2015/07/25 のログ
■五代 基一郎 > 「名前ならつくさ。法の下に裁かれるなら手続きやらが必要だしな。」
そうして立ち上がり、伸びをしてひと息つく。
妖艶に笑う、自らが幻だと嘲笑う少年の前で。
「お前は”これから”この世界の法の下に裁かれ、この社会で”囚人”となって
一人の人間として罪を償って生きて行くんだ。
あろうがなかろうが嫌でも実感してもらう……お前も俺も
この世界も幻じゃなく現実であるとさ。」
劇だけが全てではない。
その、檀上の世界だけが全てではなく。その舞台がある世界がある。
そこが現実であり、これから生きて行く世界なのだと。
ないならそこから増やして、そして実感していけばいいと。
告げて、一度目を閉じる。
切り替えるようにその目が閉じられ、再び開かれれば。
「フェニーチェの『美術屋』、公務執行妨害で逮捕する。」
ここでの話は……
フェニーチェの『美術屋』と名乗る少年と
風紀委員会の特殊警備一課の第二小隊長である五代との話は終わった。
外の戦いは、終わっただろうか。
■『名のない少年』 > 逮捕する――……
その言葉のあと、外の喧騒は静まり、終わった
「防衛、成功――」
そして、風紀委員の言葉を聞けば呆然として――
「――ホント、ヒビヤには敵わないかも」
涙を流しながら、その言葉を身体ではなく
心で、受け入れた
「……バイバイ、『美術屋』」
そう告げれば、全ての背景は消失して――……
タダの更地へと戻り。
タワーではなく、地面にしっかり足を置いたまま。
皮肉ではなく、電脳世界ではなく現実の囚人としての――手錠を手に掛けられて――……
『美術屋』の幕は下ろされた……
ご案内:「未開拓地・背景”市街地”」から『名のない少年』さんが去りました。
■五代 基一郎 > そしてただの更地に戻ったそこで
方々にいる隊員らや、何もないが故に目立つ『マリア・カラス』へ向けて
手錠を掛けられたその少年を連行していく。
現実の囚人となった少年を連れて
現実の世界へ歩いていく。
現実の中にありながら、幻にようの朧に現実にあったそれがまた
幻として消えて現実に戻った世界の中を踏みしめるように
隊員らと共に元いる現実の中に帰って行った。
その少年を連れて行った。
ご案内:「未開拓地・背景”市街地”」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「学園地区・高級マンション遠条寺さん宅」に遠条寺菖蒲さんが現れました。
ご案内:「学園地区・高級マンション遠条寺さん宅」にラヴィニアさんが現れました。
■遠条寺菖蒲 > 試験期間も終わり、余裕も出来てきた頃。
ラヴィニアを家に招待するという約束を果たすべく今日はラヴィニアを自宅であるマンションに連れてきた。
異能・魔術等への防犯対策のしっかりとしたマンションの入口に外部からの行動に対しての不可視の防御障壁によって守られている高級マンションであり、ここに住むものは殆どが財団関係者だったりするという噂もある。
■遠条寺菖蒲 > 「今日は無事に招けてよかったかな。最近、生徒会の仕事で書類にずっと埋まってたから」
と私服姿の菖蒲が生徒会の監査局の書類の山を思い出して苦笑いを浮かべつつラヴィニアを家へといれる。
玄関は二人が並んで入っても広さに余裕がある。
■ラヴィニア > 今日は先輩の家に呼ばれるということで、制服のまま菖蒲の待ち合わせ場所にやってきていた。
私服の相手を見れば、ショッピングの必要性も感じられる。
その辺りのことはあまり慣れないが。
マンションまで連れてこられると、周辺の魔術防御に感心して、ついじいっと周りを見渡してしまう。
気になるのを抑えて、そのまま菖蒲についていった。
「お疲れ様です。学期の変わり目ですし、やはり色々と大変でいらっしゃるのでしょうか?
それでは、お邪魔いたします……」
■遠条寺菖蒲 > ラヴィニアの態度を少し笑みを零す。
「特に面白みはない部屋だと思うけれど、どうぞ。
仕事はちょっとした調査みたいのが主体でね。調査する前にこれまでの情報を知っておかなきゃいけないだのなんだので少し大変かな」
仕事の話になるとちょっと笑みが引き攣る。やや遠い目をしている。
「それと後で紹介するんだけれど――」
と言いかけた所で玄関の奥から給仕服でやや茶色がかったショートヘアの女性が姿を見せる。
上品でありながら無理なく、目立ちはしないようなそんな佇まいの女性だ。
『おかえりなさい、菖蒲さん。
お客様もいらっしゃいませ。私が家政婦の灰須ヘラと申します』
腰を曲げて頭を下げて、家政婦の灰須ヘラが礼を取る。
■ラヴィニア > 「お部屋が面白いというほどショッキングでしたら、少し困ってしまう気がいたしますわね。
突然棚が滑って隠し扉が現れたりするのでしょうか」
ふふと口元を緩めた。
そういう軽口ぐらいは言うようになっている。
菖蒲が言葉を作る前から、玄関の奥を意識した。
静かな気配。匂いのようなものを知覚する。
実際に灰須が姿を見せるや、一瞬目を細め、その全身を、『菖蒲の保護者』を、確かめる。
猫科の動物のような視線は、だがすぐに消える。
言葉を待って、にこりと笑顔で礼を返した。
「わたくし、ラヴィニアと申します。
お話は伺っておりますわ、よろしくお願い致しますヘラさん」
■遠条寺菖蒲 > 『こちらも菖蒲さんから聞き及んでおりますよ、ラヴィニアさん』
僅かにラヴィニアを見つめるヘラの目が見下ろすものになる。
これが『菖蒲の後輩』か、と値踏みするようにほんの一瞬だけ。
ヘラは、すぐに柔和な笑顔へと顔を変える。
そんなやりとりを隣で聞いていた菖蒲は、
「なんだか、二人とも丁寧だし仲良くなれそうだよね」
と裏のない笑顔で嬉しそうに言う。
「それと、ラヴィニアさんの言う仕組みのある家って忍者屋敷ってやつかな?
いいよね。秘密基地みたいで」
■ラヴィニア > 顔を上げるとともに、すっと一歩前に出た。
きゅ、と細い指でヘラの手をとろうとする。
「はい。ヘラさんとも仲良くさせていただきたいと思っておりますわ。
お姉さまのお姉さまということでいらっしゃるから。
お車にお詳しいとか」
かしげた首を、そのまま菖蒲へ戻した。
ラヴィニアが指していたのはどちらかといえば大掛かりな仕掛けのある洋館で、
聖庁にいた頃にそういったものを好む輩と関わりが多かったためだ。
味方につけ敵につけ、である。
そういったものは洋の東西を問わないのだろう、と
「ニンジャというとこちらのスパイでしたね。
秘密基地……そういったもの、この島にもあるのでしょうか」
そりゃ学園にも忍者は、いるが。
勿論冗談で言っている。
自分が寝泊まりする大聖堂がまさにそういう仕掛けの建物であるというのは伏せた皮肉だが。
■遠条寺菖蒲 > ヘラはラヴィニアの行動に慌てる様子も見せず、示し合わせたかのようにその手を取る。
優しく包むようにその手を握る。
『ええ、私も菖蒲さんがご学友をお連れになるなんて初めてですので
ラヴィニアさんとは仲良くなれる気がしてます。
車は昔、趣味で少し戯れてた程度ですよ』
ラヴィニアの言葉に菖蒲は一瞬だけ瞳を輝かせた。
「秘密基地……秘密の研究所みたいのは関係者以外立ち入り禁止とかでありますけど、
そういうあからさまなのはないかも知れませんね……」
少しだけそう言ったものを妄想して、しかし現実的な思考が混じり自分で否定する。
忍者なんて言うのは今やテレビの中だけのものだと、菖蒲は思っているしスパイや諜報員なんかが秘密基地で、なんて言えば昔の洋画だ。なんて考えている。
『ここで立ち話もなんですから、リビングに行きましょう。
お茶もお出ししますので』
とヘラがスリッパを用意して菖蒲とラヴィニアをリビングへと招く。
リビングは畳にして約18畳はありそうな場所で白い絨毯が敷かれており、テーブルに椅子と
接客用と思われるソファーにテーブルで、壁側には本棚が二つあり、その間に大型のテレビが鎮座している。
全体的に少しだけ洒落ている感じに見える。
■ラヴィニア > 「偶然、お会いすることが何度もありましたので……
お姉さまにはよくしていただいて、わたくしもあまりこちらに慣れていませんから、大変感謝しております。
寮住まいでもないですので、なかなか色々な方とお知り合いになる機会がございませんから。
はい、本当に……よろしくお願いいたします」
挨拶を重ねると、残念そうに言う菖蒲の言葉を聞きながらリビングに通される。
修道院や聖堂で寝泊まりするラヴィニアにとって、部屋を経済的に感覚するのは難しい。
が、知識として判断し、まあ、と驚いてみせる。
「失礼いたします。随分と広いリビングですのね。
お二人で住んでいらっしゃるんですよね?
わたくしそういった経験がないものですから」
■遠条寺菖蒲 > リビングについて、
「そうなんだよね。この部屋、用意してもらったんだけれど広くてちょっと困りものだったりはするんだよね…」
菖蒲が軽く笑いながらそう答える。
『菖蒲さんは学園側からここでの生活費などを支給されてますので、ここが一種の“寮”みたいなものです』
補足するようにヘラが続けた。
このマンションに住むことに菖蒲の意志は全く存在していない。
菖蒲が財団に連れてこられる事が決まった時に既にここに住まわせることは決まっていた。
「私としてはヘラさんは住み込みだけど、この家の半分くらいの広さでいいんだけどね」
と菖蒲はソファーに向かい腰掛けて、ラヴィニアを手招きする。
■ラヴィニア > 「わたくしは基本集団生活でしたので……人数に対して広すぎるというのも、やはり大変なものでしょうか?」
疑問を口にしながら、軽く会釈をして招かれたソファーへと腰掛ける。
いつもどおり浅い半眼のまま笑みを浮かべて
「わたくしも、こういう風にお知り合いの家に招かれることがこれまでありませんでしたので、
なかなか緊張いたしますわ。ふふふ」
■遠条寺菖蒲 > 「私はいつも一人部屋だったからよく分からないかな……世話もいつも人任せっていうとなんだか恥ずかしいけど」
そういうと菖蒲はやや顔を赤くして恥ずかしがった。
そこへ、
『部屋が広いとやる気がある時は掃除のしがいがあっていいですが、
やる気が無い時や忙しい時などは大変ですよ』
そうラヴィニアの疑問への答えと冷えた麦茶を透明なガラスのコップいれてヘラがやってくる。
ソファーの前のテーブルに麦茶を並べて、ヘラは二人と対面する向かいのソファーに座る。
緊張しているというラヴィニアの言葉に菖蒲は「私も」と言葉を漏らして、続ける。
「私もこうして人を呼んだのは初めてだから実は、何をしていいか分からなくて…」
そういうと少し自分の指先で髪の毛を弄った。
■ラヴィニア > 「わたくしも、掃除は得意ですが、恥ずかしながら他の家事はそう得意というわけではございませんね……。
料理に関する講義があるのを見つけましたので、次の学期には受講してみようかと思いますけれど、
あ、これはご丁寧にありがとうございます」
ヘラが麦茶を持ってくると、少し腰を浮かせて軽くお辞儀をした。
お茶に軽く口をつけて唇を湿らせる。
横に座って髪に触れる菖蒲の指に視線をあわせてから、そのままヘラへとすべらせる。
「普段も学園で世間話などさせていただいておりますけれども……
せっかくお会いできましたしヘラさんのことをお聞かせいただいても?
お姉さまからは良くお話していただいておりますし……先ほどのとおりお車に詳しいとか」
■遠条寺菖蒲 > 「ラヴィニアさんっていいお嫁さんになりそうだよね。私なんて料理実習の時に作った料理くらいしか作れないよ」
とヘラに話を振れば『そうですね』と言う相槌が打たれる。
『授業内容としては大変な部分もありますが、礼儀作法――マナーなどの講義も面白いものがありますよ』
ヘラがラヴィニアの受講する講義の話に一つ提案をする。
大変というのも色々と姿勢やら言葉遣いや仕草などを矯正させたりもあるので、そういうのもありであった。
ラヴィニアの提案にノったのは菖蒲であった。
「そうだよね。ヘラさんの趣味の話って私も余り聞いたことないかも」
『……車に詳しいと言っても“一般的な知識”程度のことですよ』
それでもいいなら、と微笑むヘラである。
■ラヴィニア > 「お嫁さん、ですか」
一応は修道者という立場からか、二人のやりとりに珍しく微妙な苦笑いを零した。
無論、菖蒲が他意なく、むしろ褒めようとした結果なのは理解している。
「お料理もマナーも、興味深いですわね。
やはり世間を知らないものですから、そういったものや社会学的な講義は興味を惹かれますわ。
まぁ高等教育課程もございますけれど」
頷いて、続くヘラの話に意識を向ける。
乗った乗り物なら、ラヴィニアは多い方だろう。
自転車、自動二輪、普通の四輪車は勿論、装甲車、武装ヘリ、潜水艇、駆逐艦、戦闘機……
祓魔師として派遣されて乗せられた多様なものを思い出す。
とはいえ、乗り物自体に何か強い興味をもったことはない。
「ご自分で運転されるご趣味なのでしょうか?」
■遠条寺菖蒲 > 少しだけ、ヘラが下を向いて息を吐き捨てて正面を向いて二人を見る。
『運転するのも好きだけれど、弄るのも好きね。
実は車のエンジンルームを眺めたり、色々な消耗品の状態だったりを確認するのも好きかな』
そう言ってから麦茶を一口飲む。
『私の今持ってる車はM菱のLANEVO(ランエボ)って車でね。ちょっと古い車だから知っているかは知らないけれど、いい車なのよ』
有名な国産車でありながらドイツなどで最高速度の安全性を確かめる走行テストを行う事もあり、広告なども海外でも展開した経歴があるので国外の車に興味のある海外の人ならば誰しも、ではないがある程度は知っている可能性のある車だ。
「へー、ヘラさんがたまに乗ってる車ってそういう名前なんだ」
菖蒲はどうやら知らなかったようだ。
■ラヴィニア > ヘラの話がはじまり、目をぱちくりさせる。
「はあ、M菱は、わたくしも存じ上げておりますが。
ランエボ。
いい車、というのはどういった意味合いなのでしょうか?」
ラヴィニアの車への興味は今の菖蒲と同じようなものだ。
勿論、任務中ドライバーが走破性について言うのを聞き流していたような経験はあるが。
■遠条寺菖蒲 > 『少しだけ、長くなっちゃうけど、
いい車って言えば一般的には居住性だったり乗り心地ってところかな
電車でいうなら各停と特急の車両の違いでの快適性の違いとか』
エアコンがある車とない車ではどっちがいい車と言われれば恐らく多くの人がエアコン付きの車を選ぶのではないかと思われる。
『私の言う。いい車っていうのは、ちょっとしたアクセルの強弱にも答えてくれる電子制御とバランスの良さというところかな。
ああ、思った通りに野球で球を打てて気持ちいいとかああいうのに似てるかもね。
バッドを狙った位置で振れて狙った通りに球を打ち上げれたりその方向へ転がせるって感じ』
適当に分かりそうな喩えをしつつ会話を続けた。
■ラヴィニア > 「そうですわね。中が広い方が、乗りやすいですし」
なるほど、と頷きかける、が
ヘラの言葉が続いて、咀嚼するように視線を少し落とす。
「ええと、ああ……ベースボールですか。
申し訳ありません、そちらもあまり馴染みがないもので……
アクセルの強弱……思う通りに車が走れば気持ちが良い……ということでいらっしゃいますか」
表情は変わらず浅い半眼が微笑んだままだ。
あるいはその表情のまま固まっているのかもしれないが。
■遠条寺菖蒲 > 中々飲み込みがいいし、理解もよいとヘラは満足そうに笑顔になる。
これは、趣味ある人にあまり突っ込んだ言を聞いてはいけないという言葉を思い出させそうな笑顔だ。
『そう、車を走らせる事が好きならやっぱりハンドルの動きで思ったように曲がってタイヤは滑らずに綺麗に曲がれると気持ちいい。思い通りにエンジンが回転して速度計の針が思った通りに進んでいくのは楽しいものですね』
『特にランエボや同じような4WD……四輪駆動の車はそのスタビリティ、安定性の良さが売りなのよ。そう言うところも含めてランエボはいい車で、自分で弄ればプロには負けるけれど、それでも自分好みに調整する事も出来るしね』
そこまで言ってヘラは少し微笑んで見せる。
「な、なるほど……」
などと言葉にはしているが、菖蒲は全く理解していない。
顔を見れば頭にクエスチョンマークが大量に浮いてそうな表情をしている。
■ラヴィニア > ぱち、ぱち、と長いまつげを上下させた。
当然だが素人の感覚でいえば車は操作すれば操作した通りに走る。そう捉えるものだ。
いわんやエンジンの回転と言われても何のことだか全くわからない。
「自分で……というのは車の中をご自分で調整されるということですか?
プロというと、その、車のメーカー……の工場のような…………?」
■遠条寺菖蒲 > ラヴィニアの反応を見たヘラが
『あ、ごめんなさいね。少し熱が入っちゃって』
と手を頬に当てて少し照れて言う。
『余談だけれど、車のメーカーは安全性を捨てるような改造はしてくれないわ。そういう改造専門の自動車整備工場の会社がメーカーとは別にある訳なのよ。そういう所の人をプロのチューナーとか呼んだりするのよ』
と知らない人間にはどうでもいいし、自動車メーカーのメカニックだってちゃんとしたプロでそういうことも当然出来るが最高速度を出すための改造だとかそういうのはしてはくれないとヘラは付け足す。
「私には、ちょっと難しい話だったかなー……M菱って言ったら文房具しか知らないし……」
と困ったような笑みを浮かべて言う菖蒲である。
■ラヴィニア > ずっと冷静だった表情がヘラの表情に朱がさしたのを、目を細めて見た。
「いえ……興味深いお話でしたわ。
色々とあるものなのですねクルマというものも……
あら、文房具も作っている会社なのですか?」
別会社の関係がよくわからず、首を傾げた。
それにしても、と悪戯する子供のような、少し嬉しげな表情を作る。
「お姉さまも全然知らなかったことなのですね。ご一緒に聞かせていただけて面白かったですわ。
ドライブなども当然行かれる、ということなのですよね?」
走り、というものを相変わらず理解していないため、そういう言葉が出た。
■遠条寺菖蒲 > 「同じ――」
『親組織は同じですが、会社としては別物ですよ』
失礼ではあるが菖蒲の言葉を遮るようにしてヘラが返答した。
ちなみに菖蒲は「同じなんじゃないかな?」と言おうとしていただけなので解答ではない。
『菖蒲さんの知っている方は鉛筆だとか筆記具関係を主体に扱っている苗字だけ同じな親戚のようなものですね』
と笑顔で答える。
『そうね、今でもたまに“軽くドライブ”には行くけど、菖蒲さんを連れて行ったことないですね』
言われてみれば、と思うヘラだったが考えてみればこれまでずっとデスクワークで疲れたサラリーマンよろしくな状態で帰ってくることが多かった菖蒲を誘うというのも酷だと思っての事だった。
■ラヴィニア > 「軽くドライブ、ということなら……
よろしいのではないですか?ねえ、お姉さま?」
言葉の違いを理解しないまま。
全く迂闊にもそういった言葉が出てしまう。
横に座る菖蒲をじっと覗きこむ
「もうすぐ、夏期の休みでもありますし」
■遠条寺菖蒲 > 「ドライブ?」
なにそれ、美味しいの?と言葉には出してないがどういうことするのソレ。
って感じで首をかしげる菖蒲である。
『あー……菖蒲さん、ドライブは車で遠出したりして風景だとか楽しむものね』
ヘラが深くは何も言わずドライブについて補足する。
「そうだったんだ。
行くならなんか準備とかした方がいいのかな……?」
『うーん、快適な運転なら休日とかは避けたいんですが学生さん相手にそういう訳には行きませんからね』
そう言って少し悩んでみせるヘラ。
『まとまった暇な時間にでも』
車が係る話題だからか口は笑顔だが、眼は真面目だ。
■ラヴィニア > 真剣な瞳の理由がわからず、内心で首を傾げる。
実際にも軽く首を傾けながら
「レジャーでそういったことをする経験はわたくしもございませんが……
楽しそうだとは思いますわ。
試験期間も暫く前に終わっておりますしね。
今は海開きなどで賑やかですけれど……そちらや山などに走るものでしょうか?」
海や山に遊びに行くということもラヴィニアにはこれまで経験がない。
だからか、遠回しに誘うような形になる。
■遠条寺菖蒲 > 「自然を見ながらっていうのもいいですよね」
と菖蒲も後押しするカタチになる。
『それじゃあ、日を改めて海辺から山までのドライブとかしましょうか』
そうヘラが乗り気になる。
麦茶を飲み干して。
『流石に今日これからはなんですからね』と付け足した。
■ラヴィニア > 「ええ、ぜひ」
両手を胸の前であわせ、ぱっと顔を輝かせる。
が、すぐに少し顔を伏せ、やや上目遣いにヘラを見た。
「あら……なんだか申し訳ありません。初対面で強引な話になってしまいまして」
■遠条寺菖蒲 > 『いえいえ、私こそちょっと好きな分野で一人熱くなってしまいましたから』
暗にお互い様ということでと微笑む。
それから席を立ち、ラヴィニアを見る。
『そろそろご飯の用意をしますが、ラヴィニアさん時間とお腹の状態が大丈夫なら食べていかないかしら?』
と問いかける。
■ラヴィニア > ヘラの微笑に微笑を返そうとして、続けられた言葉に目をぱち、ぱち、と開いた。
「ええと、よろしいのでしょうか?
もちろんぜひご一緒させて頂きたく存じますが……あ、連絡の方は入れますので」
言って菖蒲の方も伺う。
「よそのお宅でお食事、というのも、本当に初めての経験ですが……」
そこまでは予測していなかったから、やや慌てたように口元に手をあてた。
■遠条寺菖蒲 > 『ああ、ただそんなに期待はしないでくださいね。普通の家庭料理しか作れませんから』
と苦笑してヘラはキッチンへと足を向ける。
「大丈夫だよ。食べられないモノを出したりなんてしてこないから」
と冗談交じり菖蒲がラヴィニアに言う。食事と聞いてからか手にヘアゴムを持って首元で軽く髪の毛をまとめだす。
「ヘラさんの料理はお店の凄く美味しいって言う感じじゃないけど、それとは違った美味しさっていう感じでね―――」
その後、出てきた料理は一般的なご飯という感じのものだった。
魚の煮付けにに味噌汁に白米、サラダと煮た南瓜などの前菜などもある家庭的なものであった。
ご案内:「学園地区・高級マンション遠条寺さん宅」から遠条寺菖蒲さんが去りました。
ご案内:「学園地区・高級マンション遠条寺さん宅」からラヴィニアさんが去りました。