2016/08/11 のログ
ご案内:「路面バス/停留所」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 「…ふぅー……」

研究区からの帰り道
バス停留所のベンチにかけて、駅までのバスを待つ

これから行く先は…自宅のある青垣山ではなく、高峰司に住まいを借りている女史寮でもない

……妹の待つ、病院だ

伊都波 凛霞 > 「………」

改めて自分の異能を調べて欲しい、と
以前妹の異能を検査してもらった機関へ連絡をいれると…
それは快く受け入れてもらえた

結果は…概ね自分の予想した通り

当然だ
同じ血を分けて
ずっと同じ環境で育ってきて…
お互いに、お互いを大切に想ってきて

それで、そこまで二人の異能に"差"があるわけがなかった

伊都波 凛霞 > 通達された自分の持つ、ふたつ目の異能
…いや、正確には……サイコメトリーは大変容の影響による異能ではなく、
単純に生まれ持った超能力

その異能の中身は………

「……」

すっと顔を上げる
その顔からはすっきりと迷いが消え去っていた

その胸に手をあてて、深呼吸

『司ちゃん、聞こえる?
 留守にしててごめん…もうすぐ帰るね。
 心配はしなくても平気、私は"負けない"から』

そう、念じた

伊都波 凛霞 > すっきりとした、夏らしい晴れやかな空

そろそろバスの来る時間
すっとベンチから立ち上がって

心は、どこまでも晴れ渡っていた
いろんなことが立て続けに起こって、
それでも可能な限り強く、笑ってきたけれど

こんなに開放的なのはいつぶりだろう

「こうなったら、負ける気がしないよね」

迷いの晴れた瞳で空を見上げる
雲ひとつない空が。今の自分の写し鏡のようだった

ご案内:「路面バス/停留所」に高峰 司さんが現れました。
高峰 司 > 現在、自室。
実はやろうと思えば出来る掃除洗濯をこなし、凛霞の帰りを待っていたところで、不意の念話が飛んできた。
……その中の言葉に、一抹の不安を覚える。

『……凛霞。何かジョーカーをめくったのかどーかはわかんねぇが、無理はすんなよ。
召喚獣(テゴマ)に求める事としちゃあおかしいかもしれねぇが、アタシはオマエに『勝利』も『不敗』も求めちゃいねぇ。
オマエが勝ってもいい、負けてもいい。そのどっちだろうと構わねぇ。
ただな、『いつも通りのオマエ』で帰って来い。
アタシが欲しいのは、敗北して壊れたオマエでも、勝利のために自分を見失ったオマエでもねぇ。
いつも通りの、無駄におせっかい焼きで無駄に有能で、そのくせ思ったより万能じゃなくてそれでもお人よしさは人一倍で、アタシなんかを構い続けてアタシの壁をぶっ壊した、そんな伊都波凛霞だ。
強制はしねーが……出来れば、アタシの知るオマエのままで帰って来い』

負けない。
その言葉は、あの妹が延々繰り返していた言葉だったと記憶している。
姉は、負けない。繰り返される確信は一種の呪いだ。
無いと信じたいが……それに何かしらで蝕まれた可能性はある。

『後な。一人でなんとかなるならいいんだけどな、そうでない可能性があって、アタシに出来る事があれば呼べよ。
相互召喚契約ってのはそう言うもんだろ?なあ、「私の素敵な契約者(Dear my friend)」?』

伊都波 凛霞 > 頭のなかに届く、いつもの声
それを聞くと…また少し心が穏やかになった気がした

再び、胸へと手をあてて───

『…大丈夫、私は変わらないよ。
 今までどおり…何も変わらない』

そう、何も変わる必要なんてなかったのだ
変えなければいけないのは、二人の───

『……ありがと、司ちゃん。
 ほんと、私もいい友だちもったなあって思ってるよ。
 でもきっと、これは私がちゃんとしなきゃいけないこと…、
 血を分けた…たった二人の姉妹だから、そのままに向き合わないといけないことだったんだ。
 多分大丈夫だとは思うんだけど、もし失敗して帰ってきたら、慰めてね?』

最後の言葉は冗談めかして、失敗なんて考えていない、
笑いながら言ったような声だった

高峰 司 > 『……そうかよ』

ここまで言うなら、まあ多分、大丈夫なんだろう。
自分が力になれないのは少し口惜しいが、それでもあの二人が、自分らで決着を付けなくてはならない話だというのなら、自分が割って入るのは無粋であるし、迷惑でもあるだろう。
あのクソ神父の言を借りるわけではないが……役者は既に揃っている。自分に出来るのは、精々背中をはたいて送り出す程度だろう。

『万が一ダメだったら、オマエがもういいって言っても慰めてやる。後始末が必要な事態になったら、それだってやってやらぁ。
だから……思う存分、やりたいようにやって来い。「その身に無限の未来と可能性を(ウィルド)」……ってな』

運命を意味し、無限の可能性を導くルーン。文字を持たず、ブランクルーンと呼ばれるウィルド。
このルーンは司は使いこなせていないし、別にルーンを刻んだわけでもない。
ルーン魔術師として、伊都波凛霞の契約者として、伊都波凛霞の友として。送り出すのにふさわしいと思っただけの、単なるおまじないだ。
後は座して待っていよう。
あるべき未来が、きっと帰ってくる。

伊都波 凛霞 > 『司ちゃんの言葉は凄く励みになるし心強いよ。
 でも私が皆の力を借りたら、あの子はたった一人でそれと立ち向かうことになっちゃうんだ』

声のトーンは変わらず、平静に

『伊都波悠薇は悪じゃない…敵でもない。
 糾弾されるべき存在でもない。
 だから…気持ちだけ受け取って。……戦ってくるね』

心は決まってる
自分にとっての勝利もしっかりと…

最後に

『司ちゃんも、無理しないでね』

そう告げた
彼女を取り巻く難解な事情も、何も終わってはいないのだから

高峰 司 > 『そうか。なら行ってこい。行って、帰って来い』

それだけだ。
それだけでこの場は十分。結末はあの二人が、二人だけで、しっかりと導くだろう。

『おう。 ……メシ作って待っててやるから、アタシの事なんて気にせず行ってこい』

見えはしないだろうが、ぺいぺいと払う仕草を入れて。
帰ってくるまでは、積極的に動く気はない。精々、大して上手くない料理を練習しておくくらいである。
……一日二日でマシなレベルになるだろうか。それだけが不安要素だ。

伊都波 凛霞 > 『──ふふっ、楽しみにしとくからね』

そっと胸にあてていた手を離して

遠くから重いエンジンの音とともに、バスがやってくる

駅についてからもまだ時間はかかるだろうけれど、
今なら無駄な考えを巡らせても、迷いに霞むことはないと確信できる

プシューッという排気ブレーキの音、しばらくしてバスの扉が開いて

力強く、そのステップを踏みしめた

ご案内:「路面バス/停留所」から伊都波 凛霞さんが去りました。
高峰 司 > 『……期待はすんなよ』

がんばるけど。
まあ、念話で届く声から多分本当に大丈夫なんだろうとアタリはつく。
ダメならまあ、それはそれで何とかしよう。
……取り敢えず、料理の練習のためにキッチンに向かう司であった。

ご案内:「路面バス/停留所」から高峰 司さんが去りました。