2018/07/08 のログ
ご案内:「廃神社」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 「……何も居ないじゃないか。悪戯か何かの類だったのか?」
青垣山の廃神社に魔物出現との通報を受け、偶々近くに居た自分に状況確認の任務が下った。
慣れぬ山道を異形で走破し、漸く辿り着いた廃神社。
しかし、崩れかけた鳥居を潜って境内に侵入しても、物音一つ、動くもの一つ無い有様。
「…まあ、こんな場所に訪れる者も元々少なかろう。通報者の位置も確認出来なかったというし、何事も無いのならそれで良いのだが」
夜風に揺れる木々のざわめきを、異形の金属音がかき消す。
風流も何もない喧しさの中、何とも言い難い表情で溜息を吐き出した。
■神代理央 > 念の為、周囲を異形達に警戒させつつ、境内の奥へと足を進める。
崩れ落ちた灯籠や狛犬に代わって、無数の砲塔を生やした巨大な金属の異形が群れを成す様は、随分と末世的な風景だなと苦笑する。
「…こちら神代。該当地区に到達。魔物の姿は見えない、至って静かなものだ。今の所、応援の必要は無い。此方も、程々にして切り上げるつもりだ」
本部へと通信を入れ、ほっと一息ついて古びた石のベンチに腰掛ける。
時計台とは違い、此処は島の夜景も見えなければ喧騒も聞こえない。本当に、静かな場所だった。
■神代理央 > 「…こういうのを見ると、神とやらを信じる気にはなれぬな」
異能や魔術が溢れ、魔物が闊歩する世界で今更無神論者というのも可笑しな話なのかも知れない。
だが、信じれば救いを与える神というものをどうしても信じるつもりにはなれなかった。
そもそも、単純な数字で見れば救われた数よりも救われなかった数の方が多い筈である。死後の世界で云々等というのは詭弁であり、多くの人々が望むのは、生きている間に救われる事なのだから。
「……いかんな。柄にも無い」
朽ちた本殿が、滅びゆく信仰の空気がそんなセンチメンタルな事を考えさせているのだろうか。
どうにも最近精神的に参っているかも知れないな、と懐から取り出した飴玉を口に含む。
最近ポケットに常備している飴玉だが、消費量が随分激しくなってきた。
どうしたものかな、とぼんやり夜空を見上げながら思案する。
■神代理央 > 暫く滞在していたが、幸運な事に魔物の気配は無い。
異形達も大人しいもので、神社のあちらこちらに鎮座して無音を保っている。
「…これじゃあ、まるで新興宗教のオブジェだな」
光源の無い廃神社で、月明かりに浮かぶ異形は不気味の一言に尽きる。
さながら、この世に害を齎す神を祀っている様な。そんな錯覚すら覚えるが―
「……何、だ?この違和感。いや、違和感というかなんというか…」
自身の召喚した異形が崇拝される冗談めいた風景を夢想した瞬間、脳内に微かな違和感を感じる。
それはまるで、そのイメージが誤りでは無いと告げている様な。血の通わぬ鉄の神を信仰する狂気を、そうあれかしと肯定する様な、そんな違和感。
「…やっぱり疲れてるな。任務は完了。早く家に戻って休むとしよう」
仄かな違和感に疑問を感じながらも、ゆっくりと立ち上がって軽く背伸びする。
異形達もある程度数を減らし、帰りの足となるモノ以外は消滅させた。