2015/08/14 のログ
ご案内:「常世学園没者墓苑」から久藤 嵯督さんが去りました。
ご案内:「秘密の墓」に久藤 嵯督さんが現れました。
久藤 嵯督 > ―――モルモットとして使い潰されたモノは
誰にも記憶されず、誰にも理解されず、誰に影響を与えることも無く

蛆の如く湧いてきては、泡のように消え去っていく。

そんな刹那を目撃した人間がいた。
そんな刹那と共に在った人間がいた。

刹那の記録者が今、ここにいる。

久藤 嵯督 > 常世島に帰って来てこの施設の存在を知った時
久藤嵯督はこの山奥に、友人達との記録を置いた。

昔――に教えてもらった、針金細工。
体が弱かったそいつとは、研究区中央公園で出会った。
自分とは違うプロジェクトの実験台だったらしく、まともに遭えるのは一ヶ月に一度位。
その限られた時間の中で、共に在り続けた。

動物や虫、身近にあるちょっとしたモノ、更には人の顔なんかまで
沢山の作品を作った。

久藤 嵯督 > また、自分から何かを教える事もあった。
どちらかと言うと活動的だった自分は、特技と言えば紐に三つの球がついた『アストロヨーヨー』だけ。
運動の苦手な――にちょっとずつ教えていけば、結構早く飲み込んでくれたという記憶がある。
正直継太より上手かった記憶がある。

そいつは自分の知らない沢山の事を知っていた。
研究区の外での出来事。『常世島』の全体図。
しかしそいつは最後まで、自分の受けている実験についてだけは決して語る事がなかった。

辛い実験の日々であったが、こいつと継太とならやっていける。
そんな気さえしていた。

久藤 嵯督 > ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


             ―――ある朝、『――』は消えていた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

久藤 嵯督 >         『いなくなっていた』なんて生易しいものじゃない。

  名前がわからなくなった。
                        ドームの裏のラクガキが『――』が書いた分だけなくなっていた。

 『――』の造った針金細工がどこにも無かった。

            まるではじめから、そこにいなかったかのように。



               『――』とは、それっきりだ。

久藤 嵯督 > 確かそれからだったか。自分が研究区に対して攻撃意識を持つようになったのは。
仲間を集めて企てた叛乱はそして大失敗。
無形化させられた継太をこの手にかけた自分は、遺伝子を完成させることで研究のひとつを終わらせる。

進化の過程には淘汰されるモノが必ず存在し、自分はその”されるモノ”だった。

それが今や、最高傑作にして完成品だ。
これでもう、継太のような犠牲が出ることはない。





研究が終わる頃には、自分以外の誰も残っていなかった。

久藤 嵯督 > ここにはそんな、嘗て確かに存在していた友人達の墓を作ってある。
きっと誰の眼にも留まらないだろうが、その名前は、もっと別の形で刻み込むことにした。

   それは文字ではなくて

        もっと立体的な、そう


               『――』の名前で


                    俺は友の名を語る。

久藤 嵯督 > ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


      ―――空が黄昏に沈む頃には、そこには沢山の名前だけが立っていた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ご案内:「秘密の墓」から久藤 嵯督さんが去りました。
ご案内:「名も無き者の墓碑前」に園刃 華霧さんが現れました。
園刃 華霧 > 整備もされていない道の奥。
人知れず、ぽつり、と存在する銘も刻まれていない墓碑。
その前に彼女はいた。

「……っと。ま、そりゃ先客もいるわナ」

うらぶれた場所にあるというのに、そこだけが綺麗に掃除された墓碑を眺める。
まったく、お優しいことだ。
名も無きどこかの誰かの弔いに来た、おそらくは名も無きどこかの誰かの仕業なのだろう。

「掃除してもらえて、よかったナ。アタシにゃ、こんな丁寧な真似は出来ないしネ。」

彼女は名も知れぬ誰かを讃え……
そして雑に、乱暴に地面を探り
行儀悪く、墓碑の前にどっかりと座った。

園刃 華霧 > 「ァー……しかしまァ……慣れンねェ……
 墓参りったって、なにすりゃいいンだか。」

墓碑を前に座り込んでブツブツと文句を垂れる。
それでも彼女は此処に来ることを習慣にしている。
ソレが一つのケジメだと思っているから。

「漫画だと……なーンだっけ、好きな酒、とかぶっかけたりするンだよナー。
 つっても、一人分の墓でもないし……どーしたモンかネ。」

ふむ、とひとりごちる。

園刃 華霧 > 「ま、いっカ。こういうノは、気持ち気持ち……ってネ。」

しばらく考え込んでいたが、思考を放棄する。
真面目に物を考えることは好きではない。
いや……したくない、のだろう。

「よォ、おまえラ……ソッチの世界はどーヨ。
 クソみたいな世界かイ? ソレとも……ちっとはマシかネ。
 アタシは……」

はふ、と一息。

「……ま、ヨロシクやってるヨ。多分、ナ。
 しっかしネー。追われる側から、追う側になってモ……
 生きてる世界が変わってモ……結局、過去ってのハ色々ついてまわンのナ。
 そーゆー意味じゃ、面倒な縁がナイそっちのほーが気楽なのかもネー」

はっはっはっはっ、と笑う。

園刃 華霧 > 「ま、どっちもどっちって結論でいいカ。
 おまえラみたいにゴミのよーに死ぬカ、ゴミのヨーに殺されるカ。
 五十歩百歩かもナー。」

あっはっはっは、とまた笑う。
深く考えない。
難しく考えない。
楽しく生きていく。
ソレが自分の人生哲学だ。
あの時、そう決めたのだから。
すべてを失い、そして全く新しい物を手に入れたあの時に。

園刃 華霧 > 「ま。せーぜー、
 おまえラより長生きして、
 おまえラよりたっぷり楽しんで、
 面白羨ましい土産話を山ほど持ってってやるサ。」

けけけけけ、と笑う。
墓碑に向かって笑っている姿は多分冒涜的なのだろうけれど。
まあ、これが自分のスタイルだ。

「我らが古巣、落第街も最近なンだかまた色々活発になってるシ。
 その辺の話も山ほど話してやるサ。
 多分、今でも土産話は多いゾ。歯ぎしりして待ってナ。」

そう言ってから立ち上がる。
手には水入りのペットボトルがいつの間にか握られていた。

「そんじゃ、餞別……だっけ? お土産に、水でも持って行きナ。
 酒もジュースも微妙だったしネ。水ならいいだロ。
 あんマ好き嫌い言うなヨ?」

自分勝手な理屈を並べ立てて……ペットボトルの水を墓碑にかけた。

園刃 華霧 > 「そンじゃナ。
 またそのうち、気が向いたら来るヨ。
 花とか雅なモンは期待するナー?」

ひらひら、と墓碑に向かって手を振った。

「あン? 来るナ、とかいうなヨ?
 ま、本当に言ってたって聞こえンけどナ。
 死人の声を聞くよーナ能力は持ってないシ。」

けけ、と笑って墓碑の前を後にした。

ご案内:「名も無き者の墓碑前」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「委員会街ラウンジ」に黒神蓮さんが現れました。
黒神蓮 > (なんか宇宙の法則が乱れて衝突事故起きたけどそんなことはなかったぜ)

(待ち合わせ、なう)

「むう……」

(結構仕事を代わってくれる親切な人は現れませんでした、今でも募集してるよ、
奥の二人掛けの席に座り、目印のトロピカルゴールデンマンゴーパフェを頼む、
ぐてんとテーブルにだらしなく突っ伏しながら、現状を考える)

(先日の件からして、どうやら情報を横取りしようとしている奴がいるらしい、
そんなことを考える奴は職務妨害の罪で眉間をぶち抜きたいところだ、
それはともかく、その「誘拐事件の情報」とやらは危ない橋を渡ってまで横取りするほど価値がある、のか)

(とか色々考えてたらパフェが運ばれてきた、ビックサイズで美味しそうだ、
情報提供者とやらは食のセンスがありそうとか考えながら、制服のポケットを確認、
胸ポケットには万年筆に偽装したボイスレコーダー、小さなメモ帳が入っている)

ご案内:「委員会街ラウンジ」にアルスマグナさんが現れました。
アルスマグナ > 「お、美味しそうなパフェじゃん。いいなー一口頂戴よ。黒神センセ」

奥の席の後ろ、観葉植物で区切られた場所からひょっこり顔をのぞかせて声をかける。
片手にオカルト雑誌、夏用のシャツにスラックスと学内では普通の格好。
にこにこと笑いながらパフェを眺める。

黒神蓮 > (偽装万年筆には異能・魔術の解析をある程度封じる術式が組まれているらしい、
自身の「匠の目」のような強力かつ特殊な解析能力は封じられないが、そんじょそこらの解析は効果が無いとかナントカ、
正直研究区の発明にそんなに興味は無い)

(パフェに手を付けようとする自身の食欲と必死で格闘していたところで、後ろから掛けられた声に振り向く)

「……なんですかアルスマグナ先生、今仕事中なんですけど」

(食べたかったら自分で頼んでください、とか言いながらジト目で睨む)

アルスマグナ > 「へぇお仕事中?風紀のなんか?誰かと待ち合わせ?」

ジト目にもものともせず、よいしょっと観葉植物の区切りをひらりと乗り越える。
つかつかと黒神の前の席に来ると椅子を引いて座った。

黒神蓮 > 「待ち合わせ中……なんか風紀委員とサシで話したいことがあるとかで、
おかげで真夏に暑苦しい制服着ないといけないんですよ」

(めんどくさそうな口調とは裏腹に、風紀の赤い制服はキッチリと閉めるとこ閉めて着こなしている、
まあ暑さに対しては高い耐性を持っているし、実際そこまで暑さは感じない、
これぐらい鍛冶場に比べたら大したことはない)

(席に座るアルスマグナを横目に見ながら、冷静に思考する、
アルスマグナという男はうるさいが知的で判断力もある男だ、
「待ち合わせ?」と聞いておきながら無関係なのに席に座る男ではない、
ということは情報提供者とやらはアルスマグナか?)

「んで、待ち合わせ中なんで”関係者じゃないなら”あっちいってくれます?」

(スプーンをくるくると回しながら、軽くカマをかける)

アルスマグナ > 「おやおやそれはご苦労様なこった。でもまぁ似合っているよその制服。」

机にひじを突いてにやにやと黒神の姿を眺めた。
風紀の制服、風紀の腕章。暑苦しそうにしていながら汗一つかいていない。

うむ、と一つうなずくと能天気な調子で語りかける。

「関係者……。なんだい何か危ない事でもしているの?
 おじさんはね、トロピカルゴールデンマンゴーパフェを頼んでこの席に座った風紀委員とおしゃべりする用事があるんだよ。

 念のために聞くけど、君、本当に黒神だよな?
 教職員証か風紀の証明書、見せてくれる?」

疑って悪いけどね、と一つウィンクしながら右手を差し出した。

黒神蓮 > 「……そう」

(待ち合わせの相手はアルスマグナで合っていたようだ、
確認を求められれば教員証と風紀の証明書を取り出す、どちらも簡単に偽装できないシロモノだ、
教員証と風紀の証明書をテーブルに並べ、アルスマグナの目を射抜くように見つめる)

「これ以外に本人確認したいのならご自由にどうぞ、情報提供者さん」

(そういって胸ポケットからメモ帳を取り出す最中、偽装万年筆のスイッチを入れる、
ついでに異界からボールペンを取り出しておく)

アルスマグナ > 取り出された証明書を二つとも手にとってじっくりと値踏みする。
指の先で端をなぞり、裏表の記載事項を確認。
まぁ自分には偽造されていてもそれを瞬時に判断する異能や魔術などありはしないのだが。
一通り調べて満足すると、ありがとうと黒神へふたつとも返す。

「悪いね、この間風紀委員に偽装した子が居てさ。なんかにゃんにゃんやたら言う女の子。
 結構俺でも頑張って電子偽装してメール出したのにどっからか情報漏れてるんだぜ?
 もうちょっと電子専門のセキュリティを高めておいたほうが良くない?風紀委員さん。

 ま、それは置いといて情報提供だったよな。
 あのメール出したのは俺で間違いないけど、今回は交渉しにきたってのもある。
 こっちが出す情報と引き換えにそっちの持っている情報もちょっと教えて欲しいんだよ。
 俺が持っている手札は『白い仮面の男』にまつわる話。
 そっちでも何か心当たりはない?」

見つめてきた視線にひるむ事もなくあくまでいつもどおりの笑みを浮かべて返す。
あ、これ誰にも聞かれてないよね?などと今更の心配をしながら。