2016/04/26 のログ
ご案内:「荒野」に潮田 莉音さんが現れました。
潮田 莉音 > 「………あ、れ……?」

ふと、目覚めた。
睡眠を大して必要としないこの身体では、意識を無くすことも、そしてその意識を取り戻すという行為自体も、久方ぶりだった。
身体を起こして周りを見ると、そこは見渡す限りの荒野が広がっていた。
だが、全く以て、見覚えのない場所だ。そもそも、自分が意識を失う前にいた場所は、こんな荒れ地ではなかったはずだ。

「…ここ、一体何処ですぅ?
こんな場所、見たことも聞いたこともないですよぅ……」

身体中についた砂を叩いて落とし、うろんげに呟いて辺りを見回す。辺りには人っ子ひとりおらず、また近くにいるような気配もない。風の音と落ち葉が地面を滑るような音以外は静寂が広がっている。

莉音は一先ず、意識を無くす前、自分が何処で何をしていたのかを思い出すことにした。何がどうなってどうしてこんな場所で倒れていたのか。それをまず思い出さないと、お話にならない。

「えっ……と…確か私、あのとき学校で……」

――そう、"学校"だ。
あのとき自分は、学校の図書館にいた。
自らのテリトリーとしていた学校の統廃合に伴い、住み慣れたテリトリーから別の場所に移るために準備をしていた。
仲間に協力を要請し、領域型の妖異である自分が学校の外でも動けるように、上手く移れるように力を借りて制限を一時的に薄くした。
そして、粗方の準備を終えて一息つき、また図書館に戻ろうとしたところで突如発生した白くて強い光に巻き込まれ――

「……今に到る、ってわけですか。
…笑えないですねぇ」

現状分析を終え、ため息をつく。
どうやら、事はなかなかに厄介らしい。
あの白くて強い光に巻き込まれたあとに意識を失い、荒野のまっただ中に突っ伏して倒れていたようだ。転送術の一種だろうか?誰が?何のために?そもそも自分を狙ったものなのか、それとも偶発的に巻き込まれたのか、それすら全く解らない。
何処をどう通ってここにきたのかさえ、皆目検討も付かないのだ。

潮田 莉音 > 解らないことが、あまりにも多すぎる。
莉音はため息をつき、座ったままの状態からとりあえず立ち上がろうとした、そのとき。
コツン。
靴の爪先に、何か硬いものが当たった。

「あら、これ……」
それは、見覚えのある一冊の本だった。それなりの大きさがあって厚く、茶色いハードカバーの装丁がされている。
砂ぼこりで少し汚れてしまっているが、それは莉音が図書館に戻ろうとした際に手に持っていた本であった。

ご案内:「Free1」に潮田 莉音さんが現れました。
ご案内:「Free1」から潮田 莉音さんが去りました。
ご案内:「荒野」に潮田 莉音さんが現れました。