2017/04/23 のログ
留以 > 「じゃあ、ちょっと付き合ってくれないかしら?
獲物はいま持ってる?
ないなら、こっちも素手でやるけど」

いそいそと、なんだか楽しそうに刀を抱きしめて笑顔を浮かべている。
つまり、練習試合という名の真剣試合をしたいようだ。

伊都波 凛霞 >  
「んー……」

口元に手を当てて空を眺めながら、少し思案
……まぁ、そんなに遅くはならないだろう

「構いませんよ。
 得物は常に装備してますから」

にっこりと笑って向き直るが、
学生鞄くらいしか持っているようには見えない

留以 > 装備している、とはいうがそれらしいものはない。
あるいは、暗器の類か。

(……「己の肉体こそ最高の得物よ~!」なんていう子じゃないわよねぇ……?)

そんなギャグみたいなことを考えては、放棄する。

「ん、それならいいのだけど。
私はこの刀だけ使うから。
ルールは、どちらかが敗北の宣言をしたら、でいいかしら?」

そういって、留以と同じぐらいの高さをもつ大太刀を見せながら問う。

伊都波 凛霞 >  
「いいですよ」

鞄を近くの木の根元に置いて、軽く手足の柔軟運動をしながら、再び目の前に立つ

「どうぞ、いつでも」

笑みを向けてくる様子はどこか不敵
余程の自信があるのか、それとも

留以 > 大太刀を左に構え、ほんの数秒だけ思考の海に沈む。

さて、阿曇留以という人物は、化け物こそ対処できるものの、人間に対する対処は素人に毛が生えた程度のもの。
最近になって対人を学んでいるものの、やはり圧倒的に経験値が足らない。
そして目の前の人物は、少なくとも対人のスペシャリスト。
加えて武器が何なのかもわからない。

(……仕掛ければ負けるし、待ってても一手目を防げるか怪しい。
ならば)

大太刀を左に構えたまま走り出す。
それほど早い動きではないにしても、低い背を丸めることでさらに低くし、当たる部分を少なくしながら走る。

そして凛霞と、遠すぎず、しかし近くない距離にまでくると

「せぇいっ!!」

大太刀を鞘ごと、凛霞にブン投げる。
まるでブーメランのように、回転しながら凛霞に迫る。

伊都波 凛霞 >  
「(さて…思わぬ申し出だったけど…どう来るのかな?)」

得物は大太刀
常識で考えれば斬撃、刺突
そして提案されたルールを考えれば相手の怪我くらいは厭わない、ということ

あえて徒手空拳のまま装備の有を匂わせた以上、
相手は当然警戒する、真っ直ぐこないならば、待つか奇を衒うしかない

「(っていう心理戦も込み込みだもんね)」

あえて得物を手放すなんて思わない、と考えるのは浅はか
他に迎撃手段がないとは彼女は一言も言っていない

冷静に身を屈め、飛来する刀を潜るようにしてその距離を詰める

「(それくらいじゃ驚きませんよ、っと)」

ここから相手がどうでるかは兎も角、距離が詰まったならそのまま両足へ向けての水面蹴りを放った

留以 > (それ避けるの!?)

一手目から得物の放棄。
これは意表を突く技だろうかと思ったがどうやら見切られていたらしい。
この程度は普通なのか、それとも彼女が特別慣れているのか。

「きゃっ!?」

当然避けられると思っていなかったため、両足へと加わる力をなんの抵抗もできずに食らう。
ただし、瞬時に足の力を抜くことでわざとこけるように地面を転がる。
少しでもダメージを減らそうとしつつ。

(でも、刀が戻ってくるのはどうかしら?)

先ほど投げた刀が凛霞の背後を狙うように迫ってくる。
まるでブーメランのように、戻ってきている。

伊都波 凛霞 >  
「(ん、軸足を刈った時の手応えがない)」

流して受け身、避けられないと判断したにしてもなかなかの反射神経だ
問題は、この後

姿勢を但し距離を取るのか、
それともここから徒手での反撃か

僅かな時間でそれを見極めようとすれば、どうもそのどちらでもない
つまり、別の何かを仕掛けている

となれば布石たるは先程の───

「ってことですよね?」

背後から弧を描いて戻ってきた刀をいなすように、自然に鞘に手を添えるようにしてくるんとその手元に躍らせる

「どうせなら挟撃として上下を同時に攻めかけるくらいでもいいと思います」

はい、と大太刀を放り投げるようにして留以へと返す

留以 > 「――」

ぽい、と返される大太刀を受け取る。
もらった助言に返す言葉さえない。
その時の顔は、驚きのものだった。

「凛霞さん、すごいのねぇ。
今の、視覚外だからいけるかと思ったのだけれど……」

受け取った大太刀を左手で持ち、左の袖から五枚のお札を取り出す。
それを空中に投げると、まるで留以を守るかのように留以の前に並ぶ。

「また全然本気じゃないわよね?
――絶対本気にさせてあげるんだから」

そういって、五枚のお札のうち、一枚が凛霞へと飛んでいき、近づいた瞬間、半径1M程度の、物理衝撃のない疲れを感じさせる爆発が起こる。

伊都波 凛霞 >  
「だって何かを待ってる以外なかったもの」

事前に仕掛けがあったならともかく、他にしたことと言えば最初の投擲だけ
となれば何らかの方法でそれを持続的な攻撃に利用するか、それを起点に何かをするしかない

「うーん…」

本気を、と言われれば少し苦笑して頬を掻く
幼い頃から仕込まれた古流武術・伊都波は組打ちを源流とする武術
所謂戦場で相手を殺す技術に繋がる
おいそれと本気で、と言われても多少困るところがあった

「──ん、符術…?」

警戒し、後ろへ跳んで距離を取る
僅かにその爆発に触れたか、若干の疲労感を感じる
そういった類の術であることは明白だった

留以 > 爆発が起こる前から凛霞へ接近するために駆け出す。
かつ、残り四枚のお札のうち、二枚を凛霞の遥か後方へと飛ばし、留まらせる。

残り二枚のお札を引き連れながら、爆風の中を進み、凛霞と相対する。
もちろん、爆風の中を進んだせいで留以にも疲労感が発生するが、一度くらいなら耐えられる。
そのように訓練もしているためだ。

「それなら、これはどうかしら?」

居合の構えをとり、そこから腹を狙って鞘がついたまま、大きく一歩踏み出して居合斬りを行なう。

伊都波 凛霞 >  
ダメージのない符術
つまり何かの前置きか、特殊な効果を期待するもの
攻撃の起点もしくは要になるものと推察ができる

推察通り、同時に駆け込んできた留以を視界に捉える

「(それじゃ、まぁ……)」

両手をだらん、と下げる
するとコロコロと制服の両手の袖から丸薬らしきものが転がり落ちる

「こっちもこんなのを──」

そのままそれを片足で踏み割った

"ボンッ"

勢い良く拡がった白煙が辺りを覆い、居合斬りはその手応えを感じさせず空を切る

留以 > 「えっ、ちょっと――」

白煙。
つまり煙玉が割れ、煙があたりを覆い、視界を真っ白に染める。
当然こんな体験など初めてで、参った、といった感じだった。
対処の仕方がわからないのだ。

(本当なら今の一撃でふっとばして、後ろのお札で精神を追い詰めようと思ったのに……。
参ったわねぇ……)

だらりとした姿勢。
左手で大太刀をもっていつでも振れる状態ではいるが、この視界では気づいてからでは遅すぎる。

(とりあえず、煙から出ないとだめ、かしら)

ゆっくりと、足音をあまり立てずに後ろへと下がって煙の範囲から出ていこうとする。

伊都波 凛霞 >  
「───見えた」

声がかかったのは、上から
自身は木の上にでも移動していたのか、
上から見れば丸わかりの、留衣の脱出した先へと降りかかるように落下し、

それに反応できなければ───まるで体重を感じさせないままその背に絡みつくようにその腕の動きを封じるだろう

留以 > 「上っ!?」

声が聞こえた。
しかし時すでに遅し。
ぬるりと背に絡みつく何か。
いや、何か、などと言わずともわかる。

「んくっ……!すごいわねぇ、凛霞さんまるで忍者みたいね。
これも凛霞さんのおうちの武術なのかしら?」

声は平常を保っているが、内心は焦りしかない。
なんとか力を込めてふりはらおうとするが、無理な姿勢と筋力の足らなさのためか振りほどけずにいる。

伊都波 凛霞 >  
「──忍者、っていうのも少し違うんですけどね。
 武芸百般、なんでも出来るのが伊都波の古流武術で…すっ!」

裂帛の気合と共に、留衣の身体ごと宙へと舞い上げる
器用に空中で身体を捻り重心を変えて、姿勢を真逆……つまりは頭から落下する形へ

更に回転を加え…

「零距離絡術───蓋砕」

脱出できなければ、文字通り脳天から地面へと叩きつけられることとなる

留以 > 「あ~、なるほど。
ほんとに武術を追求し、た――!?」

体が浮き上がる感覚。
それだけでも驚くのに、次の瞬間には天地が逆さまになる。
そして、回転。
これが絶叫マシンならばいうことはないものの、これから頭蓋骨をたたき割られようとしているのだ。
いう事はたくさんある。

「こう、なったらぁ!」

――留以のお札には二種類の使い方がある。
一つは、留以の体を介さず、込められた魔力を使って発動することによって、精神汚染を起こす方法。
そしてもう一つは、留以の体から直接発動させることで起こる、物理衝撃。

残っているお札は二枚。
まず一枚を、凛霞ともども爆発に巻き込むことで疲労感を生み、暴れて逃げ出そうとする。
そしてもう一枚を自分の腹に当てて、物理衝撃をうむ。
つまり、まっすぐ縦に落ちていっているところに、横からの物理衝撃をうむことで、地面を転がれるようにする。

伊都波 凛霞 >  
「(まぁさすがに打ち付けたりはしないけど…)」

ぎりぎりで身体を反転させて"参った"を引き出すつもりだった、が───

「ッ!?」

横からの衝撃!?
まったく予想しない…というか予想できるわけがないそれにバランスを崩し、
腕を離した状態で二人で地面を転がり、素早く体勢を立て直して立ち上がる

「あの状況で逃げられたのは初めてかもですね」

制服の袖からじゃらりと落ちたのは長い鎖、もう片方の袖からは、その先端に金属の棒のついた鎖が落ちる
地面に辺り金属音を立てると、弾かれるようにして棒から鋭い刃が飛び出す
月明かりが照り映えるそれは所謂鎖鎌

「本気にさせたい、みたいなこと言ってましたっけ」

ゆっくりと回転を始める鎖鎌は、ほどなくして先端が見えない程の速度と轟音を伴う風神鎌へと姿を変える

「それほどお望みなら、少しだけ」

見えない程に加速した、遠心力の全てを集約した分銅を留衣に向けて解き放つ

留以 > 「あっ、つぅ……けほっ」

地面を転がり、こちらも素早く立ち上がりつつ、せき込む。
腹筋に力をこめようと、鍛えていない腹筋では軽減に限度がある。
みぞおちに食らったわけではないにしろ、強烈な痛みがおなかに来ていた。
同時に精神的にも疲労がたまっており、気を抜けばそのまま倒れる程度になっている。

そして、彼女の一言。

目の前で、高速で回転する分銅に顔がゆがむ。
あんなもの当たったら、痣ではすまない――!

「ッシ!!」

そのタイミングは9割9分偶然。
次、同じことをやれと言われれば、絶対に無理といえるほど。

飛来する分銅を、抜刀術を用いて弾く。
鞘から刀を抜き、なんとか防ぐ。
大太刀の刃を削るかのように。
分銅とつながる鎖が、留以の横を通り過ぎていくを感じつつ、凛霞へと走り出す。

伊都波 凛霞 > 「(ん、避けた…反射神経は凄いね…)」

当たりそうなら手前でその鎖を引き絞るって止めるつもりだったが、避けられたなら話は別
鎖が伸びきる前に肘へと引っ掛け、大きく弧を描かせて手元へ返す

「距離を詰めてくる…まぁ、定石」

鎖鎌の利点はその射程と、得物を遠距離から絡め取ることができる点
ただしショートレンジで使えないかと言えば……

「じゃあ、こうっ!!」

分銅と鎌、両方を手放し鎖を自身の周囲を覆うように振り回す
射程こそ短くなるものの、前後左右上、全てを攻防一体の風切りの刃で囲うことになる

「(これは流石にすぐに止めたりできないんだけどね…このまま突っ込んでくる、なんて無茶苦茶はさすがに…)」

やらないでしょ、やられたら困る、というのが本音
そうなったらどうあろうと、軽いけがでは済まないのだから

留以 > (これ、は――)

突っ込めない。
もし策もなしに突っ込めば、即座に分銅がこの体の骨を砕き、刃が肉を裂くだろう。
そして、それを止める策はない。

お札が残っていても怪しいだろう。
お札の爆発は半径1m程度だ。
ちょっと飛びのけば簡単によけられる。

「これ、は――。
ちょっと、無理ねぇ」

だんだんと歩みを止め、目の前で暴風となりつつある脅威と向き合っていた。

「――んっ、だめね。
凛霞ちゃん、参った!
これ、突破できないわ~!」

大声を張り上げ、宣言をする。

伊都波 凛霞 >  
「──……」

ひゅんひゅん、と風鳴りがゆっくりと高音になり
その手元へ鎖がじゃらりと収まった

「ふぅ、突っ込んできたらどうしようかと思ってましたよ」

大きく息をつくその顔にはちょっとした汗
それなりに緊張があったようだった

実を言えばそのまま地面の石なりを跳ね飛ばして追い込むという手もあったにはあったが、
そこまでする戦いではないなと待ちに徹していたところもあった

「でもやっぱりこの山で稽古はやめたほうがいいんじゃないかな…。
 多分、危険な怪異だったら私の風神鎌の比じゃないと思う…」

僅かに目を細めて、じゃらりと鎖が鳴ったと思えばするりと制服の袖へと消えてゆく

留以 > ほんとは突っ込もうかと思っていたところがあった。
せっかく本気を見せてくれたのだ。
ここでこちらの本気もみせなければ失礼だろうと。

しかし、その本気を出せるかどうかは留以の一存ではどうにもならないために、できなかった。

「そうねぇ……。
地元の人の、それも凛霞ちゃんがそういうのならやめておこうかしら……」

袖に消えていく鎖鎌。
あれ、いまどうやって収納した?と内心首をかしげる。

「それか、凛霞ちゃんや悠薇ちゃんが稽古に手伝ってくれたら助かるんだけれど~……」

ニコニコした顔で、凛霞をみる。

伊都波 凛霞 >  
「う、うーん…このへんの技はあんまり人に見せられるものでもなくて…
 基礎的な体術だけでいいなら演習場とかでもお相手できますけど」

ちょっとだけ困ったように眉を下げて、
どう考えても戦場での殺人術を人前でひけらかすわけにはいかない

留以 > 「あら、ほんと?
それだけでもいいわ。
それじゃあ、また今度!
こっちから連絡するからその時は手伝ってね!」

よろしくね凛霞ちゃん。
そういいながら無理やり手を取ってぶんぶか手を振るだろう。

ついでにいうなら、いつの間にかちゃん付けでなれなれしく呼んでもいた。

伊都波 凛霞 >  
「はぁーい…」

手をぱた振り、見送って
スマホを取り出して見れば…

「やっば…流石に遅くなっちゃった!」

家の手伝いは…妹がやっていてくれることを祈って、鞄を抱えると足早に帰路へとつくのであった

ご案内:「廃神社」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「廃神社」から留以さんが去りました。