄月 秋輝 >
「あぁいえ、この刀を鍛えた人のことで……
いえ、あなたも大概だと思いますが……」
でこぴん一撃もらい、顔を上げた。
素敵な乳が見えて、男もまた満足した。
性欲は旺盛である。
「僕自身、他の刀に命を預けるようなことはありませんし、この刀もそれを理解していますから、大丈夫です。
……よろしければ、見せていただけますか?」
少し楽しそうな顔を浮かべる。
剣士として、他の刀も気になる物だ。
刀によって重心も違えば、長さもミリ単位では違ってくる。
■巓奉 >
「ぶーぶー! 全くもって女の扱いがなってないねえ!」
何故か女性の扱いに関してのダメ出しに話題が変化していた。
『もう少し丁重に扱わないと』だのと語り始めるだろう。
「よしきた! ちょっと待っててもらえるかい?
先代達が残した太刀や写しがあるから見繕ってくるよ。」
楽しそうな寄月を見て、機嫌を良くしたのか歳相応の無邪気さを見せ再び庵の奥へと姿を消す。
数分後、宣言どおり何振りかの太刀や刀を持ってくるだろう。
刀を好きに鑑賞しても良いし、巓奉の案内に任せるのも良いだろう。
■寄月 秋輝 >
「床の上以外では女性の扱いは苦手です」
おもっくそぶっちゃけた。
もう相手を女性として扱ってるのかどうか危うい。
「……お願いします」
嬉しそうな巓奉を見て、しばし待つ。
そして持ってきたその数本の刀をほうっとため息をつきながら見つめる。
案内に任せるつもりで、彼自身は進んで刀を手にしようとはしないようだ。
■巓奉 >
「おやおや、その様子だと一体どれだけの女の子を泣かせたのやら。」
自分の扱いの事は気にせず、その発言にくすくすと笑って見せた。
素直なのは良い事だ。 ─勿論、限度はあるが。ただ今回に限って言えばむしろ行為を感じるのだった。
「まずは……そうだね、初代巓奉の太刀を見ていただこうか。
無銘だけど間違い無く初代が鍛え上げた一振りさ。」
そう言って3尺(約1m)近い刀身を持つ太刀を差し出す。
刀身を確認すれば地肌はやや青くも見える光沢を見せ
刃文は波打つように浮かび上がっているだろう。
■寄月 秋輝 >
「初代……ということは、あなたの名は襲名したものですか」
刀を手にし、細めた目でじっと見つめる。
(……素晴らしい刀だな……)
思わず振るいたくなる。
どれほどの切れ味か、試したくなってくるような美しい刀だ。
両手で柄を握り、真っすぐに刀を立てる。
目の前に刀のみねの線が見えるようになった。
(……けれど、なんだろう……)
何かが、足りない。気がした。
刀匠の魂のこもった刀に見えるが、あと一つ。
使い手の魂、だろうか。
■巓奉 >
「そうそう、私で十八代目。 まあ、無駄に代を重ねているだけで巓奉は別に名門ではないんだ。」
『と言うか馬の骨クラス?』とか茶化しつつ、太刀の解説を続ける。
曰く、初代が鍛え上げしこの無銘の太刀は一度も振るわれる事無く代々伝わってきているらしい。
その為、刀身に傷は無く使い手の魂を感じられないのも仕方ないだろう。
巓奉は寄月の鑑賞が終わるまで待ってから、次の一振りを差し出す。
五代目が鍛え上げた刀、【飛沫】。
刀身はかつての戦で振るわれただろう、その跡がうっすらと残っている。
この刀の由来は、振るえば鎧越しに血飛沫が飛ぶ様から付けられたとの事。
■寄月 秋輝 >
「いえ、刀を鍛えるという意志を継いでいるならば、十分でしょう。
……それでいいのではないでしょうか」
くす、と笑って刀を返し。
次の刀を手にする。
(……重い。刀そのものが負う戦の記憶。
人を斬ってきた過去と、今日まで生きてきた刀の命が)
ぐっと、敬意を表するように握る。
剣士でもあり、『人斬り』でもある秋輝の手には実にしっくり納まる気がした。
これもまた、刀匠の力を感じる。
何より激しい戦いを乗り越え、折れず朽ちずに生きさせたその技術。
これを握った剣士以上に、やはり鍛冶師の腕を感じさせる。
ふと、この女性にも同じほどの力があるのだろうか、と見つめる。
思わず胸元に目が行きそうになるのはぐっとこらえて。
■巓奉 > 「これしか能の無い人間だからさ。」
巓奉も笑い、刀を受け取る。
もちろん鍛冶以外の才能が全く無いと言うものでは無いが、今は刀一筋しか考えられない。
全ては最高の一振り、神話を再現する刀を鍛え上げるが為に。
そんな想いに浸っていると、ふと視線を感じて声を掛ける。
いつもの様にからかうような笑みを浮かべて。
「おや? そんなに私を見つめて楽しいのかい?」
■寄月 秋輝 >
「それだけ打ち込めるというのは素晴らしいことですよ。
そして、偉大な名を襲名し続けられるという覚悟も」
微笑んで見せる。
そう、父や母が偉大であれば、子は励むこともあるが、逆に委縮することもある。
それを何度も見てきてしまった。
だからこそ、この女性は強いな、と感じた。
「……そうですね。
刀について話してくれるあなたの顔は、とても素敵ですから」
仕返しのように、茶化すように言っておく。
もっとも、その言葉自体は本心なのだが。
■巓奉 >
「あ、あー……うん。そうかな。」
ポリポリと気恥ずかしそうに頬をかく。
言えない。実は初代のままずーっと今まで来てるだなんて。
何か色々と壊してしまう、それだけは避けなければならない。
素直に感心している様の寄月を見て改めてこの件については黙っておくことに決めた。
「えー、もしかして口説いてるつもり?」
寄月の返事にケラケラと笑いながらも徐々に距離を詰め
『本気にしちゃうぞ』と、耳打ちをし薄荷の香りを残して離れるだろう。
■寄月 秋輝 >
「…………?」
わずかに眉をひそめた。
何か隠し事をしているのだろうか?
(……なら、詮索することもないか)
信頼する相手が、それでも隠すことならば、追って尋ねるような真似は無粋だろう。
「それも悪くないですね。
いえ……一夜を共に、という程度なら気楽ですが。
残念ながら、今のところ身を固めるつもりがありませんので」
くすくすと、まるで少女のように笑う。
まだ、恋人が云々、などという話には切り替えられなかった。
刀を堪能し、眼福ご馳走様でした、と頭を下げた。
■巓奉 >
「なーんだ、残念!」
ちっとも残念そうには見えない様子で言う巓奉。
『キミにとって良い相手が居そうだし』と言ってケラケラと笑う。
こんなの挨拶みたいなもの、本気にするほど無駄な時間を過ごしては居ない。
まあ、彼の様な人間とつるめば楽しいだろうが。
さて、楽しい時間はあっと言う間に過ぎるものである。
あらかた刀を見せたところで頭を下げた寄月に『お粗末様でした。』と返した。
そして『いつでもおいで、歓迎するよ。』と言ってお気に入りの人間に渡している約30cmの漆塗りの短刀を手渡しつつ
庵の前まで彼を見送って行くのであった。
ご案内:「青垣山」から巓奉さんが去りました。
ご案内:「青垣山」から寄月 秋輝さんが去りました。