2015/06/19 のログ
■椚 > 「そんな、理由で……」
言葉を詰まらせる。
それは、泣きすぎたせいではなくて。
「……だって、困ってたじゃないですか……
それだけじゃ……助ける理由……に、なりませんか?
じゃあ……どうして、昨晩、私を送って行ってくれたんですか……?」
■翔 > 「俺には大層な理由なんだよ」
なんせ金が絡むからな!
とは言いづらい
言った瞬間ドアから悲鳴付きで叩きだされそうだ
思わず頭をかく
なんつーか、その言葉は余りに純粋過ぎて
俺が受け取るのは、何処か躊躇われる
それと同時に、こういう無配慮の善意はこの少女が持つには危険すぎるとも思う
「あれはついでみてーなもんだよ
あの時間に一人で帰られて、何か会ったら後悔すんだろ?
俺がしてーからした、そんだけだ」
「ん、でだ
困ってたからって俺みてーのは助けなくてもいいんだよ
自分の部屋に男連れ込むとか、よっぽどあぶねーことしてんだぞ、お前
もっと助けるにしてもよく考えろ」
だが、まぁと言葉を口の中でにごして
「ありがとうな」
と、ベレー帽越しに言葉を渡して
財布から自分の電話番号と部活の連絡先が乗ってる名刺を頭の上に置こうとして
やっぱり、目の前の膝小僧の間に名刺を挟む
「なんかあったら電話しろ」
とだけつげて、最後に頭を軽く叩き窓を開ける
二階からなら余裕だろ、余裕
そう思いながら、窓から飛び出していった
ご案内:「女子寮」から翔さんが去りました。
■椚 > しばらくの、間。
ひざの上の名刺。
読むでもなく、視線を落とす。
視線は何も映さず、ぼんやりとしたまま。
そうだ、窓を閉めなくちゃ。
その思考だけが働いて、壁を支えにゆるゆると立ち上がる。
思考どおり、腕を伸ばして窓を閉める。
そのまま、いすに座り机の上に上半身を乗せた。
目の前に、ストラップのくまさんがいる。
こちらを見ているような気がして、たはは…と笑う。
「まーくん……今日はちょっと、疲れちゃった……」
マスコットにそう語りかけ、そのまま意識を手放した。
ご案内:「女子寮」から椚さんが去りました。
ご案内:「回転寿司店」に天津芳野さんが現れました。
■天津芳野 > 自動ドアの音が響く。
非常に珍しい、深夜帯でも開いている24時間営業の回転寿司店。
その店内に、白衣姿の少女が足を踏み入れた。
■天津芳野 > 「一人。カウンター席で」
レジに立っている店員に札を受け取り、適当なカウンター席に腰掛けた。
そのまま、レーンを流れるネタをじっくりと観察している。
■天津芳野 > 「……ふむ」
まず手に取ったのはタマゴ。
寿司屋の腕前はタマゴの味でわかると言うが……
(……いやまあ、別に回転寿司に期待はしてませんよ?)
取り皿に醤油をひいて、たっぷり浸してから口に放り込む。
■天津芳野 > (……まあ、まずまずですね)
あるいは、この時間帯に流れているのに干からびてもいないのを誉めるべきか。
口の中でタマゴをゆっくりと味わってから、次のネタを物色する。
■天津芳野 > 次に手に取ったのはマグロ。
ある意味定番のメニューである。
(回転寿司のマグロはマグロによく似た魚、という話も聞きますが)
美味しいのならば、そんなことはどうでもいいのだ。
取り皿の醤油に浸して、マグロを口の中へと。
■天津芳野 > (……ん、これは中々)
赤身だが、それなりに脂が乗っている。
幾らか舌の上で転がして、味を楽しむ。
■天津芳野 > (なら、お次は……と)
丁度よく流れてきたサーモンを手に取る。
サーモンは寿司の中でも好きなネタである。
20皿食べても飽きはくるまい。
それはともかく、醤油につけてから口に運ぶ。
■天津芳野 > (……ほほう)
思わず口角が上がる。
まろやか……というのはサーモンを評するには不適当な言葉かもしれないが、ともかく口当たりが良い。
美味しい、と言ってもいいと思う。
(……割とアタリでしたかね)
■天津芳野 > (……っ、と、と)
店内を見回す。
別に今日はここに回転寿司を食べにきたわけではない。
そこそこ堪能したし、他の用事を果たすべきだろう。
■天津芳野 > カウンター席の一つ。
一見何ら変哲のない、しかしやけに目に止まる男が座っている。
男の席にはメモ帳。
符丁通りだ。
■天津芳野 > 「こんばんは」
席を立ち、ジュースの自販機に寄るふりをしながら男に話し掛ける。
男も目礼し、まるで知り合いがたまたま出会っただけ――を装うかのように二言三言、言葉をかわす。
■天津芳野 > 数分後(悩んだ末に自販機で買うのはコーラに決めた)、席に戻った少女の手にはメモ帳があった。
つい先程、男の席に置かれていたメモ帳である。
コーラを飲みながら、メモ帳をぱらぱらとめくる。
■天津芳野 > (……ふむ)
ついさっき『取引』をした男。
彼は情報屋である。
立場上学園の情報に疎い彼女は、こうして余所の情報を仕入れているのだ。
■天津芳野 > (『例の薬』についての情報はなし……)
ここ最近彼女が追っているのは、とある薬についての情報であった。
『異能を強化・あるいは覚醒させる薬剤』。
ここ最近、学園都市の裏側にはそういった薬剤が出回っていたのだという。
■天津芳野 > 彼女はとある事情で、自らの異能を失った。
それを復活させるために、現在はこうして八方手を尽くしている状態だ。
そこで目を付けたのが例の薬剤である。
(……異能を強化・覚醒させる薬。
上手く使えば、失った異能を再び隆起させることも可能なはずです)
■天津芳野 > とはいえ、現在裏に出回っているような純度の低い薬では意味がない。
もっと純度の高い薬を、サンプルを含めそれなりに集める必要がある。
(人体実験用のモルモットも、欲しい)
■天津芳野 > (……もう少し深く潜ってみるべきですかね)
現状、彼女は落第街の上の方を探っている。
もっと深い部分……闇の深い部分を探らなければ、難しいか。
その辺のツテがあればよいのだが。
■天津芳野 > (……ふむ)
息を吐く。
頭を休ませるために、イクラをレーンから取った。
■天津芳野 > 醤油につけて、イクラを口につける。
(……ちょっと乾いてますね)
まあ、問題はない。
■天津芳野 > (……残りの内容は、隠れ家の方で検討しますか)
カウンター席のブザーを鳴らす。
やってきた店員に精算してもらい、レジで会計する。
■天津芳野 > やって来た時のように、白衣の少女はふらりと回転寿司を出ていった。
ご案内:「回転寿司店」から天津芳野さんが去りました。
ご案内:「遠吠えは誰のために」に翔さんが現れました。
ご案内:「遠吠えは誰のために」から翔さんが去りました。
ご案内:「遠吠えは誰の為に」に翔さんが現れました。
ご案内:「遠吠えは誰の為に」にヴィクトリアさんが現れました。
■翔 > あぁ、ここだ
少し辺りを彷徨っちまったが、見つかって良かったぜ
つい先日の出来事を思い出しながら、ゆっくりと空き地に入っていく
一瞬、何かに見られたような気配は感じるが、姿は見えない
きっと知らない来訪者に怯えてるんだろうと思う
まぁ、ついこの前飼い主殴り倒してるしな
警戒されて当然だ
■翔 > 空き地の真ん中まで歩いて、100均で買ってきた犬用のドッグフード入れ(犬用の方がでかかった)を地面に置き
その中に一番高いキャットフードをザラザラと流し入れる
「悪かったな、この前は」
そう言って少し待ってみるが、相変わらず視線だけしか感じない
離れれば食べるだろう
そう思い、立ち上がり空き地から出ようとして
思わず、頭を掻いた
■ヴィクトリア > 【なんだアレ、どっかで見た奴が空き地で変なコトやってやがる
たまたま犬飼の家から出てきたところだが、変なコトやってる空き地の人物には見覚えがった】
おーい何やってんだよ翔。
つーか餌付けってしていいんだっけか? お前そもそも猫飼ってないだろ?
ってお前それもしかしてわざわざどっかから持ってきたの?
つーかお前住んでんのこの辺じゃねーににマジでナニやってんだ?
【よくわからないが、どーも餌をやってるようだ
餌は悪いんじゃなかったけか。つうかコイツなんで外にこんなの持ち歩いてんの?
まー、どうでもいいのだがとりあえず声をかけてみる】
■翔 > まさか、こんな所で出会っちまうとはな
全くもって心構えとか出来てなかったせいで、何から話せばいいのかわからない
頭を掻いたまま、視線を逸らす
ただ、一瞬こちらを見ていた視線に
あの夜の瞳はもう無かった
それに深く安堵の息が漏れる
よかった
あの夜掴めなかった手は、もう無い
そう思った瞬間、自然と
「よぉ」
と、声が出ていた
「あー、まぁ、なんつーか礼だよ、礼」
今の口ぶりからコイツは犬飼のアレを知らねーみたいだ
なんとなく教えないほうがいい気がしてごまかし
「そうだ、丁度よかったぜ」
と猫耳から疑問を挟まれる前にこちらが更に言葉を続ける
「お前、一樺覚えてっか?
アイツから助けたお礼に、偽証ID二つ寄越せって言われてんだ
手配出来る、んだよな?」
実は俺はコイツが普段何やってんのか全然しらねー
が、まぁ、そういう情報屋か何かをやってるんだと勝手に推測してる
■ヴィクトリア > あー。
ずいぶんとふっかけんなーアイツ。
くれてやるけど、もいっこぐらいなんか頼まれろ言っとけ、いくら状況が状況とはいえ友達価格にはたけーよ、欲張りすぎだっての。
ってお前礼って。
ナニやってのかしらねーけどコレは礼じゃなくて自己満足とか感傷っていうやつなんじゃねーの?
礼なら相手に尽くすもんだろーよ
自分だけきちっとしてりゃ誰かに届くとか個人的にやりたいからやるっつーのはカミサマに奉納するとかそう言う精神性じゃねーの?
ま、やりたいからやってんならいーけどさ。
あ、この間はサンキュな。
【そう言いつつ、自分の礼は簡潔かつ一番後回しだった
犬飼の件に関しては犬飼が言わない以上知らないし聞きもしない、そんなもんだ
言い出さない以上はそんなもんだ】
■翔 > 案外普通に話せるじゃねーか
少しは躊躇うと思ったが、ま、そんなもんだな
俺も昔の話は普通にできるしな
一部を除いて
過去の傷は、いずれカサブタが出来て全部閉じるんだ
たまに傷んだりするかもしれねーが、癒えない傷はない
こいつはあの夜はあぁ言ってたが、やっぱ色んな奴が手を貸してやったんだと思う
ま、アイツが最後に握ったのだと思うとちと腹立たしいが
それを手助けできたなら、それでいい
「つってもアイツが居なかったら結構やばかったのも事実だぜ?
ま、それもそっちで話してくれ。アイツID無いから連絡手段とか持ってねーんだよ
そっちで話したほうが早いだろ?」
「そこまで考えて行動してねーよ」
んな祈りみてーなことしたこともない
「自己満足半分、猫どもに対して半分だ
そんだけだっつの」
後ろを軽く見た瞬間、一瞬だけ草むらの中の眼と視線が合うが、すぐに見えなくなる
ま、後で食ってくれんならそれでいい
「別にかまわねーよ
ま、なんかあったら呼べ」
呼ばれることはないだろうけどな
呼ばれる奴は別のやつだ
まぁ、これで、話すことは終わりだ
頼られなかった奴がうじうじと絡んでも仕方ねーんだよ
俺の手は必要無い
あの夜から答えは出てたんだ、そうだろ?
それでも結局うだうだしちまったのは、ただこいつが死なねーか心配だっただけだ
それも杞憂に終わったなら、これで
終わりだ
猫耳にゆっくり近づいて、頭に手を伸ばす
「狂犬になんかされたら言えよ」
撫でれても撫でれなくても
「元気のお前が見れてよかったぜ
じゃあな」
と、そのまま告げて
横を通りすぎて行こうとする
■ヴィクトリア > んー、なんかあったら言われてもなァ。
【なんつーか、コイツのそれは感情だ。
あの日も、ボクのためじゃなく自分の為が半分ある。しかも急に出ては消えるヤツ。
自分の都合で自己満足しに来て、自分の都合で満足する。
餌だけ与えといて、飼わないってやつ。
そーゆーのに近い気がする】
あのさお前さ
なんつーの。
……んあー、アレだ。
適当な言葉見つかんないからはっきり言うと、ナンだ。
ぐっちゃぐちゃだろ?
多分、自分でナニやってっかナニやりたいのか分かんねーんじゃねーの?
【んでまあ、そう言うこったろうと思ってぶっちゃけてみる。
ボクのことはまあ、うん
とりあえずほっとけ】
■翔 > 引き止めるような言葉に、背中わせのような距離で脚を止める
ぐちゃぐちゃ?
正直、何を言われたのかよくはわからねー
「俺は俺のやりてーことやってるだけだよ
それ以外のめんどくせーことはあんまり考えてねーって言ってんなら同意すっけどな」
あの夜だってそうだ
メールが来て、特に何も考えずに飛び出していった
まぁ、確かに契約とか、連れ去られたとかはあったけども、だ
ただ、なんつーか、ほっとくわけにいかなかった
「やりてーことはある
前も言ったろ、異能の制御
まぁ、今はどうすりゃいいのか全然わかんねーけど
ようやく時間も作れそうだしな、気長に探すつもりだ」
師匠と不仲になったわけでもないんだ、なんとか探してみるさ
■ヴィクトリア > んだからさ。
翔、お前さー。
そのやりたいことってのに目的がないんじゃね?
別になくたっていーんだけどさ。
でも、こないだと比べると、ぶっちゃけ死んでるみたいなんだけど。
なんつーの、考えないようにしてるってーか、刹那的で感情だけで動いてる感じ
今さえ良ければ死んでもいい的なアレ
まー、いきなりでアレだとは思うんだが……ソーダなァ
お前ホントに制御したいと思ってんの?
ッて感じかな。
できたらいいなと思うしなったらいいなと思うけどそれ以上じゃねんじゃねーの?
ボクからはどーもそー見えんだよな
それが悪いってんじゃねーけどさ。
でもそのあたり、自分でも感情がごちゃまぜのままなんか納得いってないんじゃね?
ッて感じがするけど、そこんトコどーなの?
【容赦なくポンポンと畳み掛けてみる
この間の今日でなにしたいんだか分かんねってのはなんかあれだぞコイツ
ある日突然旅に出ますとかって自分探しにいっちまいそ~なアレに思えるんだが】
■翔 > 「随分突っ込むな、お前」
初めて会った時の夜を思い出す
そういやあん時もコイツこんな感じだったな
本当、びっくりするような観察力でこって
まぁ、話してもいいか
「しかたねーだろ
これの制御が、俺の生きる理由だ」
右手を胸の前に持って行き、爪と指の間から火を出す
この程度なら、自分で傷を付けなくても出来る
むしろコレしか出来ねーけどな
「その過程で死ぬなら、それでもいい
それも、俺の生きる目的だ」
誰かを助けて死ねるなら、それはそれで悪くはねーだろ
そうすりゃ、向こうで『彼女』に謝る時間ぐらいはくれんだろ
地獄に行く前にな
空元気、みてーなもんなんだろうな
でも、それでも
「なんとなくは、生きれてんだろ
そう見えねーか?」
背中越しに、笑いを含んだ声を送る
顔は見せられねーな
今の俺の眼は、きっと心の底に何時もは沈めてる灰と混ざって濁ってるだろうから
■ヴィクトリア > あー。
ダメだお前重症だろ。
重症ってのはボクも大概だが、ボクはお前らみたいなのがいればまーなんとかなるってとこはあるけどさ
お前さ、端っからぜんぶぶん投げてんだろ。
制御が生きる理由なんてあるわけねーんだよ。のーみそ膿んでんじゃなければな?
生きる理由があるから制御すんだよ、この間、ボクにいったことが嘘じゃねーってならな?
逆に言えばアレだ
お前死に場所探してんじゃねーのか?
もしくは生きる理由探しだ。
なんてったってお前のそれは理由になってねーんだもんよ。
アレだ。
ドコの世界に学校入るために生きてますとか会社入るために生きてますってやつがいんだよ。
なんかやりたいことがあるとか面白おかしくいきたいとか平穏無事に過ごしたいとか何でもいーんだが
なんかさ、そーゆーもんのために、やるんじゃねーのか?
お前さ……
「それ」でなんかやったろ?
【んでなきゃ死んでいいとかおかしな事言うかよこのやろう
俺のために生きろとかいった奴が言うセリフかよ、このアンポンタン。】
■翔 > 「ま、そうだな」
否定は出来ない
出来るはずがない
全部言う通りだ
まぁ、一応他にも生きる理由はあるっちゃあるが
一応、とか
他にも、とか
つけてる時点で、ダメだろう
「言ったろ、バカ猫
覚えてねーかもしれねーけどな、あん時は色々あったし」
頭をかく
一度言ったことだし、もう一度言っても大丈夫だろ
「一人殺してんだよ、この火で」
そうとだけ、簡単に告げる
「まぁ、あの夜のことは悪かった
おんなじ眼、してたからな
死んじまいそうで怖かったんだよ」
あの時のコイツは全部を否定していた
それが怖かった
俺が死ななかったのは、罪があったからだ
自殺という罰では、罪を贖えると思えなかった
だから、俺は今も生きている
■ヴィクトリア > あー。
つまりアレか?
いつ自暴自棄になるかもしれないお前をボクの生きる理由にしろっていってたわけか?
ま、たぶんそういうつもりじゃねーってのはわかるんだけどさ。
んじゃ聞くけどお前、ボクがあの時その手を握ってたら、まだそんなこといってるつもりだったのか?
別に、ボクもクズだからな
お前がなにやってよーとどーだっていいけどさ。
そんでも、ボクを助けてくれようとしたお前が死んでもいいとか言われっと、さすがに嬉しくはないなァ?
お前その炎でまだ殺す気かよってなる。
【だからッつってボクに声かけたってことは、アレだ
行き場がないってことをいうのに3周ぐらい回して勿体つけてんだ
迷子にもほどがあんだろ
ま、そのへんはボクもか。】
■翔 > 「別に自暴自棄には」
なってねぇ、と反論しようとして
いや、普通にやってたな、あれ、サンドバック
あー、と思わず声が滑っていく
「殺すつもりはねーよ
背負えんのは一人で精一杯だ」
二人目を、とは考えたくない
「てか、お前まだ自分のことそういってんのか
自分のこと棚に上げるけどお前あんま言うなっつの
聞いてるほうが心配になるぞ、それ」
互いに自分のことを置いておいて相手の心配をして
なんつーか滑稽だ
「心配してくれてんのは、その、まぁ」
頭を掻きながら
「ありがてーけどさ」
あの夜の事を思い出すと、心配されてる自分が少し情けなくて乾いた笑いが出る
だが
「別に、いいだろ?
お前にはもう、俺は必要ねーだろ
握った手だけ大事にしてろっての
助けられたお礼ならもう十分だ
最初に言ったろ。俺は俺のしてーことをしただけだってな」
そうやって心配してくれるのは、素直に、嬉しいけどな
結局はこれは俺の問題だ
コイツには関係ないんだよ
右手で、軽く猫耳の頭を小突く
「俺は俺で生きていける
お前は自分のことだけ考えてろ」
ゆっくりと一歩を踏み出す
コイツにもう一つの手は、必要ない