2015/10/07 のログ
五代 基一郎 > 教会の内部は華美さのない世界と言えばいいのか。
絨毯が敷かれているわけでも宗教美術的作品であるステンドグラスが備えられているわけでもなく
ただ質素な、しかし清潔さを保たれている場所だった。
こまめに手入れがされている場所だった。
現すならば清貧という言葉が妥当といえる。

神父「お待ちしておりました。あちらへ」

ここに訪れたのは礼拝や罪の告白をしに来たわけではない。
通されるように神父へ促され、その先。応接のための広間……何もない場所
机と椅子が並べられまだ役割を求められない静かな暖炉がある広間へ足を運んでいく。

神父はというと、他の者達と共に戸締りをしては消えて行った。
今ここが人の入らざる隔別された世界となることを示すように。

五代 基一郎 > 教会の中に足音だけが響く。
風の音も聞こえず。埃の舞うこともなく擦り切れた革靴が静かに近く音を慣らすように消えて

そして、そこへ至れば
徐々に虚無が実体を持ち現れるかのように姿を現す……

ブロンドの髪、蒼い瞳。この時代の服装に身を包み、赤いケープを纏う青年。
”オリジナルセブン”ミハエル・オブ・ザ・”サンデイ”

■ミハエル>「”遅かったな。”時間は貴重だということを忘れてはいけない。」

「無駄に費やしていたわけじゃない。”荷物(パッケージ)”の受け取りに遠出していたのが予想外に伸びただけさ。」

実際ヨーロッパ方面から日本国内に海上をとなればこちらがとなった。
その荷物もまた、この今から語る……聞く主題に対するものなのではあるが。
無論受け取る前に聞くこともできたが、物自体早急に手にしたかったことが大きい。
それだけで選択肢は広がる。最も荷物を使う事態というのは、望むべきものではない。

五代 基一郎 > 最先端の科学技術を嗜むものか見聞きしたものであれば
それは光学技術の粋を集めた環境迷彩を用いているのであると思うだろう。
事実最初に遭遇したときはそれを疑ったが、そうではない。

実体無き物が実体を得たように見せ姿を現す術としか言いようがなかったのを今でも覚えているし
今でもそう感じている。なぜならばそれが全てであるし、それ以上でもそれ以下でもない。


■ミハエル>「”彼ら”の手はもう十分にここでは広がっている。そして闇の中で蠢いているのは確かな事実だ。」

かつて東欧にあった旧ソヴィエト領。冷戦崩壊と共に独立国家共同体に入ったある国家。
その後の異世界の門が開く動乱と、その後の紛争により消えた土地。
そこに根付いた異邦人達の国家と呼べる、呼ぶ他ない共同体。

「屍者の帝国……」

核たる彼らには共同体として世界に向けられた名前はなく。
各国の諜報機関やその伝聞でのみ伝えられた名前。
死者蘇生、死者を動かす……死んだはずの人間を活用する者達をそう呼んでいる。

■ミハエル>「最も実働的な”力”を担っているのは共にある……共生している民間軍事会社”PMC”だがそちらは君の方がより実態として詳しいだろう。関与している諜報機関に縁があったからな君は。」

五代 基一郎 > 「今も、ということはまだ解明はされていないか。」

■ミハエル>「さてどうだろうな。それは我々でも答えようがない主題だ。」

異世界との門が開く前からある問題があった。
それはいずれ来る近未来か、はたまた遠い未来に直面する問題であり
いつかは解き明かされるものであると、解き明かすものだと信じていた者も多かったに違いない。

だが異世界との門が開き、一部から当時の世界よりも高い技術が流入すれば
近未来への道は縮まっていく。混乱渦巻く世界。倫理という枷など求めるものではなく。

屍者の帝国もまた然り。
人は死んだら動かない。死んでしまえば、それまでである。
殺人が如何に忌むべき罪か。白露に伝えた果て無き道とはその実態である。
許すべきものがいない。喪失。取り返しのつかないことでもある。
だが彼の者達はそれを覆した。

この世界で芽生えさせた。苗木のように。
その独自性は先の問題を解明するためか、人の介入を拒んだ。
近い技術は今も世界に生まれているが、彼らは彼らの技術体系としてそれを持ちこみ確かなものとして
触れ得ざるおのとしてある。

だがそこでもそれは不可侵領域なのか、その問題がまだ解明されるべき問題ではないのかというように
未だにそれらは続けられている。

「”魂”の在り処、”異能”の在り処」

五代 基一郎 > 人間の体の多くは解明されてきた。医療技術の発達の伴って。
だが”魂”がどこにあるかは解明されていない。
あるのだから、あると言っても逆に言えば人間の体が解明されたとして
それを逆から再現した時に魂はどこにあるか、という問題がある。
もちろん、それは元々ないのだという主張もあるだろう。
そう呼ぶのがおかしいだけで、そもそもなくそう形を与えているだけだと。

だがそれと近い問題が湧きあがってくるとその疑問は否定される。
故に、屍者の帝国の者達も貪欲に力を入れているのだろうと思わせる。

”異能”はどこからくるのか。人のどこにあるのか。

人の体を捌いても、異能と呼ばれる特異な能力がどこから発生するのか。
どこを元に生まれるのかはわからなかったというのが医学的な見解だろうし
誰もが察せられるものだ。

異能者が自分の腹を捌いて、いや日常生活の中で”異能”がここからでる”異能袋”とかいう”器官”がある
等と感じている者などいようか。
そんなものはないが、だが実態として出現している。

あるのにない、それは魂もまた同じと捉えられ。
故に異能を探る者達は人目につかぬように支援を始め、またその存在を隠され許されてきた。

異能の管理と開発、研究はどこの国もどのような題目を唱えていようと
手にしたかった技術だ。

■ミハエル>「そして”異能”はどこから生まれたか。」

突如生まれた病原菌による感染症の世界流行”パンデミック”なのか。
その時に明かされた、開示されたかという技術による生物災害”バイオハザード”なのか。

それとも

「人間が元より持っていたものが目覚めたのか」

■ミハエル>「だとしたら持っていたもの、とはなんだろうか。神が人に与えたものであるというのか。
       それとも伝聞によるのものと人間は異なり、別の種族であったか、という論争もあるが」

「リリスの末裔、イザナミの使徒……」

我々の感知の外だが、とミハエルは置いた。
異能の起源説は今もはっきりしたものは存在しない。
その中でも本来人が備わっていたものではない、とするのが
かつてアダムの最初の妻であるリリスの末裔が混ざっているから、であったり
イザナミがイザナギを追う時に遣わせたものら主たるものに近いものの
何らかの理由で外され非ずの者となったものらの因子が混ざっているからというものだ。
そういった伝承は国を、時代を跨いでもなぜか共通したものが見られる。
世界が渾沌から生まれた、大地は神の亡骸より出来た……等。

それらしく言えば以前より開いていた異世界の門から流入した異邦人が混ざっていたから
ともあるが
実体は確かめようがない。我々はその時代に生きていないのだから。

五代 基一郎 > 実際の所、その問題については自分もわからなかった。
自分がそういった異なる力に目覚めたのは14歳の時であったし、何か外的要因があって目覚めたわけではない。
いきなり目覚め、いきなり巻き込まれた。
そうであるが故に、自然なものとして受け入れ異能とはまた
拡大的解釈だがその人が持つ”個性”だとしてきた。
この惑星、世界に住まう人に平等に与えられた可能性という種が目覚めただけだと。
事実この世界にいる人間であれば、己の血を以って癒すことも目覚めさせることも出来た。

■ミハエル>「だからと言って異世界のものに君の血を流すのはやめていただきたいな。
       それは特別なものだ。異世界のものが目覚める、という要素はないが
       君がそれを研究させることを拒んでいるのだから、未知の部分も多い。」

もちろん気軽に与えたわけではなく最後まで面倒を見る覚悟の上で流してはいるので
そこをどうこう言われいものではなかったが、軽率な部分はあったので黙る他ない。

「そうした研究を望み、またその研究を成果を求める者がいるのは知っている。どの世界にも、どこの国にもいる。」

かつて俺と戦ったタスクフォース101のように。
対異能力者のために集められた軍事目的遂行部隊。
それらは選りすぐりの異能者という被験者で構成された特殊部隊だった。
世界各国が求め集めた、といっても主導した国は一つなのだが。

■ミハエル>「彼らを直接支援する国という民間軍事会社、通して支援する国。」

民間軍事会社の需要は異世界の門が開いての混乱より前からあった。
だがその後、需要は急速に高まることになる。
常備軍の対応による疲弊、小規模国家の崩壊等もあったが
単純にその問題解決の要素の中に集団の組織された武力が求められた。

世界は渾沌としていたのだ。

そしてその中でも一つ際立って力を持つ民間軍事会社と、それを抱える国……いや一体となっている独立国家がある。

かつて。異邦人出現による災害と混乱が起きた。
その国は旧ロシア領、東欧であり中央アジアの国。
解決に通常兵力では太刀打ちできず、当時の最大威力の戦術核を用いた紛争。
核を使えるものとさせた紛争。そしてその後、死の大地を
異邦人の技術により蘇生させた土地。今も尚核武装を続け
世界に兵隊を派遣し続ける独立国家という民間軍事会社。

■ミハエル>「この島への潜入はウィルマースの手引きがあってこそのもの。
       君の役割はウィルマースの遺産の排除。改めていうまでもないがそれで”被験者”の流出は少なくなる。
       世界的に見ても微々ではあるが効果はある。」

”被験者”が何を指すかは言うまでもなく胃能力者。
それも目立つ形の誘拐ではない。落第街の住人の胃能力者。
公的に存在しないとされる者達がどうなろうと関知はしないものだ。
いないものがなくなろうと、まず理論的にどうすることはない。
外の世界よりも集まっている場所であり、法的に関与しないブラックサイトが存在する以上
ここは彼らにとってもよりよい市場であったし、であるから内側から招き入れる工作が求められたのだろう。


「そのための時間だったし、準備は出来ている。近いうちに踏み切るよ。」

■ミハエル>「がんばれ”正義の少年”私は見守っている」

五代 基一郎 > 少年という言葉は当てはまらないだろう、と返す前に消えていた。
また無に戻ったか、実体は消えて。
教会はまた人のいる場所……世界へと消える。

外の声も聞こえるように。
終わったことを告げるように神父が出て、また雑談しながらも
書類をいくつか受け取り。

そうしてまた軽い挨拶の後に教会を後にした。

雑踏と、猥雑な声の混じる落第街の中へ……

ご案内:「落第街 教会」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に四季 夢子さんが現れました。
ご案内:「ロビー」に朝宮 小春さんが現れました。
四季 夢子 > 心地の良い秋はまるで早足の夏に引き摺られるよう。
気がつけば秋にしては随分と肌寒く感じる日も増えてしまって
うかうかしていられないなあと、省察とてするのがこの私。

だからこうしてうかうかを解消するべく、授業が終わった放課後に
ロビーの一角で渋い顔して右へ左への思案投首とてしているの。

「う"ーん……」

卓上には芒に満月が描かれた、如何にも秋らしい便箋が置かれているわ。
だからまあ、御手紙の内容をどうしたものかなって悩んでいる形。

朝宮 小春 > 逃亡者。
そそくさそそくさ、と廊下を歩いて、きょろきょろと周囲を見回して更にそそくさ。
珍しく、上からカーディガンを羽織ってそれを両手でぎゅっと抑え。
あまり見たことのない、艶々とした黒のスカートを履く。

眼鏡姿の生物教師は、何かから身を隠すように廊下を歩いて………。


「あら……。」

ロビーにさしかかれば、そこにいるのはよく見知った生徒。
首をちょん、と傾げて………足早に通り過ぎるのも怪しいので、近くに寄って首を傾げる。

「お勉強……じゃないようね。 お手紙?」

四季 夢子 > 「先日は結構な物を頂いて……いやいやこれじゃあ堅苦しいし。でも余り砕けるのもちょっと……。」

初めて手紙を出す訳でも無いけれど、さりとて書き出しに悩まないのかというとそうでもなくて。
暑すぎる夏でも、寒すぎる冬でもない、心地よい秋風のような文面をどう作ればいいのかしらと渋い顔。
そんな私の横を放課後であるだけに、見知った人やら見知らない人やらが通り過ぎて行って
その内に誰かが近付いて来た所で顔が上げる。

「あら朝宮先生……ええ、お察しの通りの御手紙。うかうかしていると秋が終わってしまいそうだから
そうなる前に出して置かないと、と思って……先生の方はこれからお帰り……でもなさそうですけど、そんなに冷えます?」

そこには空調が程好く整ったロビー内において、まるで外に居るかのように上着を確と抑えた朝宮先生の姿。
私は問いに言葉を返して、続く言葉で問いを差し向け、手はそれに添うかのように椅子を示す。

朝宮 小春 > 「お手紙、ね。 メールではないってことは………島の外?」
もしも見られたくもない手紙であれば、部屋で作るだろう。
そこまでも気にしていないのだろうと想像しつつも、無難に問いかけをしながら、そっと座って。

「そうね、秋はなったと思ったらすぐに走って行ってしまうものね。
気温も大きく変わるから、体調も崩しがちよね。」
相手の言葉を受けて、小さくうなずき………後半の言葉に、少し視線を逸らす。

「え、ええと、そうね、ちょっと寒いかも……?」
ぎこちなく言葉を濁しながら、椅子に座っても上着は脱がない。頑なに脱がないままぎゅっと手で抑える。

四季 夢子 > 「島の外……うん、そうね。島の外……と、言ってもそんな大それたものじゃなくって親宛なんだけどね。恋人とかだと思いました?」

なぁんて、と口端を意地の悪い猫みたいに歪ませても、目線は流れる雲のように少し、泳ぐ。

「時期的に師走も近いものだから尚更って感じで、色々気をつけないといけない時期でもあるものねー
それだけに昔から"色々の秋"なんて標語めいたのがあって、各々色々を楽しんでいるのかもしれないけど……」

それを誤魔化すように、視線が泳ぐままに立ち上がって自動販売機の前に行き
そそくさと二人分の暖かいミルクティーを買ってまた戻り、先生どうぞって差し出しておくわ。

「はいどうぞ。本当は秋だけに焚火にでもあたって薩摩芋でも焼けば暖まりそうなものなんだけど
流石に急には無理だから御茶で濁してみたりしました。」

そうして不躾に先生の顔色をじろじろと視る訳なんだけれど、とりあえず風邪とかじゃあなさそうだったから
一先ずは安心、かな?

ご案内:「ロビー」に蒼穹さんが現れました。
朝宮 小春 > 「ふふふ、そうだとしてもあんまりすぐに突っ込んで言えないでしょう?
……でも、こういうのって緊張してしまうわよね。
知っている人に書くのは、特に。」
相手の言葉を聞きながら、それでも、相手の目線を見逃すこともない。

「あら………、ありがとう?
ふふふ、食欲の秋? そうねえ、焼き芋なんて素敵かも。
今度買って帰ろうかしら。 さすがに自分で焼くのは最近は難しいわね。」
ミルクティーを受け取りながら、それを片手で受け取って。
片手で受け取れば、そのカーディガンの隙間から………何故かエプロンが覗くわけで。

蒼穹 > (学校に出てきたは良いけれど、特に何もする気が起きないで帰ると言う事は、よくある話ではなかろうか。
…否、普通はないか。寒々とした朝っぱらから学校に出てきてぶらぶらと無駄に大きな教室棟の一つをぐるんぐるんと回ってみたけれど、収穫はなし。
そういえばあの元保険医、サボリ仲間の先生は元気しているだろうかと探して回ったけれど、やっぱり居なかった。

外はもう薄ら暗さを含んだ夕色か。
これが徐々に暗くなると益々冷え冷えしてくるのだろう。

気分を休めようと如何にも安らぎの場に相応しい説明文がパンフレットに書かれていたロビーで休憩しようと足を運ぶ。
取り敢えず隅っこ、最寄りにある自販機へ一足遅れで赴く。
ロビーを往来する生徒や教師も、何だか冬っぽい格好がちらほらと見受けられる。
自販機も最近は「あったか~い」の飲み物が人気らしくココアが売り切れている。
さて、代替品として暖かな缶に入ったコンポタを握り改めてロビーへと。

ついでに何か掲示物も見ておかなければならない。何でも学園祭の通知もちらほら出たりしているし、
自分みたいに程よく(※あくまで主観的に。)講義をサボる者は、授業連絡の告知なんかも見ておかないと単位を落としてしまうのだ。
…まあ、見ても結局落とすこともあるのだけれど。)

…う、ん?

(既視感のある癖っ気の真っ青な髪。もしやと思って寄ってみれば…)

あっれ、ユメコじゃん、あー、コハルちゃんも。
やっほー。

(お取り込み中の様だけれど、お知り合いへのご挨拶と言うか、ソソクサ見えぬふりをして通るという選択肢はなかった。
いつも通り、何だか馴れ馴れしさを感じさせる挨拶。少なくとも他の生徒の前では先生をつけるべきとか言われそう。
というか、学校内なら先生と呼べと言われていたような…まぁいいか。言っちゃったし仕方ない。)

四季 夢子 > 「……緊張、かあ……。そうかも……えっと、朝宮先生も――」

私はこの島に来てから毎月必ず手紙を出している。
向こうから来る事はないけれど、私が出せば返事は帰ってくるから。
そんな些細で些少な繋がりを維持していたくて――手紙を出している。

朝宮先生が意識外の直感のようなもので、それを緊張と称したのかは
生憎と私には判らないし、解らないこと。だから、ええ、だから貴方もそうなのか?
なぁんて、訊ねてしまいかけて――

カーディガンの隙間から望むエプロンに、言葉が止まって思考も止まる。
だっていやにガーリーというか、エプロンはエプロンだけど……。

「――えっと、朝宮先生……そのエプロンは……。」

そのエプロン、と言いかけてまたもや言葉が遮られてしまうのは
後ろから跳ね飛ぶように洒脱する声が訪うから。
振り向けば澄み切った秋空のような髪を持つメル友の姿があって

「あら蒼穹さん……って、貴方凄い呼び方するわね……幾ら年上といってもさ。」

思わず苦笑で迎えてしまう。蒼穹さんが異世界の神様だとかで
私より遥かに年上だとしても、見た目は普通の人間なんだもの。
これでもし腕が8本で目が4つで口から炎でも吐こうってのなら、話はまたちょっと違う筈。

朝宮 小春 > 「…? 私はしないわよ。出す相手もいないもの。
ただ、緊張はしたのよー? 私の母親、娘からの手紙をポイ捨てするんだもの。
上手く渡してくれるようにお願いしつつ、中を見たくなるように工夫して……
忙しくない時期を見計らって出す………とか、無理だもの。」

ころころと笑いながら言葉を返す。
頭のネジが何本か融解してる母親を持つと大変だ。

でも、………エプロンに言葉が届けば、ぴしりと固まって。
文化祭の衣装合わせにつき合って下さいという甘い言葉に乗ったせいで、給仕の衣装をていねいに採寸され、自分用の物をまんまと作られ、写真を取ろうとする生徒から逃げ出したなんて言えるはずもない。

言えるはずもない。


「あら、………蒼穹さん、学校の中では先生をつけないとダメだと言ったでしょう?」
ものすごく予想通りの言葉がかえってくる。
これ幸いとばかりにカーディガンをはおり直して、ぎゅ、っと手で握りしめ。
その上で指を一本立てて、思い切りお説教を垂れてやるとしよう。

蒼穹 > んー、どうもどうも。もしかしてお取り込み中だったかな?

(さてはて、声を返してくれた彼女、ユメコは何かしていたような気がする。
何をしているかは分からないけれど、何か書こうとして居たような。
…組み合わせ的には先生を捕まえて質問していたって所だろうか。取り敢えず一応の確認。)

あっはは、大体みんなこんな感じだよ。
ま、女の先生は大体甘いからね。厳しそうな先生ならさん付けくらいするんだけどさー。

(因みに悪びれる様子はやっぱりない。のだが―――。)

ああ、はいはい、わっかりましたー。あさみやせんせー。

(御本人がここぞとばかりに己の脳内で再生した朝宮先生のセリフを悉く反芻するものだから、
少々気怠そうに、何か不良少女といって間違いない適当な目付きと抑揚加減で返した。
…それにしても、何だかノーマルな人間界の複雑な家庭環境という物を今さっき小耳にはさんでしまった気がする。が、気にしないでおこう。)

…っていうか知り合いなの?
ああ、ええと。ユメコ、生物取ってたっけ。

(サボりまくってるので、誰がどの授業に出ているかとかは正直把握していない。
が、知らない仲じゃなさそうというより、仲睦まじいと言うべき雰囲気で話していた気がして。)

四季 夢子 > 不味い話題だと察した。
私にとっても、朝宮先生にとっても。

「あはは、それは本当、無理そうねー。」

緊張の理由を話してくれるのに、今は違くて出す相手も居ないなんて言う事は……つまりはそういう事。
そうなれば後は流すように笑顔の一つも務めに努めて話題を切り替えようと言うもの。

だから朝宮先生のエプロンはちょっと気になるけれど、それは一先ずとして蒼穹さんには感謝しておかないと。

「ううん、取り込み中なんかじゃあないわ?御手紙の話と、時節の話って奴。機会があれば公園で焚火でもして
焼き芋とかしてみたいなーって。」

厳しそうな先生にならちゃんとする。とゆー一点では私と蒼穹さんは同志とも言えるから
態度の行方は想像の焚火にくべ、焚書するかのように消してしまうのでした。
ただ、その傍から蒼穹さんが芝居がかった風にいい加減な様相を呈しているから台無しなのだけど
それならそれで鎮火するかのように水に流れてしまうのかなって、朝宮先生を一瞥とてしちゃう。

「知り合いと言うか……んーと、生物、一応取ってたけど別の先生なのよね。
なんだか縁があってこうして良く御話をするというかー……一緒にお風呂に入ったりもしたっけ。」

その間隙に入り込むような蒼穹さんの質問に、もう一度朝宮先生の顔を見て、
顎先に指を添えた解り易い思案の図を示しながらの御開陳。
朝宮先生が忘れているようなら、ほら銭湯でーなんて注釈もつけてしまおうかな。

朝宮 小春 > 「ふふ、秋なのだから体調崩してないですか、みたいなことを書いてあげると良いかもね?」

こちらは、何にも気にしている様子は見せない。
むしろ、ちょっと話を引っ張りかける姿勢すら見せてきて。………すぐに他の話題が覆いかぶさってしまったけれど。

なぜなら、目の前で厳しくない判定をされてしまったから。
ここは一つ、びしっと叱らねばなるまい。

「………ダメよ? 厳しいだとか厳しくないで態度を変えたりしたら。」

こらっ、と小さく指で蒼穹の額を突っついておくことにした。
お叱りである。
夢子が振り向けば、精一杯先生の顔をしている彼女が目に入るだろう。

「……ええ、そうね? 秋になってきたから、そういうのもいいかなって話題。
かといって、落ち葉を集めて……っていうのがなかなかそういう時間を作らないとできないのだけれどね。まだ落ち葉が沢山というわけでもないし。

………ええ、縁がいろいろとあってね。
むしろ、蒼穹さんと夢子さんもお友達だったのね?」

首を少し傾げて、相手に言葉を返す。

蒼穹 > …ああ、そういう。時節ってあれでしょ、最近はお日柄もよくー、的な、ね。
ま、御邪魔してない様ならそれでなによりさ。
あー…成程、落ち葉拾って焼き芋。秋だねー、最近は。
季節感ってのは地球じゃ珍しいものなんだってね。紅葉って植物の葉が染まるのも珍しいんだとかで。

(異邦人並みの季節感。ただし、何というか、ルーツ的に感覚は日本人的なのだ。
見た目も髪と目さえ考慮しなければ概ね日本人的な容貌でもある。

それはさておき、そういう事をしているから、朝宮先生に額をつつかれた。
しかして、これが正直大して痛くないのである。本人も憎しみを込めたわけではないのだから当然だろうけれど。
そして、頑張って厳しいフリをしているが…。)

あはは、やっぱりお説教は似合わない気がするなぁ。
はいはい、分かってまーす、せーんせ。

(分かっていない。否、分かった上でこんな態度なのかもしれないが。
やっぱり、優し気で甘々な雰囲気を纏っているので似合わない気がする。厳しくない判定は覆らない。)

さて、緑が赤と黄に染まるのはいつになるかなぁ…。
ああ、うん。何だっけ。歓楽街でちょっと買い物した仲だよ。メル友?

(夢子との仲について聞かれれば、何と答えたものかとチラリと二人のリアクションを伺いつつ、
これで良かったのかなと言いたげにアイコンタクト。)

ふーん。…そう。じゃあまぁ二人も知り合いで良く知ってる仲ではあるんだね。
…まあ、残念な事にユメコにコハルちゃんの生物の授業のノートと課題を頼るわけにはいかないと言う事が今ここで発覚したんだけども。
へー、御風呂。そりゃまぁ仲が良い事で。

(どれくらい仲が良いのかは知らないけれど、確か二人とも地球産まれの地球人で、
透明になれる事を差し引けば二人とも普通の人間だった筈。…通じ合う所があったのだろうか。
それとも、本土での知り合いだったのだろうか。)

四季 夢子 > 「ま、私の御手紙の事は一先ずとして……朝宮先生。それ怒ってる風にはあんまり見えないわよ……。」

蒼穹さんに真剣に叱っている朝宮先生に呟くように一言。
いえ、とても真剣なのは真剣なのだけど、対象年齢がちょっと……いえ、かなり低い感じがするのよね。
勿論無論で先生らしくない、なんて事は無いから呆れる事はないけど、ちょっと苦笑しちゃうのは已む無しとしたい。

「でもそっかあ~まだ落ち葉には早いか。何もない所から落ち葉を生み出す異能でもあれば何時でもやれるのにね。
オーブンとかでも作れるけど、季節の行事にはやっぱり風情が無いといけないわ。」

已む無しとせざるを得ない焼芋事情についてはつまらなさそうに頬を風船のように膨らませてしまうけれど
蒼穹さんが私との出会いについて話してしまうと、風船はぶしゅーと萎んで、ちょっと吃驚してお目目だって瞬いちゃう。

「ちょ、貴方……え、ええまあ夜の歓楽街でね?こう、お買物を一緒にね?あ、夜といっても別に危ない事はしてないから大丈夫よぉ大丈夫……
そ、そうそうその時にリップクリームを買ったりしたんだけど、それがバニラの香りで面白くって、ねえ?」

先生の前で歓楽街の話題。なんてのは少なくとも良い顔はされないに決まっているのに超然と言い放つんだもの。
手が届くなら肘うちの一つもくれてやったかもしれないけど、届かないからくれてはやらず、早口で言い繕って、同意を求めてウィンクをばちこんと決め…・・・

……あ、なんか凄い勘違いされてる気がする。

「……言っとくけど銭湯で遇ったのは偶然よ?あと、ノートは別に先生が違くても進行度は概ね似通うものじゃない?」

注釈を加え、話題を押し流すように私は鞄から生物の授業用のノートを取り出して蒼穹さんに差し出す。
開けばここ最近の授業内容が、自分で言うのもなんだけれど綺麗な字で記されているのがきっと判る筈。

ご案内:「ロビー」にアリスさんが現れました。
アリス > 「お・のーれー!まさか先生の身代わりにされかけるとはなんとゆーことでしょう!
かくなる上は何人か巻き込んで本のネタにせねばー!」

メイド服を着せられた少女一名。
これは、前におこんせんせーと朝宮せんせーにメイド喫茶を進めた罰でしょーか。
否、それなら先生が逃げおおせてるらしいのはきっとおかしい!
でも捕まえられるかと言うと微妙だし、何人か道連れでも構いやしない!
そしてその光景をネタに冬の祭典か学園祭に薄い本をっ!
そんな意気込みでててててっとメイド服を何着かバッグに入れて生け贄、もとい獲物、もとい餌食を探して廊下ダーッシュ!

ロビーなら餌食もいるかもしれないと飛び込んで、ぎぎぎ、と顔を先客の女性達にむけました。にたり。

朝宮 小春 > 「全く分かってない………。まあ、いいけどね。
なかなか、本気で怒るってのも難しいのよ?」

はあ、っとため息をつきながら、肩を落としつつカーディガンをぎゅっと握り締める。
蒼穹さんの態度は今に始まったことでもないから、仕方ない。
とはいえ、馬鹿にしている雰囲気も無いことが救いかもしれない。


「………
 夜の歓楽街に女の子二人で出向くとか、本当ならお説教なんだけれど。」

頭を抑えて、はぁぁ、っとため息が出る。
でも、自分よりも強い相手に、危ないから、という説教もなかなかに難しい。
禁止されているわけでもなし。

「ええ、偶然一緒になってね?
……ノートを借りるのはいいけど、ちゃんと覚えなきゃダメですからね。」

目の前で堂々とノートを出されて見せられると、それはそれで微妙な表情を浮かべる。
ただ、勉強なのだから文句こそ言わないけれども………

「……!!」

ぴしり、っと固まった。
メイド服の少女がぱたぱたと走ってくる姿を見て、カーディガンを握る手が強くなる。
この下はしっかりメイド服。 絶対に見せられない。

説教をしながら実はメイド服とか、どう考えてもお間抜けに過ぎる。

蒼穹 > …だよねー。

(本当に、もう。笑ってしまっては失礼だけれど、笑ってしまうくらいに甘い。
普通の16歳の女の子にあてるにしても、もっとキツイお仕置きだろう。
いわんや、自称16の年長な悪戯っ子、こと破壊神にはもっともっとである。
にやにやしながら無反省そうな笑みで夢子に同調。)

…んん。あー、そうだったね、うんうん。そうだそうだ。
いや、ええと、大丈夫だよ、うん。…ってか歓楽街くらい誰でも行くでしょ!
良いのよ。気にしなくても。私風紀委員だから!

(そういう問題じゃないと分からないらしい。そんな事もあったっけ、と、半ば憔悴気味な風を漂わせた夢子ウインクをしっかり受け止め小刻みに三度頷く。
ほどほどに話を合わせるが不自然極まりないので開き直ってみたら、
「あれ?何で問題なんだろう?」と思っちゃう。ぽむ、と己の胸に片掌を宛がって風紀委員アピール。但し説得力もない。
…バニラの香りのリップクリームって、面白い?)

ん?あ、ああ!そっかそっか。
なんだてっきり一緒に行ったのかと思ったよ。あ、そう?じゃあほどほどにテストとかの範囲とか知りたいかも!

(食い付いた。今度は片手で握りこぶしめいたものを作りながら期待の眼差しを夢子に宛がおう。
鞄から取り出されるノート。空いた片手で受け取る。
多分彼女の事だから表紙も背表紙も綺麗に保たれているのだろう。
パラパラ、と紙面に視線を見てみるけれど、成程綺麗に書かれている。
授業事にもまとめられているだろうし、参考になるのだろう。…さて、最近の授業では何をやったか。
それすらわからないので、ふんふんとゆっくり頷きながら分かっているのか分かっていないのか曖昧な風を見せた後、
「ありがと、また見せて」と後付してノートをぱたん。それから返すだろう。)

…はい?

(謎の金髪少女現る。何かあっちの生物教師に負けない良い体している。…コスプレイヤー?
何やら企みやあくどい計画めいた陰謀が渦巻いている様な、気がする。
廊下のスプリントダッシュから豪快なるロビーへの飛び込み。子供は元気が良い。
にったりとした謎の笑みをちらり。何か用がありそうだが私は知らない。知らないのだ。
先客二人にチラチラと視線を―――)

ああ、そういう。

(何か明らかに先生の反応が変わったので多分そういうことだろう。
深くは知らないが、悪意とかそういうのには敏感だ。…悪意とは違うのかもしれないけれど、
取り敢えず、何が起こるか知らないけれど硬直した先生の次の発言、及び行動に期待の目。)

分かっちゃダメな事だってあるのさ。大人になっちゃダメだーッ!てね。そういう事。
本気で怒るー、なんてのは体力と気力の無駄遣いだっての。
ああでも、コハルちゃんはため込みそうなタイプだしー。
なんだろうね。私思うんだけどキミは怒ったら棒振り回して暴れてそうだよ。

(事実無根の根も葉もない勝手な想像で物を言っている。
分かったような口を叩くがあんまり分かっていない。こと、本気とかそういう物には疎いのである。)

だーかーら。ただの買い物だっての。
疚しい事も何もしてないし、してたとしても自己責任でしょ?
それに危ない所にはいってないから、だいじょーぶ。

(無駄に元気なピースサインを溜息を吐く先生に見せた。)

覚えてる覚えてる。
記憶とかそういう分野は得意なのよ。ただまぁ、忘れっぽいけど。
テストを乗り切るくらいラクラクだよ。

(ピッ、と手を上下。実に、余裕綽々と言いたげな笑みと仕草。)

四季 夢子 > 「あははは……そ、そうね。二人でなんて危ないものねぇ……」

最初は一人でした。なんて言えない。如何に気安かろうと相手は先生であるのだから
ばれたら少なからず私の内申に悪影響が出ることは必定と言えて
それだけに何時も以上に取り繕うような笑顔を作って蒼穹さんにも目配せを忘れない。
思惑が伝わったのか蒼穹さんは話をきっちり合わせてくれた事に言外の感謝。
私達は解り合えたわ……!棒で殴る云々は、今は忘れてあげておく。今は。

「……ん?」

相互理解を経たものだから、また今度と言われるノートの行方も明るいもので
勿論いいわ、と笑みの一つも添えた時の事。

遠くより響く跳ね回るような声。
先程の蒼穹さんと違うのは、彼女の方は鞠がてんてんと跳ねるようなものであったのに
今度のは狭い廊下にスーパーボールを投げ放ったかのような、何処か豪放磊落な感じ。
余り秋には似つかわしくなくて、どちらかと云えば夏っぽい感じね。なんて埒外な思考を一つ。

「……はい?」

ただ、その……声の主が妙に自信に満ちて、稚気にも満ちて、居丈高な事十全で
序に衣服に不自然なくらいに満ちた肢体を持ったというか、盛った子供な事に
蒼穹さんと多分同じタイミングで不可思議な声が出てしまう。
……不思議な声の後に、自分の胸を見て少し、遠い目。

「えっと……先生に用事?」

その後は蒼穹さんを見ると同じように不可思議な様子で
先生を見るとまるで彫像のように固まっていたから
多分後者だろうと察して言葉をかけてみたり。

アリス > いかん、思わずにやけてしまった。
自分のほっぺ両手でぺちぺち。

まずは挨拶です。屈託のない笑顔っぽい表情を浮かべて。

「あ、見つけましたっ!朝宮せんせー!
それとお二人は初めましてっ!」

ぺこっと深くお辞儀、子供用メイド服を押し上げている物体が揺れた。
頭を上げて胸を張って。

「はいっ!朝宮せんせーが衣装合わせから逃げたらしく、身代わりにされそうになったので道連れを探しにもとい連れ戻しにきました!」

失言しちゃったけど勢いで流そうとドヤ顔して。

「あ、事故紹介遅れましたっ、一年のアリスって言います!」

尚、誤字ではない。
そして先客二人の顔と、ちょっと下に視線を向けて、ミニスカメイド服着せたらどんな感じかな、とちょっと妄想開始。

朝宮 小春 > 「風紀委員だからって、安全かどうかはともかく、真似をする人が出てくるでしょう?
夜の歓楽街は今回は安全だったかもしれないけれど、本当に気をつけないとダメよ?

それに、……怒るといってもそんなに溜め込んだりはしてないし、暴れたりしないわよ。」

逆に、大丈夫大丈夫、と声をあげれば、2倍くらいのお小言が帰ってくる。
怖くは無いが、ちょっとしつこいくらい。そういう言い方は彼女の特徴。

本気で怒ったら、といわれれば、確かに少し困った表情を浮かべる。
思い当たる節がある、のではなく、本気で怒ったことがさほど無いのが原因だ。


まあ………ノートを見て勉強する姿勢こそ悪いものではないけれど、これ、絶対「出るとこだけやろう」というタイプなんだろうなあ、と遠い目をしてしまう。


「……夢子さんも、気をつけないとダメよ?」

やっぱりこっちにも降りかかってきたお小言。
こういうところでは見逃さないというか、必ず一言二言かけてくる。
それを「見てくれている」と取るか「うざったい」と取るかは人それぞれだろう。


「に、逃げてなんかいないわ?
ただ、写真は少しやめましょう?って提案をしたのに聞いてくれないから…!」

やってきた少女の言葉に、思わず反論をしてしまいつつ。
アリスさんの視線が二人に向いている間に、そぉぉ、っと立ち上がろうとする。

蒼穹 > 私にかかれば、危ないもんなんて何もないんだけどなぁ…?

(寧ろお前が危ないというツッコミが入りそうだ。しかも本人も心の底からそう思っているのだから困ったもの。
慢心はより多くの慢心を生む。よって歓楽街をうろついて何が悪い!女の子二人でうろついて何が悪い!という暴論を繰り出すのである。
そもそも己は警邏帰りだったし、もっと奥の危ない所に悠々と足を踏み入れてお散歩していたのだ、
歓楽街など可愛いというかアリンコの爪垢にも満たない。…と、本人はそう認識しているのでこれもまた困りもの。
悪びれると言う事を知らないのか、先生を前にも全く反省していない様子が露呈している。

今後もノートを貸してくれると聞いたのでやったね、と小さく片手を握って、ぐっ。
これで今年の生物の単位は得たいものだ。)

いいえ。

(よく分からないが、流石常世学園である。成程何だか男の人が好きそうな見た目をコピーアンドペーストした様な外見だ。
取り敢えず反応に困ったのではいと対のいいえを並べた。
妖精とかそういう種族は美貌を持つと言うが、恐らくそれだろう。…妖怪とは全く思わないのである。
何だか凄く「よく分からない」と言った風をのっけた顔つきでちらりと同期に声を出した夢子を見遣る。
…まだ希望はあると思う。巨でも貧でもない並が一番だろう、うん。事あるごとに揺れたら人間生活では動きにくそうだし。)

始めましてー。アリス、ね。
この人に御用事?…道連れ?

(そこはかとなくこの幼女からアヤシイオーラが出ているので、一先ず名乗りは後回しにしておく。
道連れとか不穏な言葉が聞こえたけれど、きっと気のせいだ。多分。
悟られない程度に半歩引き下がりつつ、先生の背中に回ろう。)

あああああ、分かりました、分 か り ま し た ー !
はいはい、以後気を付けます。真似する人が出ないようにねー!!

(というわけで、彼女のしつこさというか、そういう性質を察したのだろう。
何度も何度も無反省で適当な言葉と言い訳をしていたけれど、ダメなものは駄目と言い続けるのだから、
遂にこの不良少女はむすっとした形相で、しかし折れる事になった。
言って聞かせるかのように一言一言はきはきと彼女の背後で返答する。)

四季 夢子 > 「気をつけないとこうして御話だって出来なくなっちゃうかもしれないんだもの。それは厭だから気をつけるね。」

猫を殺すような感情の赴くままにしていれば、きっといつかは猫に道連れにされてしまう。
判断の分水嶺を見誤っては立ち行かないのだから、朝宮先生の諌める言葉はきちんと聴いて
多分、きっと先々なにかで諌められるのかなって俯瞰した思考を見上げて、
アリスと名乗る女の子の言葉で引き摺り下ろされて彼女を視た。

「ええ初めまして……あら、貴方も一年なんだ?この学園ほんと生徒の数が多いなあ……
私も一年なのよ。一年の四季 夢子。宜しくね、アリスさん。」

鮮やかな金色の髪に私や蒼穹さんとは色相が異なる青い瞳。
整った様相は服装と相俟って、何処か西洋人形を想起させる。

……何処と無く、胡散臭いものを感じるのは気のせいだと思いたい。
道連れとか聴こえたけど、気のせい気のせい……気のせいよね?

確かめるように蒼穹さんを一瞥すると、丁度彼女は朝宮先生の後ろに回ってしまっていて
更に何やら朝宮先生ったら立ち上がろうとしてるものだから、私も立ち上がって先生の肩に手を置こう。

にがさん

「ね、朝宮先生。もしかしてさっき見えたエプロン……。」

くい、とカーディガンを軽く引っ張ってみようっと
軽くね。かるく。ふふふふ。

アリス > 朝宮先生曰く。
写真撮影が問題らしいです。
はて、どう言いくるめましょう。

この間僅か5秒。

「せんせー、衣装合わせに撮影は必要なのですよ?
肉眼で見た時と写真写りとは別の仕上がりになったりする事もあるんですから。
第一、祭の記念撮影だってあるんですから、撮影慣れも必要だと思うのです。」

大真面目っぽい表情で先生に言いくるめを仕掛けました。

「先生が恥ずかしがってるけれど、写真慣れ位しとかないと大変ですよー、と説得をしているのですよー。」
大中小の三人の中っぽい人にお返事を…あれ?こころなし先生の後ろに…。
あ、獲物っぽい。
「そちらもどうですか、普段と違う服を着てみるのも気分転換になると思いますですよー。」
そして、かーるくお誘いをかけて。

「ひとととせ…じゃなくて。ひとととせ…」
何故かリズム良く言いやすくてひとととせになっちゃった。
大中小の小の女の子に顔を向けて。
「よろしくね、夢子さんっ!
キャッチお願いしまーす!」

笑顔でサムズアップしてまずは朝宮せんせーににじり寄ってみよう。

朝宮 小春 > 「そういうこと。………素直に聞いておいた方がいいこともあるわよね。」
なんて、素直に聞き入れた夢子の頭を、ぽん、と優しく触れるように撫でて。

「よろしい。」
目の前の風紀委員が折れるまで粘った彼女は、満足気に頷くのだ。
実際に危なくないのかもしれないけれど、それで「ふうん、じゃあいいか」と流す教師と、流さない教師がいる。

大丈夫ならルールなんて気にしなくてもいいんだ……と僅かにでも思ってほしく無いという、彼女の志向に根ざした行動。
本来の考え方なのだから、ブレるはずもなかった。


「え、ええ、と………私に用事は無いんじゃないかしら。
ほら、文化祭の準備ではあるんだろうし。」

立ち上がろうとしたら、二人して後ろに回るのだもの。
嫌な予感がして、冷や汗が流れ落ちるのも已む無し。

「え、…あ、あれはね、気にしな………。
ちょ、っ……!?」

カーディガンを引っ張れば、しゅるりと黒いワンピースに白いエプロンの一部が見えて。
コルセットでお腹をきゅっと締め付けた、所謂コスプレ系メイド服。
お腹をきゅっと締めてしまっているから、胸が殊更強調されて、黒い服にみっしりとつめ込まれ。
慌てて、がば、っとそれを手で隠す。

ちょっと、ちょっと助けて、と後ろの二人に目線を送ってみよう。

「……そ、そうかもしれないけれど、せめて、ね?
私は実際は先生だから監督する立場だし、生徒同士で何とか運営するのが筋でしょうしね?
………その、正直に言うと恥ずかしいから………。」

大真面目な彼女相手に反論をしかけるも、最後はごにょごにょとなってしまって、押されている教師。

蒼穹 > ………。

(取り敢えず生贄と言うか、道連れを捧げればいいのだろうか。
よく分からないけれど、取り敢えず彼女は朝宮先生を求めているのだろう。
身代わりとか衣装合わせとかよく分からないけれど、何だろう、悪戯心が擽られる。
ただ、もう既に夢子が実行済みみたい。クイッ、と引っ張られたカーディガンの下には―――?!)

それはその…大変そうだね。
いや、その。何だろう。
普段と違う服っていうのは気になるけど。…どうなんだろうなぁ…?

(訝しがる視線を御誘いする金髪少女に向けつつ。
先生が恥ずかしがる服装って何なんだろうか。遠回し遠回しに聞いてみる。
どうにもこの、魔法の国から出てきた感じがぬぐえない不思議な子の真意が分からない。)

はいはい、分かってます、と。

(少なくとも、一般生徒の反面教師にならなければいいのだろう。
やれやれと不満そうに繰り返しておく。)

…ふむ、成程ね。
あっはは、似合ってるんじゃ、ないかな?知らないけど。

(取り敢えず外野から見守ろう。何というセンスだ。
メイドというか、…いやこれ確かにメイドだけど。着飾る事を重視しまくって、体の凹凸が。
成程確かにこれを写真にとられて大多数に晒されたら恥ずかしいかも。

可哀想にと目を伏せて黙祷しておく。或いは私じゃどうにもならんと放棄しているのか、
自分自身も内心ニヤニヤしながら見ているのか。)

四季 夢子 > 諸々を見聞きして察した所によると
朝宮先生は学園祭の催し物に巻き込まれるか何かしたって所で
大方断りきれずに云々で今此処に至るのかなと予想を抱く。

……それならそれで、私を気にかけずに逃げればよかったのに。朝宮先生って人が良いなあ。

関心しつつもカーディガンはするりと引っ張る二律背反。だってどんなもんか視てみたいって
私の中の猫ちゃんが殺されそうな声を出しているんだもの――

「ぅゎぁ……」

それは黒を基調にしたコルセットスカートの体を保ちながら、白いエプロンが強調された先生の身体を殊更に強調していて
暴悪的っていうか、私からすると本当に同じ人類なのかって思っちゃうような状態。
ある意味なんていうか"破壊神"である。思わず破壊神であるらしい蒼穹さんを見てしまった。別に他意はない。全く無い。

……差し詰め私は恒久平和を願う女神辺りになるのかしら。

「ぁ……ええと、"と"が多いってば。ヒトトセねヒトトセ。トは二つ。そうそう解り辛ければ夢子でいいわ。」

閑話休題。
思考の裡に篭った信仰心(?)を打ち捨てて、私は朝宮先生ににじりよるアリスさんに務めて御行儀良くご挨拶の続きをし
朝宮先生からちょっと離れて見守るの。

アリス > ふむ、ちらっと見えたエプロン姿は――
先生のボディラインを生かし、尚且つ浪漫を詰め込んだ……素晴らしい物でした。猫耳ヘッドセットをつけてもよし、普通のヘッドセットでもよし。
衣装係の方が良い仕事をしていました。
内心でそっと敬礼。
それと夢子さんには名前の呼び方も含めてピシッと手で敬礼。

「確かに生徒同士で運営する事は筋かもしれません。
ですが先生!教師として生徒と一緒にお祭りに参加する事は恥ずかしいのでしょうかっ!」
ずずい、と前のめりになって上目遣いで見上げて、せんせーに訴えかけてみます。

「そう、例えばこの場にいる他の方々も、きっとその衣装を着た先生と一緒にお祭りに参加したいと思っていると思います。」
そうですよね?と同意を求めて普段と違う服が気になると言った女子生徒の方にも、そして夢子さんにもじっと視線を向けてみましょう。

尚、女子生徒の方へのお誘いへの反応への返しも継いでいるので…道連れ狙いも同時に仕掛けた!

朝宮 小春 > 女子しかいないものだから安心して、何でもどうぞどうぞと着込んでいたら、いつの間にかこんな格好になっていた。
エプロンの紐とコルセットで殊更強調されて、とりあえずなんだろう、服を着ているのに恥ずかしいというとんでもない状況。

「……似合ってない…!!
似合っていたとしても嬉しくは無いから……っ!!」

蒼穹さんが明るく笑ってくると、それが更に恥ずかしさを増して。
慌ててぎゅ、っとカーディガンを上から羽織ろう。夢子さんも離れたし。
必死に隠してしまいながら、詰め寄るアリスさんに思わず仰け反る。
両手でぎゅっとカーディガンを抑えつけて。

「そ、それはそうかもしれないけれど。
私が個人的に恥ずかしいというか………その………。」

言葉であっさりと負けていく教師。教師らしくお祭りに、と言われてしまえば、逃げ道が段々小さくなっていくのを感じる。やばい。

「……そ、そうなの?」

なんて、後ろの二人に視線を送ってみよう。
道連れ狙い? そんなこと気がついていない。とりあえずこの状況が何か変わらないか、と苦肉の柵。

蒼穹 > …いやま、…ねぇ?
あっはは、まぁ、気持ちは分からんでもないけども。ま、おっきいよね。何がとは言わんさ。

(カーディガンから引きずり降ろされた先に露わになった明らかにアレなコスプレ姿。
苦笑い、半笑いともつかない笑みを浮かべながら、取り敢えず己も朝宮先生から離れよう。
何故かしらないけれど、爆弾というか、破壊神を扱うかのような、一触即発のソレであった。
本業で破壊神をしている物はといえば…残念ながらそっち方面の破壊力はあんまりない。
でかけりゃいいってもんじゃないでしょ。…と、言うだろうけれど。)

どっちかっていうと男子に需要があると思うんだけどどうなのかなぁこれ…。

(細々と金髪少女に聞こえるか聞こえないかのような呟きを流してみる。反論にならぬ反論。
この姿でお祭りに出される先生は、多分可哀想なのだろう。
それはそうと、何であっちの金髪っ子までメイド服なんだろうか。
やけに元気が良いメイドだとは思うけれど。)

いやまぁ…そうだろうけど。
あー、まぁ、そうなるよね。普通は隠しちゃう。

(うんうん、とカーディガンの雲に隠れたメイド服の晴れ間を見送る。多分かなり過激な格好なんだろう、アレは。
今は女子しかいないから大丈夫だけれど、男子の目に触れたらどうなったんだろう。
いや、流石にそんな事をする気はないけれど。)

どうなんだろう。どう思う?ユメコ。

(そして先生の質問をそのまま横に流した。今のは明確に否定しておくべきだったのかも?)

四季 夢子 > 「え"、私!?……私は……そうねえ……。」

アリスさんの濁流のような言葉の推しや、朝宮先生の清流のような眼差し。蒼穹さんの白雲のように流れる態度を受けて、私の言葉は濁って澱んでしまう。
街ごとを巻き込むような規模の大きな催し物に心が動かされないと言えば嘘にもなるんだけど
……この衣装姿の先生と一緒って、それってつまり私や蒼穹さんもメイド服姿って事にならないかしら。

「……お祭りはまあ、嫌いじゃ無いけどアリスさんの言葉通りだと私もメイド服になってしまわない?
ほら……そういうのってさ、ある程度こう……朝宮先生とか、貴方とか、インパクトがある感じのが似合うんじゃないかなあって。」

抱いた疑問を口にしながらも、何処か造り物めいた愛くるしさを持ったアリスさんが
衣服に似合わない敬礼をする事に相好がちょびっと崩れもする。
似合わなさ過ぎて、逆に似合ってしまっているようなコミカルさって奴なのかもしれない。

ただ私が朝宮先生と同じ格好をしたら、似合わなさ過ぎて似合うコミカルどころか滑稽な気がしてならない。
好奇心の赴くままに色々を視るのが好きな私は、他の衆目を良かれ悪しかれ集める事を好まないのだ。

「私とか蒼穹さんなら、どちらかと云うと女給さんスタイルというかー……。」

とはいえ、真っ向から厭とも言えない勢いがアリスさんからは感じるもので
うけながすよーに代案を出して、卓上に置かれた。すっかりと冷めた缶入り紅茶を啜って誤魔化す。
御茶を濁すって奴ね、うん。