2016/07/30 のログ
ご案内:「廃神社」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 「はぁっ、はぁっ……」

駅から、無心に走ってきた
途中、自宅に向かって走っていることに気付いて慌てて方向を変え、此処へと辿り着いた

家に帰れば、あの子と顔を合わせてしまう

………

「…はぁっ……」

滴る汗を拭って、制服が汚れるのも気にせず廃れた境内に力なく座り込む

伊都波 凛霞 > 「……何やってんの、私…」

俯いて、恥じる

恥じる?何を?
妹から逃げ出した自分を?
あの妹を受け入れられなかった自分を?

でも、それでもあの場にはもういられなかった

今まで自分のしたきたことが全て、
今まで妹の笑顔を奪ってきたことになる

その事実をつきつけられたら、まるで耐えることができなかった

「………馬鹿」

一番、受け止めなければいけなかったのに

ご案内:「廃神社」に高峰 司さんが現れました。
高峰 司 > 「おい、オマエ何してんだよ!」

ぜーはー。
息を切らせてやってくる召喚士。そのそばにはワタリガラスが飛んでいる。

「いきなり妹から逃げ出したってコイツが連絡してきやがってよ……どうしたんだ?」

ワタリガラス……ムニンの案内でここまで来たのだろう。
取る物も取り敢えず、と言う風情で、本当にとにかく駆けだしてきた様子だった。

伊都波 凛霞 > 「……あ」

まるで親に怒られて逃げ出してきた子供のように小さい、そう思わせうよな雰囲気を纏って、
廃神社の境内に座り込んでいた

目線をそちらへと向ければ、どこかその瞳も淀んで

「………うん、ちょっと……色々あって」

高峰 司 > 「……おい、何があった」

淀んだ目。光を失った、絶望した者の目。
何度も見た……心が折れた、もしくは折れかかっている者の目だ。
並大抵のことではない。そして、妹関連と言う事は……ウイルスだろうか?
考えつつ、真剣な顔で近づいていき、問い詰める。

「色々あった、じゃ誤魔化されねーぞ。ハッキリと、口にして貰うからな」

伊都波 凛霞 > 「………」

す、とその視線を外す
司は無二の友人である
包み隠さず、伝えたい、けれど

「……ごめん」

肩を震わせ、視線を落とす

「ごめん───………」

口に出すのが、辛すぎる

高峰 司 > 「……ちっ」

舌打ち。ダメだ、折れかかっているなんてもんじゃない。
完全に、折れている。心が何かに屈した状態だ。
盛大に溜息を吐き、脳内でボヤきながら、つかつかと近寄って行って。

「凛霞。 ―――落ち着いてくれ。取り敢えず、気持ちを整えろ。
大丈夫、時間がかかってもいい。ゆっくり話してくれ。どうしてもだめならそれでもいい。
だから……一度、落ち着け」

ぎゅ、と抱きしめる。
いや、身長を見れば司が抱き付いているようにしか見えないだろうが……それでも、少しでも包み込めるように。

伊都波 凛霞 > 「………落ち着いてるよ、大丈夫。……ただ───」

そう、ただ、口にするのが怖くて、辛い
認めなければいけないのだけれど、それは

「……ありがとう、大丈夫だから、大丈夫──」

視線を向けて、そこで何か気付いたように目を見開く

自分が辛い時に近くにいてくれる友達
それはとても"幸せ"なことで────

慌てて、立ち上がる
自分が幸せを感じる時、つまりそれは……

高峰 司 > 「……前言撤回。言え、絶対に」

じ、と強く見つめて告げる。
今、明らかに反応がおかしかった。これは言い渋っている内容が関わっていると見てもいいだろう。
時間をかけて……と思ったが、これは急を要する。
何かするにしても、原因がわからないとどうしようもないのだから。

「何かできるなら助けてやる。何もできないにしてもできる事を探してやる。だから……言え」

伊都波 凛霞 > 「……ごめん、そのうち、話すから」

立ち上がったまま、視線を外したまま───
自分のために尽くしてくれる人間がいたら妹の異能は……

「…ごめんっ!また連絡する…っ」

───また、背を向ける。また、逃げ出す

どうしたらいいのかわからない
ただただ、怖い
自分を取り巻く環境も、自分の行動も
全てが妹との釣り合いに影響することを考えてしまって

再び、今度は友へと背を向けて駆け出すのだった

伊都波 凛霞 > 数時間後、司の携帯電話に入った凛霞からのメールの内容は

『またしばらく部屋に泊めて欲しい』

というものだった───

ご案内:「廃神社」から伊都波 凛霞さんが去りました。
高峰 司 > 「おい、こら!」

追いかける……のを諦める。
自分の脚力ではまずもって追いつかない。運動能力の差は歴然だ。
召喚獣に追わせる……のも無理。目立ち過ぎる。
召喚、は拒否で終わり。
現状で問い詰める手段は消えた。
だが……それは、諦めてやる理由にはなりはしない。

「フギン、ムニン!」

即座に召喚獣に命令を放つ。
北欧の大神、オーディンの斥候。思考と記憶を司るワタリガラス。
その二羽に。

「フギン、テメェは凛霞を。ムニン、テメェは伊都波悠薇を張れ。些細な変化も見落とすな、全部こっちに情報回せ!」

これで平時の召喚に大きな制限がかかってしまうが、大した問題ではない。
目下最大の問題は、伊都波凛霞の異常なのだから。
命令を下した後、ゆっくりと山を下りていく。
……いざとなったら、自分の手を汚す覚悟すら決めながら。




―――その後のメールには、当然了承を返す。
そして、共同生活の中で時間をかけて探る事を決意したのだった。

ご案内:「廃神社」から高峰 司さんが去りました。