2018/01/21 のログ
ご案内:「廃神社」に久遠寺 精斗さんが現れました。
久遠寺 精斗 > 学生寮の窓から山が見えたので、何となく故郷を思い出して行ってみたい。
彼がそう思ったのがそれが朝起きてすぐのことで、今はもう日も暮れかかった頃合い。
廃神社の境内にて、男の子は普段通りのゆるふわな笑みを浮かべたまま、常世島に来て最大の困り事を抱えていた。

「……今から下山して、電車が動いてる間に駅まで着けるかな。」

そもそも無事に下山出来るのか。
次第に薄闇に飲まれていく周囲を見回して、運よく参拝客でも訪れないだろうかと期待する。

でも誰も来ない。廃神社なのだから、無理もない話だ。

久遠寺 精斗 > 夜の山を無理に進んで迷子になるのは命に関わる。
それはゆるふわお花畑な男の子にも判断がつく。
故郷の山でさえそうなのだから、話に聞くにある種の異界と化したこの山では言わずもがなだろう。

「つまり、今日はここで野宿かなあ……」

緩やかに背後に聳える神社を振り仰ぐ。
どう見ても男の子一人が宿泊できるようには見えない。というか、普通は宿泊できるように見えない。

久遠寺 精斗 > ふんわりと腰を上げて腐った踏み板を踏み抜かないように注意しながら境内に上がる。
中は薄暗いどころかもう真っ暗闇で、もし誰か居たとしても全く分からないだろう。
そんな様子を見て、流石の精斗も笑みが強張る。

「お、お邪魔しまぁす……」

恐る恐る闇の中へと踏み込めば、黴臭く異質な空気が全身を包んだ。

「一泊だけさせてくださぁい」

律儀にそう宣言して、ゆるゆると歩を進めていく。

結論から言うと、案外寝泊まりできるもんなんだなあ、と翌朝の精斗は感心したという。

ご案内:「廃神社」から久遠寺 精斗さんが去りました。