2018/11/17 のログ
ご案内:「廃神社」に尋輪海月さんが現れました。
尋輪海月 > ━━━━寒い、寒い。


「……っ、は」

━━━━熱い、熱い。

「……ッぅあ、ぁあ”……」


━━━━身体が、熱と冷をめちゃくちゃに訴える。身体の中でせめぎ合う二つが、常に身体の感覚を蹂躙する。その苦しさに身悶えながら、
その身体は境内の隅の井戸にもたれ掛かるようにして、震え続けていた。

尋輪海月 > 「…………ッ誰、か」

━━━━ぴき、ぴき。


からんっ。

「…………ッ寒い、よ。熱い、よ……!!」

…………羽織っている上着から、1枚。鉄で出来た輪が落ちる。
燻るように小さく煙を立ち上らせながら、それは地面の上で振動し、……やがて、赤熱し始める。からからと、土を抉るように回り始めて、

━━土を吹き散らすほどの回転まで、加速する。

「……っお父さん、お母さん……!!」

……ふわっ、と、浮き上がり、耳障りな金属音を響かせ始めて、熱光が暗闇の境内を照らし、その上着が靡くほどの風を生む。
晒された赤髪と、明滅する赤眼。顔は血の気を失い、苦痛に歪み。
━━火傷跡のある手が、頬を掻く。

尋輪海月 > ━━パァンッ!!!
尋輪海月 > ━━━━━輪が炸裂し、その破片を散らす。

その熱の片鱗が、頬をがりッと深く掻いた本人へと襲いかかり、もたれかかっていた井戸から身体が飛ばされる。

「ぅあ……ッ!!」

━━━━からん、からん、からん。

……上着から、先ほど弾けたものと同様の輪が零れていき。
それらが散らばる。その中に倒れ込んで、今度は頭を両手で抑える。

「……暖めなきゃ……冷やさなきゃ……ッ早く、早く……!!」




━━━━━かたん、かたん。

かた、かたかたかたかたかたかたかた

ご案内:「廃神社」にルギウスさんが現れました。
ルギウス > じゃり、と土を踏む音が倒れこんだ海月のすぐ傍で鳴り。
直後に声がかかる。

「おやおや、これはこれは大変な荒れ具合ですねぇ?
 こんな人気のない場所でどうしました?
 具合でも悪いのですか?」

声音はとても心配そうに、親身になって。
逆光で隠れた表情は見えないが――――

尋輪海月 > ━━声がした。するはずがない。別の音だと思って、ゆらりと持ち上げた顔。

……逆光で窺えない顔。その声だけが聞こえる。その、自分を心配してくれている声が、頭にすんなりと響いて。


「……ッたす、けて、ください」

小さく、零れていた声。言葉。

……周囲に散らばった鉄の輪が、赤熱し始め、土をカラカラと鳴らして、回り始めていた。
貴方の足元で煙が立ち、鼻を不快な臭いがくすぐる。

「……異能、が。力が……!!」

ルギウス > 「大変でしたねぇ、辛かったでしょうに」

赤熱した鉄の輪を光を纏った指でつまみあげる。
指に挟んでも回転は止まらず、それを興味深そうに見つめる。

「大丈夫ですよ、もうすぐ楽になりますよ。
 ほら暑いでしょう?寒いでしょう?
 もう時期、ちゃんと落ち着きますよ……まずは大きく息を吸って、ゆっくりと吐いてください。
 大丈夫ですからねぇ」

優しく左手を背中に添える。
視線はずっと、右手に摘まんだまま回転する鉄の輪で。

「ほら、ゆっくりで構いませんよ?」

声音だけは、どこまでも優しく。

尋輪海月 > 「……ッ……!?」

━━口がだめだ、と言おうとして、そこから半開きになった。
鉄の輪は、ただ見た目だけのものでは無い。赤熱する程の高温と、炸裂させてしまうほどの回転が掛かっている。

……それが容易く摘まれている事に驚愕して、そして。

「……ッぅ、うぅ、ぅ……っは、……ッぅ」

喉を引き攣らせながらも、落ち着かせられるままに呼吸していく。
能力の暴走が起きている間、まともにしていなかった呼吸を初めて整えることで、異能の出力が低くなっていくように、それぞれの鉄の輪は色をくすませて。


……からんっと、乾いた音。回転を止めたそれらが、最後に動いた音だった。

「…………は、ぁ」

ルギウス > 「中々の熱量ですねぇ、コレ。
 回転もまるで暴れ馬です。これを御すのは大変でしょうに」

がんばりましたね、と声をかけ回転の止まったソレを興味がなくなったように放り出した。

「感情とリンクしているのですねぇ、やはり。」

うんうんと何かに納得するように頷いている。

「どうですか、まだ苦しいですか?
 それとも、すっきりしましたか?
 怪我をしているかどうか、しっかりと調べる必要もありそうですねぇ」

尋輪海月 > 放り出された輪は、地面に転がれば、やはりまた乾いた音を立てて転がる。

……さも簡単に、自分の異能が御されたことを驚いて、呼吸が幾らか整って、目の前が見えてきて、最初に。

━━━その両手が伸ばされて、輪を掴んでいた手を、包み込むように握ろうとしてくる。

「……ぁり、がとう、ございます…………」

━━━━安堵と、救い。自分の能力が止められたことを、それを落ち着かせるようにしてくれた相手のことを、心から安堵していた。
細い声で感謝を述べて、泣きそうな顔を見せた。
頬に出来た引っかき傷から滴る赤。包み込む手をザラザラにしている火傷の跡。
傷だらけの姿を晒しながら。

「…………ありがとうございます…………!」

…………強く握ろうとしてきていた。

ルギウス > 「大丈夫ですよ、貴女の異能は制御できるものです。
 ただ今は……」

そっと、光る左手で涙を拭い頬の傷をなぞる。
できたばかりの傷痕も綺麗に治っている。
そして、右手は優しく握り返して。

「今は、私がついていますからね。
 何も不安に思う事はありませんよ」

尋輪海月 > ……傷がなぞられ、消えていく。恐怖も、痛みさえも消してくれた相手へと、再び驚きながら、

掛けられる言葉に、くしゃりと、顔を、また、泣きそうにしながら。

「……っ……ありがとう、ございます…………」

重ねて御礼を述べる。そうして、握られる手に意識を向けるように、暫しそれを噛み締めるように目を閉じる。

━━━━…………程なく、ゆっくりと呼吸を挟んでから、は、と。

「……うわ、あ、あの、ごめんなさい、ごめんなさいっ……!急に手握ったりとか、というかさっきの何、というか、というか、色々と含めてごめんなさい!!」

落ち着きから一転、テンパるように手が握られたまま器用に慌てて、細い月明かりですら分かりやすく顔を赤くして、それから相手の顔を見て、不器用な笑顔を作る。

「……あー、その、あの。とりあえず……はじめまして、尋輪、といいます……あと、海月って名前、です」

ルギウス > 「迷い人を導くのも、苦しむ人を救うのも神の僕たる私の仕事なのですよ。
 さて、他にも傷はありませんか?
 服の下とかに隠れた傷があるなら言ってくださいね?」

治してしまいますから と 笑顔を浮かべる。
そもそも、最初からずっと張り付いたように変わらない笑顔なのだが。

「では、海月さん。少し失礼しますよ」

開いている左手でそのまま顎を持ち上げる。

尋輪海月 > 「……か、紙の……?」

……相手のヨクワカラナイ言動に、一瞬頭に浮かんだものは、大仏とトイレットペーパーだった。
落ち着きを取り戻したものの、ややポンコツにイントネーションの違う「かみ」を呟いて、

「……ふ、服の!?あぁああえと、あの!!大丈夫です!!そっちは大丈夫じゃないですが、何かと大丈夫で━━す、ぅ……っ?!」

顎に触れられ、持ち上げられ、言葉が斜め上に吹き抜ける。顔が近い、ような。相手の笑顔が正視できない。
茹で上がり、このまま自分がどうなるかを完全に握られたという気持ちのまま、脱力する。

ルギウス > 「いいえ、神の。ゴッドの方です」

イントネーションと勘違いはしっかりと直しておく。

「大丈夫じゃないのなら、しっかりと治療しておきませんと。
 痛いのはイヤでしょう?
 ほら傷を見せてください」

顎を持ち上げ、顔を近づけ耳元で囁くように告げる。

「それとも、このまま口付けをしてからの方がいいですか?」

尋輪海月 > 「あっはい。ゴッド。仏様か、えーと、キリスト様のほうの」
指摘を冷静に受け止めた。違う、そうじゃなくて。

「いやいやいやいやいやいやいやいや!!あの!!ほら!!外ですよ!?うら若い女ですから!?25だけど!!傷は、ほんと、ほんとに大丈夫でして!?」
パニック。沸騰。絶賛脳内が都内某所のハロウィンのような。
それがまたさらに、耳元でとんでもないことを囁かれた。

「…………ッ!?」
━━━━━迷った末。
首をもげんばかりの勢いで横に56回振った。ブブブブブブブとあまりの速度に輪郭がブレるほど。

「ぬ、脱ぎます!!脱ぎますから!!キスとかほら神様怒りますからね!?」

ルギウス > 「私の神様は自由が教義でして」

しれっとのたまい、顔を離した。
そのまま左手もゆっくりと離していく。
離れ際に、唇をなぞっていくのを忘れない。
指からは不思議な香の匂いがして。

「では、準備ができたら声をかけてください。
 私はそれまで、ここを掃除しておきますので」

にこり と笑いかけて背を向ける。
指を鳴らせば、あちらこちらに散らばっている鉄の輪が足元に集まっていく。

尋輪海月 > 「自由すぎる!!戒めようさ神様!!」

その神様に叫んだ。ほーりーふりーだむわっとざふぁっ〇。そのまま離れていく指が唇を触った時、鼻を擽ったにおいに。

「っくし」

くしゃみが出た。ときめけよ花の女子大生。それでも女か。自己を叱咤した。全く意味が無い。
…………そちらが離れた後、若干寒かったが、上着をぱさ、と一度脱いだ。
…………寒い。ガチ震いするほど寒い。それでもそれでどうにか傷は見せれる。

「……で、でできっ、ま、まました」
震えろ声帯。凍えるほどクール。叩けよ冷え性のボンゴ。

尋輪海月 > ━━━━それにしても。


「…………この人も異能持ってる、のかな」

……集められた鉄の輪たちを見る。バイクの廃材から抜き取ったそれらが、たぐられているのを、少しぼんやりと見ていた。

ルギウス > 「いいえ、これは『魔法』ですよ。私、見た目の通り魔術にも明るい性分でして。
 そして、我が神の教義は一つだけ。『汝の為したいように為すが良い』」

もしかしなくても異世界の神である。
ついでに邪教である。

「では失礼しますよ」

海月の足元に集めた鉄の輪を転がして、傷の有無に関わらずあちらこちらを撫でていく。
アウトなところを撫でたかどうかはお任せするのだけれど、ビンタは甘んじて受ける姿勢。
手はほんのりと暖かい。

「これでもう、大丈夫でしょう。
 さて、何があってこんなところまで来たんです?
 自殺というわけでもないでしょうし……」

もういいですよ、と上着をそっとかけなおして。

尋輪海月 > 「……ま、魔法……?」

頭の中で浮かんだのは、なんでか倍速掛かったような動きでひたすらどデカい敵をボコボコと殴り倒すパツキンの青年だった。
ヘイストクイトリ。アルテマ抱えてボタン連打で溶かす。
……のヘイストの部分だけが結びついた。この人も倍速で人殴るのかと考えていた。

「……え、ぁ、はい……」

━━━━結構大胆に触られた。触られる手より身体が熱くなっていた。
時々結構際どいところを触られた時には流石に良い子が聞けないような類のあれそれを手で抑えていたりもした。

………………そうして全ての治癒後には、上着を被せられるなり蹲り、比喩でなく頭から煙を上げていた。

「………………死にたい」
恥ずかしさで。
少し間をおいて
「……いや、今のは直前への感想っていうだけでして。……え、ええと、その、何と言ったら、いいのか。

…………端的に言うと、薬飲んで、異能が暴走して……気がついたら、ですかね。すいません、そう言えば此処どこですかね……?」
終電逃しちゃいましたよこれ。といやに冷静になった。言ったあとでさらに言っちゃいかんことを口に出していた事に気づいて口を抑えた。

ルギウス > 「できますよ」

頭の中を読んでいるかのように、そうとだけ答えて。
から、経緯を聞く。

しばらく黙った後に。

「そうでしたか。あまり貴女のような方が治安のよくない場所をうろつくのは関心しませんよ。
 ヤられてからでは遅いのですから」

指は卑猥なジェスチャーである。
自由すぎるこの司祭。

「ここは青垣山中腹付近ですよ。ほら、あちらに街の灯が見えるでしょう?
 今から徒歩では確実に電車には間に合わないでしょうねぇ?
 どうします、夜道を歩いて帰りますか?
 私が一緒であれば、相手が何であっても手出しはさせませんよ」

違法薬物に手を出したことも、異能を暴走させた事も咎めない。

「さて、思い出すのが辛かったり言いたくないならかまいませんが。
 よろしければ、道中が日が昇るまでの暇つぶしに 暴走していた時の感覚を教えていただけませんか?
 何かそれでわかるかもしれません」

尋輪海月 > 「えっ、訓練所のモンスター1人で倒せるんですか!?」
頓珍漢な言葉が出た。違う、そうじゃない。そうじゃない。

「ひいっ!!?需要が無さすぎる!!」
そっちだった。上着をかき抱いたが、そう言えばって周囲を見渡して。
……寺だー。これはシチュエーションとしてはまぁ有り得てもおかしくないや怖い。そんな顔をした。
指の動きは見なかったことにした。このまま一生独身に決まってるし。

「……………………え、えぇっと、その」

……考えた。が、47秒ほどで。
「……お、お願いしても、いいですか……」

こわいし、という気持ちに、自分が言った内容が決して健全なものでなかったにも関わらず怒らずにいてくれた相手への安心感もあるからだろうか。
小さく頷いてから、はあ、と白くなる息を吐いた。

「……………………何処かで一緒に何か食べません?あの、夜食なんか、ラーメンなんか、ほら」

ご案内:「廃神社」に尋輪海月さんが現れました。
ご案内:「廃神社」に尋輪海月さんが現れました。
ルギウス > 「訓練所ごときでは、私の相手になりませんよ」

きっと指している訓練所が違っている。
でも生身で放り出されても平気なくらいの暴力は普通に有している危険人物でもある。

「いえいえ、需要はありますよ?
 穴があればいいんですから」

笑顔で何を言っているのか。

「はい、いいですよ。
 歩きます? それとも、日の出を一緒に見ますか?
 御希望なら夜明けの珈琲も御用意しましょう」

そこで白い息を見て。

「そうですね、何か食べて帰りましょうか。
 ここで時間を潰されるなら、夜食を用意させていただきますよ」

尋輪海月 > 「……い、意外と肉体派、なんですね?」
いや異能なのか。でも細マッチョ説も捨てきれない。ジロジロと相手の姿を凝視するも、すぐさまさっと顔を背けた。何やってんだ自分。冷えろ自分。凍れ自分。

……そしてふらついた。衝撃的な単語が出る。
「……そんなだったらもういっそ壁に穴空けててくれればいいですね……」
自分なんかをそんな目で見る人など居ない(断言)くらいの気持ちを込めて呟いた。

「……色々と素敵なこと言ってもらえてる気がするけど何でですかねー、私ほんっとバカなことに、味噌汁しか浮かばないんです……」
暖かい珈琲かと思ったら出汁の香る味噌汁。マグカップ味噌汁。浮かぶ想像がそんなレベルなことを吐露して、寺になんでか頭を下げた。寺でごめんなさいこんな考えして。許して神様。と御参りした。
それから、少し歩き始めると向き直り。

にこっ、と。
「美味しいラーメン屋さん知ってますから、そこで食べましょう。お腹になんか入れないと、上手く話せそうにないですし……ニンニクアブラ野菜マシマシって気持ちですから」

と。

ルギウス > 「ええ、こう見えて鍛えてますから」

触ります?と二の腕を指差してみる。
僧衣の上からでも触るとガッチリと鍛えた体であるのがわかるだろう。

「おや、ふらついて大丈夫ですか?
 それで終わることが出来るなら世の中平和でいいですねぇ……今度試してみましょうか」
くつくつと笑う。

「味噌汁の方が希望でしたか。ホッとするにはそちらの方が向いているでしょうしねぇ」
うんうんと頷いて。よし、今度作ってみますかと口にして。

「いいですね、では食べに行くために山を降りてしまいましょう」
笑顔に応えるような笑顔を返す。
ずっと笑顔ではあるのだけれど。

尋輪海月 > 「わぁ触らなくても見るだけで分かる筋肉!!」
遠回しに遠慮した。遠回してない。回せよ私、頭も回らないし言葉も回らない。気持ち棒で言いながら、

「やめましょう!?試さなくていいから!?試したバカの末路知ってますから!!」
何で知ってるんだというのは置いときながらぐりんっと振り返る。

「……あははは、いやなんか、すいませんほんと致命的に女らしくなくて……。
…………降りましょうか?えーと、そうだ。まず名前聞いてませんでしたよねー……」

そんな事を言って、歩き出した。道中少しだけふらついて、もたれ掛かるようなこともあったかもしれなかった。
━━━━笑顔の質が分かるような頭ではなかった。だからこそ、段々と、
……………………向ける笑顔は、何処か子供のようなもので、何処か、目は少しだけキラキラして。

……手を最初のように、握ろうとしたこともあったとか。

ルギウス > 「女らしいだけが個性じゃないでしょうに。
 私は、そんな貴女を好ましく思いますよ?」

にこりと笑顔を沿えて。

「ああ、名乗り忘れていましたねぇ。
 私はルギウスと申します。常世学園で気が向いた時に教鞭を握っている事もありますよ。学園であったのなら気軽に声をかけてください」

そう告げて。
もたれ掛かられれば支え、手をしっかりと握りエスコートして山を降りた。

ご案内:「廃神社」から尋輪海月さんが去りました。
ご案内:「廃神社」からルギウスさんが去りました。