2016/07/01 のログ
ご案内:「列車内」に神納木紫鶴さんが現れました。
神納木紫鶴 > タタン、タタン。
電車に揺られて数十分。途中で何度か降りて、周囲の地理を確認するのに費やした時間を含めれば数時間。
大雑把にではあるが、この島の地理は把握する事が出来た。
これで……『ご主人様』にお使いを頼まれても、道に迷って無駄な時間を食うと言うことはないだろう。

「……さて」

ついで、自分の手荷物を再確認。
何か忘れている物、不足している物はないか。
もしあったならば、途中で降りて買ってしまわねばならない。

神納木紫鶴 > 『ご主人様』の住まう家までの地図、良し。
自分が生活するための持ち運べる小物……歯ブラシ、カップなど、良し。
化粧品、良し。
調理用具一式、良し。
事前チェックに時間をかけただけあって、抜け落ちは見受けられず。

「流石に、少し気が逸りますね」

タタン、タタン。
急いても電車は加速する事はなく。
なら、素直に電車に揺られていくしかない。

「……ああ、そうだ。大事な事を忘れておりました」

いけない、と鞄の中から資料を取り出す。
今日からお仕えする、ご主人様の資料を。

神納木紫鶴 > 年齢、11歳。
視力、眼鏡による矯正あり。近眼。
体格、華奢。
性格、引っ込み思案で非常に真面目。自己を抑圧する癖あり。
こう言ってしまうと語弊があるが……仕え甲斐のあるご主人様だ。
依頼主……ご主人様のご両親からの話と、資料に纏められた情報を見るに、恐らくは現状、それなりに危うい状況にあるのが伺える。
特に、保険課からの親への連絡事項が無い、と言うのは不安を煽る。
11歳と言えばやはり子供、体調不良の一つもあってしかるべき。
そして、そんな子供が体調不良を起こせば、独り暮らしなのも相まって親に連絡が行く筈。
それが無いと言うことは……。

「きっと、自宅療養で全て済ませておられるのですね」

性格上、親に心配をかけたくないからと言う理由がある可能性もある。
11歳、遊びたい盛りにご両親の研究を自ら進んで引継ぎ。
甘えたい盛りに、親元を離れて一人暮らし。
支えてあげる誰かが必要だ。それを分かって、ご両親も自分を派遣したのだろう。

神納木紫鶴 > 目を瞑り、ご主人様に思いを馳せる。
現状でも、少なくとも甘える相手がいない事は容易に想像が出来る。
一番の味方であるはずの両親から、離れているのだから。

「もう少しだけ、お待ちくださいませ。この神納木紫鶴、ご主人様の生活全般、全霊を持ってお支え致します」

ぐ、と気合を入れて小さく宣誓。
正直なところ、不安はある。
メイドの嗜みとしてご主人様の要求全てに応えられるよう研鑽を重ねてきたが、11歳の子どもの親代わりが自分に務まるのだろうか、と。
こればかりは心の問題であり、表面上の技術をなぞっても仕方がないのだ。

神納木紫鶴 > もう一度荷物をチェック。
そして、身だしなみも再チェック。
少し歩くのである程度崩れてしまうのは仕方ないとしても、ご主人様に仕えるメイドとして、普段から気を抜いた姿を衆目に晒すわけにはいかない。
メイドがだらしなくては、ご主人様の格も疑われてしまうのだ。ご主人様の格を貶めるメイドなど、あってはならない。
そして、資料を鞄にしまう時、そこに記されている名前を再確認する。
ご主人様の名前を間違えるなどあってはならぬ事。
何度も何度も確認したが、それでも再確認して、万が一のミスをなくそうとする。

「……スアマ=東様。私の、ご主人様」

スアマ=東。それが、これから自分が仕えるご主人様の名前。

神納木紫鶴 > タタン、シュー。
目的の駅に到着した。
後は徒歩で、ご主人様の家に向かうだけ。

「……よし」

荷物を持って、電車を降りる。
さあ……新たな日常の、始まりだ。

ご案内:「列車内」から神納木紫鶴さんが去りました。