2015/10/05 のログ
ご案内:「路面バス/停留所」にステーシーさんが現れました。
ステーシー > 「フッ………今日の掃除場所はここね」
何かクールを履き違えた台詞で髪をかきあげる猫耳の少女。
放課後、夕暮れの路面バスの停留所に掃除グッズを持って現れた。

彼女、ステーシー・バントラインは生活委員会である。
よって掃除は重要な仕事である。
ゆえに、掃除をしにあちこちに現れることがある。

ステーシー > 「誰かが吐き捨てたガムね……この溶剤を浴びて黒く固まる前に消え去るがいいわ」
「ここにはチョコレート菓子の空き箱……」
「全く、生活委員会の手を煩わせてくれるわね」

一人で何か呟きながらゴミ掃除をする彼女。
ちょっと近寄りがたい。

そこに近寄ってくる鉄道委員会の警備班。
『そこのお前……何を持っているんだ? 刀か、それ』
帯刀している彼女の腰のものを指差す。

ステーシー > 「えっ………こ、これは…」
腰の刀『旋空』を手で咄嗟に隠すステーシー・バントライン。
「ふ、風紀の許可はもらっているのよ!? これは怪異対策室三課の備品扱いでっ!」
「決して怪しいことは……決して後ろめたいものは…っ」
一気に挙動不審になる。目が泳ぐ。
怪しい。誰がどう見ても怪しい。

『おい、お前ちょっと来い。事情を向こうで聞かせてもらおうか』
鉄道委員会の人間が二人、ステーシーに手を伸ばす。

青褪めたステーシーがバッと距離を取る。
猫の習性。知らない人に手を伸ばされると逃げる。

『待て、何故逃げる!』
「追いかけてくるからでしょう!?」

そして始まる追いかけっこin停留所。

ご案内:「路面バス/停留所」に流布堂 乱子さんが現れました。
流布堂 乱子 > 肩のあたりになにか載っている気がする。
そんな懸念を、ぐりぐりと首を動かすことでも払拭できずに、
ちょっと疲れた様子で今日はバスにでも乗ろうと思って立ち寄った停留所で、
『風紀の許可はもらっているのよ!?』
という声が聞こえた。

嫌な予感に足を止めて、じっと停留所を眺めていれば、
帯刀した少女が停留所の周りを逃げまわっている。

「…………えぇ……?」
今日は関わり合いたくない、そんな暗い気持ちと、
此処を遠回りして次の停留所まで歩くのかという絶望的な気持ち。
その天秤が絶妙に吊り合って、乱子は足を止めて目の前の逃亡劇を眺めていた。
……バスさえ来てくれたら。何もかもを無視して乗り込みたい。
そんなことを考えながら、停留所までのあと三歩が酷く遠く感じられた。

ステーシー > 『風紀の許可証を見せろ!』
「見せられるけど!」
『じゃあ止まれ!』
「なら追いかけないで!?」
『そもそもっ! 怪異対策室の人間なら何故平時に武器を持ち歩いている!』
「山より高く! 海より深いワケがあるのッ!」

停留所を駆け抜ける健脚の剣客とそれに負けじと追いかける屈強な鉄道委員会の男たち。
半泣きで逃げながら乱子の近くまで来る一行。

ぐるりと乱子の後ろに回りこむステーシー。

反対側、乱子の前でステーシーに睨みを利かせる鉄道委員会。

「話を聞いてッ!」
『話を聞け!!』

乱子を挟んで言い合いを始める始末。

流布堂 乱子 > 許可証は常に持ち歩かなければならず、またすぐに提示できる位置に置かなければならない→○。
公共交通機関を利用する際には鉄道委員会に協力し、その公務執行を妨害してはならない→×。
武装の携帯については、風紀委員会内でも所属ごと、あるいは教わる先輩毎に細かく分かれるので、公的な許可があるためこれは不問とする→○

ぼんやりと話を聞きながら、此処のところの癖で『何から咎めようか』考えていたところで、
疲れからか猫耳の少女に容易に背後に回りこまれてしまった。

「……話なら聞いていましたよ。」
ごそごそと前掛けの後ろから風紀の腕章を取り出すと、ひらひらと肩の高さで振った。
後ろに立つ少女は、乱子とは親指分ほどしか背丈が変わらないため、この高さでも十分見えるはずだ。
乱子を柱か何かのように扱って横から顔を出している場合は、顔を出している側の腕で。
「風紀の流布堂乱子です。
……停留所内で鉄道委員会に協力しない学生を捕まえる、ということでしたらお手伝いしますけれど」

既に口角泡を飛ばす口論に発展しそうな状況であっても、ペースを崩さずに。
というか、これ以上のペースは多分出てこないだろうなと自分でも思いながら、
乱子はとりあえずの主張を挙げた。
別にかばってるわけでも何でもないのだし、裏切ってたりもしないのである。

ステーシー > ぎゃあぎゃあと乱子を挟んで言い合いをしているステーシー。
その時、目の前の少女が風紀の腕章を取り出した。

「ヒッ、風紀!」

何故か小さな悲鳴を上げて後退りをする猫耳の剣客。
鉄道委員会の男たちはハンカチで汗を拭うと、乱子に向けて大きく頷いた。

『少し熱くなりすぎたようです、彼女が素直に武器の所持における許可証を提示してくれればこちらは何も』

無骨な口調で襟を正す鉄道委員会。
悪いことをしたなぁとばつが悪そうに頬を掻きながら許可証を懐から出すステーシー。
そこに書いてある名前は二つ。
ステーシー・バントラインと星薙四葉の名。

「怪異対策室三課では龍害を起こすと思われる貴種龍位階二位のレッドドラゴン、終末を齎す者『エンドテイカー』……」
「その悪しき龍の特別警戒期間につき帯刀しています」
「今日、ここに来たのは生活委員会の仕事のためであって、鉄道委員会の仕事の邪魔をするためではありません」

貴種龍。ノーブルドラゴン。
怪異対策室三課が追っているもの。悪しき龍――――完全生命体。
ペコ、と頭を下げた。ふにゃりと猫耳が垂れる。

「……ごめんなさい、鉄道委員会の皆さん」

顔を見合わせる二人の鉄道委員会の男たち。
そのまま軽く帽子を持ち上げて会釈すると背を向けて戻っていった。

流布堂 乱子 > 「その、喉の奥から上げるような不可抗力の悲鳴は何なんでしょう。
さて、私も同意見です。……よくあることですから、そう気にしても仕方ないですよ」
ちろりと後方を一瞥してから、鉄道委員会の述べる口上に頷いた。
付け加えた一言は、新人が言うには少し上から目線にすぎるかなと思いながらも。

提示された帯刀許可証を横から覗き込んだ。
……生活委員会。
少なくとも、そこに属している限りは――乱子には、この猫耳の少女に敬意を払う必要がある。
「お仕事、お疲れ様です。」
だからこそ、去っていく鉄道委員会の男たちに、猫耳の少女と同じ位に深く頭を下げて見送った。

……下げた頭から、粘ついた冷や汗がポトリ、と地面に落ちる。
龍害。レッドドラゴン。終末を齎す者。そんな言葉をごくりと飲み込んだ。
学生通りを燃やすこと五度。
都度建造物と路面に甚大な被害を与え、生活委員会には多大な迷惑をかけること夥しい乱子ではあるものの、流石に其処まで行くと風評被害がすぎる。
別のものを指していることは明々白々、恐れることは何もない、はずなのだ。

だがそれでも、生活委員会には内偵を進めていないだけに不安が募る。
この猫耳剣客少女がもしも自分を狙ってここまでの筋書きを組んできていたとしたら…?
どこかで風紀委員会に所属する龍っぽい少女の話を聞きつけて罠に嵌めたのでは…?
さきほどの鉄道委員会の二人もグルなのでは…?
この停留所も既に包囲されており、合図さえあれば龍をも殺す武装の数々が、少しずれた次元の赤龍を過たず狙い撃つのでは…?
むしろ、先に仕留めてしまうべきなのでは…?

ゆっくりと頭を上げて、じっ、と横に立つ少女を見る。
「…………ステーシー、さん?
それとも、四葉さんとお呼びしたほうが良いのでしょうか?」
停留所へ行くことは一旦置いておく。
酷く唐突に現れた竜殺しの存在を確かめるべく、
「その……恥ずかしながら、治安を護る職につきながら龍害というものを知りませんので、
お忙しいとは思うのですけれども少し教えていただきたいのですけれど」
薄い表情ながらも、疑問に思っている節を作りながら、少し首を傾げて乱子は問いかけた。

ステーシー > 二人で頭を下げて鉄道委員会を見送った。
横目でチラ、と少女を見る。彼女の髪が見えた。

頭を上げて、にっこりと彼女に微笑む。

「……ごめんなさい、巻き込んでしまって」
「ステーシーでも四葉でもどっちでもいいわ、でも呼び捨てがいいわね」
「こちらも乱子、と呼んでいいかしら……騒がしい出会いになってしまったわね」

困ったように笑いながら身振り手振りで説明をする。

「龍害、というのは一般的な言葉ではないけれど」
「貴種龍、と呼ばれるドラゴンが異世界と繋がるゲートを通ってこちらの世界に来ることを龍害と言うの」
「今まで過去、数度だけ龍害は起きて、そのどれもが多大な被害を世界にばら撒いた」

真っ直ぐな瞳で乱子を見る。

「貴種龍は完全生命体。殺すことはできない」
「完全なる固、完成された命、究極の一」
「私はそれを殺す手段を探しているの、龍殺しの英雄になる道をね」

肩を竦めて疑問符を頭の上に浮かべた。

「でも具体的にどうすればいいのかわからないわ、とりあえずディバインブレード…この刀、旋空を持ち歩いているのだけれど」

流布堂 乱子 > 少女のにこやかな笑みに、思わず打ち解けてしまいそうなその雰囲気に、
警戒心を解くことができれば、良かったのだけれども。
「いいえ。この島で暮らしていたら、曲がり角の一つ一つで騒動に巻き込まれてもおかしくないですから。
よろしくお願いします、四葉さん。私の方は呼び捨てで構いませんので」
少しだけ口角を上げて、距離を置こうとしていると誤解されないよう、微かに笑顔を作る。

「……成程。ドラゴンが異世界から訪れて被害を起こすこと、ですか」
それだけであれば、まだ割と自分に当てはまらないでもない。
けれども、四葉が続ける言葉を聞いて目を細めた。
「随分、でたらめな生き物なのですね。その貴種龍というのは。」
作り笑いの端に牙を浮かべそうになって、ほんの少しだけ取り繕う。
竜殺しを志す人間が居る。倒すべき龍が居る。
しかもそれはあまつさえ『完全な生命』だという。
擦り切れたはずの因果が、軋む音を立てて腕にまとわりつくのを感じた。

「さっきは特別警戒期間だから持ち歩いている、とおっしゃっていたように思いましたけれど。
……もしかすると、いつどこに出てくるかも本当はわかっていない、とか」
頭の上に疑問符が見えた気がして、ついでに乱子も疑問符を投げつけてみる。

ステーシー > 「……そう? それじゃ一方的に呼び捨てさせてもらうわ」
猫の尻尾を軽く左から右に振って、頷く。
「よろしく、乱子!」

龍害の定義。それは怪異対策室三課のミーティングで何度も聞いている。
「ええ。グリーンドラゴンと呼ばれる位階の低い龍でも不死で、この島で大きな被害を出したとか…」
「………それを考えた上で、エンドテイカーが出現することがあったらどうなることか…」

乱子の言葉に難しい表情をする。
人差し指を立てて顔を近づけた。

「ここだけの話だけれど……すごく悪い人がいて」
「そのすごく悪い人が貴種龍のコントロールをたくらんでいて?」
自分で言っていて無理があるなぁ、信じてもらえないだろうなぁという表情をしながら。
「……違う世界から貴種龍を召喚しようとしている、としたら…?」
あははと笑って誤魔化した。
「信じてもらえないだろうけれど。一応、内緒の話にして頂戴」

流布堂 乱子 > いつか、どこかでこの少女が何れかの竜の牙にかかるまでの間は。
その姿を見逃さずに居よう、と。乱子はそう思いながらゆっくりと頷いて返した。

「……どうなる、というか。
その貴種龍の名を付けた方は理解しているか、あるいは理解してもらうことを望んで名づけられたのではありませんか。
それとも滅んだ世界の最後の『名残』なのかもしれませんけれど」
ほんの少しの作り笑いの奥で、無表情の瞳が過去を思い返す。
「『出てきたらオシマイ』ということでしたら、英雄志望の四葉さんには酷な話ですけれど、門が開いた時点で、"門"の専門家に任せるしか無いでしょうね」
回想から戻ってきた瞳が、四葉に焦点を合わせて、
今度は作りものでなくほんの少しだけ笑った。願望を弄ぶのは、殺される側の特権である。

と、いうところで顔を近づけられて、
真面目な(本当のところはどうなのか)無表情に戻ると、『ここだけの話』を真剣に聞いてみせた。
「…………世界の崩壊等が目的ではなく。
龍を喚ばなければ出来ない"何か"が有るのだとしたら、
目的に応じて正しく手段を選んでいる、とは思います。
部外者のこういう言い方は、四葉さんに失礼かもしれませんけれど」
「手段が想像を絶していたとしても、もともとは目的が悪いわけですし。
……いえ、龍が悪く無いとは言いませんけど。
……悪くない龍もいる、位のことは言うかも知れません」
数少ない友人のことを思い浮かべながら。
信じないどころか、むしろ聞いた乱子のほうが積極的に肯定していた。

「とはいえやっぱりその悪い人を斬れば終わりですから、四葉さんが英雄になる道は遥かに遠いようですね」